電炉業界の世界市場シェアや市場シェアの動向について分析をしています。ニューコア、ヒュンダイスチール、アルセロールミタル等の電炉業界世界大手の動向も掲載しています。
【電炉とは】
電炉法を用いて製造する鉄鋼は、ビルや自動車などが解体されて発生鉄スクラップを主原料とします。電炉法の性質上、鉄スクラップに含まれる不純物の除去が困難なので、電炉メーカーは自動車や事務機向けの高級鋼でなく、汎用品の普通鋼を製造しています。一方で、高炉よりCO2排出が少なくて済む、またリサイクルを促進するというメリットがあります。電炉には、通電の仕方によって電気アークによってスクラップ等の溶解を行う電気アーク炉とコイルを利用した誘電電気炉があります。
電炉の生産フロー
【電炉業界の世界市場シェア】
電炉メーカー各社の電炉粗鋼生産量を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2019年の電炉業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はニューコア、2位はヒュンダイスチール、3位はアルセロールミタルとなります。
電炉業界の世界市場シェア(2019年)
- 1位 Nucor(ニューコア) 4.41%
- 2位 Hyundai Steel(ヒュンダイスチール) 4.11%
- 3位 ArcelorMittal(アルセロールミタル) 3.17%
- 4位 Steel Dynamics(スチールダイナミクス) 1.64%
- 参照 KYOEI STEEL LTD.(共栄製鋼株式会社) 0.64%
【電炉業界の世界市場規模】
当サイトでは、各調査会社等の公表データを参考にし、電炉業界の2019年の市場規模(電炉世界生産量ベース)を524百万トンとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。業界団体の世界鉄鋼連盟によると、世界の2019年の同生産量は5.24億トンです。2019年の世界の粗鋼生産量が約18億トンであるため、約29%が電炉での生産となります。⇒参照したデータの詳細情報
【会社の概要】
ArcelorMittal(アルセロールミタル)
アルセロールミタルは、2006年に高級鋼に強い仏Arcelorと汎用鋼に強いインド発祥のMittal Steelが合併して誕生しました。群雄割拠が続く鉄鋼業界で群を抜く規模となっております。欧州老舗鉄鋼メーカーとアジアの新興鉄鋼メーカーが経営統合したという点も重要です。2016年にイタリア大手鉄鋼メーカーのイブラに買収提案しましたが撤退しました。2019年に日本製鉄とインドのエッサール・スチールを共同買収し、電炉事業も強化しております。旧ミタルの主力事業であった北米の製鉄事業は2020年にクーリブランド・クリフスへの売却をしました。売却対象資産には、高炉6拠点、鉄鋼製品加工8拠点、鉄鉱ペレット生産2拠点、コークス加工3拠点が含まれます。
Essar Steel(エッサー・スチール)
インドの大手財閥であるエッサーグループに属するインド最大の電炉メーカーでしたが、2019年にアルセロールミタルと日本製鉄が共同で買収を行いました。
Nucor(ニューコア)
数々の再編を経て、1972年に現在の名前に変更した米国に本拠をおく製鉄メーカーです。電炉を用いた粗鋼生産に特化し、高炉メーカーのUSスチールの生産量を上回っています。
Hyundai Steel(ヒュンダイスチール)
1953年創業の韓国最大の高炉・電炉メーカーです。Hビーム、レール、鉄筋、ホットコイル、圧延鋼、ステンレス等幅広い製品を手掛けています。現代自動車(ヒュンダイモーター)が親会社です。
Steel Dynamics(スチールダイナミクス)
1993年創業の米国大手の電炉メーカーです。
KYOEI STEEL LTD.(共英製鋼株式会社)
1947年に設立された電炉メーカーです。日本、ベトナム、カナダの3極で鋼材を生産しています。特に鉄筋コンクリート用棒鋼(鉄筋)に強みを持ちます。
日本の電炉メーカー一覧
東京製鐵、大和工業、中部鋼鈑、東京鐵鋼、朝日工業、伊藤製鉄所、清水鋼鐵、大谷製鉄、城南製鋼所、向山工場、千代田鋼鉄工業、三興製鋼、山口鋼業、岸和田製鋼、中山鋼業、拓南製鐵、新関西製鐵、大阪製鐵、合同製鐵、中山製鋼所、共英製鋼、王子製鉄、トピー工業、日鉄スチール、JFE条鋼、宇部スチールがあります。
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