溶接機器・溶接材料業界の世界市場シェアの分析

溶接機器・材料業界の世界市場シェアと市場規模について分析をしています。リンカーン、コルファックス、イリノイ・ツール・ワークス、神戸製鋼所といった主要な溶接機器・溶接材料メーカーの概要や動向も掲載しています。

世界市場シェア

溶接機器・材料各社の2020年度の売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2020年の溶接業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はリンカーン・エレクトリック、2位はコルファックス、3位はイリノイツールワークスとなります。

  • 1位 リンカーン・エレクトリック 17.69%
  • 2位 コルファックス 15.38%
  • 3位 イリノイ・ツール・ワークス 10.77%
  • 4位 神戸製鋼所 5.06%
  • 5位 ダイヘン 3.04%
  • 6位 現代溶接 2.67%

溶接業界の世界シェア(2020年)
溶接業界の世界シェア(2020年)

溶接機器・材料業界の世界シェアランキング1位は米国のリンカーン・エレクトリック社です。溶接機器や材料の両方を手掛けており、業界の盟主的な存在です。2位には、スウェーデンに本拠を置くエサブを買収したコルファックス社です。コルファックス社はもともとはダナハより分社化して誕生した会社です。3位には、北米のイリノイツールワークス社です。同社は、溶接機械以外にも、産業包装製品、表面仕上げ材、業務用食品機器などを手掛けています。日本勢では、4位に神戸製鋼所、5位にダイヘンが入っております。パナソニック、FroniusやKemppiなども大手と言われていますが、情報の開示がないため、本ランキングからは除外しております。

市場規模

当データベースでは、2020年の溶接機器業界の市場規模としを130億ドルとしております。参照した、各種公表データは次の通りです。調査会社のグランドビューリサーチによると、2019年の同業界の市場規模は121.7億ドルで、2020年には128.9億ドルになると予測されます。調査会社のフォーチュンビジネスインサイツによると、2018年の同市場規模は115.8億ドルです。2026年にかけて年平均6.3%での成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報

市場規模前年成長率
2020年128.9億ドル5.9%
2019年121.7億ドル5.1%
2018年115.8億ドルn/a
溶接機器業界の市場規模の推移 (c)業界再編の動向

溶接材料とは?

金属を熱や力を用いて結合させることを溶接といいますが、溶接材料は、その溶接をするときの、結合剤となります。溶接した金属は、当然溶接部分の強度や硬度を、元の材料の水準にできるだけ一致させることが望ましく、結合剤としての溶接材料は、そうした意味で重要な役割を持っています。
一般的に、溶接材料には、アークと呼ばれる高温で強い光を発生させる被覆アーク溶接棒、ティグ溶接棒、ソリッドワイヤ、フラックス、帯状電極等があります。
溶接の方法には、アーク溶接、スポット溶接、ティグ(TIG)・ミグ(MIG)溶接、レーザー溶接があります。

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主要な溶接機器・材料メーカー

リンカーン・エレクトリック(Lincoln)

米国に本拠を置く溶接材料・機器メーカーです。120年以上の歴史を誇ります。溶接と切断が事業の柱となっています。スティック溶接機、TIG溶接機、MIG溶接機、マルチプロセス溶接機、トマホークプラズマカッター、スピリットプラズマ切断システム等を取り扱っています。

コルファックス(Colfax)

コルファックス社は米国のダナハー(Danaher Corporation)より分社化して誕生しました。溶接・切断事業と医療機器事業が主力です。溶接事業は切断、接合、自動溶接に使用される消耗品や機器を手がけ、スウェーデンに本拠を置く溶接材料メーカーであるエサブ(ESAB)が主軸となります。なお、エサブ(ESAB)は1904年に創業されました。英国のエンジニアリング大手のチャーター・インターナショナル(Charter International)に1994年に買収され、2012年に米国のコルファックス(Colfax)社に買収されています。医療機機事業では、整形外科用の硬・軟の装具や外科用インプラント機器などを手掛けています。2019年に坑内通気機器大手のHowden(ハウデン)をKPSキャピタルパートナーズに売却しました。

イリノイツールワークス(ITW)

イリノイツールワークスは、1912年に設立された米国に本拠を置く複合企業です。ニューヨーク証券取引所に上場しています。溶接機ではアーク溶接機器に強みを持ちます。溶接機以外にも、自動車部品(ネジやキャップ)、調理器具(業務用食洗器など)、試験計測機器、締結機器、産業包装製品、ポリマー、接着剤・シーリング剤・潤滑剤・台所カウンター用ラミネート材を製造販売しています。さらに詳しく

神戸製鋼所

神戸製鋼所は旧鈴木商店の流れを汲む名門鉄鋼会社です。石川島播磨の源流の1社である播磨造船所は、神戸製鋼所より分社化して誕生した経緯があります。従来より鉄鋼業界における再編からは距離をおいてきたものの、2001年に当時の新日本製鐵と包括的な提携をした経緯から、現在でも日本製鉄と親密です。鉄鋼事業以外にも、溶接事業、アルミ・銅事業、機械事業、エンジニアリング事業、電力事業、建機事業、電力事業などを多角化展開しています。さらに詳しく

神戸製鋼所の祖業であり、自動車向けのエンジンに使われる特殊鋼である線材や高張力鋼板(ハイテン)といった、高い技術が要求される鉄鋼製品に注力しています。規模では、年間粗鋼生産量は約70万トン程度と、世界的に見れば、鉄鋼メーカーの上位50社にようやく入る程度です。売上高では約6000億円程度。利益は近時赤字が続き、祖業事業ではあるものの、収益面では全体の足を引っ張っているという状況です。
かつての欧州鉄鋼メーカーの雄であり、現在では自動車部品、エレベーター(2019年に売却をしました)、エンジニアリングの分野へ多角化に成功したティッセンクルップの粗鋼生産量は17万トン程度で、神戸製鋼所の規模より大きくなっています。鉄鋼業界の競争環境を改めてみると、規模では、新日鐵住金の2倍以上の差をつけているダントツのアルセロールミタルに、同じく規模を拡大して競争力強化を図る中国勢が、粗鋼生産量の上位をほぼ独占しつつあります。規模だけが競争優位の源泉のすべてではないと思われますが、欧州名門ティッセンクルップの規模を追わない戦略を勘案しますと、やはり一定のタイミングでの何らかの業界再編が行われる可能性は否定できないのかもしれません。また、今後需要が伸びていくと予想される電気自動車は、バッテリーが重く、軽量化へのニーズが強くなることからも、自動車部品への鉄鋼への需要が減少するものと思われれます。また、内燃車の象徴であるエンジンへの鉄鋼の需要も確実に減っていくものと考えられます。仮に、新日鐵住金が、神戸製鋼所の鉄鋼事業と経営統合を行うと、合計粗鋼生産量は約50万トン超程度、最近経営統合を行った宝武鋼鉄集団との距離を縮められ、線材分野の強化も図れます。国内2位で、世界10位前後のJFEスチールの場合、粗鋼生産量が約40万トンまで増え、増加率では新日鐵住金を上回り、上位5位を狙える位置につけることができ、さらには線材やハイテンといった分野で新日鐵住金に対して攻勢をかけることもできます。
 

現代溶接

現代グループの溶接会社です。主に溶接材料を提供しています。2020年に溶接分野で世界1位のブランド力を有することを目標としています。

Shenzhen Riland Industry Group(深圳市瑞凌实业)

Shenzhen Riland Industry Group(深圳市瑞凌实业) は2003年に設立された中国に本拠を置く溶接機器メーカーです。インバータ溶接・切断に強みを持ちます。

参照したデータの詳細情報について


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