コバルト生産・採掘会社の世界市場シェアの分析

コバルト生産・採掘会社の世界市場シェア、市場規模について分析を行なっております。コバルトの主要な生産会社であるグレンコア、チャイナモリブデン(CMOC)、ヴァーレ、ノリリスク等の会社概要も掲載しています。

世界市場シェア

最新業界別売上高世界ランキング第3巻」に記載のコバルト生産・採掘会社各社の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2019年の市場シェアを簡易に試算しますと、以下の順位となります。

  • 1位    グレンコア    32.9%
  • 2位    CMOC      11.4%
  • 3位    シェマフ    4.3%
  • 4位    華友    4.0%
  • 5位    ノリリスク・ニッケル    3.6%
  • 6位    ヴァーレ    2.9%

世界1位は、スイスの資源商社であるグレンコアです。世界2位は、チャイナモリブデン(CMOC)です。2017年に、フリーポートよりコンゴ民主共和国の鉱山を買収し、生産量を拡大させています。3位は、ドバイのシェマフです。4位は、中国の華雄です。5位は、ロシアの二リリスク・ニッケルです。

市場規模

調査会社のスタティスタによれば、2019年のコバルトの年間採掘量は、約14万トンです。コバルトは、あくまで銅やニッケル鉱山の副産物であり、生産規模は大きくありません。

コバルトの生産国ランキング

調査会社のCRUによれば、2019年の地域別生産量の世界1位の国は、コンゴ民主共和国(DR コンゴ)で、全生産量の7割以上を生産しています。2位はロシア、3位はオーストラリア、4位はカナダ、5位はキューバ、6位はフィリピン、7位はマダガスカルとなっています。なお、世界1位のコンゴ民主共和国は、コバルト(生産量世界第1位),ダイヤモンド(同2位),金(同1位)等の鉱物資源に恵まれている一方で、紛争鉱物(コンフリクト・ミネラル)と揶揄されるほど、民族間の武力衝突が相次いでいるため、依然北キブ州ベニなどで、不安定な情勢が継続しています。なお、コンゴ民主共和国とコンゴ共和国は異なる国でもあります。

コンゴ民主共和国
コンゴ民主共和国 出所:外務省

コバルトとは

原子番号27の元素。元素記号は Co。鉄族元素の1つ。安定な結晶構造は六方最密充填構造 (hcp) で、強磁性体。純粋なものは銀白色の金属である。(出所:ウィキペディア)主に銅やニッケルの副産物として産出されます。コバルトは主に、リチウムイオン電池の正極材(自動車、携帯電話、ノートパソコン等に使用されています。超硬合金の接着剤、高速度鋼や耐熱鋼等の特殊鋼添加剤、HDD 等の磁性材、家庭電化製品・音響機器等に使用されるアルニコ磁石やサマリウムコバルト磁石等の永久磁石、石油精製時の脱硫触媒等である。 (出所:JOGMEG)

コバルト生産会社の動向

グレンコア(Glencore)

スイスに本拠を資源商社です。1974年にスイスのトレーダーであるマーク・リッチによって設立されました。2012年にカナダの穀物流通大手バイテラを、2013年には資源メジャーであるエクストラータを買収しています。鉱山・エネルギー・農業が事業の柱となっています。

コンゴ民主共和国の世界最大のコバルト鉱山であるMutanda(ムタンダ)を所有しています。2018年に、中国の格林美(GEM)と3年間5万トンのオフテイク契約を締結しました。なお、GEMは、中国のEVバッテリー大手である寧徳時代新能源(CALT)のサプライヤーです。

ムタンダ鉱山

ムタンダ鉱山マップ
ムタンダ鉱山 出所:Bing

中国洛陽モリブデン(チャイナ・モリブデン、CMOC)

中国の政府系の資源会社です。モリブデンでは世界最大級です。2016年にコンゴ民主共和国のTenke鉱業が保有するテンケ・フングルメ鉱山(Tenke Fungurume)を米国フリーポート等がら買収をして、更なる拡大を目指しています。

ヴァーレ(Vale)

ヴァーレはブラジルの総合資源開発企業です。鉄鉱石、ニッケルに強みを持ち、マンガン、ボーキサイト、アルミニウム、胴、石炭、コバルト、貴金属の鉱山も手掛けています。コバルトは、カナダのSudbury、Voisey‘s Bay、ニューカレドニアで採掘をしています。

ジェカミン(Gecamines)

コンゴ民主共和国に本拠を置く政府系コバルト生産会社です。グレンコア、チャイナモリブデン等の国内のコバルト開発案件に少数株主として参画しています。

シェマフ(Chemaf) 

Shiraz Virji氏率いるコンゴのEtoileやUsc鉱山でコバルト採掘を行う会社です。ドバイに本拠をおくアフリカ向けヘルスケアサービスを提供するShalinaグループが親会社となっています。

Fleurette Group(フルーレット・グループ)

イスラエル生まれの政商であるDan Gertler (ダン・ガートラー)氏が運営する持ち株会社です。スペインのジブラルタルに本拠を置き、コンゴにおけるMutanda MiningやKatanga Miningといった有力なコバルト鉱山を保有していたが、2017年にグレンコアへ売却しました。

ジャージャン・ファーヨウ・コバルト/ Zhejiang Huayou Cobalt/浙江華友コバルト)

中国のコバルト会社です。コンゴ民主共和国南東部のルアラバ州にあるコルヴェジ(Kolwezi)鉱山でコバルトを生産しています。コバルト精製ではユミコアと並ぶ大手です。

Norilsk Nickel(ノリリスク・ニッケル)

ロシアに本拠を置くニッケル・銅・パラジウム・プラチナ等の非鉄金属生産会社です。副産物としてコバルトも生産しています。大株主には、ロシアの財閥であるインターロス(Interros)やアルミニウム大手のルサール社です。同社が権益を保有するロシア北東のノリリスク-タルナフ地区は、世界最大のニッケル・銅・パララジウム鉱床です。

コバルト精製業界

中国のファーヨウ・コバルト、ベルギーのユミコア、中国のGEM(格林美)、中国のJinchuan(金川)、スイスのグレンコア、日本の住友金属鉱山、ロシアのノリリスクなどが手掛けています。

業界関連図書

  • リチウムイオン電池の開発と市場 2018 (エレクトロニクスシリーズ) [単行本]
  • EVショック―週刊東洋経済eビジネス新書No.241 [Kindle版]

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