たばこ(タバコ、煙草)業界の世界市場シェアの分析

たばこ(タバコ、煙草)業界の動向について、世界シェア、市場規模、再編といった視点から分析を実施しています。中国タバコ、フィリップモリス、アルトリア、ブリティッシュアメリカンタバコ、JT、インペリアルブランズ等主要なたばこ(タバコ、煙草)メーカー概要や動向も掲載しています。

たばこ(タバコ、煙草)業界の世界市場シェア(2020年)

たばこメーカー各社の2020年度の売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、後述する市場規模を分母にして、2020年のたばこ業界の世界市場シェアを簡易に算出すると、1位は中国国家タバコ専売公社、2位はBAT、3位はフィリップモリスとなります。

  • 1位 中国煙草 19.8%
  • 2位 BAT 4.6%
  • 3位 フィリップモリス 3.5%
  • 4位 アルトリア 2.2%
  • 5位 JT 2.1%
  • 6位 インペリアルブランズ 1.4%
  • 7位 グダンガラム 1.0%
  • 8位 韓国たばこ 0.6%
  • 9位 インドたばこ 0.4%

たばこ会社の世界シェア(2020年)
たばこ会社の世界シェア(2020年)

中国の国営タバコメーカーである中国国家タバコが1位の座を確保しました。中国の12億人を超える人口のタバコを独占的に担う国営会社なので、金額及び数量ベースの規模感で他社を圧倒しています。2位は、英国のブリティッシュアメリカンタバコです。ケント、ロスマンズ、ポールモール等の、世界トップクラスの、複数タバコブランドを抱えます。2017年にレイノルズ・アメリカンを買収し、北米へ進出を加速しています。3位は、米国ブランドなのに米国ではタバコを取り扱えないフィリップモリスインターナショナルが入っています。源流を同じにする4位のアルトリアとの再統合の憶測もされています。仮にアルトリアと経営統合をしても、中国タバコとの差は縮まりません。一方ブランド別の販売本数では、世界1位のマルボロという強力なブランドを有しています。

5位は、JTとなっています。新興国でのたばこ大手を買収する戦略を加速しています。メビウスブランドを育成中です。6位は、英国のインペリアル・ブランズです。

1位 中国国家タバコ専売公社    44%
2位 フィリップモリス    14%
3位 BAT    12%
4位 JT    8.5%
5位 インペリアルブランズ    3.5%

(参考)1998年のたばこ世界シェア

1998年における、タバコ業界の販売本数世界シェアでは、世界1位から3位は、現在と変わらない中国タバコ、フィリップモリス、ブリティッシュアメリカンタバコとなっています。4位は、1999年にJTに国際事業を、2017年にブリティッシュアメリカンタバコに米国事業を、買収されたRJRです。5位は日本たばこです。6位には、ロスマンズが入っています。同社は、1999年にブリティッシュアメリカンタバコと、経営統合をします。7位は、ドイツのタバコメーカーであるレームツマとなっています。同社は2002年にインペリアルタバコに買収をされてしまいます。8位は韓国たばこです。9位にはフランスの誇る国営セイタが入っています。同社は2001年に、10位のスペイン国営のタバカレラと合併し、アルタディスとなるも、2008年にインペリアルタバコに買収されます。11位には、2007年にJTに買収される、イギリスのギャラハーが入っています。現在世界トップファイブの一角であるインペリアルは、当時は12位でした。

1998年のたばこ世界シェア
©業界再編の動向

市場規模

当サイトでは、以下の調査や統計情報も参考に、2020年のたばこ業界の市場規模を8200億ドルとしています。
ブリティッシュアメリカンタバコによると、2019年の同業界の市場規模は8180億ドルです。年間52,000億本以上のたばこが販売されています。調査会社のグランビューリサーチによると、同業界は2028年にかけて1.8%で成長し、2028年までに1兆0738億ドルになると推計しています。タバコフリーキッズによれば、2018年のたばこ業界の市場規模は7137億ドルです。⇒参照したデータの詳細情報
最近はより健康に優しい電子たばこと言われる、葉タバコの代わりにリキッド(液体)を加熱することでニコチンのないたばこフレーバーを味わえるたばこや、加熱式たばこと言われる、葉タバコを加熱しつつも、煙やにおいを発生しないたばこが注目を浴びています。

業界再編

タバコ業界は多くの合従連衡を経て、現在の寡占的な構造になりました。たばこ会社(フィリップモリス、アルトリア、BAT、日本たばこ、インペリアルタバコ他)の買収・合併等の再編の歴史を時系列でまとめると以下の通りとなります。

1985年 R.J. Reynolds Tobaccoとナビスコの経営統合

1999年 BATとロスマンズが経営統合

1999年 JTがRJRナビスコのタバコ事業RJRインターナショナルを買収

2001年 スペインのTabacaleraとフランスのSeitaが経営統合し、Altadisが誕生

2002年 インペリアルタバコがドイツのReemtsmaを買収

2004年 レイノルズ・アメリカンとBATの米国子会社のBrown&Williamsonの経営統合

2007年 JTが英ギャラハーを買収

2008年 インペリアルタバコがAltadisを買収

2008年 アルトリアからフィリップモリスインターナショナルが分社化

2013年 インペリアルタバコによる電子タバコのDragonite Internationalの買収

2014年 レイノルズアメリカンによる米タバコ3位のロリラード買収

2014年 JTによる英電子タバコのZandera(ゼンデラ)買収

2015年 インペリアルタバコによるレイノルズ・アメリカンのセーラム等のブランドを買収

2016年 JTによる「ナチュラル・アメリカン・スピリット」の北米以外の事業をレイノルズアメリカンからの買収

2017年 BATによるレイノルズアメリカンの買収

2017年 JTによるフィリピンのたばこ大手マイティー・コーポレーションの買収

2017年 JTがエチオピアの国営たばこ会社を買収

2018年 JTがバングラディッシュのUnited Dhaka Tobaccoを買収

2018年 JTがロシアのDonskoy Tabakを買収

買収時の企業価値を対象会社で割った企業価値売上高倍率では、2~8倍と買収マルチプルにばらつきがあります。

たばこ業界のM&Aマルチプル分析
たばこ業界のM&Aマルチプル分析

たばこ業界のM&Aマップは以下の通りです。

たばこ業界のM&Aのまとめ
【©️業界再編の動向】 なお図中の数字は西暦の下二桁を示す(08⇒2008年の意味)

たばこの種類と作り方

たばこは、紙巻たばこ(Cigarette)、葉巻き(Cigar)、パイプたばこ(Smoking Tobacco)、電子たばこ(Electric Tobacco)、加熱式たばこ、水たばこに大きく分類されます。紙巻たばこの消費量が最も多く、たばこの葉を摘み取ったあと、裁断、乾燥、熟成等をした葉たばこを、最終的に紙をまきつけフィルターを取り付けて作っています。

日本の場合、たばこ事業法においてJTがたばこの販売を独占しています。JTと葉たばこの売買契約を締結すると無償で葉たばこの種子の交付を受けられます。葉たばこの栽培自体は法律で禁じられておらず、日本国内においても自家消費の葉たばこの作付は一定程度存在すると言われております。

さらに業界に詳しくなるためのお薦め書籍

主要タバコ会社の動向

China National Tobacco(CNTC,中国国家烟草公司) 

1982年設立された中国最大手の国営専売タバコメーカーです。国家タバコ独占管理局(The State Tobacco Monopoly Administration)に属します。中国市場を事実上独占しており販売本数では群を抜きます。2019年に香港子会社(CTI)を香港証券取引所に上場させました。玉溪红塔山、中华といった多数のタバコブランドを展開しています。

Philip Morris International(フィリップモリスインターナショナル)

米国に本拠を置く世界大手のタバコメーカーです。米国以外で「マールボロ」等のたばこを展開しています。加熱式たばこ等の無煙タバコも強化し、加熱式たばこはiQOS(アイコス)ブランドで世界展開をしています。

Altria Group(アルトリア)

フィリップモリスインターナショナルと同根です。米国でのタバコ訴訟リスクを避けるため、アルトリアとフィリップモリス・インターナショナルが分社化された経緯があります。米国において「マールボロ」等のブランドのタバコ事業を手掛けております。ビール大手のミラー(SABが買収しSABミラーとなるも、SABミラーはAB Inbevに買収されています。)を保有していたことから、現在でもビール業界最大手のAB Inbevの大株主でもあります。

British American Tobacco(ブリティッシュアメリカンタバコ)

英国ロンドンに本拠を置く大手タバコメーカーです。主要ブランドは「KENT」「ラッキーストライク」等があります。R.J. Reynolds(R.Jレイノルズ)の親会社のレイノルズ・アメリカンをBATの米国子会社のBrown&Williamsonとの経営統合を機に関連会社化しました。2014年にレイノルズ・アメリカンは米タバコ3位のロリラード、2017年にレイノルズ・アメリカンの買収をしました。

レイノルズアメリカンについて

レイノルズアメリカンは1875年に設立されたR.J. Reynolds Tobacco Companyが源流の由緒あるたばこ会社です。
たばこ以外の事業展開をめざし、1985年にビスケット等のブランドで有名な米ナビスコを買収し、社名をRJRナビスコへと変更しました。
1999年に投資ファンドのKKRが当時としては最大の買収額でRJRナビスコを買収しました。KKRはRJRナビスコの事業価値を高めるために、いくつかの事業再編を行い、RJRナビスコの海外たばこ事業については、日本のJTへ売却を行いました。更にたばこ事業と食品事業を分離するために、RJレイノルズを傘下に持つレイノルズアメリカンとナビスコを分社化・設立しました。
2004年に米国でのたばこ訴訟リスクを回避するために、ブリティッシュ・アメリカン・タバコの米国子会社のBrown&Williamsonとレイノルズアメリカンが合併し、米国第2位のたばこ会社が誕生しました。ブリティッシュアメリカンタバコが同社の親会社となりました。
2017年にブリティッシュアメリカンタバコはレイノルズ・アメリカンを完全子会社化するための買収を行いました。主要なブランドとしては、Newport、Camel、Pall Mall、Natural American Spirits、Grizzly、VUSEが挙げられます。

Japan Tobacco(日本タバコ)

日本の元国営タバコ会社。1999年にR.Jレイノルズの米国外のたばこ事業であるRJRインターナショナルや英ギャラハーを買収し、国際展開に積極的です。次世代たばことして加熱式たばこのブルーム・テックも積極展開しています。2017年にはフィリピンのたばこ大手マイティー・コーポレーションを買収しました。

Imperial brands(インペリアルブランズ)

英国に本拠を置く歴史的な大手タバコメーカーです。ブリティッシュアメリカンタバコの源流は、1902年に当時にインペリアル・タバコ(現インペリアルブランズ)とアメリカンタバコが設立した合弁会社です。葉巻たばこの分野に強みを持ちます。

KT&G(Korea Tabacco & Ginseng、韓国タバコ)

韓国に本拠を置くタバコメーカーです。旧韓国タバコ公社。韓国内でのタバコ販売で圧倒的なシェアを誇ります。

ITC

インドに本拠を置くタバコ・消費財メーカーです。インド国営タバコを源流に持ちます。

Gudang Garam(グダンガラム)

インドネシアを代表するタバコ会社です。ガラムブランドのタバコを展開しています。

Swedish Match(スウェディッシュマッチ)

スウェーデンに本拠を置くニコチンパウチメーカーです。スヌース、モイストスナッフ、ニコチンもタバコも入っていないパウチ製品、チューバッグ、タバコビット、チューイングタバコ、葉巻、マッチ、ライター等を製造しています。

参照したデータの詳細情報について


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