スポーツ用品(スポーツウェアやスポーツシューズ)の世界市場シェアと市場規模について分析をしています。ナイキ 、アディダス 、ピューマ 、アンダーアーマー、アシックス 等世界大手スポーツウェア会社の動向も掲載しています。
市場シェア
「スポーツ用品メーカーの世界売上高ランキングの分析(2020年版)」に記載されている各社の売上高を分子に、市場規模を分母にして、2019年のスポーツ用品業界の世界市場シェアを簡易に算出すると、1位はNike(ナイキ)の8.2%、2位はAdidas(アディダス)の5.4%、3位はPuma(ピューマ)の1.3%となります。
- 1位 Nike(ナイキ) 8.2%
- 2位 Adidas(アディダス) 5.4%
- 3位 Puma(プーマ) 1.3%
- 4位 Under Armour(アンダー・アーマー) 1.1%
- 5位 ANTA Sports Products(安踏體育用品有限公司) 1.0%
- 6位 New Balance(ニューバランス) 0.9%
- 7位 ASICS(アシックス) 0.7%
- 8位 Columbia(コロンビア) 0.6%
2019年の売上高市場シェアも、2018年(「スポーツ用品メーカーの世界市場シェアの分析」をご参照)に続き1位は不動のナイキ、2位も同じく不動のアディダスです。3位以下の5~7倍程度の売上高規模でダントツのトップ2となっています。3位は、ケリングより改めて分社化独立を果たしたピューマです。4位は新興スポーツメーカーながら急成長を遂げているアンダーアーマーです。5位は中国のアンタです。フィンランドのスポーツブランドマネジメント会社であるアメアスポーツを2019年に買収し、一気にランクアップです。6位ははニューバランスとなっています。かつて3位の座を争っていた日本のアシックスは7位になっています。
市場規模
当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、スポーツ用品とウェア業界の2019年の世界市場規模を4740億ドルとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。調査会社のエーエムアールによると、2019年の同業界の市場規模は4740億ドルです。2027年に向けて7.2%の成長率が見込める市場です。一方、民間調査会社のアメリリサーチによればスポーツアパレル市場の2017年の推定市場規模は、1650億ドルと推計されています。民間調査会社のグランドビューリサーチによれば、スポーツ用品市場の2016年の推定市場規模は、約663億ドルと推計されています。なお、スポーツの種類別の市場規模では、サッカー関連が市場規模では最大で、アメリカンフットボール、野球が2位の座を競っています。以下、F1、バスケットボール、アイスホッケー、テニス、ゴルフと並びます。
再編年表
フィンランドのアメアスポーツが中国のアンタに買収されたことは、スポーツ用品業界におけるパワーバランスの変換を意味しそうです。スポーツ自体はグローバルビジネスなので、ブランドマネジメントという観点でのマーケティング力の巧拙がますます問われるようになってきています。
- 1989年 アメアスポーツによるテニス用品大手のウィルソンの買収
- 1994年 アメアスポーツによるスキー用品大手のアトミックの買収
- 1997年 アディダスによるスキー用品大手のSalomon Group(サロモン)の買収
- 2003年 ナイキによるConverseの買収
- 2005年 アメアスポーツによるサイクリング用品のマヴィックの買収
- 2005年 アメアスポーツによるスキー関連用品大手のアークテリクスの買収
- 2006年 アディダスによるSalomon Groupのアメアスポーツへの売却
- 2006年 アディダスによるリーボックの買収
- 2007年 ケリングによるプーマ買収
- 2011年 アメアスポーツによるNikitaの買収
- 2018年 ケリングよりプーマが会社分割で独立
- 2018年 ANTAスポーツによるアメアスポーツへの買収提案
- 2019年 ANTAスポーツによるアメアスポーツの買収完了
主要スポーツ用品メーカーの動向
Nike(ナイキ)
米国に本拠を置く世界最大級の総合スポーツ用品会社です。ゴルフ、サッカー、バスケットボール、テニス、陸上と全方位で強みを発揮しています。
Adidas(アディダス)
Adidas(アディダス)はドイツに本拠を置くスポーツ用品世界大手です。スポーツシューズ大手のREEBOK(リーボック)を傘下に収め、ナイキと世界トップを競っています。ゴルフブランドのTAYLOR MADE(テーラーメイド) も傘下に置いていましたが、2017年に投資ファンドのKPSキャピタル・パートナーズに売却をしました。
Puma(プーマ)
Puma(ピューマ、プーマ)はドイツを代表するスポーツ用品会社です。フランスの高級ブランド持株会社のKering(ケリング)傘下でしたが、2018年に、ケリングが持分を、ケリングの株主に分配する形で、同社より独立を果たしました。ゴルフはCOBRAGOLF(コブラゴルフ) にて展開しています。
ケリングについて
ケリングは仏大手ブランドマネジメント会社です。2013年PPR(ピノー・プランタン・ルドゥート、Pinault-Printemps-Redoute)から社名を変更しました。伊ファッションブランドのグッチ(GUCCI)を筆頭に主にファッション・宝飾品関連のブランドを保有しています。主要ブランドには、グッチのほかに、英アパレルブランドのアレキサンダー・マックイーン(Alexander McQeen)、バスク系スペイン人のクリストバル・バレンシアガによって生み出されたバレンシアガ(BALENCIAGA)、伊ファッションブランドのボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)、独スポーツブランドのプーマ(PUMA、なおプーマは2018年に、ケリングが持分を、ケリングの株主に分配する形で、同社より独立を果たしました。)、仏ファッションブランドのイブ・サン・ローラン(Yves Saint-Laurent)、伊ファッションブランドのセルジオ・ロッシ(Sergio Rossi)、英ファッションブランドのステラ・マッカートニー(Stella McCartney)、米スケートボード、スノーボード、サーフボード向けファッションブランドのボルコム(Volcom)、仏ヴァンドーム広場にブティックを構えた最初の宝石会社のブシュロン(BOUCHERON)、スイスの高級時計メーカーのジラール・ペルゴ(GIRARD-PERREGAUX)、スイスの高級時計メーカーのジャンリシャール(JEANRICHARD)、伊ジュエリーブランドのポメラート ドド(Pomellato)が含まれます。
Asics(アシックス)
日本を代表する総合スポーツ用品会社です。スポーツシューズ等のフットウェアに強みを有します。
Under Armour(アンダーアーマー)
1996年発祥のスポーツウェアメーカーです。コンプレッションウェアに強みを持ちます。
Amer Sports(アメアスポーツ)
フィンランドに本拠を置くスポーツメーカーです。テニスのウイルソン、スキーのアトミックやサロモンブランドを世界展開しています。ナスダックOMX市場に上場しています。Amer SportsはSalomon、Wilson、Atomic、Arc'teryx、Mavic、Suunto、Precor、Louisville Slugger、DeMarini等のブランドを有しています。2019年に中国のテニスの安踏体育用品(アンタ)を中心とするコンソーシアム(アンタが6割弱出資、騰訊控股(テンセント)やカナダ「ルルレモン・アスレティカ」の創業者なども出資)が買収しました。

New Balance(ニューバランス)
米国に本拠を置く非上場のスポーツシューズメーカーです。
コロンビアスポーツウェア(Columbia Sportswear)
米国に本社を置くアウトドア用品大手です。登山、キャンプ等の用品を手掛けています。スキーウェア等のスポーツ用品も強化しています。
ANTA Sports Products(安踏體育用品有限公司)
香港証券取引所に上場に上場をする中国のスポーツ用品メーカーです。2009年にFILAの中国事業を、2015年に英国のスポーツシューズブランドのSprandを、2017年に香港の子供服KONGKOWを買収しています。伊藤忠グループのデサントとも提携しています。展開するブランドは下図の通りです。中国国内では圧倒的1位で、約1万点のANTA店舗を展開しています。2019年に投資ファンドの FountainVest Partnersと共同でフィンランドのアメア・スポーツを買収し、海外での事業展開を加速しています。
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