印刷業界の世界市場シェアと市場規模について分析をしています。凸版印刷、大日本印刷、シンプレスといった大手印刷会社の概要や動向も掲載しています。R.R. Donnelley & Sons(RRD)やベルテルスマン(Bertelsmann)など、売上数値の抽出ができない企業は、ランキング対象外としています。
【印刷業界について】
印刷の市場規模の分類
印刷の市場規模を製品別に見てみますと、主に新聞、雑誌、書籍、辞書、カタログの分野でマイナス成長となっています。デジタルメディアの進展に伴い、情報媒体がインターネットを通じてスマホやパソコン等へシフトし、印刷の需要が減少していることが要因です。特に書籍は、アマゾン等による電子書籍の進展が見込まれます。かつて音楽業界におけるCDが、ストリーミング等の音楽コンテンツ配信サービスの成長に伴い、販売が減少したことと同じ構図が予想されます。印刷の手法では、カタログや書籍等の印刷方式である平版オフセット印刷の減少は幅が大きいです。これは、メディア媒体の変化に加え、デスクトップ・パブリッシング等の進展により、製版工程の中抜きが進行したことも理由としてあげられます。
印刷の種類
印刷の種類には、製版方法によって、大きく平版、凸版、凹版、孔版の4つに分かれます。平版のオフセット印刷は、その印刷手法から、大量印刷に向いているため、書籍やカタログ等の印刷に用いられてきました。現在は、プリンターの性能も向上して、オフィスや自宅で印刷が可能となるため、印刷種類の中でもマイナス成長が続く分野です。
その他には、フレキソ印刷に代表され、段ボール等の表面が滑らかでない素材への印刷が可能である凸版印刷、グラビア印刷に代表される、写真等の繊細な色使いが求められる素材への印刷が可能である凹版印刷、スクリーン印刷に代表される、プリント基板やプラスチック等紙以外の素材への印刷が可能である孔版があります。
【印刷業界の市場シェア+ランキング】
印刷業界の2025年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2025年の印刷業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位は凸版印刷、2位は大日本印刷、3位はシンプレスとなります。
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| 順位 | Company name (English) |
企業名(日本語) | 市場シェア |
| 1位 | Toppan Holdings | 凸版印刷 | 0.95% |
| 2位 | DNP | 大日本印刷 | 0.77% |
| 3位 | Cimpress | シンプレス | 0.56% |
| 4位 | Multi-Color Corporation | マルチカラー・コーポレーション | 0.50% |
| 5位 | Quad/Graphics | クォードグラフィックス | 0.40% |
| 6位 | Fujifilm | 富士フィルム | 0.34% |
| 7位 | TC Transcontinental Inc. | TCトランスコンチネンタル | 0.25% |
| 8位 | Deluxe Corporation | デラックス・コーポレーション | 0.19% |
印刷業界の世界市場シェア1 位は、日本の凸版印刷(TOPPAN)です。
同社は 商業印刷・パッケージ・セキュリティ印刷を世界最大規模で展開しており、総合印刷企業として世界トップの地位を維持しています。
2 位は同じく日本の大日本印刷(DNP)です。
出版印刷からICカード・パッケージまで幅広い印刷事業を持つ総合印刷大手です。
トップ 2 社を日本勢が占めました。
3 位は米国の受注印刷最大手 シンプレス(Cimpress)です。
Web-to-Print(オンライン印刷)分野で世界最大の企業であり、個人・中小企業向けの大量受注が強みです。
4 位は マルチカラー・コーポレーション(MCC)です。
ラベル印刷で世界最大級の企業で、飲料・食品・日用品向けラベル市場で圧倒的な存在感を持ちます。
5 位は米国の クォードグラフィックス(Quad)です。
DM(ダイレクトメール)・商業印刷・店頭POP印刷に強い総合印刷企業で、米国市場の主要プレイヤーです。
6 位は日本の 富士フイルム(Fujifilm)です。
商業印刷機(デジタル印刷)・オフィス印刷・文書管理(BPO)を含む Business Innovation 事業をもっています。
7 位はカナダの TCトランスコンチネンタル(Transcontinental)です。
パッケージ印刷と商業印刷の両方を手がける北米最大級の印刷企業です。
8 位は米国のデラックス・コーポレーション(Deluxe)です。
小切手印刷・金融向け印刷・ビジネスフォーム印刷を中心とした企業で、北米の金融印刷に強みがあります。
なお、R.R. Donnelley & Sons(RRD)やベルテルスマン(Bertelsmann)など、印刷事業の売上が抽出できなかった企業は今回のランキング対象外としています。
【印刷業界の世界市場規模】
当データベースでは、2025年の印刷業界の市場規模を6,075億ドルとしております。参照した各種調査データは次の通りとなります。
調査会社リサーチアンドマーケッツによると、2025年の同業界の市場規模は6,075億ドルです。2034年にかけて年平均3.8%で成長し、規模は8,469億ドルへと拡大することを見込んでいます。
調査会社ファンダメンタルビジネスインサイツによると、2025年の同業界の市場規模は5,102億ドルです。2035年にかけて年平均3.3%で成長し、規模は7,059億ドルへと拡大することを見込んでいます。
調査会社ビジネスリサーチカンパニーによると、2025年の同業界の市場規模は3,436億ドルです。2030年にかけて年平均4.2%で成長し、規模は4,204億ドルへと拡大することを見込んでいます。
| 年 | 市場規模 | 成長率見込み |
| 2025 | 6,075億ドル | – |
| 2034 | 8,469億ドル | 3.8% |

【M&Aの動向】
2018年 Cimpress が BuildASign を買収へ: 米国の Web-to-Print キャンバス壁装飾および看板の垂直統合会社
2024年 RRD、Vericast Corp. のデジタルおよびプリントマーケティング事業を買収
2025年 ベルテルスマンが米国の物流サービスプロバイダーを買収し、北米での地位をさらに拡大
2025年 大日本印刷、光金属工業所を運営するHKホールディングの全株式を取得
2025年 RRD、アドベント・インターナショナルからWilliams Lea Limitedを買収
2026年 DNP、決済ICカード・IDソリューション大手AUSTRIACARD HOLDINGS AG を買収、連結子会社化
【会社の概要】
凸版印刷(Toppan Holdings)
凸版印刷は、日本に本拠を置く世界最大級の総合印刷会社です。商業印刷、パッケージ印刷、セキュリティ印刷、電子デバイス関連(プリント基板、ディスプレイ関連部材)など、紙からエレクトロニクスまで幅広い分野で事業を展開しています。近年はデジタル印刷やDXソリューション、サステナビリティ対応パッケージなど、印刷技術を核にした高付加価値領域への投資を強化しています。
大日本印刷(DNP)
大日本印刷は、日本の総合印刷大手であり、出版印刷、商業印刷、パッケージ印刷に加え、ICカード、ディスプレイ用光学フィルム、電子部材などのエレクトロニクス関連事業を展開しています。商業印刷分野ではデジタル印刷やデータ活用サービスを取り込みつつ、防衛的に紙媒体を守りながら、成長分野であるエレクトロニクス・情報セキュリティ・環境対応パッケージなどへの積極投資を続けています。
Cimpress(シンプレス)
Cimpressは、オランダに本拠を置くオンデマンド印刷大手で、旧VistaPrint(ビスタプリント)として知られています。インターネットを駆使し、名刺やポストカード、販促物などの小ロット印刷受注を世界規模で展開しているのが特徴です。多数のブランドを傘下に持ち、Web-to-Print を中心に中小企業・個人事業主向けのオンライン印刷プラットフォームとして成長を続けています。
Multi-Color Corporation(MCC)
MCCは、世界最大級のラベル印刷会社で、飲料・食品・日用品などのブランド向けに高品質なラベル・パッケージ印刷を提供しています。シュリンクスリーブ、インモールドラベルなど特殊ラベルにも強みを持ち、グローバルに拠点を展開しているのが特徴です。近年はサステナブル素材やリサイクル対応ラベルなど、環境対応パッケージ分野への取り組みも強化しています。
Quad/Graphics(クォードグラフィックス)
クォードグラフィックスは、米国に本拠を置く大手印刷会社で、現在は「マーケティング・エクスペリエンス(MX)企業」として、印刷とマーケティングサービスを統合したソリューションを提供しています。カタログ、雑誌、DM、店頭POPなどの商業印刷に加え、データ活用、クリエイティブ制作、メディア運用まで含めた統合マーケティング支援を行っています。2010年の World Color Press 買収などを通じて中南米事業を強化し、現在も印刷を中核にしながらマーケティングサービス領域へ事業を拡張しています。
Fujifilm(富士フイルム)
富士フイルムの印刷関連事業は、Business Innovation セグメントを中心に構成されており、商業用デジタル印刷機、オフィス向け複合機、文書管理・BPOサービスなどを展開しています。グラフィックコミュニケーション(GC)領域では、商業印刷向けインクジェット機やワークフローソフトウェアなどを提供し、デジタル印刷へのシフトを支えています。紙の印刷だけでなく、ドキュメントソリューション全体を対象とした「印刷+情報処理」の事業モデルが特徴です。さらに詳しく
TC Transcontinental(TCトランスコンチネンタル)
TC Transcontinental は、カナダに本拠を置く商業印刷と軟包装印刷に強みを持つ企業です。従来は雑誌・新聞・カタログなどの商業印刷が中心でしたが、近年は軟包装(フレキシブルパッケージ)事業へのシフトを進めており、食品・日用品向けパッケージ印刷が成長ドライバーとなっています。印刷事業の再編を進めつつ、パッケージ分野で北米有数のプレイヤーとしての地位を確立しています。
Deluxe Corporation(デラックス・コーポレーション)
Deluxeは、米国の印刷会社で、中小企業や金融機関向けに小切手、伝票、名刺、事務用品、グリーティングカード、ラベルなどの印刷を提供しています。近年は金融機関向けのデジタルソリューションやマーケティングサービスにも事業を拡大しており、印刷とデジタルサービスを組み合わせた総合的なビジネス支援企業としての色合いを強めています。
R.R. Donnelley & Sons(RRダネリー)
RRダネリーは、米国に本拠を置く世界大手の総合印刷会社で、現在はマーケティング、パッケージ、印刷、サプライチェーンソリューションを統合的に提供する企業として位置づけられています。印刷事業に加え、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)、マーケティングサービス、サプライチェーン支援などへ事業を拡大しており、世界約30カ国で展開しています。近年はブランド向けの統合マーケティング・パッケージソリューションに注力し、印刷を核としたエンドツーエンドのサービス提供を強化しています。
過去には金融向けアウトソース大手の OfficeTiger、DMサービスの Banta、開示資料管理システムの Edgar Online、電子出版の Courier などを買収し、金融情報サービスや出版・DM分野での事業基盤を拡大しました。その後、2015年に金融向けサービス事業を Donnelley Financial Solutions、出版・オフィス商品事業を LSC Communications として分社化し、事業ポートフォリオの再編を行っています。
Bertelsmann(ベルテルスマン)
Bertelsmannは、1835年にカール・ベルテルスマン氏によって設立されたドイツに本拠を置くメディアコングロマリットです。RTL Group によるテレビ事業、Penguin Random House による出版事業、BMG による音楽レーベル、Arvato によるBPO・物流、教育事業など、多角的なポートフォリオを持つ未上場企業です。印刷事業は Bertelsmann Printing Group として展開してきましたが、近年はグラビア印刷(Prinovis)の完全撤退など、欧州印刷事業の縮小を進めており、メディア・教育・BPOなどの中核事業への集中を強めています。
2020年にはグルナー・ヤール傘下の Prisma Media をビベンディへ売却するなど、ポートフォリオの再編を継続しており、印刷よりもコンテンツ・サービス事業に軸足を移した経営戦略が特徴です。
