グレンコアの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

グレンコア(Glencore)はスイスに本拠を置く資源商社です。1974年にスイスのトレーダーであるマーク・リッチによって設立されました。2012年にカナダの穀物流通大手バイテラを、2013年には資源メジャーであるエクストラータを買収しています。亜鉛、原料炭、一般炭、銅、コバルト、ニッケルなどの採掘やエネルギー及び穀物トレーディングが事業の柱となっています。トレーディング機能と上流権益の開発機能をあわせもつ資源メジャーとも言えます。2017年1月に穀物トレーディング部門をグレンコア・アグリカルチャーとして分社化し、バイテラへと社名変更しました。

業績推移(年次)

2019年度
売上高は215,111百万ドルで、前年度比2%減となりました。営業利益は3,286百万ドルになりました。営業利益率は2%になりました。EPSは0.24ドルからマイナス0.03ドルに減少しました。これは主に、前年と比較したコモディティ価格の下落と、さまざまな減損費用によるものです。

2020年度
売上高は142,338百万ドルで、前年度比34%減となりました。営業利益は2,017百万ドルになりました。営業利益率は1%になりました。2020年上半期の業績は、商品価格の低迷とパンデミック初期の困難な環境によって大きな影響を受けており、これを背景にグレンコアのポートフォリオ全体でさまざまな減損費用が計上されました。 2020年下半期は、経済が以前の新型コロナウイルス関連の厳しいロックダウンから回復し始め、不確実性と商品価格が回復したことを受けて、純利益697百万ドルを達成しました。

2021年度
売上高は203,751百万ドルで、前年度比43%増となりました。営業利益は10,266百万ドルになりました。営業利益率は5%になりました。2020年に新型コロナウイルス感染症(Covid-19)が経済に深刻な影響を及ぼした後の需要の回復により大幅な在庫の減少が生じ、グレンコアの主要商品の価格は数年ぶりの高値に達しました。 これらの価格上昇とグレンコアの競争力のあるコスト構造により、大きなEBITDAの増加を記録しました。

2022年度
売上高は255,984百万ドルで、前年度比26%増となりました。営業利益は25,087百万ドルになりました。営業利益率は10%になりました。2021年末に向けて、世界の多くの地域が新型コロナウイルスから回復しつつあった中、供給の投資不足と製品の入手可能性の逼迫により、エネルギー価格はすでに上昇した水準でした。 この情勢の影響を受けて売上が増加しました。

2023年度
売上高は217,829百万ドルで、前年度比15%減となりました。営業利益は8,678百万ドルになりました。営業利益率は4%になりました。エネルギー市場が混乱した2022年度とは異なり、2023年度は国際間エネルギー貿易のバランスが回復しました。それに伴い、LNGや石油の価格が下落し正常化したことで、2023年度の売上は減少しました。

グレンコアの年次業績推移

グレンコアの年次業績推移

業績推移(半期)

2021年下半期(7ー12月)
売上高は109,946百万ドルになりました。営業利益は6,565百万ドル、営業利益率は6%になりました。

2022年上半期(1ー6月)
売上高は134,435百万ドルになりました。営業利益は14,310百万ドル、営業利益率は11%になりました。

2022年下半期(7ー12月)
売上高は121,549百万ドルになりました。営業利益は10,777百万ドル、営業利益率は9%になりました。

2023年上半期(1ー6月)
売上高は107,415百万ドルになりました。営業利益は5,479百万ドル、営業利益率は5%になりました。

2023年下半期(7ー12月)
売上高は110,414百万ドルになりました。営業利益は3,199百万ドル、営業利益率は3%になりました。

グレンコアの半期業績推移

グレンコアの半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比74%減の0.34ドルになりました。1株当たりの配当は前年度比68%減の0.13ドルになりました。配当性向は38%になりました。

EBITDAのEPS・配当額・配当性向の推移

グレンコアのEPS・配当額・配当性向の推移

売上構成

コバルト事業では、コンゴ民主共和国の世界最大のコバルト鉱山であるMutanda(ムタンダ)を所有しています。2018年に、中国の格林美(GEM)と3年間5万トンのオフテイク契約を締結しました。なお、GEMは、中国のEVバッテリー大手である寧徳時代新能源(CALT)のサプライヤーです。

グレンコアの売上構成(2023年度)

グレンコアの売上構成(2023年度)

金属及び鉱物
銅、コバルト、亜鉛、ニッケル、合金鉄などの幅広い金属や鉱物を製造および販売しています。

エネルギー資源
石炭事業は、オーストラリア、アフリカ、南米の鉱山で石炭の採掘を行い、採掘された石炭は発電、製鉄、セメント、アルミニウム、ニッケルの製造などの工業プロセスで使用されます。石油事業は原油、石油製品を取り扱い、物流と保管のための輸送システムを保有しており、毎日数百万バレルの石油を世界中の顧客に供給しています。

事業展開

コバルト事業では、コンゴ民主共和国の世界最大のコバルト鉱山であるMutanda(ムタンダ)を所有しています。2018年に、中国の格林美(GEM)と3年間5万トンのオフテイク契約を締結しました。なお、GEMは、中国のEVバッテリー大手である寧徳時代新能源(CALT)のサプライヤーです。

ムタンダ鉱山

ムタンダ鉱山

ムタンダ鉱山
出所:Bing

銅鉱山
主な鉱山はCollahuasi、Lomas、El Pachon、ムタンダ鉱山、Coroccohuaycoが挙げられます。

亜鉛鉱山
主な鉱山はKazzinc、Pallas Green、Blackstar、Volcan projects、Hackett River、ErringtonVermillionなどが挙げられます。

ニッケル鉱山
Nickel Rim Depth、Raglan、Norman Westなどが挙げられます。

マンガン鉱山
Mokalaが挙げられます。

M&A情報

2014年 カナダの石油探査開発事業者Caracalの買収を完了
2020年 洋上および陸上の風力発電所、バイオエネルギープラント、太陽光発電所、エネルギー貯蔵施設の開発、建設、運営を専門とする再生可能エネルギー会社Orstedの液化天然ガス事業を買収
2023年 鉱山プロジェクト開発のための技術調査を実施するMARA Projectの株式を56.25%取得することで合意
2023年 鉱山および鉱物開発に従事する多角的な資源会社であるTeck Resources Limitedの製鉄用石炭事業である Elk Valley Resources の株式の 77% を取得することで合意

グレンコアの株式を購入する

グレンコアはスイスに本拠を置く会社で、ロンドン証券取引所に上場しています。調べた限りでは、日本の証券会社ではグレンコアの株式は取り扱っておらず、グレンコアの株式を購入するためにはインタラクティブ・ブローカーズ証券が現実解でしょう。

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