通信タワー・テレコムタワー・電波塔業界の世界市場シェア、業界ランキング、市場規模について分析をしています。チャイナタワー(中国鉄塔)、アメリカンタワー、インダスタワーズ、セルネックス、クラウンキャッスル、IHSタワーといった通信タワー大手の概要や動向も掲載しています。
【通信タワー・テレコムタワー・電波塔について】
ビジネスモデルの図解
基本的には通信タワー業者が通信会社に保有する通信タワーを共有し、賃貸料を得るビジネスモデルです。共有の範囲に交換局の施設(基地局制御装置やコアネットワークなど)などが含まれる場合もあります。

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【通信タワー・テレコムタワー・電波塔業界の世界市場シェア+ランキング】
通信タワー・テレコムタワー・電波塔業界の2023年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2023年の通信タワー・テレコムタワー・電波塔業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はアメリカンタワー、2位は中国鉄塔、3位はクラウンキャッスルとなります。
通信タワー・テレコムタワー・電波塔業界の世界市場シェアと業界ランキング(2023年度)
順位 | Company name (English) |
会社名 | 市場シェア |
---|---|---|---|
1位 | American Tower Corporation | アメリカンタワー | 21.19% |
2位 | CHINA TOWER CORPORATION LIMITED | 中国鉄塔 | 19.97% |
3位 | CROWN CASTLE INC. | クラウンキャッスル | 12.42% |
4位 | Cellnex | セルネックス | 8.17% |
5位 | Indus Towers | インダスタワーズ (バーティ・エアテル) |
5.44% |
6位 | SBA Communications Corporation | SBAコミュニケーションズ | 5.16% |
7位 | HS Tower | IHSタワー | 4.04% |
8位 | Vantage Towers | バンテッジタワーズ | 2.21% |
9位 | Summit Digitel Infrastructure | サミット | 2.09% |
10位 | edotco | イードットコ | 1.06% |
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1位は、アメリカンタワーです。元々は、放送局向けのタワー会社でしたが、現在は通信タワーの米国最大手となっています。
米国市場は、同社と、3位のクラウン・キャッスル・インターナショナル 、6位のSBAコミュニケーションズで市場がほぼ寡占されています。
2位は中国のチャイナタワーです。独立系の通信タワー会社の中では突出しています。同社は、2015年にチャイナ・モバイル、チャイナ・ユニコム、チャイナ・テレコムの3社のタワー設備が移管されて設立されています。2018年に、株式を上場しました。
4位はスペインに本拠を置くセルネックス。
5位はインドのインダスタワーズです。同社は、バーティ・エアテルとボーダフォンの合弁会社です。
7位はアフリカに本拠を置くIHSタワーです。
【通信タワー・テレコムタワー・電波塔業界の世界市場規模】
当データベースでは、2023年の通信タワー・テレコムタワー・電波塔業界の市場規模を526億ドルとしております。参照した各種調査データは次の通りとなります。
調査会社ザ・ビジネス・リサーチ・カンパニーによると、2023年の同業界の市場規模は526億ドルです。2024年から2028年にかけて年平均11.6%で成長し、規模は921億ドルへと拡大することを見込んでいます。⇒参照したデータの詳細情報
年 | 市場規模 | 成長率見込み |
---|---|---|
2023年 | 526億ドル | – |
2028年 | 921億ドル | 年平均11.6% |

日本の場合、NTTドコモの基地局数は16万局程度と推計されます。
5Gへの今後の巨額の設備投資を踏まえ、中国方式でNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク等の各携帯電話キャリアがそれぞれ設備投資を行うよりも、各会社から電波塔事業を切り出して、通信タワー保有会社を設立することは、資産圧縮や設備投資の効率化という観点からも戦略的な打ち手として検討の価値があると言われています。
2019年に独立系のJTOWERが上場をしました。
【M&Aの動向】
2012年 セルネックスがテレフォニカから通信タワー事業を買収
2013年 アメリカンタワーがGlobal Tower Partnersを買収
2017年 クラウンキャッスルがLightowerを買収
2017年 クラウン・キャッスル、ウィルコンの買収を完了
2018年 Bharti Infratel と Indus Towers の合併: 全インドの上場タワー会社の誕生
2018年 インダスタワーズが誕生
2020年 サミットがタワーコムを買収
2024年 フェニックス・タワー・インターナショナルがアイルランドにおけるCellnex事業の100%を買収
【会社の概要】
CHINA TOWER CORPORATION LIMITED (チャイナ・タワー、中国鉄塔)
2015年にチャイナ・モバイル、チャイナ・ユニコム、チャイナ・テレコムの3社のタワー設備が移管されて設立された世界最大の通信タワー会社です。2018年に香港証券取引所に株式を上場しています。
American Tower Corporation (アメリカンタワー)
ラジオ放送大手のAmerican Radio Systems(アメリカン・ラジオ・システムズ)の1部門として、1995年に放送局向けの電波塔事業として設立されました。その後合併等を経て、独立系の通信タワー事業者として、メキシコやブラジル等の南米やアジア地域を含め積極的な世界展開を行なっています。マルチテナント型のアンテナリースが特徴です。
Indus Towers Limited (インダスタワーズ)
2007年に設立されたバーティ・エアテルとボーダフォンの合弁会社です。インド国内での携帯事業の再編に合わせて、2018年にバーティ・インフラテルと経営統合しました。
CROWN CASTLE INC. (クラウンキャッスル)
米国の本拠を置く通信タワー会社です。ワイヤレス通信用のタワーやその他インフラを所有するほか、運営、リースも手掛けています。
GD Tower (GDタワー)
ドイツのドイツテレコム傘下の通信タワー子会社です。旧ドイツ・フンクトゥルム(Deutsche Funkturn)です。スペインの高速道路運営管理会社であるアベルティス傘下の通信タワー会社Cellnex(セルネックス)が、英国、フランス、イタリア、オランダ、スイスの通信タワー会社を積極的に買収しており、GDタワーの今後の買収戦略が注目されています。
edotco(イードットコ)
マレーシアに本拠を置く通信タワー会社です。マレーシアの通信大手であるAxiata傘下です。2012年の設立以来、マレーシア、バングラデシュ、カンボジア、スリランカ、ミャンマー等の地域へ積極的に進出しています。日本の政府系ファンドである産業革新機構も投資を行っています。
IHS Tower (IHSタワー)
アフリカの本拠を置くタワー会社です。現地の通信キャリアであるMTNやEtisal等に通信タワーを提供しております。2021年にNY証券取引所に上場しました。
GTL Infrastructure Limited (GTLインフラストラクチャー、GTL Infra)
インドに本拠を置く通信タワー会社です。2004年に設立されました。エアセルの通信設備を買収して成長しています。
SBA Communications Corporation (SBAコミュニケーションズ)
SBAコミュニケーションズは、米国の無線通信インフラ提供会社です。無線通信タワー、屋上など無線通信用アンテナタワーなどのリースを行なっています。
Summit Digitel Infrastructure (サミットデジテルインフラストラクチャー)
インドに本拠を置く通信タワー会社です。旧リライアンス・ジオ・インフラテルです。タワーコムの基地局事業を引継ぎました。
Towercom (タワーコム)
インドに本拠を置く通信タワー会社です。リライアンス・コミュニケーションズ傘下でしたが、同社が携帯電話事業から撤退することを受け、リライアンス・ジオに基地局事業の売却を発表しました。
Cellnex (セルネックス)
スペインに本拠を置く通信タワー会社です。スペイン通信大手のアベルティス傘下の通信タワー会社でしたが、2015年に分社化上場を果たし上場をしました。イタリアのベネトン家の資産運用会社であるエディツィオーネ・ホールディングが大株主です。
Vantage Towers (バンテッジタワーズ)
ドイツに本拠を置く通信タワー会社です。ボーダフォンが大株主となっています。
JTOWER(ジェイタワー)
2012年に設立された通信タワーの運営会社です。2019年に上場をしました。