パラジウム採掘生産会社の世界市場シェアの分析

パラジウム業界の世界市場シェアと市場規模について分析をしています。ノリリスク・ニッケル、ヴァーレ、アングロアメリカンプラチウム、シバニエスティルウォーター、インパラプラチナ、ノーザムプラチナ、ARMプラチナといった大手パラジウム採掘会社の概要や動向も掲載しております。

パラジウムとは

パラジウムは、プラチナ、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウムと並ぶ白金族元素の一つです。主な用途は、歯科治療の銀歯(パラジウムが概ね12%)、装飾品向けのプラチナや金との合金、排気ガスの触媒(炭化水素や一酸化炭素に使用)、コンデンサの材料などに使われます。

【市場シェア】

パラジウム生産会社各社の年間生産⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2022年のパラジウム生産量の市場シェアを簡易に試算しますと、上位3位は2021年同様1位にノリリスク・ニッケル、2位はアングロアメリカンプラチナム、3位はインパラプラチナとなります。
(*ノーザムプラチナのみ2021年実績)

パラジウム生産会社の世界シェアと業界ランキング(2022年)

順位 Company name(English) 会社名 市場シェア
1位 Norilsk Nickel ノリリスク・ニッケル 37.67%
2位 Anglo American Platinum アングロアメリカンプラチナム 16.84%
3位 Impala Platinum Holdings インパラプラチナ 14.45%
4位 Sibanye Stillwater シバニエスティルウォーター 11.36%
5位 Northam Platinum ノーザムプラチナ* 2.75%
6位 African Rainbow Minerals Limited アフリカンレインボーミネラルズ 2.65%
7位 Vale ヴァーレ 1.71%
8位 Glencore グレンコア 1.12%
パラジウム生産会社の世界シェアと業界ランキング(2022年)©2024 Deallab

パラジウム生産会社の世界シェア(2022年)©2024 Deallab

【市場規模】

当サイトでは、各調査会社等の公表データ[affi id=16]を参考にし、パラジウム業界の2022年の世界市場規模を7.4百万オンス(210トン)として市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。

アメリカ地質調査所によると、2022年のパラジウム生産量は7.4百万オンス(210トン)、2021年は7.55百万オンス(214トン)です。⇒参照したデータの詳細情報

パラジウム採掘生産業界の市場規模の予測成長推移 ©2024 Deallab

パラジウム価格推移

主にガソリン車の触媒としての需要が大きく、年間の採掘生産量も少ないため、自動車の販売台数に価格が影響を受けます。日本の場合は、歯科医院はパラジウムを使用する銀歯公定価格と実勢価格との乖離で、パラジウム価格が急上昇すると、病院側の収支が逆鞘になる場合もあります。


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【M&Aの動向】

2015年  ノーザム・プラチナ社がAquarius Platinum South Africa (Pty) Ltd (AQPSA) からエベレスト鉱山の資産の一部を取得
2019年 シバニエスティルウォーターはLonmin Canadaを買収
2021年 アフリカン・レインボー・ミネラルズは、ボコニ・プラチナから南アフリカの鉱山の株式を取得
2022年 シバニエスティルウォーターはLonmin CanadaをMagna Miningへ売却
2023年  インパラ・プラチナがロイヤル・バフォケンの株式91%を取得
2023年 ノリリスク・ニッケル、米国を拠点とする金属販売会社を全額現金取引で売却

【会社の概要】

Norilsk Nickel(ノリリスク・ニッケル)

Norilsk Nickel(ノリリスクニッケル)は、ロシアに本拠を置くニッケル・銅・パラジウム・プラチナ等の非鉄金属生産会社です。副産物としてコバルトも生産しています。大株主は、ロシアの財閥であるインターロス(Interros)やロシアのオリガルヒであるオレグ・デリパス氏率いるアルミニウム大手のルサール社です。同社が権益を保有するロシア北東のノリリスク-タルナフ地区は、世界最大のニッケル・銅・パララジウム鉱床です。アルミニウム製錬大手で、ルサールが筆頭株主です。ロンドン証券取引所に上場しています。ルサールは米国によるロシアの制裁の対象となっています。ロシアのKola (コラ)Divisionが主要鉱山です。

Vale(ヴァーレ)

Vale(ヴァーレ)は、世界最大手のブラジル資源大手です。資源メジャーの1角です。主力商品は鉄鉱石ですが、ニッケルも大手の一角です。カナダのインコ(Inco)社から2006年に180億ドルで買収をしたオンタリオ州のSudbury(サドバリー) Mine、Voisey’s Bay(ボイジーズ・ベイ)をはじめとして、住友金属鉱山も参画しているインドネシアのSorowako(ソロワコ)、ニューカレドニアのVNC-Goro、ブラジルのOnca Puma(オンサ・プーマ)、カナダのThompson(トンプソン)が主要ニッケル鉱山となっています。マンガン、ボーキサイト、アルミニウム、銅、石炭、コバルト、貴金属の鉱山も手掛けています。コバルトは、カナダのSudbury、Voisey‘s Bay、ニューカレドニアで採掘をしています。三井物産との関係が深いことでも有名です。

Impala Platinum Holdings(インパラプラチナムナホールディングス)

南アフリカの本拠を置くパラジウム、プラチナ生産大手です。略称Implats(インパラ)です。2019年にカナダに本拠を置くプラチナ・パラジウム生産大手であるNorth American Palladium(ノースアメリカンパラジウム)を買収しました。

Sibanye Stillwater(シバニエスティルウォーター)

米国に本拠を置くプラチナ・パラジウム生産大手です。ニューヨーク証券取引所に上場しています。プラチナ以外にもロジウムやパラジウムに強みを持ちます。2016年にオーストラリアのプラチナ大手であるAquarius Platinum(アクエリアスプラチナ)、2019年にプラチナ生産大手のロンミンを買収しました。

Northam Platinum(ノーザムプラチナ)

南アフリカに本拠を置くPG​​M生産会社です。プラチナ以外にもパラジウムやロジウムを生産します。南アフリカのブッシュフェルト、ゾンデラインデ鉱山やブイセンダル鉱山で生産をします。

Anglo American Platinum(アングロアメリカンプラチナム)

南アフリカに本拠を置く世界最大のプラチナ生産会社です。ヨハネスブルグ証券取引所に上場しています。資源大手のAnglo American(アングロアメリカン)子会社です。

African Rainbow Minerals (アフリカンレインボーミネラルズ)

1997年に南アフリカで設立された鉱山開発会社です。アングロアメリカン、インパラ、ロシアの資源大手であるNorilsk Nickel(ノリリスク・ニッケル)等とプラチナ生産を共同で行っています。白金族元素、鉄、石炭、銅、金などの鉱山を開発しています。

Glencore(グレンコア)

スイスを拠点とする天然資源を生産・販売する会社です。銅、亜鉛、ニッケル、合金鉄などの多様な金属と鉱物を生産・販売しています。オーストラリア、アフリカ、南アメリカに鉱山を持つ石炭の生産・販売業者であり、原油、精製製品、天然ガスの販売業者でもあります。銅や貴金属のリサイクルにも取り組んでいます。

参照したデータの詳細情報について


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