自動運転スタートアップの資金調達額ランキング

自動車など車両の自動運転技術は、ハードウェアの性能向上や深層学習による人口知能の深化という追い風も吹き、既存の自動車会社も巻き込んで猛烈な勢いで開発が進んでいます。Cruise、Waymo、Aurora、Argo、Drive、AImotive、Pony、WeRide、AutoX、Zoox、Nuroといった有望スタートアップの資金調達額、自動運転業界の業界マップ、各社の概要や動向について分析を行っています。

自動運転業界のカオスマップ

自動運転技術を開発する会社を、直近の投資ラウンドでの資金調達額(縦軸)とシリーズラウンド(横軸)でマッピングした業界マップ(カオスマップ)を作成すると以下の通りとなります。円の大きさは累計資金調達額となります。

自動運転会社のカオスマップ
自動運転会社のカオスマップ
円の大きさは累計資金調達額となります。金額は本ページ更新時点の推計

資金調達ではシリーズA~Jラウンドまで幅広く分かれており、またZooxやCruiseなどアマゾンやGMの傘下に入り、既に投資ステージを脱している会社もあります。下記7社の累計調達額は、本ページの更新時点で約191億ドルとなっております。

自動運転スタートアップの資金調達額のシェアランキング(2021年時点)

自動運転会社の累計調達額を分子に、上述した業界全体の資金調達額を分母にして、資金調達額シェアを計算し、ランキング化すると、2021年7月時点で、1位はCruise、2位はWaymo、3位はAuroraとなります。

  • 1位 Cruise 38.3%
  • 2位 Argo AI 19.3%
  • 3位 Waymo 15.7%
  • 4位 Nuro 8.0%
  • 5位 Zoox 6.3%
  • 6位 Pony 5.7%
  • 7位 Aurora 2.8%
  • 8位 WeRide 1.9%
  • 9位 AutoX 1.0%
  • 10位 Drive.ai 0.4%
  • 11位 AImotive 0.3%
  • 12位 Optimus Ride 0.2%

自動運転スタートアップの累積資金調達額シェア
自動運転スタートアップの累積資金調達額シェア

自動運転業界の市場規模

2019年の自動運転の市場規模は18.2億ドルです。2027年にかけて年平均3.3%での成長を見込みます。モードーインテリジェンスによると、2020年の同市場規模は19.5億ドルです。2026年にかけて18%での成長を見込んでします。⇒参照したデータの詳細情報
資金調達額に比べて市場規模はまだ小さく、自動運転の実用化には至っていないことがわかります。

自動運転業界の主要なM&A

自動運転のレベル4の社会実装を目指して、合従連衡の流れが一段と加速しています。自前の技術へのこだわりの強いトヨタも、従来の提携戦略から一歩踏み込み、Lyftの自動運転部門を2021年に買収し、自動運転分野へ本格参入しました。新旧巨大企業がぶつかり合うまさに群雄割拠状態となりました。

2021年 トヨタ自動車がライドシェアLyftの自動運転部門を買収
2020年 AuroraがUber ATGを買収
2020年 アマゾンがZooxを買収
2019年 アップルがDriveを場収
2016年 GMがCruiseを買収

主要な自動運転スタートアップ

社名: Cruise(クルーズ)
本社所在地: 米国
設立年: 2013年
創業者: Daniel Kan、Kyle Vogt
Cruise(クルーズ)は2013年に設立された自動運転技術の開発会社です。2016年に自動車大手のGMが買収し、現在はGMのグループ会社となっています。ホンダとも提携しています。

社名: Waymo(ウェイモ)
本社所在地: 米国
設立年: 2016年
創業者: グーグル
Waymo(ウェイモ)は2009年に設立された自動運転技術の開発会社です。グーグル(アルファベット)の子会社です。日産、ルノー、三菱自動車、フィアットクライスラー、ボルボなどと自動運転分野で提携しています。

社名: Aurora(オーロラ)
本社所在地: 米国
設立年: 2016年
創業者: Chris Urmson(クリスアームソン)、Drew Bagnell、Sterling Anderson
Auroraは、米テスラと米グーグル(Waymo)の元社員によって設立された自動運転のスタートアップです。NVIDIAやトヨタ自動車との提携やアマゾンからの出資を受け急成長をしています。2020年にはUberから自動運転事業のUber Advanced Technologies Groupを買収しました。2021年にリンクトイン創業者のリードホフマン氏が設立したSPACとの合併による上場を発表しました。ボルボやパッカーと自動運転トラックの実用化を目指しています。

社名: Argo
本社所在地: 米国
設立年: 2017年
カーネギーメロン大学の卒業生、GoogleやUberの元社員によって設立された自動運転技術開発会社です。フォードやVWが出資を行いました。

社名: Drive
本社所在地: 米国
設立年: 2015年
創業者: Sameep Tandon、Fred Rosenzweig、Carol Reiley、Brody Huval
スタンフォード大学によって設立された自動運転技術の開発会社です。2019年にアップルが買収をしました。

社名: AImotive
本社所在地: ハンガリー
設立年: 2015年
創業者: Laszlo Kishonti
ハンガリーに本拠を置く自動運転技術の開発会社です。ドイツのボッシュが出資を行っています。

社名: Pony(小馬智行)
本社所在地: 米国
設立年: 2016年
創業者: James Peng
中国と米国に拠点を置く自動運転技術の開発会社です。トヨタと提携していることでも有名です。

社名: WeRide(文遠知行)
本社所在地: 中国
設立年: 2017年
創業者: Tony Han、Qing Lu
中国に本拠を置く自動運転技術の開発会社です。ロボタクシーの実現に向けルノー日産やユートンバスなどから積極的に資金調達を行っています。

社名: AutoX
本社所在地: 米国
設立年: 2016年
創業者: Jianxiong Xiao
AutoXは自動運転技術を開発しています。中国のSAIC Motor、Dongfeng Automobileや欧州の自動車ステランティスと提携し、大手米国と中国で事業を展開しています。

社名: Zoox
本社所在地: 米国
設立年: 2014年
創業者: Tim Klay、Jesse Levinson
Zooxは自動配車サービス技術を開発する会社です。2020年にアマゾンが買収をしました。

社名: Nuro
本社所在地: 米国
設立年: 2016年
創業者: Jiajun Zhu、Dave Ferguson
Nuroは運輸向けの自動運転技術を開発しています。

社名:May Mobility
設立:2017年
2017年に創業された自動運転開発会社です。2019年にトヨタ自動車がリードのもと、50百万ドルの資金調達をSPARXグループ、Millenniumテクノロジーズ、Value Partners、Cyrus Capital Partners、BMW iVenturesなどから行なっています。

社名: Optimus Ride
本社所在地: 米国
設立年: 2015年
創業者: Ryan C.C. Chin、Sertac Karaman、Ramiro Almeida
Optimus Rideは、マサチューセッツ工科大学からスピンオフした自動運転技術の開発会社です。

社名:インテル
2017年に買収したモービルアイと協働して自動運転分野に参入しています。BMWと提携しています。

社名:ダイムラー
自動運分野ではボッシュと協働しています。

社名:Baidu(バイドゥ)
アポロ計画に基づき中国の自動車メーカーやボルボなどと組んで自動運転分野を強化しています。

社名:アップル
自動運転のスタートアップであるDriveを買収

社名:トヨタ自動車
傘下のWoven Planetを通じてライドシェアLyftの自動運転部門を買収

自動運転分野に積極的なVC、PEファンドや戦略的投資家

自動運転は、輸送というビジネスモデルを再定義できるほどのインパクトをもった技術であるため、幅広い層が、上述した自動運転スタートアップへ投資を行っています。

Walmart、ホンダ、Microsoft、T. Rowe Price、SoftBankビジョンファンド、Amazon、Lightspeed Venture Partners、ヒュンダイ自動車、Sequoia Capital、Index Ventures、Greylock Partners、Volkswagen、Ford、Grab、New Enterprise Associates、GGV Capital、Lead Ventures、Robert Bosch Venture Capital、B Capital Group、Prime Ventures、Robert Bosch Venture Capital, Day One Capital、FAW、トヨタ自動車、IDG Capital、Sky9 Capital、Yutong Bus、Qiming Venture Partners、SenseTime、Agricultural Bank of China、Johnson Electric、CPP Investments、AID Partners、Lux Capital、Fidelity Investments

影響を受ける業界
輸送に関わる全ての業態が影響を受けると考えれます。車の形状や素材はもちろんのこと、道路などのインフラや保険といった自動車関連分野は全て影響を受けるでしょう。

自動運転スタートアップの作り方

自動運転はレベル5(どんな状況下においても人が関与しない完全自動運転)の達成が最終ゴールです。人が運転するときに行っている、「認知」「判断」「制御」をコンピューター(AI)が完全に再現させるべく各種開発が行われています。

「認知」については、現在は人間の眼から得られる情報と同等の情報をコンピューターも取り込む必要があります。自分の車の場所、他の人や車の場所、信号、速度制限、標識といった走行への制約などです。自分の場所の認知は、GPSなどの衛星測位システム、外部の制約状況の認知は、カメラやLiDAR(ライダー)、ミリ波レーダー、超音波センサーが、眼の代替技術となりつつあります。

「判断」については、目的地までの適切なルートと、認知した外部の制約が時間とともにどのように変化するかの予測が重要になっています。適切なルートはカーナビなどで既に実現されている部分もあります。制約状況の変化の予測については、例えば、左折する際に横断歩道に歩行者がいて、待つか先に左折するかは、歩行者の歩く速度の予測が必要になります。また歩行者が突然走りだしたり、転んだりする変則的な動きをする場合もあり、的確な予測に基づく判断をする思考回路が必要となります。予測は人間でも難しい場合があり、まさに現在AIが的確な予想をできるように、様々なデータのインプットに基づく深層学習が行われている状況です。

「制御」については、ブレーキの度合い、ハンドルの切り具合、スペードの調整といった車の動作に関わるコントロールとなります。車に掲載されるAIが判断した事項を、機械へきちんと伝えられるシステムを構築する必要があります。また遠隔からの制御も可能にする必要もあり、通信やセキュリティの開発も必要です。

自動運転のスタートアップを作るためには、認知、判断、制御の各要素技術と、ハードとソフトを組み合わせる技術の両方が必要となります。

参照したデータの詳細情報について


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