電気・ガス・水道メーター業界の世界市場シェアの分析

スマートメーターや電気・ガス・水道メーター業界の世界市場シェアや市場規模の情報について分析をしています。アイトロン、ランディス・ギア、ハネウェル(エルスター)等世界大手のメーター会社の動向を掲載しています。

メーター業界の世界市場シェア

最新業界別売上高世界ランキング第7巻」に記載のメーター製造会社各社の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2019年の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はアイトロン、2位はハネウェル、3位はランディス・ギアとなります。

1位 アイトロン 15%
2位 ハネウェル 10%
3位 ランディス・ギア 9%
4位 ザイレム 8%
5位 アズビル 2%
6位 エルスウェディ・エレクトリック 1.2%
7位 寧波水道メーター 1.1%

市場規模

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、メーター業界の2019年の世界市場規模を179億ドルとして市場シェアを計算しております。参考したデータは以下の通りです。
調査会社のインダストリエーアールシーによると、2018年の水道メーター業界の市場規模は45億ドルです。また調査会社のアイマークグループによると、2018年のガスメーター業界の規模は34億ドルです。グランドビューリサーチによれば、2019年のスマート電気メーターの市場規模は100億ドルです。

1985年 ドイツのルールガスがElster Meterを買収
1988年 ルールガスが米国のAmerican Meter Companyを買収
1990年 スイスのABBがウェスティンハウス電気メーター事業を買収
2002年 ルールガスがABBからメーター事業を買収
2003年 ドイツのE.ONがルールガスを買収(2005年にElsterを設立)
2004年 豪州の投資ファンドのBayardがランディスギアをKKRとシーメンスから買収
2004年 Itronが仏・米の油田サービス大手のシュルンベルジェのメーター事業を買収
2005年 E.ONからエルスターを投資ファンドが買収
2006年 Bayardが米国のハントテクノロジーとフィンランドのエネルメットを買収
2007年 ItronがACTARISを買収
2011年 東芝とINCJがランディスギアを買収
2012年 投資ファンドがE.ONからElsterを買収
2015年 ハネウェルがElsterを買収
2016年 ザイレムによるセンサス買収

世界の主要メーター会社の動向

Itron(アイトロン)
米国に本拠を置く世界最大級のメーター会社です。米国ナスダック市場に上場しております。2007年に同業のActaris(アクタリス)を買収しております。

Landis+Gyr(ランディス・ギア)
スイスに本拠を置く世界大手のメーター会社です。2011年に東芝と産業革新機構が買収しましたが、その後上場しております。

Elster(エルスター)
ドイツのメーター会社です。英国の上場投資会社Melrose(メルロース)社から2015年に米国のハネウェル(Honewell)社が買収し、現在は同社傘下となっております。

ハネウェルによるエルスター買収のハイライト
  • 2015年に宇宙・防衛大手の複合企業である米ハネウェルが、投資ファンドのMelrose社より、ガス・水道・電気メーター大手のElster(エルスター)社を買収しました。
  • 買収総額は33億ポンドです。当時のエルスターの売上高は約11億ポンドであるため、売上高・企業価値倍率は約3倍でした。
  • ハネウェルはエネルギーの効率化事業を強化しており、スマートメーター事業に強いエルスターを買収することで、更なる相乗効果を生み出すことができると判断しました。
  • エルスター経営陣としても、スマートグリッドの進展とともに今後更なる成長が見込まれるスマートメーター事業に十分な経営資源を投入できるハネウェルが魅力的な買収先と判断した模様です。
  • 投資ファンドのMelrose社は2012年に18億ポンドでエルスターを買収しています。

ハネウェル社について

ハネウェル(Honeywell)は1886年に設立された米国に本拠を置く複合企業です。航空機エンジンや電子制御機器、自動化機器、特殊素材分野、自動車部品等幅広く展開しています。ビルディング・オートメーションやターボチャージャーの分野では世界大手の1社です。2017年にターボチャージャー事業と住宅向け空調機器、火災報知器事業を分社化しました。

ハネウェル社の事業構成は、大きく1999年に経営統合をしたアライドシグナル社を受け継ぐエアロスペース、オートメーション&コントロール・ソリューションズ、高機能素材(パフォーマンスマテリアルズ)、セーフティ&プロダクティビティソリューションの4部門に分かれます。エアロスペース部門の中の輸送機器部門(トランスポーテーション)で、直近約30億ドルの売上のあるターボチャージャー事業と、オートメーション&コントロール・ソリューションズ部門に属し約45億ドルの売上のある住宅向け部門を分社化しました。オートメーション事業部門は、今後商業やオフィースビル向けに特化することになります。
両事業売却後のハネウェル社の売上構成は以下の通りとなります。

分社化後の売上構成

分社化後の売上構成 出所:同社アニュアルレポート

エアロスペース部門:
航空機エンジンの分野ではGEやロールスロイスと並び世界大手の一角となっています。民間航空機、軍用航空機、軍用輸送機、ヘリコプター、ミサイル、戦車向けのナビゲーションやディスプレイ等の各種製品を幅広く展開しています。

オートメーション&コントロール・ソリューションズ:
ビルディング・オートメーション業界の世界シェアではシーメンスやジョンソンコントロールズを抑えて世界最大級の規模を誇ります。スイッチやセンサー、テスト、測定機器等も製造しています。倉庫内オートメーション業界(マテハン業界)では、Intelligrated(インテリグレイテッド)を買収して参入しました。

高機能素材部門:
ユーリッド (JURID)とベンデックス(Bendix)ブランドのブレーキパッド、温度調整装置のサーモスタット、温度センサー、湿度センサー、温度プローブ、スピードセンサー、半導体磁気抵抗(MR)センサ 、電流センサー、監視カメラ、カーエアコン用等の冷媒、溶媒、エアゾール用噴射剤、発泡剤、バリアフィルム、サーマル・インターフェース材料、スペクトラ繊維等を手掛けています。センサー分野では、2015年にElster(エルスター)を買収しスマートメーターを強化しております。

ターボチャージャー事業
分社化対象となった、ターボチャージャー事業は、1999年に買収したAlliedSignal(アライドシグナル)のGarrett (ギャレット)ブランドを世界展開しており、ターボチャージャー事業の世界シェアは世界1位となっています。主に自動車や船舶向けのエンジンで使われていますが、今後の輸送機の動力の脱石化への変化(ガソリン・ディーゼルからより、クリーンな電気や水素などの燃料へ)といった需要減を見込んでの、分社化の決定と思われます。

住宅向け火災報知器や温度調整事業
ハネウェルの火災報知器事業は、こちらも世界シェア1位となっています。火災報知器の分野では2016年に投資ファンドのPEPから、アイルランドに本拠を置くXtralisを買収しています。サーモスタット事業は、ハネウェルの祖業の事業であり、ハネウェルのサーキュレイター(扇風機)とともに、一般の消費者には馴染みのあるブランドとなっています。また、あわせて、上記の商品のディストリビューション事業(ADI)も分社化をします。

分社化の背景
事業が赤字になったから、分社化をするという追い込まれた形の分社化ではなく、同社のプレスリリースにunlocking significant valuesとあるように、両事業の潜在的な価値を最大化するという観点での組織再編のようです。確かに、同社のポートフォリオは、航空機エンジンから扇風機やサーモスタットまで、多岐にわたり、今回分社化する事業も、世界シェア1位の事業が含まれていて、潜在的な価値が埋もれている(コングロマリット・ディスカウント)の状態なのかもしれません。
一方で、ハネウェルの最大の強みである、航空機部品の分野では、最大のライバルであるレイセオンテクノロジーズ(旧ユナイテッドテクノロジーズ)が離着陸システムや航空機通信システムに強みを持つロックウェルコリンズを買収して、航空機部品メーカーとしての規模を拡大し、エアバスやボーイングとの価格競争力を高めようとしています。一方で、エアバスやボーイングも、新規に発注される航空機のダウンサイジングの影響を受け、航空機エンジンのアフターサービスに参入して、今までは航空機備品メーカーの金城湯地であった航空機の保守、修理、メンテナンスの分野でハネウェルやレイセオンテクノロジーズとの競合を始めています。ハネウェルとしては、分社化を経て同分野へのさらなる経営資源の集中を図ることになると思われます。
最後に、アクティビストファンドの代表格であるダン・ローブ氏率いるサードポイントがハネウェルの大株主となっていることも見逃せません。分社化・再編の背景には、株主からの圧力もあったものと推察されます。

Xylem(ザイレム)
米国に本拠をおくポンプやフィルター等を提供する総合水処理会社です。2011年にITTコーポレーションより分社化して誕生しました。2016年に米国に本拠を置き、ガス・水道メーターに強みを持つSensus(センサス)を買収しました。

Zenner(ツェナー)
ドイツに本拠を置くメーター会社です。スマートメーターに強みを持ちます。非公開会社です。

Elsewedy Electric(エルスウェディ・エレクトリック)
エジプトに本拠を置く大手電線・ケーブルやメーター会社です。1938年にエルスウェディ氏によって設立され、メーター事業は欧州のIskra社を買収し拡大しております。

Ningbo Water Meter(寧波水道メーター)
中国の大手メーター会社です。水道メーターに強みを持ちます。

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