臨床検査会社の世界市場シェアの分析

臨床検査業界の世界市場シェア、市場規模、業界ランキングを分析しています。臨床検査会社の主要企業である、LabCorp(ラボコープ)、Sonic Healthcare (ソニック・ヘルスケア)、Quest Diagnistics(クエスト・ダイアグノスティクス)、Synlab(シンラボ)、H.U.グループなどの概要や動向も記載しています。

臨床検査業界の世界シェア

臨床検査会社の入手可能な最新の売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、後述する市場規模を分母にして、臨床検査業界の2020年の市場シェアを簡易に計算すると、世界1位はクエスト・ダイアグノスティクス、2位はラボコープ、3位はソニック・ヘルスケアとなります。

臨床検査会社の世界シェアと業界ランキング(2020年)

  • No1 クエスト・ダイアグノスティクス 4.7%
  • No2 ラボコープ 4.6%
  • No3 ソニック・ヘルスケア 2.7%
  • No4 シンラボ 1.6%
  • No5 H.U.グループ 0.64%
  • No6 ビーエムエル 0.62%
  • No7 ユニラボズ 0.6%
  • No7 セルバ・ヘルスケア 0.6%
  • No9 LSIメディエンス 0.4%
  • No10 ミリアド・ジェネティク 0.3%

臨床検査会社のグローバルマーケットシェア(2020年)
臨床検査会社のグローバルマーケットシェア(2020年)

最大手のクエスト・ダイアグノスティクスでも市場シェアは5%弱とフラグメンテッド(分散化された)市場です。また、多くの病院が臨床検査を内包しており、臨床検査会社が規模を拡大しにくい市場構造となっているのが特徴です。市場シェア1位、2位は米国を中心にサービスを行なっており、2位のラボコープはCRO事業を強化するなど非臨床検査分野を強化しています。3位は豪州のソニック・ヘルスケアで、豪州以外の英語圏で事業を展開していることが特徴です。4位と7位は、欧州のシンラボとユニラボズです。投資ファンド傘下で展開地域の拡大による成長を目指しています。5位、6位には日本の臨床検査大手であるH.U.グループ(旧みらかグループ)とビーエムエルが入っています。

市場規模

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、臨床検査業界の2020年の世界市場規模を2000億ドルとして市場シェアを計算しております。参考したデータは以下の通りです。LabCorp社が公表したインベスター&アナリストデイ2018によれば2017年の臨床検査市場の規模は2000億ドルです。2019年1月の同社のヘルスケアコンファレンスの資料によれば2018年の受託検査市場は米国が約800億ドル、米国外が1000億ドルとなっています。⇒参照したデータの詳細情報

市場規模成長率
2018年1800億ドルマイナス10%
2017年2000億ドル
臨床検査業界の推定市場規模の推移
©業界再編の動向

臨床検査とは

臨床検査とは、医師が患者の状態を診察や治療の方針を定める前に行う検査です。検体検査と生理機能検査に大きく分かれており、前者は患者の血液や臓器などの一部を採取して行う検査、後者は心臓などの電気的な検査や画像による検査です。

【臨床検査のビジネスフロー】

  1. 医師は診断や治療のために患者に臨床検査を指示
  2. 患者から検体を採取
  3. 臨床検査のラボ(臨床検査会社)へ検体を搬送
  4. 検体情報の管理
  5. ラボでの検体検査
  6. 病理医による検査結果の診断&報告
  7. 患者への結果報告

業界の再編事例

投資ファンドが臨床検査会社を買収するケースが増えています。

2021年 Quest DiagnosticsがQ2 SolutionsをIQVIA Holdingsへ売却
2019年 Sonic HealthcareがAurora Diagnosticsを買収
2016年 APAXがユニラボを買収
2015年 シンベンがシンラボを買収

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臨床検査大手の動向

Quest Diagnistics(クエスト・ダイアグノスティクス)

クエスト・ダイアグノスティは米国に本拠を置く世界最大級の臨床検査会社です。ラボコープと競っています。米国以外では、英国、メキシコ、ブラジルなどで事業を展開しています。創業は1967年。途中、ガラス製造大手のコーニング傘下となるも、1996年に分社化により独立を果たしました。ニューヨーク証券取引所に上場しています。同社の推定では、同社がサービスを提供している患者様は、年間では米国の成人人口の約3分の1を占め、米国内の医師の約半数、病院の約半数にサービスを提供しています。また、新型コロナウィルス検査では、免疫反応の検出を支援するために、分子診断および抗体血清検査を2020年に3,000万件以上実施しました。

LabCorp(ラボコープ)

ラボコープは米国に本拠を置く世界最大級の臨床検査会社です。1978年にRoche BioMedicalとして設立され、1995年にNational Health Laboratoryと経営統合をし、現社名となりました。生化学的検査、血液・一般学的検査、病理学的検査、遺伝子診断等を手掛けています。米国以外にも、中国、日本、英国、シンガポール等で事業を展開しています。2015年に医薬品開発業務受託機関(CRO)大手「コーヴァンス」、2019年に英CRO大手「エンヴィーゴ」の非臨床事業を買収しています。2020年は新型コロナウィルスのPCR検査を開始した米国初の検査機関となりました。

Sonic Healthcare(ソニック・ヘルスケア)

ソニック・ヘルスケアは豪州に本拠を置く臨床検査会社です。オーストラリア、英国、ニュージランド、米国、ドイツ、スイス、ベルギーなどの国で事業を展開しています。豪州では画像診断やプライマリーケアサービスも提供しています。年間1億1,500万人以上の患者の検査を行っています。

Synlab(シンラボ)

シンラボはドイツの本拠を置く臨床検査会社です。フランス、イタリア、スイス等の欧州域内に加え南米、中東、アフリカにも進出をしています。投資ファンドのCinvenが主導する形で、2015年にフランスのLabcoと経営統合を行いました。環境試験事業も展開しています。2021年に上場をしました。

Unilabs(ユニラボズ)

ユニラボズは1987年に設立されたスイスに本拠を置く臨床検査会社です。2007年に同業のCapioと経営統合を果たし、現在はフランス、スウェーデン、ポルトガル、チェコなどの欧州諸国に加え、中東などでも事業を展開しています。画像診断も展開しています。投資ファンドのApaxパートナーズが保有しています。

H.U.グループホールディングス

みらかグループが2021年に社名変更をしました。同社は日本に本拠を置き、受託臨床検査、検査試薬を中心とした事業を展開しています。臨床検査は子会社のSRL(エスアールエル)を中心に展開しています。ビーエムエル(BML)、パナソニックヘルスケアホールディングス(PHCホールディングス)傘下のLSIメディエンスが日本の臨床検査のビッグ3です。検査試薬は富士レビオが中心となっています。

ビーエムエル(BML)

1955年に設立された臨床検査会社です。生化学検査や微生物検査に強みを持ちます。電子カルテや環境検査、食品衛生検査なども手掛けます。

Cerba Healthcare(セルバ・ヘルスケア)

フランスに本拠を置く臨床検査会社です。1967年に設立されました。2017年に投資ファンドのPartners Group等に買収されました。

LSIメディエンス

日本の臨床検査会社です。パナソニックのヘルスケア事業が分社化独立して誕生したPHCホールディングスのグループ会社です。PHCホールディングスは血糖値測定システム、超低温フリーザー、医事コンピューターといった領域に強みを持つ会社です。KKR、三井物産が出資しています。

Myriad Genetics(ミリアド・ジェネティク)

Myriad Genetics(ミリアド・ジェネティク)は1992年に設立された米国に本拠を置く分子診断専門ラボです。重要な疾患遺伝子、それらが産生するタンパク質、およびそれらが関与する生物学的経路について、検査を通じて特定する診断サービスに強みがあります。

上記の他にも、結腸直腸癌検査に強みを持つExact Sciences(エグザクト・サイエンズ)、前立腺がんの血液検査に強みを持つOPKO Health(オプコヘルス)、がんの遺伝子診断検査のNeoGenomics Laboratories(ネオジェノミクス・ラボラトリーズ)が大手臨床検査会社です。

Fleury S.A.(フルーリー)

Fleury S.A.(フルーリー)は、主に医療検査サービスの提供を行うブラジルを本拠とする会社です。医療診断を提供する「患者サービスセンター(PSC)」、提携病院の臨床分析と画像診断のほか、ブラジル中の研究所、病院、診療所の検査を担当する「企業間取引(B2B)」、歯科診断画像を提供する「歯科診断」の3つのビジネスラインに分かれます。アドベントインターナショナルが2015年に出資しました。

業界動向のラップアップ

おさらい

  • 市場規模は2000億ドル程度です。
  • クエスト・ダイアグノスティクスラボコープ、ソニックヘルスケアなどが大手企業として有名です。
  • 上位3社の市場シェアは10%程度で、地域ごとに大手臨床会社が群雄割拠している状態です。
  • プライベートエクイティが、買収を通じて地域をまたいだ臨床検査会社プラットフォーム構築目指しています。
  • 臨床で得られたデータの活用の一環で、Bioclinica社とERT社の経営統合のように、データ処理会社との統合による臨床テックの勃興も今後予想されます。

参照したデータの詳細情報について


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