シリコーン業界のの世界市場シェア・売上高ランキング・市場規模・M&A(合併買収)について分析しています。ダウシリコーン、ワッカーケミー、エルケムといったシリコーン業界大手企業の概要や動向も掲載しています。
【シリコーン業界とは】
シリコーン(silicone)は、高温安定性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性などの優れた特性を持つため、水槽の水漏れ防止用のシーラント、建築用ガスケット、コーティング剤、シール材、人工器官、カテーテル、電気絶縁樹脂ワニス、ウレタンフォーム、自動車のワックス、化粧品、ラジエーターホース、接着剤、眼鏡用プラスチックス・レンズ等、多岐にわたる用途で利用されています。。シリコン( silicon)と混同しがちですが、シリコンはケイ素(Si)の事を指し、主に半導体の主原料として利用されています。シリコンは地球の地殻に豊富に存在し、主に二酸化ケイ素(SiO₂)やシリケート鉱物の形で見つかりますが、シリコーン(silicone)は、天然には存在しない合成された有機化合物(ケイ素樹脂)です。
シリコーンとシリコン
シリコン( silicon)とは、ケイ素(Si)の事を指す。半導体の主原料です。酸化シリコン(シリカ)は、土中に大量にある(珪砂・珪石といった砂の主成分)です。石英(水晶)の主成分もシリカです。シリコーン(silicone)は、天然には存在しない合成された有機化合物(ケイ素樹脂)です。接着剤やコーティング・塗料の主原料となっています。
シリコーンとシリコンの作り方の違い
クオーツ石英から金属シリコンを製造するまでの仮定は同じです。その後ハロゲン化アルキルと化学反応させ得られたシラン化合物を加水分解してシリコーンポリマーを製造します。
シリコーンの用途
シリコーンは、水槽の水漏れ防止用のシーラント、建築用ガスケット、コーティング剤、シール材、電気絶縁樹脂ワニス、ウレタンフォーム、自動車のワックス、化粧品、ラジエーターホース、接着剤、眼鏡用プラスチックス・レンズ等に使われています。
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【市場シェア】
シリコーン業界企業の2023年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2023年のシリコーン業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はダウシリコーン、2位はワッカーケミー、3位はエルケムとなります。
モメンティブは、2024年にKCCに買収され、下の表からは除外しております。
シリコーンメーカーの世界市場シェアと業界ランキング(2023年)
順位 | Company name (English) |
会社名 | 市場シェア |
---|---|---|---|
1位 | Dow Silicone | ダウシリコーン | 84.52% |
2位 | Wacker Chemie | ワッカーケミー | 10.61% |
3位 | Elkem | エルケム | 4.87% |
業界1位はダウシリコーンです。太陽光発電モジュール組み立て用シリコーンシーラントの製品開発や、電気自動車およびハイブリッド電気自動車の電子機器用途向けシリコーン製品の開発、さらに、シリコーンリサイクル施設を開設するための提携を発表するなど、再生可能エネルギーや電気自動車などの高成長市場を中心に、シリコン製品の提供を拡大し続け、シリコンのリサイクルと循環性に向けて前進しています。
業界2位はワッカーケミーです。シリコーン部門は、価格と販売量の低下により、2023年の売上高が前年比21%減となりました。中国の張家港工場における特殊シリコーン製造能力の拡大に1億5,000万ユーロを投資すると発表しました。特殊シリコーンに対する中国での顧客需要の高まりに対応し、巻き返しを図っています。
業界3位はエルケムです。市場の逆風によりシリコーン事業で厳しい年を迎えましたが、不況を乗り切るために、シリコーン生産能力を削減する計画を建てました。シリコーン事業以外の部門でエルケムの地位を維持しようと対策を講じています。
【市場規模】
当データベースでは、2023年のシリコーン業界の市場規模を199億ドルとしています。参照にした各種統計データは次の通りです。
調査会社のマーケッツアンドマーケッツによれば、2023年と2024年のシリコーン業界の市場規模は199億ドルと215億ドルです。2029年までに年平均8.0%で成長し、同年には315億ドルへと規模が拡大すると予測しています。⇒参照したデータの詳細情報
年 | 市場規模 | 成長率見込み |
---|---|---|
2023年 | 190億ドル | – |
2024年 | 215億ドル | 8% |
2029年 | 315億ドル | 8% |
【M&Aの動向】
2011年 熱可塑性プラスチック業界向けに高性能添加剤、着色剤、投与技術を提供する ColorMatrix Corp が、シリコーンベースの分散剤、着色剤、添加剤の製造を行うGayson Silicone Dispersionsを買収
2013年 特殊化学品会社Innospecが、シリコンベースの原料と材料の製造を専門とするChemsil Siliconesを買収
2013年 特殊化学品会社Innospecが、特殊工業材料の販売代理を行うChemTecを買収
2021年 材料開発を専門とするRogersが、シリコーン材料製品を製造するSilicone Engineeringを買収
2022年 特殊化学品の製造などを行うDGLが、化学製品の製造を専門とするFlexichemを買収
2024年 特殊化学製品を生産するWacker Chemieが、シリコン材ヘルスケア製品に関する専門知識を持つBio Med Sciencesの一部事業とノウハウを買収
2024年 化学製品や建材を製造するKCCが、高性能シリコーンおよび特殊化学ソリューションを提供するMomentive Performance Materialsを買収
2024年 ポリマーの開発をするTrelleborgが、高度な精密シリコン部品の製造で知られるBaron Groupの買収を合意
2024年 ヘルスケア製品とソリューションの開発に注力するNuance Medicalが、Biocorneumのシリコーン治療ジェルブランドを買収
【会社の概要】
ワッカーケミー(Wacker Chemie)
1914年に創業したドイツに本拠を置く化学メーカーです。アセトアルデヒドの合成においてワッカー法を生み出しました。多結晶シリコン以外にもシリコーンの分野に強みを持ちます。日本では旭化成と旭化成ワッカ-シリコーンで事業を展開しています。シリコンウエハを手掛けていたシルトロニックは2021年にグローバルウェーハズに売却しました。さらに詳しく
Dow (ダウシリコーン)
米国に本拠を置くシリコーン技術に強みを持つ化学メーカーです。米国の化学大手ダウケミカルとガラス材メーカーのコーニング社による合弁企業(ダウコーニング)でしたが、集団訴訟により1995年に破産しました。その後2016年にダウが合弁会社の持ち分をコーニングより買収し、現在はダウケミカルの完全子会社となりました。
ダウについて
ダウは、1897年にHerbert Henry Dow氏によって設立された米国に本拠を置く世界最大級の総合化学メーカーです。祖業は漂白剤と臭化カリウムです。その後、ユニオンカーバイド(Union Carbide)やローム・アンド・ハースの買収を通じて成長しました。2015年に米同業のデュポンと経営統合しましたが、2019年に素材事業を担う新生ダウ、特殊産業材のデュポン、農薬のコルテバアグリサイエンスへと分社化されました。シリコーンはダウシリコーンが展開しています。コーティング剤、プラスチック、アクリル樹脂原料・メチルメタクリレートにも強みを持ちます。さらに詳しく
Elkem
ノルウェーに本拠をおくシリコン大手Elkem傘下のシリコーン会社です。中国の政府系大手化学メーカーのケムチャイナ(China National Chemical Corporation)グループのBluestar(ブルースター)傘下に入っています。
モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(Momentive Performance Materials)
GEのシリコーン事業GE Advanced Materialsが分社化して誕生しました。2014年にチャプター11を申請後、アポロマネジメントが組成したMPM Holdings傘下となりましたが、2018年に韓国系のコンソーシアムであるWonik QNC、KCC Corporation、SJL Partnersが31億ドルで買収しました。
信越化学
信越化学は1926年に創業された日本を代表する化学メーカーです。旭化成、積水化学、積水ハウスと同じ源流である日本窒素肥料(現チッソ)の関連会社として誕生しました。同社のアニュアルレポートによれば、塩化ビニル樹脂、シリコンウエハ、先端品フォトマスクブランクス、フェロモン製剤では世界1位です。セルロース、シリコーンでも世界大手となっています。半導体ウエハはSUMCOと二強体制となっています。さらに詳しく
ケムチャイナ
中国化工集団(ケムチャイナ、ChemChina、China National Chemical Corporation )はRen Jianxin(任建新)氏によって設立されたChina National Blue Star Corp(藍星) と China Haohua Chemical Industrial Corp(昊華)が2004年に経営統合して誕生した中国政府系の化学メーカーです。中国政府が100%株式を保有しています。農薬、ゴム、シリコーンや機能性化学等の分野で事業展開しています。2016年から寧高寧氏がシノケムとケムチャイナのCEOとなり、2021年に国営化学会社のシノケムと経営統合、中国中化(シノケム)ホールディングス傘下になりました。続きを読む
参照したデータの詳細情報について
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