メチオニン業界の世界市場シェアの分析

メチオニン業界の世界シェア、業界ランキング、市場規模の情報。ドイツのエボニク、フランスのアディッセオ、米国のノーバス(三井物産子会社)、日本の住友化学が世界4大メーカーです。

メチオニンとは

メチオニンは、鶏、豚、牛などの家畜が成長の促進に必要となる飼料添加剤(必須アミノ酸の一種)となります。特に鶏の成長に効果的と言われています。動物の体内では生成することができず、また、トウモロコシ等を主原料とした飼料は、メチオニンが不足していることが多いため、外部からの摂取が必要となります。メチオニンを生成するためには高度な技術が求められるため、大手メチオニンメーカーによる寡占的な市場です。今後、新興国の経済成長が続き、食肉の需要も増加すると予想されるため、特に宗教的なアレルギーの少ない鶏肉の育成を促進させるメチオニンへの需要は高まっています。

市場シェア

2018年のメチオニンの生産キャパシティベースの市場シェアは以下の通りです。1位はエボニクの34%、2位はアディッセオの25%、3位はノーバスの15%となります。

  • 1位    エボニク    34%
  • 2位    アディッセオ    25%
  • 3位    ノーバス    15%
  • 4位    住友化学    10%
  • 5位    CUC    6%
  • 6位    CJ    6%
  • 7位    ゼァージァンNHU    3%
  • 8位    VOLZHSKY    1%

出所:アディッセオ社アニュアルレポート

メチオニン業界の世界シェア1位は、ドイツの化学メーカー大手であるエボニク社となります。同社は1950年代から、メチオニンの生産を継続的に行っています。世界2位は、フランスのアディセオ社となります。現在は、中国のケムチャイナの中核企業であるブルースター傘下となっています。3位は、三井物産の子会社である米国のノーバス社です。4位には、日本の住友化学となっています。

市場規模

調査会社のマーケットアップデーツによれば、2019年のメチオニンの世界の市場規模は金額ベースで63億ドルです。今後の世界、特に新興国における需要の増加が見込まれ、2025年までの成長率は年間2.6%程度と見込まれています。地域別ではアジアにおける需要の増加が最も大きくなっています。

アディッセオ社によれば2018年のメチオニンの生産能力は年間170万トンとされています。

需要増加を見込んで各社が増産を行ったため、2018年〜2019年にかけて粉メチオニンの市況が悪化しています。

業界の動向

Evonik(エボニク)

石炭会社大手であるR.A.G.(Ruhrkohle Aktiengesellschaftの略)、Degussa(デグサ、Deutsche Gold‐ und Silber‐Scheideanstalt)が経営統合して誕生したドイツを代表するスペシャリティケミカルメーカーです。デグサはダウ・ケミカル(現在のダウ・デュポン)に買収されたRoehm &Haas(ローム&ハース)と同根のRoehm(ローム)、戦前ドイツの化学コングロマリットI.G.Farben より分離をしたHuels(ヒュルス)等が経営統合して誕生しています。アニマルニュートリション(動物用栄養品)、ヘルスケア、コスメ用成分、分離膜、コーティング剤、樹脂、機能性化学品等の分野で事業を展開しています。ブンデスリーガのドルトムントのスポンサーであることもで有名です。

メチオニン、高吸水性樹、アクリル樹脂などの分野に強みを持ちます。

Adisseo(アディッセオ)

Marcel Lingot氏によって設立されたフランスに本拠をおく1939年に設立された老舗化学品メーカーです。当初の社名はAlimentation Equilibréeでした。2006年に、中国の国営石油会社の一角である中国化工集団(CNCC 、ChemChina)傘下のブルースター(藍星社)によって買収されました。2016年に上海証券取引所で株式を公開しています。

ケムチャイナとは

中国化工集団(ケムチャイナ、ChemChina、China National Chemical Corporation )はRen Jianxin(任建新)氏によって設立されたChina National Blue Star Corp(藍星) と China Haohua Chemical Industrial Corp(昊華)が2004年に経営統合して誕生した中国政府系の化学メーカーです。中国政府が100%株式を保有しています。農薬、ゴム、シリコーンや機能性化学等の分野で事業展開しています。2016年から寧高寧氏がシノケムとケムチャイナのCEOとなり、2021年に国営化学会社のシノケムと経営統合、中国中化(シノケム)ホールディングス傘下になりました。続きを読む

ノーバス(Novus)

1991年に三井物産と日本曹達が共同で米モンサント社の飼料添加物事業を買収して設立した企業です。出資比率は三井物産80%、日本曹達20%となっています。

住友化学

1913年に別子銅山の煙害解消のために設立された日本を代表する化学メーカーです。石油化学、機能材料、情報電子化学、農薬、医薬品が主軸です。サウジ・アラムコと組んで世界最大級の石油コンビナート(ラービグプロジェクト)を運営しています。機能性化学の分野では、偏光板で日東電工と並び、世界大手の1角となっています。また、メチオニンにも強みがあります。農薬の分野では、バイエル、BASF、コルテバ、シンジェンタのビッグ4に次ぐ準大手のポジションです。アクリル樹脂原料(MMA)は三菱ケミカルと双璧です。持分法子会社の住友精化で高吸水性樹脂事業を行っています。さらに詳しく

上位4社以外では、韓国で製糖などを手がけるコングロマリットであるCJグループ、中国のChongqing Unisplendour Chemical(CUC)、医薬中間体や食品添加物に強いZhejiang Nhu(ゼァージァンNHU、浙江新和成股分有限公司)、ロシアのVOLZHSKY社がメチオニンの大手製造メーカーです。

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