海底ケーブル敷設業界の世界市場シェアの分析 2020
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海底ケーブル敷設業界の世界市場シェアの分析 2020

海底ケーブル敷設業界の世界市場シェアと市場規模について分析をしています。アルカテル・サブマリン・ネットワークス(ノキア・ネットワークス)、サブコム(旧タイコ・エレクトロニクス・コネクティビティ)、NEC、富士通等の世界大手ケーブル会社の動向も掲載しています。

【海底ケーブルとは】

海底ケーブルとは一般的に通信用の伝送路として海底に敷設されるケーブルのことを指します。切断を防ぐために耐圧性、耐水性、耐久性をもったケーブルが求められる。現在は光ファイバーを銅、ポリエチレン等で覆った構造となっている。

海底ケーブルの仕組み
海底ケーブルの仕組み
出所:ASN

【市場シェア】

ASNの資料によれば、2013年〜2018年の海底ケーブルシステム累計受注額の世界市場シェアは、下記の通りとなります。

  • 1位 アルカテルサブマリンネットワーク 33%
  • 2位 サブコム 22%
  • 3位 NEC 18%

海底ケーブル敷設業界の世界市場シェア
海底ケーブル敷設業界の世界市場シェア

長らく、海底ケーブル敷設業界では、NEC、タイコ、アルカテル・ルーセントの大手3社による寡占が続いてきました。近年タイコは、通信機器部門をTEコネクティビティとして分社化後、さらに海底ケーブル事業をTEサブコム(現サブコム)として分社化、アルカテル・ルーセントはノキアと経営統合を行い、海底ケーブル事業はノキア・ネットワークスに属するアルカテル・サブマリン・ネットワークス(Alcatel Submarine Networks)となるなど、事業主体の変更が相次ぎます。

【市場規模】

調査会社のマーケッツアンドマーケッツによれば2020年の海底ケーブル敷設業界の市場規模は130億ドルです。

アルカテルサブマリンネットワーク、サブコム、NECのケーブル事業各社の売上高(アルカテルは2019年及びサブコムとNECは2018年)を計算すると約18億ドル(=概ねの年間新規受注額)となります。

世界には約400本の海底ケーブルが敷かれています。第一次世界大戦後には、ドイツ帝国が敷設した海底ケーブルをめぐり戦勝国間で争いが起こっています。

近年は、通信会社はグーグルフェイスブック等のIT大手が通信量の拡大に伴う海底ケーブルへの投資を積極しています。2016年~20年に完成する海底ケーブルの約3割はグーグルとフェースブックが出資しているとされます。

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【M&Aの動向】

2008年 NECと住友電工がOCCを買収
2018年 サーベラスがTEサブコム(現サブコム)を買収

【会社の概要】

アルカテル・サブマリン・ネットワークス(旧アルカテルルーセント)

1854年にSTCとして創業された海底ケーブル敷設会社の老舗です。旧アルカテルルーセントは、2015年にフィンランドのノキアと経営統合をした仏名門通信システム会社です。もともとは、2006年にAT&Tグループのルーセント・テクノロジーとアルカテルが経営統合をして誕生しました。海底ケーブル事業はケーブルの製造から敷設まで手掛けています。ノキア・ネットワークス傘下のアルカテル・サブマリン・ネットワークスとして事業展開を図っています。60万キロ=地球15周分の海底ケーブルの敷設実績を有しています。オフショアの石油・ガス施設への通信回線でも世界有数です。6隻の敷設船(Ile de Sein, Ile de Batz, Ile de Bréhat, Ile d’Aix, Lodbrog, Peter Faber)を擁しています。

ノキアについて

Nokia(ノキア)は、フィンランドに本拠を置く通信機器メーカーです。かつて携帯電話機器で世界1位でしたが、スマホの台頭により、携帯事業をマイクロソフトに売却しました。一方で無線通信機器事業を強化するためにフランスのアルカテル・ルーセントを買収しています。LTE向けの通信機器では世界大手でしたが、5Gの通信基地では、ファーウェイに遅れをとっています。米国の制裁強化を利用して巻き返しを図っています。さらに詳しく

サブコム(SubCom)

元タイコのTE Connectivity(タイコ・エレクトロニクス・コネクティビティ、2007年にタイコ・エレクトロニクスとしてタイコより分社化)傘下の企業です。2018年に投資ファンドのサーベラスが買収し、現在はサブコムへと社名を変更しています。海底通信技術とサブマリーンサービスを強化しています。事業開始以来地球17周分の海底ケーブルを敷設した実績があります。TE Connectivityは通信システムやセンサー等に注力をしています。なお、兄弟会社のタイコ・インターナショナルはジョンソン・コントロールズと経営統合を果しました。

TEコネクティビティとは

スイスに本拠を置くコネクター大手です。元々は警備サービスや防犯機器製造大手のタイコ・インターナショナルのコネクター部門でしたが、Tyco Electronicsとして分社化後、TEコネクティビティーに社名変更をしました。現在はニューヨーク証券取引所に上場しています。

NEC

NECは、1889年にウェスタン・エレクトリック(現ノキアネットワークス)と岩垂邦彦氏によって設立された電話交換機や通信機器の製造を祖業とするITサービス会社です。1932年に住友財閥との関係が深まり、現在も住友グループの中核の会社です。1980年代に半導体分野で世界のトッププレイヤーとなりました。その後、事業構造をハードからソフト・ITサービスへと変化させ、現在はハードとソフトを組み合わせたソリューションプロバイダーに強みを持ちます。さらに詳しく

通信ケーブルについては、2008年海底ケーブル大手のOCCを住友電工と共同買収しました。地球5周分、延べ20万kmを超える敷設実績を誇ります。

住友電工とは

住友電工は、1897年に設立された前身の住友伸銅場を引き継ぐ日本の大手電線、ケーブル及び自動車部品メーカーです。創業より電力用ケーブルや通信用ケーブルを手掛けています。ワイヤーハーネスや光ファイバーの分野でも世界大手です。2001年日立電線(日立金属)と電力用ケーブルのジェイ・パワーシステムズを設立し、その後2014年に住友電気工業が完全子会社化しています。光ケーブルは同社の横浜製作所が主力工場です。さらに詳しく

その他の大手海底ケーブル会社

富士通

富士通は、古河電気工業とシーメンスの合弁会社として設立された現富士電機の電話部門が1935年に分社化されて設立されました。ICT関連のハードウェアからソフトウェアを手掛けていますが、近年はITソリューションサービスへ事業ポートフォリオをシフトしています。ハードウェアではPC&サーバ、メインフレーム・スーパーコンピューター「富岳」(2012年に稼働した「京」の後継機)、ATM、通信ネットワーク機器などを開発製造しています。グループ関連会社には、富士通フロンテック、新光電気工業、FDK、富士通ゼネラルなどが含まれます。さらに詳しく

ファーウェイ

中国に本拠を置く世界大手通信機器メーカーです。基地局、ネットワークから携帯端末まで手掛けています。Huawei Submarine Networkが海底ケーブル敷設事業を手掛けています。米国禁輸措置を回避するため2019年に江蘇亨通光電へ51%の株式の売却を発表しています。

参照したデータの詳細情報について


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