レンタカー業界の世界市場シェアの分析

レンタカー業界の世界市場シェア、ランキング、市場規模について分析をしています。ハーツ、エイビス、ジクスト、エンタープライズホールディングス、ヨーロッパカー等世界の大手レンタカー会社の動向も掲載しています。

【市場シェア】

2020年度のレンタカー各社の売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、後述する市場規模を分母にして、レンタカー業界の2020年の市場シェアを計算すると以下の通りとなります。1位はエンタープライズホールディングス、2位はエイビス・バジェット・グループ、3位はハーツです。

  • 1位 エンタープライズホールディングス 38.59%
  • 2位 エイビス・バジェット・グループ 9.26%
  • 3位 ハーツ 9.09%
  • 4位 ヨーロッパカーモビリティグループ 3.70%
  • 5位 ロカリザレンタカー 3.18%
  • 6位 ジクスト 3.09%
  • 7位 チャイナオートレンタル 1.57%

上位3社は不動の御三家です。御三家の中でも、アラモ、ナショナル、エンタープライズのブランドで世界展開をするエンタープライズホールディングスが2位、3位のエイビス・バジェット・グループやハーツの約3倍の規模を誇っています。ハーツはフォードモーターから分社化・上場を果たし勢いがありましたが、2020年にコロナ禍の影響もありチャプター11(法的整理)を申請しております。事業への影響もあり僅差で3位となっています。4位はフランスのヨーロッパカーモビリティグループです。2021年7月にVWが買収を発表しました。5位はブラジルのロカリザレンタカーです。6位はドイツのジクストで、7位には中国最大手のチャイナオートレンタルが入りました。ハーツと提携をしております。

日本の最大手であるトヨタレンタルリースは、地域フランチャイズ制を採用しており、売上高は非開示となっております。一方で、保有台数が約12万台であり、2020年度の保有台数ランキングでは以下の順位となります。

1位 エンタープライズホールディングス(Enterprise Holdings) 170 万台
2位 ハーツ 54 万台
3位 エイビス・バジェット・グループ 53 万台
4位 ロカリザレンタカー 29 万台
5位 ヨーロッパカーモビリティグループ 25 万台
6位 ジクスト 20 万台
7位 トヨタレンタリース 12 万台
8位 チャイナオートレンタル 11 万台
©各社ホームページよりディールラボ作成

【市場規模】

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、レンタカー業界の2020年の世界市場規模を583億ドルとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。調査会社のフォーチュンビジネスインサイツによると、2020年の同市場規模は583億ドルです。2027年に向けて6.7%の成長を見込みます。また同調査会社によると、2019年の市場規模は858億ドルです。P&Sインテリジェンスによれば2018年のレンタカー業界の売上高は787億ドルとなっております。近年、シェアリング・エコノミーの進展に伴い、レンタカーの近接領域として、カーシェアリング、相乗りサービス、自動送迎サービス等が急速に発展しています。ヨーロッパ市場においては、2025年にかけて、伝統的なレンタカーの市場は大きく成長しないものの、カーシェアリングや相乗りサービスの市場が急拡大すると予想されています。⇒参照したデータの詳細情報

市場規模
(億ドル)
前年成長率
2020 583 -32.05%
2019 858 9.02%
2018 787 n/a
レンタカー業界の市場規模推移©ディールラボ

(出所:ヨーロッパカー)

ビジネスモデル

レンタカーのビジネスモデルは、自動車メーカーからの車両の調達、旅行代理店や自社サイトを通じての顧客へのレンタカーの貸し出しに大きく分かれます。人気車種の調達、実際の貸し出しを行う営業所の場所、価格等によって、車両の調達力及び売却タイミング、といった要素で、競争戦略が決まります。特に車種は、高級車(ラグジュアリー)、中高級車、エコノミーカー、SUV、バン、軽自動車等用途に応じて幅広い車種をそろえる必要があります。

さらに詳しく業界を理解するためのお薦め書籍

モビリティー進化論
MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ MaaSシリーズ

【会社の概要】

エンタープライズホールディングス(Enterprise Holdings)

1957年にJack Taylor (ジャック・テイラー)によって設立された米国に本拠を置く世界最大級のレンタカー会社です。現在もテイラー一族が所有する非公開会社です。2007 年に買収したNational (ナショナル)、Alamo(アラモ)と併せてEnterprise(エンタープライズ)等のブランドでレンタカーを世界展開しています。

ハーツ(Hertz)

米国に本拠を置くレンタカー世界大手です。ハーツブランドにてレンタカー事業を世界展開しています。米国の自動車大手であるフォード・モーターの傘下を経て、ニューヨーク証券取引所に上場しましたが、2020年5月22日にコロナウィルス禍によりチャプター11を申請しました。今後の業界再編の要と目されています。2021年に投資ファンドのCenterbridge Partners、Warburg Pincus、Dundon Capital Partnersがスポンサーになりました。引続き業界再編の要となります。

エイビス・バジェット・グループ(Avis Budget Group)

米国に本拠を置くレンタカーの世界大手です。元々は米コングロマリットのCendant社のグループ会社でしたが、破綻後独立しました。現在はナスダック市場に上場しています。2013年にカーシェアリング大手のジップカーを買収しました。

ヨーロッパカー(Europcar)

フランスに本拠を置く欧州を代表するレンタカー大手企業です。自動車大手のルノーやVW、投資ファンドのEurazeo(ユーラゼオ)傘下を経てユーロネクストへ上場しました。2021年にユーラゼオからAnchorage Capital Partnersへと筆頭株主が変更しました。2021年7月にVW(フォルクスワーゲン)が買収しました。

ユーラゼオについて

ユーラゼオは、フランスにルーツを有するラザード家の資産運用事業から発展した投資ファンドです。下図の通りファッションブランドのMoncler(モンクレール)、ホテルチェーン大手のアコーグループや介護施設事業等を展開する企業を傘下に有しています。

(出所:ユーラゼオホームページ)

ジクスト(Sixt)

ドイツに本拠を置く大手レンタカー会社です。欧州に強みを持ちます。

チャイナオートレンタル(神州汽车租赁、CAR)

中国最大手のレンタカー会社です。ハーツと提携をしています。

ロカリザ・レンタカー(Localiza Rent A Car SA)

ブラジル最大手のレンタカー会社です。

日本のレンタカー会社

国内のレンタカー市場は調査機関にもよりますが、おおむね5000億円から7000億円とされます。国内のレンタカーの市場シェアは、保有台数ベースで概ねトヨタレンタリース30~40%、オリックス15~20%、ニッポンレンタカー10~15%、マツダ(タイムズ)レンタカー10~15%、日産レンタカー8~10%、ジャパンレンタカー5~10%と想定されます。日本の最大手のトヨタレンタカーでも、ユーロモニターによれば世界シェアは1~2%程度ですが、トヨタレンタリースの保有車両台数は2020年2月時点で12万6千台なので、車両台数ベースのシェアはもう少し大きいと思われます。

参照したデータの詳細情報について


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