HP(ヒューレット・パッカード)は、1939年にウィリアム・ヒューレットとデビッド・パッカードによって設立された米国が誇るIT業界の巨人です。パソコン、プリンター、コピー機、ストレージの分野では世界最大級です。2015年に法人向けサーバー事業が中心の「Hewlett Packard Enterprise」と、PCやプリンティング事業が中心の「HP Inc.」へと分社化されました。
2019年度
売上高は58,756百万ユーロで、前年度とほぼ同額となりました。営業利益は3,877百万ユーロになりました。営業利益率は7%になりました。売上高の増加は主に、パーソナルシステムズセグメントのノートブック、デスクトップおよびワークステーションの成長によってもたらされました。粗利率は0.8ポイント増加しましたが、これはサプライチェーンコストの低下によるものです。
2020年度
売上高は56,639百万ユーロで、前年度比4%減となりました。営業利益は3,462百万ユーロになりました。営業利益率は6%になりました。売上高の減少は、企業が休業を続け会社員が在宅勤務を続けたことによる需要の弱さが原因ですが、ノートブックの堅調な需要によって部分的に相殺されました。
2021年度
売上高は63,460百万ユーロで、前年度比12%増となりました。営業利益は5,359百万ユーロになりました。営業利益率は8%になりました。売上高の増加は、在宅勤務や遠隔学習による旺盛な需要に引き起こされ、主にノートブック、消耗品、消費者向けおよび商業印刷の成長と為替変動の影響によってもたらされました。粗利率は2.7ポイント増加しました。これは主に、プロモーション費用の減少、為替変動の影響、価格調整によって引き起こされました。
2022年度
売上高は62,910百万ユーロで、前年度比1%減となりました。営業利益は4,559百万ユーロになりました。営業利益率は7%になりました。売上高の減少は主に、為替変動の影響、消耗品、ノートブック、消費者向け印刷の減少により引き起こされましたが、デスクトップ、ワークステーション、その他の個人用システムの増加により部分的に相殺されました。粗利率は1.5ポイント減少しました。これは主に、為替変動の影響と、商品コストを含むコストの増加によるものです。
2023年度
売上高は53,718百万ユーロで、前年度比15%減となりました。営業利益は3,456百万ユーロになりました。営業利益率は6%になりました。売上高の減少は主に、パーソナル システムズセグメントとプリンティングセグメントの両方における需要の低迷と為替の影響、およびパーソナルシステムズセグメントの平均販売価格の低下によって引き起こされました。粗利率は1.9ポイント増加しました。これは、主にプリンティングセグメントへのミックスシフトと、パーソナルシステムズセグメントにおける商品および物流コストの低下によるものです。
2022年第4四半期(8ー10月)
売上高は14,728百万ユーロになりました。営業利益は650百万ユーロ、営業利益率は4%になりました。
2023年第1四半期(11ー1月)
売上高は13,828百万ユーロになりました。営業利益は765百万ユーロ、営業利益率は6%になりました。
2023年第2四半期(2ー4月)
売上高は12,913百万ユーロになりました。営業利益は762百万ユーロ、営業利益率は6%になりました。
2023年第3四半期(5ー7月)
売上高は13,196百万ユーロになりました。営業利益は952百万ユーロ、営業利益率は7%になりました。
2023年第4四半期(8ー10月)
売上高は13,817百万ユーロになりました。営業利益は1,014百万ユーロ、営業利益率は7%になりました。
希薄化後EPSは前年度比9%増の3.26ユーロになりました。1株当たりの配当は前年度比5%増の1.05ユーロになりました。配当性向は32%になりました。
セグメントは、パーソナルシステムズ、プリンティングに分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。
パーソナルシステムズ
デスクトップPC、ノートPC、ワークステーション、シンクライアント、業務用モビリティデバイス、小売用POSシステムなどを提供しています。
プリンティング
消費者向けおよび業務用プリンタのハードウェア、サプライ品、サービス、ソリューションを提供しています。
パソコンやプリンター事業に関連するハードやソフトウェアの会社を中心に買収を積極的に行っています。
2001年 コンパックを買収
2005年 エレクトロニック・データ・システムズ(EDS)を買収
2011年 イギリスのオートノミーを買収
2015年 HPとHPエンタープライズへの分社化
2015年 モバイル企業向けのネットワークアクセスを専門とするネットワーキングソリューション企業 Aruba Networks の買収を発表
2016年 サムスンのプリンター事業を買収
2017年 ストレージ大手Nimble Storageを買収
2017年 SimpliVityを買収
2020年 ゼロックスがHPへの買収を発表(その後断念)
2021年 ヘッドセット、キーボード、マウス、コンソール プレーヤー用の充電アクセサリ、およびマウスパッドなどを製造する HHyperXを買収
2021年 コンピュータをリモートからアクセスして表示する技術を提供する Teradici の買収を発表
2022年 プラスチックゼロの紙ボトルを発明したことで知られるパッケージング開発会社 Choose Packaging の買収を発表
2022年 ヘッドセット、スピーカーフォン、会議システム、卓上電話など、企業向けのオーディオおよびビデオ機器を設計、製造、販売している Poly の買収を発表
物言う株主として有名なカールアイカーン氏率いるアイカーンアソシエイツが上位株主となっています。ゼロックスとの統合など経営戦略への活発なアプローチを行っています。
2022年4月にウォーレン・バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイが株式を取得し、筆頭株主となっています。