シリコーン業界の世界市場シェアの分析

シリコーン業界の世界市場シェアと市場規模の情報について分析をしています。エボニック、ダウシリコーン、ワッカーケミー、KCC、エルケムといったシリコーン業界大手企業の概要や動向も掲載しています。

【シリコーン(Silicone)とは】

本記事で取り扱うシリコーン(Silicone / 有機ケイ素化合物)は、天然には存在しない人工の合成高分子化合物(ケイ素樹脂)です。優れた耐熱性・高温安定性・耐薬品性・電気絶縁性・柔軟性・撥水性を兼ね備えており、幅広い産業・生活分野で活用されています。

主な用途

建築・住宅: 水槽や建築物の防水用シーラント、ガスケット、シール材
自動車・工業: ラジエーターホース、自動車用ワックス、各種コーティング剤、接着剤
電子・電気: 電気絶縁樹脂ワニス
医療・ヘルスケア: 人工器官、カテーテル
生活・日用品: ウレタンフォーム、化粧品添加剤、眼鏡用プラスチックレンズ

また、「シリコーン(Silicone)と名称が似ており混同されがちな「シリコン(Silicon)」は、化学的構造も用途も全く異なる素材です。

シリコン(Silicon / ケイ素)は、元素記号「Si」で表される無機物の元素そのものです。地球の地殻中に酸素に次いで豊富に存在し、主に二酸化ケイ素(SiO₂)やシリケート鉱物の形で産出されます。

主な用途

高純度に精製されたものが、半導体基板(シリコンウエハ)や太陽電池(多結晶シリコン)の主原料として利用されます。

シリコンウエハ業界の世界市場シェアの分析

【市場シェア】

シリコーン業界企業の2025年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2025年のシリコーン業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はエボニック、2位はダウシリコーン、3位はワッカーケミーとなります。

順位 Company name(English) 企業名(日本語) 市場シェア
1位 Evonik Industries AG エボニック 26.41%
2位 Dow Silicone ダウシリコーン 20.24%
3位 Wacker Chemie ワッカーケミー 13.14%
4位 KCC KCC 8.51%
5位 Elkem エルケム 5.91%
シリコーン業界の世界市場シェアと業界ランキング(2025年) ©2026 Deallab

シリコーン業界の市場シェア(2025年) ©2026 Deallab

業界1位は、エボニック(Evonik Industries AG)です。

特殊化学品に強みを持つエボニックは、特殊シリコーン添加剤やシランカップリング剤の領域で高い世界シェアを維持しています。事業の選択と集中を進めており、コーティング・接着剤用樹脂などの周辺事業を再編しつつ、成長分野であるリチウムイオンバッテリー向け絶縁塗膜材料や、持続可能な高機能添加剤への投資を加速させています。

2位は、ダウシリコーン(Dow Silicone)です。

ダウは、再生可能エネルギーや電気自動車(EV)などの高成長市場を中心にシリコーン製品の提供を拡大し続けています。太陽光発電モジュール組み立て用シリコーンシーラントの製品開発や、EV・ハイブリッド車(HEV)の電子機器用途向けシリコーン製品の開発を進めるほか、シリコーンリサイクル施設を開設するためのパートナーシップを発表するなど、製品のリサイクルと循環型社会(サーキュラーエコノミー)の実現に向けて前進しています。

3位は、ワッカーケミー(Wacker Chemie)です。

ワッカーケミーのシリコーン部門(WACKER SILICONES)は、近年の世界的な価格下落や需要減退の影響を受けつつも、高付加価値な特殊シリコーン領域での巻き返しを図っています。特に中国の張家港工場において、特殊シリコーンの製造能力拡大に向けた大型投資を推進しており、アジア市場におけるエレクトロニクスやパーソナルケア向けの需要増加に対応しています。

4位は、KCC(KCC Silicone)です。

韓国の建築材料・化学大手であるKCCは、シリコーン事業(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ等の買収・統廃合を含む)の統合を推し進め、世界市場での存在感を急速に高めています。自動車、エレクトロニクス、パーソナルケア向け高機能シリコーンの自社供給網を強化するとともに、アジアおよびグローバル市場でのシェア拡大を図っています。

5位は、エルケム(Elkem)です。

エルケムは、厳しい市場環境と市況の逆風を受け、シリコーン生産能力の再編および最適化を断行しました。不況を乗り切るためのコスト削減や生産効率化を進める一方で、高付加価値な特殊シリコーン用途へのシフトと、シリコーン事業以外の持続可能なシリコン素材・新エネルギー素材分野での地位向上に向けた構造改革を進めています。

【市場規模】

当データベースでは、2025年のシリコーン業界の市場規模を243億ドルとしています。参照にした各種統計データは次の通りです。

調査会社のグランビューリサーチによれば、2025年の同業界の市場規模は243億ドルです。2026年から2033年にかけて年平均5.4%で成長し、規模は373億ドルへと拡大することを見込んでいます。

市場規模 年平均成長率
2025 243億ドル
2026 258億ドル
2033 373億ドル 5.4%

シリコーン業界の市場規模の成長予想 ©2026 Deallab

【M&Aの動向】

2024年
特殊化学製品を生産するWacker Chemieが、シリコン材ヘルスケア製品に関する専門知識を持つBio Med Sciencesの一部事業とノウハウを買収

2024年
化学製品や建材を製造するKCCが、高性能シリコーンおよび特殊化学ソリューションを提供するMomentive Performance Materialsを買収

2024年
ポリマーの開発をするTrelleborgが、高度な精密シリコン部品の製造で知られるBaron Groupの買収を合意

2024年
ヘルスケア製品とソリューションの開発に注力するNuance Medicalが、Biocorneumのシリコーン治療ジェルブランドを買収

2022年
特殊化学品の製造などを行うDGLが、化学製品の製造を専門とするFlexichemを買収

2021年
材料開発を専門とするRogersが、シリコーン材料製品を製造するSilicone Engineeringを買収

2020年
シリコンベースの材料を提供するElkemが、シリコーンエラストマーおよび樹脂材料メーカーであるPolysilを買収

2016年
Dow Chemical(ダウ)による Dow Corning(ダウコーニング)の完全子会社化

2013年
特殊化学品会社Innospecが、シリコンベースの原料と材料の製造を専門とするChemsil Siliconesを買収

2013年
特殊化学品会社Innospecが、特殊工業材料の販売代理を行うChemTecを買収

2011年
熱可塑性プラスチック業界向けに高性能添加剤、着色剤、投与技術を提供する ColorMatrix Corp が、シリコーンベースの分散剤、着色剤、添加剤の製造を行うGayson Silicone Dispersionsを買収

【会社の概要】

エボニック(Evonik Industries AG)

ドイツのエッセンに本拠を置く、世界有数の特殊化学品メーカーです。2007年に旧RAGグループの化学・エネルギー・不動産事業が再編されて発足しました。汎用シリコーンの大量生産ではなく、塗料・コーティング用添加剤、ポリウレタンフォーム用整泡剤、化粧品用シリコーン、離型剤、シランカップリング剤など、高付加価値な特殊シリコーンおよび機能性添加剤の分野で圧倒的なグローバルシェアを誇ります。さらに詳しく

ダウシリコーン(Dow Silicones)

米国ミシガン州ミッドランドに本拠を置く化学大手ダウ(Dow Inc.)のシリコーン事業部門です。もともとは米ダウ・ケミカルとガラス製造大手コーニング社による合弁会社「ダウコーニング(Dow Corning)」として発足し、長年にわたり業界を牽引してきました。2016年にダウがコーニングの持分を取得して完全子会社化し、現在はダウの「コンシューマー・ソリューションズ」セグメントの中核として、建築、自動車、電子部品、ヘルスケア、再生可能エネルギー向けに高度なシリコーン技術を展開しています。さらに詳しく

ワッカーケミー(Wacker Chemie AG)

1914年に創業し、ドイツ・ミュンヘンに本拠を置く大手化学メーカーです。創業者アレクサンダー・ワッカーが創設し、アセトアルデヒド合成技術である「ワッカー法」の開発で世界的に知られています。シリコーンゴムやシリコーンレジンを製造する「WACKER SILICONES」部門のほか、半導体・太陽電池向けの多結晶シリコン(WACKER POLYSILICON部門)でも世界トップクラスのシェアを持ちます。なお、半導体ウエハ子会社であったシルトロニック(Siltronic)の株式は段階的に売却・削減され、非連結化されています。さらに詳しく

KCC(KCC Corporation / KCC Silicone)

1958年に設立された、韓国・ソウルに本拠を置く総合建材・化学メーカーです。建築材料や自動車・船舶用塗料、電子材料を展開する一方で、韓国初のシリコーンモノマー自社生産工場を建設するなどシリコーン事業を強化してきました。2019年には米大手モメンティブ(Momentive Performance Materials、旧GEシリコーン)を買収するコンソーシアムを主導し、その後のグループ内再編を経て、建築用シーリング材から自動車、電子機器、化粧品原料に至る高機能シリコーンの世界大手として地位を確立しています。さらに詳しく

エルケム(Elkem ASA)

1904年に創業し、ノルウェー・オスロに本拠を置く金属・先端材料メーカーです。原料となる金属ケイ素(シリコン)から高品質な有機シリコーン製品までを一貫して扱う垂直統合型の強みを持ちます。2011年に中国の政府系大手化学メーカーである中国化工集団(ChemChina、現Sinochemグループ)傘下の中国藍星(China National Bluestar)の完全子会社となり、旧ブルースターのシリコーン事業を統合しました。2018年にはオスロ証券取引所に再上場を果たしており、医療、建築、パーソナルケア、自動車分野向けにグローバル展開を続けています。さらに詳しく

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