リチウム業界の世界市場シェアの分析

リチウム資源(水酸化リチウムや炭酸リチウム)を開発する会社の世界シェア、業界ランキング、市場規模、再編の情報を分析しています。タリソン、アルベマール、SQM、ライベント、天斉(ティアンキ)リチウムといった大手リチウム資源開発会社の動向も掲載しています。

市場シェア

リチウム資源開発会社の売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2020年の市場シェアを簡易に試算しますと、世界1位はアルベマール、2位はガンフォンリチウム、3位はティアンキ・グループとなります。

  • 1位 アルベマール 32.4%
  • 2位 ガンフォンリチウム 24.3%
  • 3位 ティアンキ・グループ 21.2%
  • 4位 SQM 11.2%
  • 5位 ライベント 8.5%

リチウム業界の世界シェア(2020年)
リチウム業界の世界シェア(2020年)

世界1位は米国のかん水リチウムに強みを持つアルベマール社となります。2014年にリチウム大手で同業のロックウッドを買収しています。世界2位は中国のガンフォンリチウム社となります。シンセン証券取引所に上場をしています。世界3位は2018年に上場を果たした中国のティアンキ社となります。オーストラリアのグリーンブッシュ鉱山等を所有していましたが、持分の一部を売却しています。世界4位は、チリのSQMとなります。アタカマ湖での、低コストでのリチウム生産が強みです。世界5位はFMCから分社化したライベントとなります。

  • 1位 アルベマール
  • 2位 ガンフォンリチウム
  • 3位 ティアンキ・グループ
  • 4位 SQM
  • 5位 ライベント

市場規模

当サイトでは、2020年のリチウム業界(金額ベース)の市場規模を34億ドルとしております。参照した各種データは以下の通りです。
調査会社のグランビューリサーチによれば、2020 年の同業界の市場規模は34億ドルです。2020年から2027年にかけて年平均約1.9%で成長すると予測されています。調査会社のマーケッツアンドマーケッツによれば、2020年のリチウムの市場規模は34億ドルを見込みます。また同調査会社によると2019年のリチウムの市場規模は42億ドルです。⇒参照したデータの詳細情報
国別ではチリ、中国(青海省が中国のリチウム生産の8割を占める)、アルゼンチン、豪州が主要産出国となります。オーストラリア、チリ、アルゼンチンで全体の9割超を生産しています。今後の電気自動車の需要増加に伴って、EVバッテリーの主要材料であるリチウムの需要も高まり、年率15%程度で需要が増加すると予想されています。なお、EVバッテリーの標準出力である50kwhあたり0.8㎏LCE(LCE = Lithium Carbonate Equivalent, 炭酸リチウムに換算したリチウム量)が必要とされます。VWによれば、自動車の電動化で2023年に世界のリチウムの需要は、2018年の2倍以上になる見通しです。
当サイトでは、リチウム生産会社の市場規模を算出するにあたりリチウムの市場規模を42億ドルとしております。

リチウムとは

二次電池や窯業に利用される金属です。特に二次電池のリチウムイオン電池の主要材料として重要な金属となっています。リチウムの生産方法は、塩湖(Lithium Brine、リチウム・ブライン)からのかん水方式とリチウム鉱石(Lithium Mineral)から取り出す方式、Rio Tinto方式の3種類の方式があります。
世界のリチウム資源は大まかに、1)塩湖のかん水からの回収、2)ペグマタイト鉱床等に含まれるリチウム鉱物であるリシア輝石(spodumene)、葉長石(petalite)などからの回収、3)近年セルビアにおいてRio Tintoにより発見された新鉱物「jadarite」からの回収(ただし未だ回収技術の開発中)の3種類に分類することができます。(出所:JOGMEG)
精製過程の産出物である塩化リチウム(Lithium Chloride)は乾燥剤や融剤として利用され、炭酸リチウム(Lithium Carbonate)は花火の材料、釉薬、製鉄連鋳用フラックス、弾性表面波フィルターや医薬品の材料として用いられます。水酸化リチウム(Lithium Hydroxide)は電解質、添加剤、現像液、炭酸ガス吸収触媒等に用いられます。
バッテリーグレードの炭酸リチウムや水酸化リチウムでは、SQM,アルベマール、ガンフォンリチウム、ティアンキ、ライベントが主要な生産会社となっています。

リチウム関連素材の用途

リチウム関連素材の用途
リチウム関連素材の用途 出所:マッコーリグループ

リチウムの価格推移

リチウム価格が14ドル前後だと、生産コストを上回り、リチウム生産会社の利益が出る水準です。


主要なリチウム生産会社の動向

Talison(タリソン)

豪州のリチウム生産会社です。主にペグマタイト系リチウム鉱床であるGreenbushes(グリーンブッシュ)鉱山からリチウムを生産しています。同鉱山は、品位と埋蔵量が、他の鉱山の群を抜いています。かん水リチウムではSQMが最大手、鉱石リチウムではタリソンが最大手です。

リチウム鉱山生産能力
リチウム鉱山生産能力 出所:成都天斉実業ホームページ

2012年に成都天斉実業(Tianqi Group、ティアンキ・グループ)が買収し、現在は51%の株式を保有しています。(49%はアルベマールが保有しています。)2020年にオーストラリアの金やニッケル開発会社であるIGOが、ティアンキが保有するタリソン株式の49%を買収しました。

名前持分比率
アルベマール49%
ティアンキ26.01%
IGO24.99%
タリソンの持分比率©ディールラボ

Albemarle(アルベマール)

米国に本拠を置く機能性化学メーカーです。リチウム化合物、臭素、触媒等の特殊化学品を得意としています。2014年にリチウム生産大手のロックウッドを買収し、リチウム分野で世界最大の会社となりました。

SQM(ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ)

チリに本拠を置く化学品メーカーです。アタカマ塩湖を利用し、かん水からリチウムを生産しています。カリウムや硝酸カリウム等の肥料、ヨード(Iodine)関連の工業用化学品の生産も行っています。

SQM売上構成
SQM売上構成 出所:同社ホームページ

2021年までに炭酸リチウムの生産能力を4倍に増やすことを検討しています。投資会社であるPampa Calichera(パンパ・カリシェラ)を率いるフリオ・ポンセ(Julio Ponce Lerou)氏が長く支配を行っています。肥料大手のPotash(ポタッシュ・コーポレーション・オブ・サスカチュワン、現Nutrien(ニュートリエン))が30%超の株式を保有していましたが、成都天斉実業(ティアンキ・グループ)が4400億円で約25%の株式を取得しました。

SQM株主構成
SQM株主構成 出所:SQMホームページ

ライベント(Livent Corp)

米国に本拠を置く総合化学品メーカーであるFMCから分社化独立したリチウム生産会社です。アルゼンチンのSalar del Hombre Muerto(オンブレ・ムエルト塩湖)にてかん水から生産するリチウムが主力です。

成都天斉実業(Tianqi Group、ティアンキ・グループ)

シンセン証券取引所に上場する炭酸リチウム、塩化リチウム、水酸化リチウムを生産・販売する民間企業です。子会社でリチウム開発・生産を手掛けるTianqi Lithium Corporation(ティアンキ・リチウム・コーポレーション)が中核です。豪州のGreenbushes鉱山等を手掛けています。2018年に香港証券取引所に上場しました。主要株主及び経営メンバーはJiang Weiping(江偉平)氏です。SQMの持ち分の一部をNutrien(ニュートリエン)から2018年に買収にしましたが、2019年に巨額の減損を発表しました。2021年にタリソンリチウムの持分の一部をIGOに売却しました。

上場前の株主構成

ティアンキ株主構成
ティアンキ株主構成 出所:同社ホームページ

Mineral Resources(ミネラル・リソーシーズ)

豪州の中堅資源開発会社です。鉄鉱石、マンガン、リチウムがメインです。リチウムは、中国のGanfeng Lithium(ガンフォンリチウム)社と共同で手掛けるMt Marion lithium project(マウント・マリオン・リチウム・プロジェクト)を手掛けています。

Ganfeng Lithium(ガンフォンリチウム、赣锋锂业)

シンセン証券取引所に上場をする中国のリチウム生産会社です。2019年にドイツのVWと10年間にわたるリチウムの供給を合意しました。ティアンキが筆頭株主となっています。

ギャラクシー・リソーシズ(Galaxy Resources Limited)

リチウムを中心とする資源会社です。オーストラリア、カナダ、アルゼンチンで硬岩と塩水鉱物から成る多様なプロジェクトのポートフォリオを保有しています。西オーストラリア州のマウント・キャトリン(Mt.Cattlin)にあるリチウムとタンタルの鉱山でリシア輝石を生産しています。2021年にオロコブレ(Orocobre)との経営統合を発表しました。

オロコブレ(Orocobre Ltd)

豪州に上場するリチウム・カリウム資源の開発会社です。アルゼンチンのオラロス塩湖(オラロス)のプロジェクトに注力しています。2018年に豊田通商が15%の持分を約260億円で取得すると発表しました。拡張プロジェクト(フェーズ2)終了後のオラロスでのリチウム生産能力は42,500トン/年を予定しています。

ピルパラ・ミネラルズ(Pilbara Minerals Limited)

豪州の中堅資源開発会社で、リチウムとタンタルに特化しています。中国の大手自動車メーカーである長城汽車(グレート・ウォール・モーター)が2017年に出資しました。

美都能源(MeiDu Energy Corporation)

中国のエネルギー開発会社です。リチウム鉱山開発を手掛ける山東瑞福鋰業有限公司(Shandong Ruifu Lithium)を2018年に買収して、同分野に参入しました。

リチウム資源開発会社の再編

  • 2012年 ティアンキがタリソンを買収
  • 2014年 アルベマールがロックウッドを買収
  • 2018年 豊田通商がオロコブレに出資
  • 2018年 ティアンキがSQMの持分のNutrien(ニュートリエン)からの買収に合意
  • 2019年 FMCがリチウム事業をライベントとして分社化
  • 2020年 ティアンキがタリソンの持分の一部を売却
  • 2021年 ギャラクシー・リソーシズとオロコブレが経営統合

参照したデータの詳細情報について


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