ばね業界の世界市場シェアの分析

ばね業界の世界市場シェアと市場規模について分析をしています。ばねメーカー世界大手であるムベア、ニッパツ、ソゲフィ、ケルン・リーバース、フロイデンベルク、三菱製鋼、Rassini、ジャムナオート、大円鋼業、中央発條の動向についても掲載しています。

【ばね業界とは】

ばね業界は、自動車、電子機器、建築、医療機器など、さまざまな産業分野で使用されるばねを製造・販売する業界を指します。ばねはその形状や用途により、コイルばね、板ばね、ガスばねなど多種多様に存在します。自動車産業では、サスペンションの一部として使用され、乗り心地や安全性を向上させる役割を果たします。電子機器では、スイッチや接点部分に使用され、機器の動作を支える重要な部分を担っています。

また、近年では医療分野でも使用されるようになり、例えば医療用ロボットの関節部分や、内視鏡の操作部分などに使用されています。

ばね業界は、これら多岐にわたる産業のニーズに応えるため、精密さや耐久性、軽量化などを追求し、日々進化しています。また、環境に配慮した製品開発や、リサイクル可能な素材の使用など、持続可能な社会への貢献も求められています。

【ばね業界の世界市場シェア】

ばね会社各社の2022年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、後述する市場規模を分母にして、簡易に2022年のばね業界の市場シェアを算出すると、1位は2020年と同様ムベアの10.02%、2位と3位は逆転となり2位にフロイデンベルクの9.06%、3位にニッパツの7.93%となります。

順位 企業名(日本語) 市場シェア
1位 Mubea(ムベア) 10.02%
2位 Freudenberg Group(フロイデンベルク・グループ) 9.06%
3位 NHK SPRING CO., LTD.(ニッパツ、日本発条株式会社) 7.93%
4位 KERN-LIEBERS(ケルン・リーバース) 2.72%
5位 SCHERDEL(シェルデル) 2.37%
6位 Rassini(ラッシニ) 2.33%
7位 Sogefi Group(ソゲフィ グループ) 2.01%
8位 Chuo Spring Co., Ltd.(中央発條株式会社) 1.58%
9位 Mitsubishi Steel Mfg. Co., Ltd.(三菱製鋼株式会社) 1.55%
10位 Jamna Auto Industries(ジャムナオートインダストリーズ) 0.79%
11位 Daewon Kangup(大円鋼業) 0.58%
ばね業界の推定市場規模推移 ©2024 Deallab

バネ業界のグローバルマーケットシェア(2022年)©2024 Deallab

2022年のシェアランキングにはドイツに拠点を置くシェルデルがランクインしました。

【ばね業界の世界市場規模】

当サイトでは、2020年の世界のばね業界の市場規模を240億ドルとしております。参照にしたデータは以下の通りです。
調査会社マキシマイズ・マーケット・リサーチによると、2022年の同業界の市場規模は293.5億ドルです。2029年にかけて396.7億ドルに達し、年平均4.4%での成長を見込んでいます。⇒参照したデータの詳細情報

市場規模 成長率
2022 293.5億ドル
2029 396.7億ドル 4.4%
ばね業界の推定市場規模推移 ©2024 Deallab

ばね業界の市場規模の予想成長推移 ©2024 Deallab

【ばね業界の動向】

航空機や自動車などの輸送機や各種産業機器等においてばねの弾性を利用した多数のばね(巻ばね、板ばね、皿ばね、空気ばねなど)が使用されています。輸送機では、防音や防振といった観点からサスペンションシステムに、またブレーキシステム、アクチュエータ、ドア、エンジン、燃料ポンプ等でも利用されています。自動車においては、動力機関の電動化により車体の軽量化が求められるため、今後は車体の構成要素であるばね自体も、さらなる軽量化が必要となってきます。

【M&Aの動向】

最近のばね業界におけるM&Aでは、自動車部品メーカー同士による補完的な買収、上場会社の非公開化(MBO)、近接領域の買収(ベアリングとばね)といった組み合わせがあります。ばねの素材を含めた軽量化技術への投資の高まりから、今後は業界内での規模を追及する統合も予想されます。また、地域毎に多数の非上場のばねメーカーがあり、地域補完性の観点から合従連衡も予想されます。

買手 対象会社 売手 M&Aの狙い
2016 フロイデンベルク Vibracoustic Trelleborg 自動車部品での補完性
2018 GGI Rassini MBOによる非公開化
2020 Kaman Bal Seal Engineering ベアリング大手によるばね会社買収
2016年以降のばね業界におけるM&A ©2024 Deallab

さらに業界に詳しくなるためのお薦め書籍

ばねの設計と計算の作法―はじめてのコイルばね設計
ばね入門

【会社の概要】

Mubea(ムベア)

Josef Muhr氏によって1916年に設立された自動車用部品メーカーです。シャーシ、ボディ、パワートレイン向けに自動車用バネ、テーラーロール、スタビライザ等を提供しています。

Freudenberg Group(フロイデンベルク・グループ)

1849年に設立されたドイツの不織布などの繊維、自動車向け防振防音、洗浄剤などに強みを持つ会社です。自動車向けの防振防音ではシーリングや、2016年に買収した子会社のVibracousticを通じてエアスプリングを手掛けています。不織布では日本バイリーンを子会社化しています。洗浄剤はVileda、O-Cedarといったブランドで展開しています。

NHK SPRING CO., LTD.(ニッパツ、日本発条株式会社)

1936年に設立された自動車用ばねやシートに強みも持つ自動車部品会社です。板ばね、コイルばね、スタビライザ、トーションバー、ガスねじ、HDD用サスペンションなどを提供しています。

KERN-LIEBERS(ケルン・リーバース)

1888年に設立されたドイツに本拠をおくばねメーカーです、時計向けのばねが祖業です。ワイヤースプリング、ストリップストリング等を手掛けています。精密ばねに強みを持つCARL HAASを買収するなど事業を拡大しています。

SCHERDEL(シェルデル)

1889年に設立されたドイツに拠点を置く会社です。グラーフ・ツェッペリン飛行船、ル・マン24時間レースなどの エンジン、テクニカルスプリング、その他多くの技術部品に関連する動きと開発をしています。グループ企業は世界中に34の拠点を持ち、成形技術、組立・接合技術、表面技術、機械・工具・システム構築など、幅広い分野をカバーし提供しています。

Rassini(ラッシニ)

メキシコに本拠をおく自動車用サスペンション向けの巻ばね、板ばねメーカーです。メキシコ証券取引所に上場していましたが、2018年に投資会社GGIによって非上場化されました。

Sogefi Group(ソゲフィ グループ)

1980年に設立されたイタリアに本拠をおく自動車部品メーカーです。サスペンション、オイルフィルター、吸気や冷気システムに強みを持ちます。

Chuo Spring Co., Ltd.(中央発條株式会社)

トヨタグループのばねメーカーです。

Mitsubishi Steel Mfg. Co., Ltd.(三菱製鋼株式会社)

1907年設立のばね会社である東京スプリング製作所と三菱重工の長崎造船所における鋳鍛鋼品事業を源流とする製鋼会社です。三菱グループに属しています。製鋼事業では、クランクシャフト、ギア、旋回輪等を、ばね事業では巻ばね、板ばね、スタビライザ、特殊ばね等を手掛けています。

Jamna Auto Industries(ジャムナオートインダストリーズ)

1954年に設立されたインドに本拠をおく自動車用サスペンションスプリングメーカーです。タタ自動車、アショックレイランド、スズキ等へばねを販売しています。

Daewon Kangup(大円鋼業)

韓国に本拠をおくDaewonグループのサスペンション向けばねメーカーです。精密ばねも手掛けています。

その他のばねメーカー

会社名 特徴
John Evans’Sons 1850年創業の米国の精密ばね会社。航空機メーカー等へ納入。非上場
Emco Industries 米国の板ばね会社。非上場
McAllister カナダに本拠をおくコイルスプリングメーカー
Eaton Detroit springs 米国に本拠を置くコイルスプリングメーカー
Gala Group インドのディスクスプリング会社
Dendoff Springs 1906年に設立された米国に本拠をおく巻ばねメーカー
Hendrickson 1913年に設立された大型車両向けに強みを持つばねメーカー
その他のばねメーカー ©2024 Deallab

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