EVバッテリーリサイクル会社のカオスマップと資金調達額の分析

自動車業界ではガソリンエンジン車から電気自動車(EV)へのシフトが急速に進んでいます。電気自動車のバッテリーは現状リチウムイオン電池が標準ですが、必要となるリチウム、コバルト、ニッケルなどは採掘における環境への影響などもあり、電池のリサイクルへのニーズが高まっています。Redwood Materials、Battery Resourcers、Li-Cycle、Lohum、Lithion Recycling、AkkuSerといったEVバッテリー(車載電池)リサイクル会社のスタートアップも積極的に資金調達を行なっています。

カオスマップ

EVバッテリーリサイクル会社の直近投資ラウンドでの資金調達額(縦軸)とシリーズラウンド(横軸)でマッピングした業界マップ(カオスマップ)を作成すると以下の通りとなります。円の大きさは資金調達累計額となります。またIPOをした会社の場合は、直近1年間の資本金及び資本準備金の増減と合計を直近の資金調達額と資金調達累計額とみなしております。

EVバッテリーリサイクルのカオスマップ(2021年9月)
EVバッテリーリサイクルのカオスマップ(2021年9月)

リサイクル技術は開発途上にあり、シリーズ初期の会社が多いですが、テスラ共同創業者が設立したRedwood Materialsが資金調達額では先行しています。コバルトなどに強い資源大手であるユミコアやグレンコアもリサイクル分野を強化しております。上記会社の資金調達累計額は、本ページの更新時点で約1011百万ドルとなっております。

市場シェアランキング(資金調達累積額ベース)

EVバッテリーリサイクル会社の資金調達累計額を分子に、上述した業界全体の資金調達額を分母にして、資金調達額シェアを計算し、ランキング化すると、1位はRedwood Materialsとなります。

  • 1位 Redwood Materials 86.0%
  • 2位 Battery Resourcers 9.0%
  • 3位 Li-Cycle 3.7%
  • 4位 Lohum 0.9%
  • 5位 Lithion Recycling 0.4%
  • 6位 AkkuSer 0.01%

EVバッテリーリサイクル業界の市場シェア(資金調達累計額ベース、2021年9月
EVバッテリーリサイクル業界の市場シェア(資金調達累計額ベース、2021年9月

市場規模

調査会社のフォーチュンビジネスインサイトによると、EVバッテリーリサイク業界の2019年と2020年の市場規模は13.1億ドルと15.7億ドルです。2027年にかけて年平均32.2%での成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報  

バッテリーリサイクルの流れ

バッテリーリサイクルは、正極材に含まれるニッケルやコバルトなどを取り出すことが主目的となります。リチウムイオン電池を熱処理して、電解液などを蒸発させます。その後粉砕処理し、正極材が溶解して固まったものを選り分けます。最後に、硫酸系の溶液などでニッケルやコバルトを取り出します。
熱処理工程で二酸化炭素を排出することから、より環境負荷の低いリサイクル技術が求められています。

リチウムイオン電池のリサイクル
リチウムイオン電池のリサイクル

業界のトレンド

リチウムイオン電池のリサイクル分野でのイベント

  • 2020年12月
    EU電池規制案の発表

    リサイクル材料の含有、カーボンフットプリント、リサイクル率の表示を求める規制案をEUが発表しました。

  • 2021年2月
    Li-CycleがSPAC合併による上場を発表

    業界初の上場会社となります。

  • 2021年4月
    日本で電池サプライチェーン協議会が発足

EVバッテリーリサイクル会社の概要

Redwood Materials(レッドウッドマテリアルズ)   
本社所在地:カナダ
設立年:2017年
創業者:JB・ストラウベル
テスラの共同創業者であるJB・ストラウベル氏が設立したEVバッテリーのリサイクル技術を開発する会社です。   

Lohum   
本社所在地:インディア
設立年:2011年
創業者:Rajat Verma、Shalini Verma
Lohum社は、リチウムイオン電池パックの製造および電池部品のリサイクルを行っています。   

OnTo Technology   
本社所在地:米国
設立年:2003年
OnTo Technologyは、二次電池のリサイクル技術を開発する会社です。   

Lithion Recycling   
本社所在地:カナダ
設立年:2018年
リチウムイオン電池のリサイクルのために、湿式プロセスという技術を開発しています。   

AkkuSer   
本社所在地:フィンランド
設立年:2005年
創業者:Jarmo Pudas
AkkuSerはニッケル水素電池、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、アルカリ電池などから電池のリサイクルが可能な材料を分離回収する技術を開発しています。

Battery Resourcers(バッテリーリソーサーズ)   
本社所在地:米国
設立年:2016年
創業者:Eric Gratz、Diran Apelian、Wang Yan
Battery Resourcers(バッテリーリソーシーズ)は使用済みのEVバッテリーから正極材料を取り出すリサイクル技術を開発しています。   

Li-Cycle(リサイクル)   
本社所在地:カナダ
設立年:2016年
創業者:Ajay Kochhar、Tim Johnston
Li-Cycleは、EVバッテリーからリチウム、銅、コバルトなどの金属や鉱物を抽出し、リサイクルをする会社です。2021年にSPACと経営統合し上場を果たしました。 

電池リサイクルを手掛ける大手メーカー 
JX金属(敦賀工場で年間1000トンの処理能力)
ユミコア
グレンコア

リサイクル分野に投資を行なっている事業会社やベンチャーキャピタル

InMotion Ventures、MassVentures、Bioindustrial Innovation CanadaなどがEVバッテリーリサイクル会社へ積極的に出資を行なっています。

参照したデータの詳細情報について


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