タイムシェア・会員制リゾートクラブ業界の世界市場シェアの分析

タイムシェア・会員制リゾートクラブ業界の世界市場シェアや市場規模の情報について分析をしています。ウィンダム・デスティネーションズ、マリオット・バケーション・ワールドワイド、ヒルトン・グランド・バケーションズ、リゾートトラスト、ブルーグリーン・バケーションズ等の大手会員制リゾートクラブの動向も掲載しています。

【タイムシェアとは】

タイムシェア(バケーションオーナーシップ)とは、コンドミニアムやホテルの一定期間を利用する権利を購入し、他の利用権を有するメンバーとともに共同所有するというものです。別荘などを購入する費用に比べて初期費用が割安で、施設の管理はタイムシェアの管理会社が行うため、手軽に擬似セカンドハウスを利用できるサービスとして人気があります。

【市場シェア】

タイムシェア運営会社各社の2022年度の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2022年のタイムシェア業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はマリオット・バケーション・ワールドワイド、2位はトラベル・アンド・レジャー、3位はヒルトン・グランド・バケーションズとなります。

タイムシェア運営会社の世界市場シェア(2022年)

順位 会社名 市場シェア(2022年)
1位 マリオット・バケーション・ワールドワイド 25.05%
2位 トラベル・アンド・レジャー 20.58%
3位 ヒルトン・グランド・バケーションズ 6.91%
4位 ブルーグリーンバケーションズ 5.31%
5位 リゾートトラスト 1.80%
タイムシェア運営会社の世界市場シェアと業界ランキング(2022年) ©業界再編

タイムシェア業界の世界シェア(2022年)

世界1位はマリオット・バケーション・ワールドワイドです。バケーション・エクスチェンジと会員制リゾートを手掛ける会社で、シェラトンのタイムシェア事業を買収する等して成長したインターバル・レジャー・グループを2018年に買収しました。
2位はトラベル・アンド・レジャー (旧ウィンダム・デスティネーションズ)です。同社は、業界の老舗企業で、バケーション・エクスチェンジの世界大手RCIもグループ企業に有します。世界3位は、ヒルトン・グランド・バケーションズです。ハワイのオアフ島の同社タイムシェア施設は、日本人にも人気があります。2021年にダイアモンドリゾーツを買収して上位2社を追います。

【市場規模】

当データベースでは、各調査会社等の公表データを参考にし、タイムシェア業界の2022年の世界市場規模を173億ドルとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。

調査会社のビジネスリサーチインサイトによると、2022年の同業界の規模は173億ドルです。2028年にかけて年平均7.6%で成長し、同年には289億ドルへと成長をする見込みです。
調査会社の360 Market Updatesによると2021年の同業界の市場規模は180億ドルで、2027年にかけて年平均7.32%で成長し同年には275億ドルへと成長をする見込みです。

【M&Aの動向】

2018年  Marriott Vacations Worldwide(MVW)がILGを約47億ドルでの現金と株式取引により買収

2018年  ウィンダム・ワールドワイドは、ウィンダム・ホテルズ&リゾーツのスピンオフを完了し、ウィンダム・デスティネーションズに変更  

2021年  ヒルトン・グランド・バケーションズは、ダイアモンド・リゾーツ・インターナショナルの約14億ドルの株式ベースの買収を完遂

【会社の概要】

トラベル・アンド・レジャー(Travel + Leisure)

旧ウィンダム・デスティネーション(Wyndham Destinations, Inc.)です。2021年にTravel + Leisureを買収後、Travel + Leisureへと社名変更をしました。タイムシェア、貸別荘などのサービスを提供しています。
センダント(Cendant Corporation)から2006年にスピンオフして誕生したウィンダム・ワールドワイドを出自としています。ウィンダム・ワールドワイドは、ラマダやウィンダムブランドのホテルと会員制リゾートを展開しています。2012年にShell Vacations Clubを、2017年Love Home Swapを、2019年にAlliance Reservations Networkを買収する一方で、2018年に会員制リゾートに特化するウィンダム・デスティネーションズとホテル事業を展開するウィンダム・ホテルズ&リゾーツへ会社分割をしました。2021年にTravel + Leisureを買収しました。

トラベルレジャーとヒルトンのタイムシェア事業の比較

ウィンダムとヒルトンの成長の比較
ウィンダムとヒルトンの成長の比較 出所:ヒルトン

ウィンダムの過去の買収

1996年 Resort Condominiums International (RCI)
2001年 Wyndham Vacation Resorts
2002年 WorldMark by Wyndham
2002年 Equivest
2012年 Shell Vacations Club
2013年 Midtown 45, NYC Property
2014年 Raintree Vacation Club (5 Properties)
2017年 Love Home Swap
2017年DAE Global Pty Ltd
2019年 Alliance Reservations Network

マリオット・バケーション・ワールドワイド(Marriott Vacations Worldwide)

世界最大級のホテルチェーン傘下のタイムシェア会社です。マリオットグループは、2016年に同業のシェラトングループを買収し、マリオット、リッツカールトン、シェラトン、セントレジス、ウェスティン等のブランドを自社ブランド群に加えました。2018年に、バケーション・エクスチェンジに強みを持つインターバル・レジャー・グループを買収して事業規模の拡大を図っています。

マリオットグループの展開するブランド

マリオットグループのブランド一覧
マリオットグループのブランド一覧 出所:マリオット

インターバル・レジャーグループ(ilg)について

インターバル・レジャー・グループは、会員制レジャーサービスを提供する米国の会社でした。マリオットがスターウッドを買収する際、スターウッドはリゾート施設共同所有・利用システムを運営するタイムシェア事業部門「ビスタナ(Vistana)」の分社化し同社へ売却しています。

ヒルトン・グランド・バケーションズ(Hilton Grand Vacations)

ヒルトングループのタイムシェア事業です。日本でも人気です。中国のコングロマリットのHNAグループが25%の株式を取得したが、2018年に売却をしました。2021年にタイムシェア大手のDiamond Resorts International(ダイヤモンドリゾーツインターナショナル)を買収しました。

ヒルトンについて

米国に本拠を置く世界大手のホテルチェーングループです。2016年に海航集団(HNAグループ)が株式の25%を買収しましたが、その後売却しています。Hilton Hotels & Resorts、Waldorf Astoria、Conrad Hotels & Resorts、Canopy、Curio、DoubleTree by Hilton、Embassy Suites、Hilton Garden Inn、Hampton、Homewood Suites by Hilton等のブランドでホテルを展開しています。2021年にタイムシェア大手であるDiamond Resorts International(ダイヤモンドリゾーツインターナショナル)を買収しました。

ダイアモンドリゾーツ(Diamond Resorts)

米国に本拠を置くタイムシェア会社です。1992年の設立です。2016年に投資ファンドのアポログローバルマネジメントが買収しました。2021年にヒルトンが買収しました。

ブルーグリーン・バケーションズ(Bluegreen vacations、BXG)

米国に本拠を置くタイムシェア会社です。不動産やホテル等に投資を行う投資会社の BFC Financial Corporation社傘下企業です。

リゾートトラスト

1973年に設立された日本のタイムシェア大手です。エクシブというブランドで箱根や軽井沢などの自社リゾート施設においてタイムシェアを手掛けています。東急グループが手掛ける東急ハーヴェストクラブとともに業界大手です。

参照したデータの詳細情報について


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