広告業界や広告代理店業界の世界シェア、市場規模や再編について分析をしています。WPP 、オムニコム、 インターパブリック、ピュブリシス、電通といった世界大手広告代理店やアクセンチュアといったデジタルエージェンシーの概要や動向も掲載しています。
【広告代理店・広告業界の世界市場シェア+ランキング】
2022年度の広告代理店各社の売上及びコンサルティング会社系の広告事業の売上高[affi id=16]を分子に、後述する市場規模を分母にして、2022年の広告代理店の世界市場シェアを簡易に算出すると、1位はWPP、2位はオムニコム・グループ、3位はピュブリシス・グループとなります。
⇒参照したデータの詳細情報
順位 | 企業名 | 市場シェア |
---|---|---|
1位 | WPP plc (WPPグループ) | 4.65% |
2位 | Omnicom Group(オムニコム・グループ) | 3.84% |
3位 | Publicis Group(ピュブリシス・グループ) | 3.58% |
4位 | Accenture PLC (アクセンチュア) | 3.27% |
5位 | Interpublic Group(インターパブリック・グループ) | 2.93% |
6位 | DENTSU GROUP INC. (株式会社電通グループ) | 2.54% |
7位 | Hakuhodo DY Holdings Inc. (株式会社博報堂DYホールディングス) | 2.02% |
8位 | Bluefocus Communication Group (藍色光標伝播集団) | 1.38% |
9位 | JCDecaux S.A.(ジーセードコー) | 0.94% |
10位 | Havas (ハバス) | 0.79% |
11位 | Lamar Advertising (ラマー・アドバータイジング) | 0.55% |
12位 | Deloitte Digital (デロイトデジタル) | 0.17% |
2021年と同様に、1位、2位、3位は広告代理店業界の御三家、WPP、オムニコム、ピュブリシスです。イギリス、フランス、米国に本拠を置く各社が、広告業界を支配する体制は、1980年代に、WPPがジェイ・ウォルター・トンプソンや、オグルヴィ・アンド・メイザー・ワールドワイドを、買収して以降続きます。
従来は4強の一角であったマッキャエリクソンの比重が高く、インターパブリックは5位です。単独の広告代理店としては、世界最大の電通が、6位になりました。
一方、こうした伝統的な広告代理店の領域に、デジタル広告の技術を用いて、急速に勢力を増しているのが、ITコンサルティンググループです。電通とインターパブリックを抜いて4位となったアクセンチュアを筆頭に、データ分析力を武器に、デジタル広告代理店として、インターネット広告分野で、存在感を急速に伸ばしています。
各業界における広告費の増加が、広告代理店市場の需要を牽引すると予想されています。動画広告とモバイル広告は、広告投資の増加に大きく貢献しており、デジタル広告は最近、テレビ広告の総支出を上回っているようです。
【広告代理店・広告業界の世界市場規模】
当データベースでは、2022年の広告代理店業界の市場規模を3725.5億ドルとしております。参照した各種公表データは以下の通りです。
調査会社リサーチアンドマーケッツによると、広告代理店業界の2022年の市場規模は3725.5億ドルです。2023年には3916億ドルへと拡大する予定です。年平均5.1%成長すると予想しています。
さらに業界に詳しくなるためのお薦め書籍と関連サイト
アドテクノロジーの教科書
最新広告業界の動向とカラクリがよくわかる本
コンサルティング業界の世界市場シェアの分析
【M&Aの動向】
広告における人工知能(AI)の導入が広告代理店市場で人気を集めています。同業界で事業を展開する大手企業は、消費者のニーズによりよく応えるため、イノベーションとテクノロジーの導入に継続的に注力しています。
広告代理店の主な再編事例
1986年 BBDO、ドイル・デーン・バーンバック、ニーダムハーパーの3社によってオムニコム・グループ設立
1987年 WPPによるジェイ・ウォルター・トンプソンの買収
1989年 WPPによるオグルヴィ・アンド・メイザー・ワールドワイドの買収
1993年 オムニコムによるTBWAワールドワイドの買収
1999年 オムニコムによるGGT BDDPの買収
2000年 WPPによるYoung&Rubicamの買収
2005年 オムニコムによるResolution Media買収
2008年 WPPによるTaylor Nelsonの買収
2012年 WPPによるAKQAの買収
2012年 電通による4000億円での英国のイージスの買収
2012年 電通と仏ピュブリシス・グループの提携解消
2014年 ピュブリシス・グループによる米国のデジタル広告の大手サピエント社の買収
2017年 ベインキャピタルがアサツーDKを買収
2018年 インターパブリック・グループがAcxiomのデータマーケティング事業を買収
2019年 ピュブリシス・グループによるイプシロン買収
2020年 WPPによるKantar Groupのベインキャピタルへの売却
2022年 オムニコムがTAデジタルの買収を発表
2023年 WPPはObviouslyの買収を発表
2023年 WPPがFēnom Digitalを買収
2023年 ピュブリシス・グループがプラクティアを買収
2023年 ピュブリシス・グループがマーケティング・テクノロジー企業Yieldifyを買収
【世界の主要広告代理店の会社概要】
WPP plc (WPPグループ)
WPPは世界最大級の広告代理店会社です。2020年度の売上高は120億ポンドとなっています。広告代理店業界の売上高市場シェアでは、世界最大となっています。
7事業本部体制によって、クライアントである企業のマーケティング領域のカバーを行なっています。ただし、近年、グーグルやフェイスブックなどの、広告代理店を介在させないオンラインにおける巨大メディア・媒体が誕生し、従来得意としていた新聞やテレビなどの媒体の比率が低下してきています。さらに、コンサルティング会社が、デジタル技術を用いて、広告における上流工程であるコミュニケーション戦略やデジタルマーケティングなどに進出しており、データの分析からマーケティングを構築する手法で、広告代理店との競合が増しています。
事実上の創業は、Martin Sorrell(マーティン・ソレル)卿が、Wire and Plastic Products(WPP)を1985年に買収してからとなります。以降急速に広告業界で頭角を示し、総従業員数13万人、世界112カ国にまたがる広告帝国を1代で作り上げています。
グループ会社には、ジェイ・ウォルター・トンプソン(JWT)、GREY(グレイ)、ヤング・アンド・ルビカム、およびPR会社のヒル・アンド・ノウルトン、バーソン・コーン&ウルフ、企業ブランディング・デザインのランドーアソシエイツ、またメディアプランニング会社Mindshare、Mediacom等の持ち株会社であるGroupMがあります。
グループ内再編を積極的に行っており、2018年には、ヤング・アンド・ルビカムとデジタルエージェンシーのVMLを合併させて、VMLY&Rを設立しています。
同じく、2018年にOgilvy & Mather(オグルヴィ・アンド・メイザー)がオグルヴィへと社名変更しています。
ジェイ・ウォルター・トンプソンとワンダーマンが経営統合して、ワンダーマン・トンプソンが誕生しています。
PR会社の分野では、バーソン・マーステラとコーン&ウルフが合併し、世界3位のPR会社である「バーソン・コーン&ウルフ」が誕生しています。
売上のうちVMLY&R、ワンダーマントンプソン、カンタールで収益全体の4割を占めていますWPPのグループのグループ会社一覧は下記の通りとなりますが、グループ会社は多岐にわたります。マーケティングリサーチのKantar Group(カンタール・グループ)は2020年ベインキャピタルへ売却しました。WPPは世界最大級の広告代理店会社です。2020年度の売上高は120億ポンドとなっています。広告代理店業界の売上高市場シェアでは、世界最大となっています。
7事業本部体制によって、クライアントである企業のマーケティング領域のカバーを行なっています。ただし、近年、グーグルやフェイスブックなどの、広告代理店を介在させないオンラインにおける巨大メディア・媒体が誕生し、従来得意としていた新聞やテレビなどの媒体の比率が低下してきています。さらに、コンサルティング会社が、デジタル技術を用いて、広告における上流工程であるコミュニケーション戦略やデジタルマーケティングなどに進出しており、データの分析からマーケティングを構築する手法で、広告代理店との競合が増しています。
事実上の創業は、Martin Sorrell(マーティン・ソレル)卿が、Wire and Plastic Products(WPP)を1985年に買収してからとなります。以降急速に広告業界で頭角を示し、総従業員数13万人、世界112カ国にまたがる広告帝国を1代で作り上げています。
グループ会社には、ジェイ・ウォルター・トンプソン(JWT)、GREY(グレイ)、ヤング・アンド・ルビカム、およびPR会社のヒル・アンド・ノウルトン、バーソン・コーン&ウルフ、企業ブランディング・デザインのランドーアソシエイツ、またメディアプランニング会社Mindshare、Mediacom等の持ち株会社であるGroupMがあります。
グループ内再編を積極的に行っており、2018年には、ヤング・アンド・ルビカムとデジタルエージェンシーのVMLを合併させて、VMLY&Rを設立しています。
同じく、2018年にOgilvy & Mather(オグルヴィ・アンド・メイザー)がオグルヴィへと社名変更しています。
ジェイ・ウォルター・トンプソンとワンダーマンが経営統合して、ワンダーマン・トンプソンが誕生しています。
PR会社の分野では、バーソン・マーステラとコーン&ウルフが合併し、世界3位のPR会社である「バーソン・コーン&ウルフ」が誕生しています。
売上のうちVMLY&R、ワンダーマントンプソン、カンタールで収益全体の4割を占めていますWPPのグループのグループ会社一覧は下記の通りとなりますが、グループ会社は多岐にわたります。マーケティングリサーチのKantar Group(カンタール・グループ)は2020年ベインキャピタルへ売却しました。
グローバルインテグレーテッドエージェンシーが最大の売上となっています。
2022 | 2021 | |
売上合計 | 11,799 | 10,397 |
Global Integrated Agencies | 9,742 | 8,683 |
Public Relations | 1,157 | 909 |
Specialist Agencies | 899 | 804 |
Silchester International Investors LLP 5.00%
Harris Associates LP 4.95%
Mondrian Investment Partners Ltd. 4.82%
Omnicom Group(オムニコム・グループ)
米国に本拠を置く大手広告代理店会社です。傘下にBBDO、DDB Worldwide、TBWA Worldwide社等の広告代理店を有しています。2013年に仏Publicis(ピュブリシス)グループとの合併を発表したが破談しました。日本では東急エージェンシーと提携関係にあります。
Publicis Group(ピュブリシス・グループ)
フランスに本拠を置く大手広告代理店会社です。オムニコム・グループとの合併破綻後はM&Aを加速しています。2014年には米国のデジタル広告の大手サピエント社、2019年にイプシロンを買収しました。
EPSILON(イプシロン)
米国に本拠を置く広告代理店です。Eメール・データを中心にしたCRMに強みを持ちます。非上場会社です。2019年にピュブリシスが買収しました。
Accenture PLC (アクセンチュア)
Accenture(アクセンチュア)は、2002年に当時の世界4大会計事務所のアーサー・アンダーセンより分社化して誕生した米国を代表するコンサルティング会社です。戦略策定から実行、ITシステム構築、アウトソーシングされたオペレーションの実行まで幅広いサービスを提供しています。デジタル広告分野の急進を受け、デジタルマーケティング戦略強化の一環としてインタラクティブ領域も強化しています。さらに詳しく
Interpublic Group(インターパブリック・グループ)
米国に本拠を置く大手広告代理店会社です。WPP、オムニコム、ピュブリシスと併せてビッグ4と呼ばれています。傘下にMcCann Erickson(マッキャエリクソン)を有します。日本の大手広告代理店の大広と提携しています。
DENTSU GROUP INC. (株式会社電通グループ)
日本を代表する広告代理店会社です。当時業界6位の英イージスグループを買収し、上位3社も射程圏内に入っています。
イージス買収のハイライト
- 2012年日本の最大手の広告代理店の電通 が英国の大手広告代理店のイージスグループを買収
- 買収金額は31億6400万ポンド。イージスの 終値に対して48%のプレミアム
- イージスは電通が手薄な東欧、中東、アフリカにてプラットホームを保有し、地域補完性が高い
- また、テレビ主体の電通に対して、イージスは デジタル広告にも強みを持ち、事業特性の補完性も期待できる
- 電通は、イージス買収に伴い提携先の世界大手広告代理店グループであるフランスのピュブリシスグループとの提携を解消
- イージスのFY2011年の売上と営業利益は1135百万ポンド、197百万ポンドと前年比増収増益を達成している
電通は2012年以降買収を加速しています。2012年のブラジルのラブ社、カナダのボス、・インドのタプルート社、2013年の米国ミッチェル・コミュニケーション・グループ、タイのブランドスケープ社、スペインの Wink 社、ルーマニアのキネクト社、中国のトリオ社、2014年は中国ベラウォム社、フランスのレ・モビリザーズ社、ブラジルのNBS社、カザフスタンのフィフティー・フォー・メディア社、インドのマイルストーン社、米国のロケット・インタラクティブ社、ポーランドの Socializer 社、ドイツの explido社、2015年はインドのWATコンサルト社、イスラエルのアバガダ・インターネット社、米国のアスリーツ・ファースト社、シンガポールのマンガム・ギャクシオーラ社、フランスのセイム・セイム社、2016年はブラジルのSEO会社のNVG Participacoes社、スペインの Groupo Alesport 社、オランダの Achtung BV 社、ニュージーランドの Barnes, Catmur & Friends社、チェコの Adexpres.com社を立て続けに買収しています。
Hakuhodo DY Holdings Inc. (株式会社博報堂DYホールディングス)
博報堂は、1895年に創業された日本の大手広告代理店です。
電通と博報堂は日本の広告業界を代表する2大企業ですが、それぞれに異なる強みがあります。博報堂の強みは以下の通りです。
クリエイティブ力、博報堂は「クリエイティブの博報堂」とも称されるほど、クリエイティブな広告制作に強みがあります。多くの著名なクリエイターを輩出しており、独自のアイデアやデザイン力で高評価を得ています。生活者発想博報堂は「生活者発想」をフィロソフィーとして掲げています。
デジタル領域の強化、博報堂はデジタルマーケティングにも力を入れており、特に「生活者データ・ドリブン・マーケティング」に注力しています。
インターネット広告の強み、博報堂はインターネット広告分野でも強みを持っており、サイバーエージェントに次ぐ業界第2位の売上を誇っています。これにより、デジタル領域での競争力を高めています。
Bluefocus Communication Group (藍色光標伝播集団)
中国最大級のPR会社です。
JCDecaux S.A.(ジーセードコー)
JCDecaux S.A.は、フランスのイル=ド=フランス地方ヌイイ=シュル=セーヌに本社を置く広告代理店です。
1964年にジャン=クロード・ドゥコーによって設立され、現在では世界70ヶ国以上で事業を展開しています。
2011年、JCDecauxは世界ナンバーワンの屋外広告会社となり、ストリートファニチャー、交通広告、ビルボード広告の3つの事業分野を展開しています。
Havas (ハバス)
パリに本拠を置く大手広告代理店です。フランスの大手メディア企業であるビベンディのグループ会社です。
ビベンディについて
ビベンディ(Vivendi)は、フランスを代表するメディアグループです。傘下にユニバーサルミュージック、ペイTVのCanal+、広告代理店のHavas、ソーシャルゲームのGameloft、イベント運営のVidendi Village、ビデオ配信プラットホームのDailymotion、出版社のEditisを有しています。投資会社のBollore(ボロレ)が主要株主です。さらに詳しく
Lamar Advertising (ラマー・アドバータイジング)
米国に本拠を置く屋外広告大手です。
Deloitte Digital (デロイトデジタル)
北米で事業をスタートしたDeloitte Digitalは、Ubermindなど複数のデジタルエージェンシーとの統合を通じて世界中に48のスタジオを展開し、世界で約17,000名の規模でコンサルティングを実施しています。クリエイティブとコンサルティングを組み合わせて支援を行います。
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