時計業界の世界市場シェアの分析
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時計業界の世界市場シェアの分析

時計業界の世界市場シェアと市場規模の分析をしています。ロレックス、アップルウォッチ、スウォッチ、フォッシル、セイコーといった大手時計メーカーの概要や動向も掲載しています。

【時計業界について】

本データベースでは、時計の中でも特に腕時計の市場規模を採用し、市場シェアや業界ランキングを分析しています。

時計のムーブメントには大きく分けて機械式とクオーツ(水晶振動子)式に分かれます。機械式の動力はゼンマイ(ゼンマイ時計と言われる場合が多い)、クオーツの場合は電池となります。さらにクオーツでも文字盤に針があるアナログウォッチと電子的な表示であるデジタルウォッチに分かれます。

また、腕時計は価格帯で分けられることも多く、平均単価が数百万円のハイエンドブランド、数十万円のミドルレンジ、数万円のローレンジで分類されます。

近年ではスマホと連動したスマートウォッチが急成長しており、ビジネス・プライベート両方で需要が高まっています。

【時計業界の世界市場シェア】

時計メーカー各社の2022年度の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2022年の時計業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はアップル、2位はロレックス、3位はスウォッチとなります。⇒参照したデータの詳細情報

時計業界の世界市場シェアと業界ランキング(2022年)

順位 会社名 市場シェア
1位 Apple(アップル*) 19.69%
2位 Rolex(ロレックス*) 13.71%
3位 Swatch(スウォッチ) 10.95%
4位 Richemont(リシュモン) 5.46%
5位 Fossil(フォッシル) 2.37%
6位 Casio(カシオ) 1.93%
7位 Citizen(シチズン) 1.84%
8位 Seiko(セイコー) 1.76%
9位 FIYTA(飛亜達) 0.98%
時計メーカーの世界市場シェアと業界ランキング(2022年) ©ディールラボ

*は推定データを使用

時計業界の世界市場シェア(2022年)

1位はアップルウォッチを販売しているアップルです。2014年の発表以降、機能性だけでなくファッション性も兼ねそろえたスマートウォッチとして世界中で販売数を伸ばし続けています。

2位〜4位までスイスの時計メーカーがランキングを占めています。スイスで時計の製造業が発展した理由に、温暖な気候と綺麗な水が挙げられます。精密機械である腕時計は温度や湿度の変化に弱く、洗浄に綺麗な水が必要ですが、アルプス山脈に囲まれた山岳地帯スイスでは、温度差が少なく年間を通じて降水量も少なめです。さらに綺麗な雪解け水を利用できるため、腕時計の製造には最適だと言われています。

また、スイスで時計業が発展した理由には歴史的背景もあります。16世紀に宗教の弾圧を受けたフランスの時計職人たちがスイスに移住したことを由来に発展を始めました。さらに、第二次大戦中に永世中立国として軍事用の時計を各国に輸出し続けたことで技術を受け継いだと言われています。

日本企業では、シチズン、セイコー、カシオがランクインしています。

世界三大高級時計メーカーと日本勢

独立系ではPatek Philippe(パテック・フィリップ)とAudemars Piguet(オーデマ・ピゲ)、Richemont(リシュモン)傘下のVacheron & Constantin(ヴァシュロン・コンスタンタン)が世界の三大高級時計メーカーと言われています。

シチズン、セイコー、カシオが日本の三大有力時計会社です。特にシチズンはM&Aを通じて得意でない価格帯の時計事業を買収し、総合時計メーカーとしてグローバル展開を図っています。

【時計業界の市場規模】

当データベースでは、市場シェアを計算するにあたり、腕時計の市場規模を711億ドルとしています。参照した各種統計データは次の通りです。

調査会社のアイマークグループによれば、2022年の同市場規模を711億ドルとしています。2023年から2028年にかけての年平均成長率は5%で、2028年には986億ドルへと成長する見込みです。

調査会社のスタティスタによれば、2023年の同市場規模を757.5億ドルと予測しています。2026年にかけての年平均成長率は4.44%です。

調査会社のモルドール・インテリジェンスによれば、2023年の同市場規模は1010.5億ドルになると予測しています。2028年にかけての年平均成長率は5.16%です。⇒参照したデータの詳細情報

スマートウォッチの市場と主要企業

近年ではスマートウォッチが腕時計業界の中でシェアを伸ばしています。スマートフォンとペアリングができたり、スケジュール管理や健康管理など複数の機能を搭載していたりと、従来の腕時計にはないメリットが多数あります。特にヘルスケア・スポーツ分野での需要が高まっています。

調査会社のモルドール・インテリジェンスによると、2023年のスマートウォッチの出荷台数は1億3412万台になると予測しています。同年から2028年にかけて年平均27.78%で成長すると見込んでおり、2028年には4億5689万台の出荷を見込んでいます。

スマートウォッチの主要プレーヤーとして、アップル、サムスン、フィットビット、ガーミンなどが挙げられます。

参照したデータの詳細情報

さらに業界に詳しくなるための書籍と関連サイト

ロレックス神話
やさしい水晶のおはなし―水晶デバイス開発・企業化における先達の足跡
ラグジュアリー・高級ブランド業界の世界市場シェアの分析

【M&Aの動向】

2010年 米国の時計メーカーBulova Corporation(ブローバ)を買収
2012年 スイスの時計メーカーProthor Holding SA(プロサーホールディング)を買収
2016年 スイスの時計メーカーのフレデリック・コンスタントホールディングを買収
2017年 CVCキャピタルが Breitling(ブライトリング) の過半数持分を買収
2021年 パートナーズグループがブライトリングに出資                               2023年 ロレックスが時計小売店のBucherer(ブヘラ)を買収予定と発表

【会社の概要】

Apple(アップル)

Apple(アップル)は、故スティーブ・ジョブズ氏が設立した米国を代表するメーカーです。Mac、iPhone、iPad、アップルウォッチといった革新的なハードウェア、独自のCPU、iTunesやiOSといった洗練されたソフトウェアが高度に融合させる独創的なビジネスモデルが特徴です。アップルペイで金融決済も手掛けることでアップル経済圏を構築しつつあります。さらに詳しく

Rolex(ロレックス)

1881年にハンス・ウィルスドルフ (Hans Wilsdorf)氏によって創業された高級腕時計メーカーです。現在も「ハンス・ウィルスドルフ財団」によって運営されている非公開企業です。ムーブメントからケースまでの一貫生産体制を誇るマニュファクチュールです。ロレックスブランドは強力。チュードル (Tudor)ブランドの時計も販売しています。

Swatch Group(スウォッチグループ)

スイスの世界最大の腕時計メーカー。オメガ(OMEGA)、ロンジン(Longines)、ハミルトン(Hamilton)、ブレゲ(Breguet)等のブランドを有しています。時計の機関部品であるムーブメントはエタ・エス・アー・マニュファクテュール・オルロジェール・スイス(ETA SA Manufacture Horlogère Suisse)より調達しています。

Richemont(リシュモン)

リシュモン(フランス語:Compagnie Financière Richemont SA)は、スイスを本拠地とする企業グループです。南アフリカのレンブラントグループより高級ブランド事業が分社化され誕生しました。ジュエリー、時計、筆記具に強みを持ちます。主要ブランドとしては、Cartier (カルティエ)、Piaget (ピアジェ)、世界三大高級時計のVacheron & Constantin(ヴァシュロン・コンスタンタン)、IWC 、Jaeger Lecoultre(ジャガー・ルクルト)、ヴァンクリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)、万年筆のモンブラン(MONTBLANC)、ダンヒル(dunhill)、クロエ (Chloé)などがあります。ユークス・ネッタポルテ・グループを通じて宝石や時計をオンラインで販売しています。

Fossil (フォッシル)

米国に本拠を置く時計・アクセサリーメーカーです。Fossil、Relic、Abacus等のブランドで展開しています。Adidas、 Emporio Armani、Burberry、DKNY等ブランドの時計もOEM生産を行っています。ナスダック証券取引所に上場しています。

カシオ計算機株式会社は、1946年創業の電機メーカーです。時計に加えて、電卓や電子辞書を製造・販売しています。過去にはデジタルカメラや携帯電話も手がけていました。腕時計の分野ではG-SHOCKを始め、アナログ時計に強みを持っています。

シチズンは1930年に設立された日本の時計メーカーです。クオーツ式時計をメインに製造しており、太陽光発電を利用したエコドライブなど高い技術力を駆使した機能性の高さが評価を受けています。積極的に買収を行い、市場拡大を進めています。

セイコーグループは1881年創業の日本を代表する時計メーカーです。世界で初めてクオーツ式を製品化した企業として有名です。高級腕時計のグランドセイコーは国内外で高く評価されており、日本を代表する時計ブランドでもあります。

FIYTA Precision Technology(飛亜達)

FIYTAは1987年に設立された中国に本拠を置く時計メーカーです。上場していますが、政府系の航空会社である中国航空工業公司(AVIC)の子会社です。FIYTA(飛亜達)ブランドの時計を展開しています。

LVMH

LVMHは、1987年にルイ・ヴィトンとモエ・ヘネシーが合併して誕生した世界最大級の仏高級ブランド会社です。高級ブランド業界では圧倒的な存在感を示しており、バッグ、アパレル、ジュエリー、化粧品、ワイン、免税店等多面的に展開しています。Bernard Arnault氏が支配するChristian Dior(クリスチャン・ディオール)を通じて議決権のほぼ過半数を所有しています。主要なブランドには、仏ファッションブランドのLouis Vuitton (ルイ・ヴィトン)、Christian Dior (クリスチャン・ディオール)、BVLGARI(ブルガリ)、シャンパンのDom Pérignon (ドン・ペリニヨン)、Moet & Chandon (モエ・エ・シャンドン)や免税店のDFSが含まれます。さらに詳しく

Citychamp Watch & Jewellery Group (冠城钟表珠宝集団)

中国の時計メーカーです。「Rossini」や「EBOHR」といった時計ブランドで展開しています。

世界三大高級時計メーカーと日本勢

独立系ではPatek Philippe(パテック・フィリップ)とAudemars Piguet(オーデマ・ピゲ)、Richemont(リシュモン)傘下のVacheron & Constantin(ヴァシュロン・コンスタンタン)が世界の三大高級時計メーカーと言われています。

シチズンセイコーカシオが日本の三大有力時計会社です。特にシチズンはM&Aを通じて得意でない価格帯の時計事業を買収し、総合時計メーカーとしてグローバル展開を図っています。

時計関連の用語集

マニュファクチュール

時計内の歯車等のムーブメントから時計ケースまでを製造する時計メーカーの総称。時計のガラス、針、文字盤、ベルトの製造は通常含まれません。代表的なマニュファクチュールとして、ロレックス、ゼニス、セイコー、パテックフィリップ等があげられます。

ムーブメント

時計の動力部分を構成する機械の総称。腕時計の内ぶたを開けると見えます。

水晶振動子

水晶には圧力を加えると電気を帯びる性質(圧電現象)があり、その性質を利用し、一定の周波数を生み出す素子を水晶振動子といいます。安定した周波数によって時計が時刻を正確に刻むことができます。

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