ニッケル生産会社の世界市場シェアと市場規模の分析

ニッケル生産会社の世界シェアや市場規模について分析をしています。ノリリスク・ニッケル、ヴァーレ、金川集団等の世界大手ニッケル生産会社の概要も掲載しています。

ニッケル生産の世界市場シェア

最新業界別売上高世界ランキング第7巻」に記載のニッケル生産会社各社の生産量を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2019年の市場シェアを簡易に試算しますと、以下の通りとなります。

1位 ノリリスク・ニッケル 8.3%
2位 ヴァーレ 7.6%
3位 金川集団 7.4%
4位 グレンコア 4.5%
5位 BHPグループ 3.0%
6位 エラメット 2.0%
7位 アングロアメリカン 1.6%
8位 アネカ・タムバング 0.9%
9位 シェリット・インターナショナル 0.59%
10位 住友金属鉱山 0.56%

ニッケル生産・ニッケル鉱山開発会社の2019年の世界市場シェア1位はノリリスク・ニッケル、2位はヴァーレ、3位は金川集団です。

ロシアのノリリスク・ニッケルは、大株主であるルサールが米国の制裁対象となっており影響が心配されます。2位はサドバリー鉱山を有するブラジルのヴァーレ、3位は中国の最大手である金川集団、4位はスイスの資源大手であるグレンコア、5位は西オーストラリア州での産出に強みを持つBHPビリトンとなっています。
10位の住友金属鉱山は、低品位の鉱石からニッケルを取り出す事業の商業化に成功し、フィリピンやインドネシアでニッケル生産を行っています。

生産規模

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、2019年の世界のニッケル生産量を2.7百万トンとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。業界団体のインターナショナルニッケルスタディグループによると2017年の生産量は概ね2百万トンです。調査会社のスタティスタによると、2019年の同生産量2.7百万トンです。

ニッケル生産量推移(1995年から2017年)
ニッケル生産量推移(1995年から2017年) 出所:インターナショナルニッケルスタディグループ

ニッケルの生産量のうち、今後需要の伸びが期待できるバッテリーグレード(クラスIと称される)のニッケルは、全体の1/3程度と言われています。下表のフェロニッケルは主にスプーン等の原料であるステンレスとして利用されています。クラスIIのNPI(Nickel pig iron)ニッケルは、所謂低品位のニッケル鉱石で、バッテリー向きでありません。

ニッケルの用途
ニッケルの用途

ニッケル生産に伴い、副産物としてコバルトが算出されます。コバルトの年間生産トン数は13万トン程度で、リチウム・イオン電池の正極材として利用されます。ニッケルの鉱床には硫化鉱床(Sulphindes)とラテライト鉱床(Laterites)があります。

ニッケルの鉱床
ニッケルの鉱床分布 出所:British Geological Survey

世界の主要なニッケル生産会社の動向

Norilsk Nickel (ノリリスク・ニッケル)
ロシアの非鉄金属大手。パラジウム、ニッケルでは世界最大です。プラチナや銅なども生産しています。アルミニウム製錬大手で、ロシアのオリガルヒであるオレグ・デリパス氏率いるルサールが筆頭株主です。ロンドン証券取引所に上場しています。ルサールは米国によるロシアの制裁の対象となっています。ロシアのKola (コラ)Divisionが主要鉱山です。

Vale(ヴァーレ)

Vale(ヴァーレ)は、世界最大手のブラジル資源大手です。資源メジャーの1角です。主力商品は鉄鉱石ですが、ニッケルも大手の一角です。カナダのインコ(Inco)社から2006年に180億ドルで買収をしたオンタリオ州のSudbury(サドバリー) Mine、Voisey's Bay(ボイジーズ・ベイ)をはじめとして、住友金属鉱山も参画しているインドネシアのSorowako(ソロワコ)、ニューカレドニアのVNC-Goro、ブラジルのOnca Puma(オンサ・プーマ)、カナダのThompson(トンプソン)が主要ニッケル鉱山となっています。マンガン、ボーキサイト、アルミニウム、銅、石炭、コバルト、貴金属の鉱山も手掛けています。コバルトは、カナダのSudbury、Voisey‘s Bay、ニューカレドニアで採掘をしています。三井物産との関係が深いことでも有名です。

BHPグループ(ビーエイチピーグループ)

BHP(ビーエイチピー、BHP)は、世界最大の鉱業会社です。2001年に豪ブロークンヒル・プロプライエタリー・カンパニー(Broken Hill Proprietary Company Limited、BHP) と英ビリトン(Billiton plc) の統合により誕生しました。2018年にBHPビリトン(BHP Billiton)からBHPグループへと改称しています。合併後もロンドンとオーストラリアの2つの株式市場に上場するdual-listed companyとして存在しています。
銅、鉄、ダイヤモンド、石炭、石油、ニッケル、ボーキサイト等の鉱石の生産に携わっています。豪州のOlympic Dam鉱山でウランの生産・開発を行っています。銅鉱山では世界最大規模の生産量を誇るチリのEscondida(エスコンディーダ)を保有しています。ニッケルは、ウェスト・オーストラリア鉱床が、世界最大級の良質なニッケルブリケットやパウダーを生産しています。ウェスト・オーストラリア鉱床においては、Mount Keith(キース山)が、良質なニッケル鉱山です。

BHPビリトン キース山

BHPビリトン キース山
出所:同社

金川集団(Jinchuan Group)
中国を代表する国営資源大手です。ニッケルの生産ではアジア最大です。

Glencore(グレンコア)

グレンコア(Glencore)はスイスに本拠を置く資源商社です。1974年にスイスのトレーダーであるマーク・リッチによって設立されました。2012年にカナダの穀物流通大手バイテラを、2013年には資源メジャーであるエクストラータを買収しています。亜鉛、原料炭、一般炭、銅、コバルト、ニッケル等マイニングや、エネルギー及び穀物トレーディングが事業の柱となっています。トレーディング機能と上流権益の開発機能をあわせもつ資源メジャーとも言えます。コバルト事業では、コンゴ民主共和国の世界最大のコバルト鉱山であるMutanda(ムタンダ)を所有しています。2018年に、中国の格林美(GEM)と3年間5万トンのオフテイク契約を締結しました。なお、GEMは、中国のEVバッテリー大手である寧徳時代新能源(CALT)のサプライヤーです。

ムタンダ鉱山

ムタンダ鉱山

ムタンダ鉱山
出所:Bing

穀物トレーディング事業では、麦やとうもろこし等の商品を取り扱います。2017年1月に穀物部門を分社化し、グレンコア・アグリカルチャーを設立しました。カナダの穀物商社であるバイテラを所有しています。

Sherritt International(シェリット・インターナショナル)
カナダに本拠を置くニッケルやコバルト等資源大手です。キューバ政府とニッケル・コバルト開発会社のCubaniquel(キューバニッケル)を運営しています。

Eramet(エラメット)
フランスに本拠を置くニッケル・マンガン大手です。ニューカレドニアにおけるニッケル権益やガボンにおけるマンガン権益等に強みを持ちます。

住友金属鉱山
日本の金属資源大手です。住友グループの名門です。銅、ニッケル、金に強みを持ちます。発祥は別子銅山です。

アングロアメリカン

アングロ・アメリカン(Anglo American)は英大手資源会社です。ロンドン証券取引所に上場しています。銅鉱山ではLos Bronce(ロスブロンセ)鉱山等を運営しています。ニッケルは、ブラジルのBarro Alto(バーホ・アウト)が主要鉱山です。ダイヤモンドのデビアスを傘下に保有しています。金、プラチナにも強みを持ちます。石炭でも原料炭を中心に優良アセットを保有しております。

アネカ・タムバング(Aneka Tambang、Antam)
アネカ・タムバングはインドネシア政府の投資会社であるinalum社傘下企業です。ニ ッケル、金、銀、ボーキサイト、石炭を生産しています。