ティッセンクルップの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

ティッセンクルップ(ThyssenKrupp)は、1811年創業のクルップと1867年創業のティッセンが、1999年に経営統合をして誕生したドイツ最大級の重工業メーカーです。鉄鋼、エレベーター、自動車部品、造船(軍需向け)がメイン事業です。2010年代以降構造改革を行い、タタ製鉄との欧州製鉄事業の経営統合が破たん後、2019年にティッセンクルップは、主に自動車部品、エレベーター、プラントサービスを提供するtkインダストリアルズと鉄鋼販売、クランクシャフト等の産業材、潜水艦、鉄鋼を手掛けるtkマテリアルズに分社化する旨発表しましたが、実現せず、2019年に稼ぎ頭であるエレベーター事業をアドベント・インターナショナルに売却しました。

業績推移

2019年度
売上高は41,996百万ユーロで、前年度比1%増となりました。営業利益は266百万ユーロになりました。営業利益率は1%になりました。

2020年度
売上高は28,899百万ユーロで、前年度比31%減となりました。営業利益は5,260百万ユーロの赤字になりました。売上高はパンデミックの影響を大きく受けました。 特に自動車部品セグメントは第 2 四半期からマイナスの影響を受けました。利益が大幅に減少したのも、パンデミックの影響です。パンデミックによる需要とそれに伴う設備稼働率への影響、乗用車やトラック向けの素材・部品事業の変動性、鉄鋼事業の構造的課題の影響を受けました。 こうした事態を緩和するために、コストを削減し、ビジネスを保護し、従業員を保護するために広範な対策が講じられました。 これには、短時間労働、残業や休暇の消化など労働時間の柔軟性の向上、派遣労働者の使用削減、リモートワーク、コスト削減策の実施、投資プロジェクトの見直しなどが含まれます。

2021年度
売上高は34,015百万ユーロで、前年度比18%増となりました。営業利益は443百万ユーロになりました。営業利益率は1%になりました。材料サービスセグメントでは、価格の高騰と販売量の増加により、売上高は前年同期を大幅に上回りました。鉄鋼セグメントでは、価格調整が功を奏したことと出荷量の増加により、売上が大幅に増加しました。利益に関しては、市場の回復と業績と効率を改善するための措置により、大幅に増加しました。

2022年度
売上高は41,140百万ユーロで、前年度比21%増となりました。営業利益は1,772百万ユーロになりました。営業利益率は4%になりました。材料サービスセグメントでは、価格の高騰により前年度の売上を大幅に上回りました。しかしながら、年度末にかけての材料不足や需要の低迷により、販売量は減少しました。利益に関しては、材料サービスセグメントと鉄鋼セグメントの成長が、大幅な収益増加の原因となりました。

2023年度
売上高は37,536百万ユーロで、前年度比9%減となりました。営業利益は1,457百万ユーロの赤字になりました。自動車セグメントで大幅な売上高の増加がありましたが、全体の売上は減少しました。これは、材料サービスセグメントと鉄鋼セグメントの価格下落があったことが主な要因です。材料サービスセグメントでは、出荷量自体は微増になりました。利益が大幅に減少したのは、材料サービスセグメントと鉄鋼セグメントの売上減少によるものです。

ティッセンクルップの業績推移

ティッセンクルップの業績推移

業績推移(四半期)

2023年第1四半期(10ー12月)
売上高は9,018百万ユーロになりました。営業利益は246百万ユーロ、営業利益率は3%になりました。

2023年第2四半期(1ー3月)
売上高は10,107百万ユーロになりました。営業利益は110百万ユーロの赤字になりました。

2023年第3四半期(4ー6月)
売上高は9,598百万ユーロになりました。営業利益は212百万ユーロ、営業利益率は2%になりました。

2023年第4四半期(7ー9月)
売上高は8,813百万ユーロになりました。営業利益は1,806百万ユーロの赤字になりました。

2024年第1四半期(10ー12月)
売上高は8,181百万ユーロになりました。営業利益は185百万ユーロの赤字になりました。

ティッセンクルップの四半期業績推移

ティッセンクルップの四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比284%減の-3.33ユーロになりました。1株当たりの配当は前年度と同額の0.15ユーロになりました。配当性向は-5%になりました。

ティッセンクルップのEPS・配当額・配当性向の推移

ティッセンクルップのEPS・配当額・配当性向の推移

業績予想

2024年2月
2024年度第一四半期のレポートにて、2024年度通期の売上高は前年度と同程度、利益は前年度より多少の増加を予定していると掲載されています。

ティッセンクルップの売上構成

セグメントは、材料サービス、軸受け、鍛造技術、自動車、鉄鋼、マリンシステム、その他に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

ティッセンクルップの売上構成(2023年度)

ティッセンクルップの売上構成(2023年度)

材料サービス
世界各地の加工業者や製造業者に材料の供給と材料に関するサービスを提供しています。

軸受け
風力発電メーカーや建設機械メーカーに旋回ベアリングを製造しています。

鍛造技術
鍛造部品や鍛造システムを建設関連企業や自動車企業に提供しています。

自動車
自動車技術に関するハイテクシステムやハイテク部品を提供しています。

鉄鋼
鉄鋼を製造しています。

マリンシステム
潜水艦や船舶表面母体に関するシステム、および、船舶の電機システムや安全システムを提供しています。

その他
エレベータ事業への投資などがこのセグメントに含まれます。

M&A情報

2014年 鉄鋼加工ビジネスを手掛ける ThyssenKrupp Steel USA を ArcelorMittal と 新日鐵住金へ売却
2015年 ステンレス鋼ビジネスを手掛けるVDMを、Lindsay Goldberg へ売却
2017年 赤字のブラジルの製鉄所を Teunium に売却
2020年 エレベータ事業を Advent International と Cinven のに売却
2022年 クルーズ船の製造を専門とする MV Werften の買収を発表
2022年 データ分析およびデータ サイエンス会社 Westphalia DataLab を買収

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