超硬工具業界の世界市場シェアの分析

超硬工具業界の世界シェアと市場規模について分析をしています。サンドヴィック、IMCインターナショナル、ケナメタル、三菱マテリアルといった超硬工具メーカーの動向も掲載しています。

世界市場シェア

超硬工具各社の2020年度の売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2020年の超硬工具業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はサンドヴィック、2位はIMCインターナショナル、3位はケナメタルとなります。

超硬工具メーカーの世界シェアと業界ランキング(2020年)

  • 1位 サンドヴィック 34.5%
  • 2位 IMCインターナショナル 34.1%
  • 3位 ケナメタル 10.2%
  • 4位 三菱マテリアル 9.9%
  • 5位 住友電工 7.0%
  • 6位 不二越 2.2%

超硬工具業界の市場シェア(2020年)
超硬工具業界の市場シェア(2020年)

世界1位はスウェーデンのサンドビック社です。2位はバフェット氏率いるバークシャーハサウェイの傘下会社であるIMCインターナショナルです。3位は米国の上場切削工具会社であるケナメタルです。4位は日本の三菱マテリアルとなっております。

市場規模

当データベースでは113億ドルを2020年の切削工具業界の市場規模(世界)としております。参照した各種統計データは次の通りです。調査会社のアライドマーケットリサーチによると、2020年の同業界の市場規模は113億ドルです。2030年には183.7億ドルへ成長し、その間の年平均成長率は4.9%を見込みます。三菱マテリアルによれば、2019年の同市場規模は1兆5千億円(136億ドル)です。2025年には1兆9千億円への拡大を見込みます。調査会社のインダストリーアークによれば、2019年のカッティングツール業界の市場規模は344億ドルです。2019年から2025年に年平均3.25%での成長を見込みます。調査会社のジオンマーケットリサーチによれば、2026年のカーバイド工具の市場規模は109億ドルと見込まれています。⇒参照したデータの詳細情報

超硬工具の市場規模成長率見込み
2020年113億ドル4.9%
2019年136億ドルn/a
超硬工具の推定市場規模の推移
©業界再編の動向

業界のM&A

1998年 イスカルが韓国タングステン(現TaeguTec)を買収
2000年 イスカルによるIngersoll Cutting Toolsのインガーソルランドからの買収
2004年 東芝タンガロイがMBOを実施し、タンガロイへ
2006年 バークシャーハサウェイ社によるIMC Group(イスカルの持株会社)の買収
2008年 オランダの超硬工具メーカーIMCがタンガロイを買収
2011年 京セラがデンマークの超硬工具メーカーであるユニメルコを買収
2014年 三菱マテリアルによる日立金属の超硬工具事業を買収
2016年 京セラによる米超硬工具メーカーのSGSツールカンパニーの買収

超硬工具とは

コバルト(Co)等の鉄系金属と炭化タングステン(WC)等の炭化物を化合して作成した、高強度を保つ超硬合金(Hard metals)を用いた、フライス等の切削工具の総称です。

合金の一般的な化合工程は炭化→混合→プレス→焼結というプロセスをたどり、化合する材質によって硬さ(耐摩擦性)と粘り(靱性)に違いが生まれます。例えば、ダイヤモンドの焼結化合して作るダイヤモンド焼結体やセラミックスは、超硬合金よりは硬さに優れますが、もろさ(粘り、靱性)では劣ります。また、一般的な合金(超硬でない)はその逆となります。キャベツの千切りと魚をさばくときの包丁を変えるように、超硬合金は、超硬工具を利用して加工する対象の硬さ等の性質(鉄鋼、ステンレス、アルミニウム、チタン等)によって使い分ける必要があります。例えば、ダイヤモンド焼結体は、切削温度が700度を超えない切削条件下では最硬の切削工具ですが、靱性は最も弱い部類に入ります。

CBN焼結体はセラミックスよりさらに硬度を強めた工具です。700度から1200度においてはダイヤモンド焼結体よりも高い安定性を保ちます。

セラミックスは、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、ジルコニア等の成分があります。一般的に、超硬工具に比べた場合、硬度は強いですが、靱性は弱くなっています。​サーメットは、チタンベースの超硬合金で、タングステンベースの超硬合金よりも強い硬度を保ちます。超硬合金は、炭化タングステンとコバルトを焼結させて製造します。合金は、硬度で劣るものの、靱性では優れています。

超硬工具の材質
超硬工具の材質
©業界再編の動向

世界の主要超硬工具・タングステンメーカーの動向

Sandvik(サンドヴィック)

スウェーデンに本拠を置く超硬工具メーカー大手です。スウェーデン鋼を用いて切削工具や特殊鋼や耐熱合金等を展開しています。

IMCインターナショナルメタルワーキング

オランダに本拠を置く超硬工具メーカーです。ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャーハサウェイ社傘下にあります。イスラエルのISCAR(イスカル)社を中心に、ドイツのインガソル社、韓国のTaegutec(テグテック)社、東芝から独立した日本のタンガロイ(旧東芝タンガロイ)等によってグループが構成されています。フライス工具、グリップ工具、旋削/ねじ切り工具、ドリル工具、ツーリングが主要製品で、ISCAR、TaeguTec、Ingersoll、Tungaloy、Unitac、UOP、It.te.di、Qutiltec、Tool-Flo、PCT、IMCOといったブランドで展開しています。

バークシャーハサウェイとは

バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)は、オマハの賢人ウォーレン・バフェット氏率いるコングロマリットです。元々は1888年に設立された綿紡績業の会社でした。1960年代にウォーレン・バフェット氏が支配権を獲得、現在は保険(GEICO)・再保険事業(ジェネラル・リー )、鉄道、ガス電力、各種製造業等を幅広く展開しています。同社の株式は、ウォーレン・バフェット氏が議決権の30%程度を保有しています。さらに詳しく

Kennametal(ケナメタル)

アメリカに本拠を置く大手超硬工具メーカーです。ニューヨーク証券取引所に上場しています。

三菱マテリアル

三菱マテリアルは、1871年の九十九商会の炭鉱事業を源流とする三菱グループの中核を担う非鉄金属メーカーです。1990年に三菱金属と三菱鉱業セメントが経営統合し誕生しました。銅開発、セメント、超硬工具、伸銅事業が現在の主力となっております。業歴が長く多くの事業に関わってきており、事業の分社化によって誕生した会社には、シリコンウエハ大手のSUMCO、製缶大手のユニバーサル製缶等があります。超硬分野では、2014年に日立工具を買収し、事業の拡大を図っております。さらに詳しく...

住友電工

住友電工は、1897年に設立された前身の住友伸銅場を引き継ぐ日本の大手電線、ケーブル及び自動車部品メーカーです。創業より電力用ケーブルや通信用ケーブルを手掛けています。ワイヤーハーネスや光ファイバーの分野でも世界大手です。2001年日立電線(日立金属)と電力用ケーブルのジェイ・パワーシステムズを設立し、その後2014年に住友電気工業が完全子会社化しています。光ケーブルは同社の横浜製作所が主力工場です。さらに詳しく

不二越

商標は那智(ナチ)です。ベアリング、切削工具系の工作機械でも有名です。産業用ロボットの分野では溶接系や搬送系のロボットに強みがあります。

京セラ

日本を代表するセラミックメーカーです。セラミックにおける焼結技術を活用するべく、工具の分野では、2011年にデンマークの超硬工具メーカーのユニメルコ、2016年に米超硬工具メーカーのSGSツールカンパニーを買収しています。電動工具でも2017年に住宅向けくぎ打ち機大手の米SENCOホールディングスを買収して事業を拡大しています。複写機分野も手がけ三田工業を買収しドキュメントソリューションを強化しています。太陽光のモジュールも展開しています。

参照したデータの詳細情報について


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