パスタ・スパゲティ業界の世界市場シェアと市場規模についての情報を分析しています。併せて、エブロフーズ、バリラ、De Cecco、日清製粉、ラナ等の世界大手パスタメーカーの動向も掲載します。
市場シェア
パスタメーカー各社の2021年度の売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、後述する業界の市場規模を分母としてパスタ業界の2021年の市場シェアを簡易に試算すると、1位はバリラ・グループ、2位はキャンベルスープ、3位は日清製粉となります。
パスタ業界の世界市場シェアと業界ランキング(2021年)
順位 | 会社名 | 市場シェア |
---|---|---|
1位 | バリラ・グループ | 10.87% |
2位 | キャンベルスープ | 4.93% |
3位 | 日清製粉 | 4.66% |
4位 | ジョバンニラナ | 4.56% |
5位 | エブロ・フーズ | 3.24% |
6位 | デ・チェコ | 2.63% |
7位 | エム・ジアス・ブランコ | 1.54% |
-2.png)
市場規模
当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、パスタ業界の2021年の世界市場規模を223億ドルとして市場シェアを計算しています。参照にしたデータは以下の通りです。
調査会社のアイマークグループによると、2021年の同業界の市場規模は223億ドルです。2027年にかけて年平均2.1%で成長し、同年には257億ドルへと拡大する見込みです。
調査会社のエキスパートマーケットリサーチによると、2020年の同業界の市場規模は138億ドルです。2026年にかけて年平均2.5%で成長し、同年には160億ドルへと拡大する見込みです。
ジオンマーケットリサーチによると2019年の同市場の規模は130億ドルです。2025年にかけて年平均2.9%で成長する見込みです。⇒参照したデータの詳細情報
年 | パスタ業界の推定市場規模 | 成長率見込み |
---|---|---|
2021年 | 223億ドル | 2.1% |
2020年 | 138億ドル | 2.5% |
2019年 | 130億ドル | 2.9% |
プロのためのパスタ事典
パスタの歴史
パスタと麵の歴史
食品飲料業界の世界市場シェアの分析
食品業界で投資ファンドがエグジットをする可能性がある会社の分析
世界の主要パスタメーカーの動向
Ebro Foods(エブロフーズ)
スペインに本拠を置くパスタ等の食品大手です。精米の分野にも強みを持ちます。北米ではNew World Pastaで事業を展開しています。元々は乳製品のPulevaと製糖会社のEbro Agricolasが合併して誕生しましたが、乳製品事業と製糖事業は売却され現在の形となりました。2021年にプライベートエクイティのCVCへのPanzaniのドライパスタ、クスクス、ソース、セモリナ事業の売却を発表しました。
Barilla Group(バリラ・グループ)
イタリアに本拠のパスタ大手です。バリラ家によって保有される非公開会社であり、Mulino、Bianco、Paresi等のブランドで展開しています。ドライパスタや加熱・調理済みパスタにも強みを持ちます。

出所:同社
De Cecco(ディ・チェコ)
イタリアに本拠を置く、1886年創業の老舗パスタメーカーです。パスタの低温長時間乾燥製法を開発した会社としても知られ、DeCeccoブランドで世界展開しています。
Giovanni Rana(ジョバンニラナ)
イタリアで創業したパスタメーカー。生パスタに強く、アメリカではレストラン展開もしています。
M Dias Branco(エム・ジアス・ブランコ)
ブラジルの大手食品メーカーです。パスタをはじめ、ビスケットやスナックなどを多彩なブランドで展開しています。
日清製粉
日本を代表する小麦製粉会社です。小麦を利用した食品も展開しています。ディ・チェコの日本での販売に加え、日清フーズがマ・マーブランドや青の洞窟といったオリジナルブランドのパスタ・パスタソースを展開しています。
Nestle(ネスレ)
ネスレは、1866年に薬剤師のアンリ・ネスレ氏によって設立されたスイスに本拠を置く世界最大級の総合食品・飲料メーカーです。食品ではパスタのブイトーニやコンソメのマギー等、飲料ではネスカフェやミロ、乳製品、菓子類ではKitKatやCrunch等のチョコレートのブランドにて世界展開しています。2018年以降、アクティビストファンドであるサードポイントからの要請で、事業ポートフォリオの再構築を急いでいます。2019年には、投資ファンドのEQTパートナーズ、アブダビ投資庁およびPSPインベストメントに、同社のスキンヘルスケア事業を売却しました。スキンヘルスケア事業は、Proactive(プロアクティブ)やCetaphil(セタフィル)などのにきび防止用の洗顔料、保湿剤などのスキンケア用品などを展開しています。2021年にはKKRから栄養補助食品大手ザ・バウンティフル・カンパニーの主要ブランドであるネイチャーズバウンティ、ソルガー、オステオバイフレックスを買収しました。さらに詳しく
Mars(マース)
Mars(マース)は米国に本拠を置く大手菓子メーカーです。マース家が所有する非公開会社です。Marsの読みは「マーズ」ではなく、「マース」です。2008年に買収したガムメーカーのWM Wrigley Jr(ウィリアム・リグレー・ジュニア)のブランド、Snickers(スニッカーズ)やM&M'sといったチョコレート菓子に強みを持っています。2014年にP&Gからペットフード事業を買収し、事業の多角化を推進しています。Pedigree、ROYAL CANIN等の有力ブランドを有しています。
Makfa(マクファ)
ロシアに本拠を置く小麦粉・パスタメーカーです。そばの実を日本で展開しています。
Molinos Rio Dela Plata(モリノス・デラ・ラプラタ)
アルゼンチンに本拠を置く大手食品メーカーです。ひまわり油、マーガリン、小麦粉にも強みを持ちます。パスタはDelverde(デルヴェルデ)ブランドで展開しています。
Campbell Soup(キャンベルスープ)
Campbell Soup(キャンベルスープ)は、1869年に設立された加工食品メーカーです。社名のキャンベルの濃縮スープやV8ブランドの野菜ジュースといった強力なブランドを擁しています。オーストラリアのビスケット最大手アーノッツ・ビスケットを売却し、スープ、飲料、スナックなどの分野に経営資源を集中させています。さらに詳しく

赤い色がトレードマークのキャンベル(2022年7月撮影 by ディールラボ)
Cargill(カーギル)
カーギルは、米国に本拠を置く1865年の食糧関連以外にも金融や製造業を営むコングロマリット企業です。穀物メジャー筆頭格でもあり、肥料、食肉、製塩、ココア等の分野でも圧倒的存在感を示します。売上高は食品業界最大級の10兆円を優に超える規模ではあるものの、カーギル家とマクミラン家が所有する非公開会社です。
- 穀物取引事業:
大豆や小麦等の集荷・輸送・販売を行う穀物取引分野では世界市場シェアは最大級の規模です。穀物メジャーと言われるADM、ブンゲ(バンジ)、ルイドレフュスとともにABCDの一角を担っています。 - 製塩事業:
工業用の塩を製造販売しています。道路向けの凍結防止塩も手掛けています。製塩業界の世界シェアではK+Sや中国国家塩産業とともに世界トップ3の一角です。 - 飼料事業:
EWOSブランドで養殖向け飼料、Purina、Nutrena、Provimiで動物向け飼料を手掛けています。飼料業界の世界シェアでは、タイのチャロンポカパンや中国の新希望集団と上位の座を競っています。 - カカオ・ココア事業:
カカオの集荷、加工、ココアパウダー、チョコレートバターの販売までを手掛けています。カカオ・ココア業界の世界シェアでは、スイスのバリーカレボーやシンガポールのオラムインターナショナルと並ぶ業界最大手の一角です。 - パーム油・製油事業:
パーム油を含む油種の加工・販売を行っています。パーム油・製油業界の世界シェアでは、パーム油大手のウィルマ―インターナショナル、ADM、ブンゲ(バンジ)等と世界首位の座を競っています。 - その他、カーギルはパスタソース(Pomarolaブランドを展開)、食肉分野、木綿取引、スターチ等の食品成分の分野でも事業を展開しています。
KraftHeinz(クラフトハインツ)
Kraft Heinz(クラフトハインツ)は、旧クラフトフーズの北米事業を引き継いだ会社です。北米に特化しています。クラフトチーズ、冷凍食品や飲料等を展開しています。2015年にバフェット氏率いるパークシャー・ハサウェイや投資ファンド傘下のトマトケチャップ等で有名な食品メーカーHeinz(ハインツ)と経営統合しクラフトハインツが誕生しました。パスタソースはClassicoを軸に展開しています。事業構成としては、調味料・ソース事業、チーズ・乳製品事業、常温保存食事業、肉・魚食品、冷蔵・冷凍食品に分かれます。2021年にナッツ事業をHormel Foodsへ売却しました。さらに詳しく
-300x249.png)
ハインツのトマトケチャップ(2022年7月撮影 by ディールラボ)
ミツカン
2014年にユニリーバからバスタソースブランドの「ラグー(RAGÚ)」と「ベルトーリ(BERTOLLI)」を買収しました。
参照したデータの詳細情報について