CNHインダストリアルは、2013年のCNHグローバルとフィアット・インダストリアルとの経営統合の結果誕生しました。フィアット創業家であるアニェッリ家が大株主となっています。建機、農機、商用車(トラック)事業を全世界180ヶ国で展開しています。現在はニューヨーク証券取引所とミラノ証券取引所に株式を上場しています。2022年1月に商用車・トラック事業を担うIveco(イベコ)が分社化上場をしました。
事業領域としては、CASEブランドで展開する建設機械、New Holland(ニューホランド)及びCASEブランドで展開する農業機械、商用車・トラックのIveco(イベコ)、旧ルノーの流れを汲むHeuliez Bus(ユーリエ・バス)、IVECO BUS (イベコバス、以前は Irisbus(アイリスバス)ブランド)、1864年から続く老舗消防車メーカーであるMagirus(マギルス)、エンジン・車軸・変速機等を製造するFPT Industrial(フィアット・パワートレイン・インダストリアル)となっています。なお、CNHグローバルは、1999年にNew Holland(ニュー・ホランド)とCase Corporation(ケース・コーポレーション)が経営統合し誕生しています。エリア別の売上比率では、欧州・中東・アフリカ(EMEA)が、一番多く約50%超、北米の20%超、アジア、南米と続きます。中央アジアにおける製造拠点は、中国、ウズベキスタン、インド、パキスタン、ロシア、トルコにあります。
2019年度
売上高は28,079百万ドルで、前年度比5%減となりました。営業利益は3,001百万ドルになりました。営業利益率は11%になりました。売上の減少は主に為替変動によるもので、固定通貨ベースでは1.7%の売上減少となります。
2020年度
売上高は26,032百万ドルで、前年度比7%減となりました。営業利益は1,618百万ドルになりました。営業利益率は6%になりました。新型コロナウイルス感染症による最終市場への悪影響により売上高は前年比で減少しました。
2021年度
売上高は19,496百万ドルで、前年度比25%減となりました。営業利益は3,291百万ドルになりました。営業利益率は17%になりました。売上原価率は6%減少しました。これは、固定費を減少させたためです。
2022年度
売上高は23,551百万ドルで、前年度比21%増となりました。営業利益は4,136百万ドルになりました。営業利益率は18%になりました。売上の増加は、業界の強い需要と販売価格上昇の結果、全てのセグメントで売上が増加したためです。売上原価率は1ポイント減少しました。これは固定費の減少がその他コストの上昇を部分的に相殺した結果です。
2023年度
売上高は24,687百万ドルで、前年度比5%増となりました。営業利益は4,945百万ドルになりました。営業利益率は20%になりました。売上が増加した理由は、販売価格の設定を上昇させたためです。売上原価率は前年度比で2ポイント減少しました。これは、製造コストと購入コストの上昇を、販売価格の上昇で相殺した為です。
2023年第1四半期(1ー3月)
売上高は5,342百万ドルになりました。営業利益は1,062百万ドル、営業利益率は20%になりました。売上は前年同期比で増加しました。これは、販売価格の上昇と販売量の増加によるものです。
2023年第2四半期(4ー6月)
売上高は6,567百万ドルになりました。営業利益は1,350百万ドル、営業利益率は21%になりました。売上は前年同期比で増加しました。これは、販売価格の上昇と販売量の増加により為替換算の悪影響が相殺されたことによるものです。
2023年第3四半期(7ー9月)
売上高は5,986百万ドルになりました。営業利益は1,199百万ドル、営業利益率は20%になりました。第三四半期までの累計売上は前年同期比で減少しました。この減少は主に、農業分野、特に南部の産業需要の低下によるものです。
2023年第4四半期(10ー12月)
売上高は6,792百万ドルになりました。営業利益は1,334百万ドル、営業利益率は20%になりました。
2024年第1四半期(1ー3月)
売上高は4,818百万ドルになりました。営業利益は984百万ドル、営業利益率は20%になりました。売上は前年同期比で減少しました。この減少は主に業界の需要の低下によるものです。
希薄化後EPSは前年度比18%増の1.76ドルになりました。1株当たりの配当は前年度比30%増の0.394ドルになりました。配当性向は22%になりました。
セグメントは、農業、建設、金融に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです
農業
二輪および四輪駆動トラクター、クローラートラクター、コンバイン、ブドウおよびサトウキビ収穫機、干し草および飼料用機器、植栽および播種機器、耕運機、栽培器具、資材運搬装置などがこのセグメントに含まれます。 CNHインダストリアルは精密農業に特化したテクノロジーの大手プロバイダーでもあります。 農業機器は、New Holland Agriculture および Case IH ブランドで販売されています。Raven ブランドは、精密農業、デジタル技術、自律システムの開発をサポートしています。
建設
掘削機、クローラードーザー、グレーダー、ホイールローダー、バックホーローダー、スキッドステアローダー、コンパクトトラックローダーとさまざまなアタッチメントを含む建設機械のフルラインを設計、製造、販売しています。 建設機械は、CASE Construction Equipment、New Holland Construction、Eurocomach、といったブランドで販売されています。
金融
CNH のディーラー ネットワークを通じて販売される新品および中古の農機具および建設機械およびコンポーネントの購入のためのエンドユーザへの融資、およびその他の金融サービスを提供しています。 また、ディーラーへ機器在庫資金を提供するために、CNH ディーラーおよび販売代理店に卸売融資も提供しています。
2011年 フィアットからフィアット・インダストリアルが分社化
2013年 CNHグローバルとフィアット・インダストリアルが経営統合しCNHインダストリアルが誕生
2014年 農業業界向けの精密噴霧装置のメーカーMiller-St. Nazianzを買収
2021年 土木機械のスペアパーツの製造に携わるSampieranaを買収
2021年 精密農業製品と生産者向けの情報管理ツールを専門とするRaven Industriesを買収
2022年 商用車・トラック部門であるIvecoグループの分社化
2023年 人工知能を使用して建築設計を自動化するソフトウェアを提供するAugmentaを買収
主要株主は、フィアットの創業家のアニェッリ家が所有するエクソール(Exor NV)であり、議決権ベースで約4割程度の株式を保有しています。エクソールは、CNHインダストリアルに加え、FCA(フィアット・クライスラー)、再保険のパートナーRe、フェラーリ、ユベントス、エコノミストの大株主でもあります。