証券取引所の世界市場シェアと市場規模について分析をしています。インターコンチネンタル、ICE、ロンドン証券取引所、CME、ドイツ証券取引所、ナスダックOMXグループといった世界の主要証券取引所の概要も掲載しています。
【証券取引所業界とは】
証券取引所業界とは、証券取引所が取り扱う証券(株式、債券など)を売買するための市場を提供する業界です。証券取引所は、取引を行うための規則を定め、取引を行う取引所会員を管理し、取引を行うためのインフラを提供します。また、取引所会員に対して、取引を行うためのサービスを提供します。証券取引所業界では、取引所会員が取引を行うためのサービスを提供するだけでなく、取引所会員同士の取引を仲介するサービスも提供しています。
【証券取引所の世界市場シェア】
証券取引所の2024年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2024年の証券取引所の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はインターコンチネンタル取引所、2位はロンドン証券取引所、3位はナスダックとなります。
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| 順位 | Company name (English) |
企業名(日本語) | 市場シェア |
| 1位 | Intercontinental Exchange | インターコンチネンタル取引所 | 18.31% |
| 2位 | London Stock Exchange | ロンドン証券取引所 | 16.55% |
| 3位 | Nasdaq | ナスダック | 11.52% |
| 4位 | Deutsche Borse Group | ドイツ証券取引所 | 9.62% |
| 5位 | CME group | CMEグループ | 9.54% |
| 6位 | Shanghai Stock Exchange | 上海証券取引所 | 8.31% |
| 7位 | Cboe | シカゴ・オプション取引所 | 6.37% |
| 8位 | Hong Kong Stock Exchange | 香港証券取引所 | 4.53% |
| 9位 | Brasil, Bolsa, Balcão | B3 | 3.09% |
| 10位 | Euronext | ユーロネクスト | 2.68% |
| 11位 | TMX Group | TMXグループ | 2.27% |
| 12位 | National Stock Exchange | インド国立証券取引所 | 2.20%% |
| 13位 | Japan Exchange Group | 日本取引所グループ | 1.92% |
| 14位 | Singapore Exchange | シンガポール証券取引所 | 1.42% |
| 15位 | Australian Stock Exchange | オーストラリア証券取引所 | 1.08% |
| 16位 | Saudi Stock Exchange (Tadawul) | サウジ証券取引所 | 0.60% |
※各社のRevenueはAnnual Reportに基づく公式数値を採用。
※市場規模は本ランキングに掲載した企業の合計値を分母として採用。
※Burton‑Taylor推計値(58.9B USD)とは集計範囲が異なるため、世界市場規模との乖離あり。
NYSEを傘下にするインターコンチネンタル取引所は引き続き市場シェアをトップ確保し、ロンドン証券取引所グループは2021年のRefinitivの超大型買収による追い風で、業界第2位を維持しています。また、ナスダックが情報サービス収益を武器に第3位を維持し、
ドイツ取引所グループはClearstreamやデータ事業の拡大で第4位に位置しています。
CMEグループは依然としてデリバティブ取引で世界最大級の収益を確保し、第5位を堅持。
アジア勢では上海証券取引所と香港証券取引所がトップ10入りし、インドNSEやJPXも
2%前後のシェアを確保するなど、地域全体で約19%を占めています。
【証券取引所の世界市場規模】
当データベースでは、2024年の証券取引所の市場規模を642億ドルとしております。
参照した各種調査データは次の通りとなります。
2024年の証券取引所上位16社の売上高の合計は642億ドルです。
調査会社のBurton‑Taylor Consultingによると、2024年の同業界の市場規模は、589億ドルです。
| 年 | 市場規模 | 年平均成長率 |
| 2024 | 589億ドル | – |
※各社のRevenueはAnnual Reportに基づく公式数値を採用。
※市場規模は本ランキングに掲載した企業の合計値を分母として採用。
※Burton‑Taylor推計値(58.9B USD)とは集計範囲が異なるため、世界市場規模との乖離あり。
【M&Aの動向】
証券取引所業界では、2000年以降証券取引の電子化、取引スピードの高速化や取引量の拡大に伴う大規模なシステム投資に対応するため、証券取引所の合従連衡や株式上場が相次いでいます。また、コストや約定スピードに優れるPTS(Proprietary Trading System)市場での取引量の拡大も、証券取引所が再編を進める背景にあります。
2001年 ユーロネクスト誕生
2006年 NYSEがアーキペラゴ証券取引所を買収しNYSEアーカ取引所が誕生
2007年 ユーロネクストとNYSEが経営統合しNYSEユーロネクスト誕生
2007年 ナスダックがOMXを買収
2007年 CMEグループが誕生
2013年 インターコンチネンタル取引所がNYSEユーロネクスト買収
2013年 東証と大証が経営統合し、日本取引所グループが誕生
2019年 ロンドン証券取引所がリフィニティブを買収
2021年 ロンドン証券取引所がミラノ証券取引所をユーロネクストへ売却
2023年 ナスダックはアデンザを買収
2024年 ドイツ取引所は、大手デジタルファンド配信プラットフォームFundsDLTの買収完了を発表
2025年 ICEがアメリカン・ファイナンシャル・エクスチェンジ(AFX)を買収
2025年 TMXグループがVerityを買収
【会社の概要】
Intercontinental Exchange(ICE、インターコンチネンタル取引所)
米国を代表する証券取引所であるニューヨーク証券取引所(NYSE、ナイス、通称ビッグボード)を傘下に置く商品取引所です。NYSEはパリ、ブリュッセル、アムステルダム、リスボン証券取引所が統合して設立されたユーロネクストと2007年に経営統合しNYSEユーロネクストを設立しました。その後ICEが2013年にNYSEユーロネクストを買収し、ユーロネクストを分社化しています。
London Stock Exchange Group(ロンドン証券取引所グループ)
2001年に株式を上場しました。デリバティブの清算機関のLCHクリアネットを傘下に所有しています。ロント、モントリオール証券取引所を基盤とするTMX Groupの買収や、ドイツ証券取引所と経営統合を発表するも破綻しています。トインデック指数では、14年に米運用サービス大手フランク・ラッセル(現FTSEラッセル)を買収し、17年には債券の分析・指数事業を米シティグループから買収、2019年に金融情報会社リフィニティブ・ホールディングスを270億ドル(約2兆9400億円)で買収するなど、M&Aを通じた積極的な成長戦略が特徴です。
Deutsche Boerse(ドイツ証券取引所)
2001年に株式を上場しました。フランクフルト証券取引所を運営しています。インデックス指数ではストックスを展開しています。デリバティブの決済機関のクリアストリームを傘下に所有しています。過去NYSEユーロネクストとの経営統合、ロンドン証券取引所との経営統合を目指すも失敗しました。
NASDAQ OMX Group(ナスダックOMXグループ)
2001年にストックホルム、ヘルシンキ、コペンハーゲン証券取引所が統合されOMXが誕生しました。その後2007年にNASDAQがOMXを買収しNASDAQ OMX Groupとなりました。
CME Group(CMEグループ)
2007年のChicago Mercantile ExchangeとChicago Board of Tradeの統合により誕生しました。先物・オプション取引を中心とした取引所です。
TMX Group(カナダ)
カナダのトロント、モントリオール証券取引所と北米ガス取引市場のNGXが合併し誕生しました。2011年にロンドン証券取引所グループが買収するとの発表があったがその後破談しました。
Japan Exchange Group(日本取引所グループ)
2013年1月東京証券取引所と大阪証券取引所の統合により誕生しました。
Bolsa, Balcão(ボルサバルカオ)
ブラジルのサンパウロにある証券取引所です。2008年5月8日にサンパウロ証券取引所(Bovespa)とブラジル商品先物取引所(BM&F)が合併し、BM&FBOVESPAが誕生。 2017年、BM&FBOVESPAはCETIPと合併しボルサバルカオが発足しました。
Euronext(ユーロネクスト)
大陸欧州を代表する証券取引所です。2001年にパリ、ブリュッセル、アムステルダム証券取引所が統合されEuronextが誕生。その後NYSEと経営統合をし、NYSEユーロネクストとなった。ICEグループによる買収を受け、ユーロネクストとして上場を果たしました。
Cboe(シーボ)
シカゴ商品取引所によって設立されたシカゴ・ボード・オプション取引所(CBOE)を源流としています。全米最大のオプション取引所で、恐怖指数ともいわれる「VIX指数」も開発しています。代替市場の最大手である証券取引所運営のBATSグローバルマーケットを2016年に買収し、現物取引に参入しました。2021年に入ると、ブロックトレード大手のBIDSトレーディングやJCフラワーズ傘下の私設取引システム(PTS)大手チャイエックス・ジャパンを買収しました。
中国の証券取引所
中国の証券取引所は香港証券取引所、上海証券取引所、深セン証券取引に大きく分かれます。香港証券取引所の親会社は香港交易及結算所(HKEX)で、2012年にはロンドン金属取引所(LME)を買収しています。上海証券取引所は、国内投資家のみ取引可能なA株、海外の投資家が取引可能なB株に分かれています。
