石炭(一般炭と原料炭)業界の世界市場シェアの分析

石炭(一般炭と原料炭)業界の世界シェアと市場規模等の情報について分析をしています。神華集団、コールインディア、ピーボディ、BHPグループ、アングロアメリカン等の世界大手石炭会社の動向も掲載しています。

世界市場シェア

最新業界別売上高世界ランキング第4巻」に記載の石炭生産会社各社の生産量を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2019年の市場シェアを簡易に試算しますと、以下の順位となります。

1位 コールインディア 10.5%
2位 国家能源 4.9%
3位 ピーボディ・エナジー 3.3%
4位 兗州煤業 2.9%
5位 グレンコア 2.4%
6位 アーチ・コール 1.6%
7位 BHPグループ 1.2%
8位 アングロアメリカン 0.9%
9位 ヴァーレ 0.2%

石炭(一般炭と原料炭)生産量世界シェアランキング1位はコールインディア社です。インドの国有石炭開発・生産会社です。2位は中国の石炭最大手の神華と五大電力会社の一角である国電集団が経営統合して誕生した国家能源です。3位は北米の石炭大手であるピーボディです。二酸化炭素削減の機運が高まる中、石炭、特に一般炭への逆風が吹いており、業界大手企業の石炭開発からの撤退は続いていくと思われます。

市場規模

石油メジャーのBPによれば、2019年の世界の石炭生産量は5718百万トンです。その内、一般炭は8割、原料炭は1割程度の生産量です。石炭は一般炭、原料炭という用途による分類以外に、炭素含有量から無煙炭、瀝青炭、褐炭などへ分類もできます。
石炭の採炭法には、露天式、長壁式、柱房式といった方式があります。

露天採掘(Surface mining)のイメージ
露天採掘(Surface mining)のイメージ 出所:アーチコール
長壁式採炭法のイメージ
長壁式採炭法のイメージ 出所:アーチコール
柱房式採炭法
柱房式採炭法(Room and Pillar mining)のイメージ 出所:アーチコール

石炭大手会社の動向

Coal India(コールインディア)
インドの国営石炭会社です。インドの石炭生産量の8割超を同社が担っています。

国家能源投資(China Energy Investment Corp)
中国の国営石炭会社であるChina Shenhua Energy(神華集団有限責任公司、チャイナ・シェンファ・エナジー)と中国の五大電力会社の一角の中国国電集団が2017年に経営統合し誕生しました。石炭ではの物流まで一貫して行っています。

Peabody Energy(ピーボディ・エナジー)
1883年創業の米国最大の石炭生産企業です。2016年にチャプター11を申請しましたが、その後再上場を果たしています。北米と豪州に炭田を持っております。一般炭と原料炭の両方を手がけています。

ピーボディの北米炭鉱
ピーボディの北米炭鉱 出所:同社AR

ピーボディの北米炭鉱 出所:同社AR

Arch Coal(アーチ・コール)
1969年に設立されたミズーリ州セントルイスに本社を置く石炭生産企業です。1997年に同業のAshland Coalと合併をしました。 2011年に米同業のInternational Coal Group(インターナショナル・コール・グループ)を買収して、Peabody Energyを追撃していましたが、2015年にチャプター11を申請しましたが、2016年に再生プロセスが終了しました。2019年にピーボディ・エネジーとPowder River炭田やColorado石炭事業の合弁会社設立を発表しました。

BHPグループ(旧BHPビリトン)

BHP(ビーエイチピー、BHP)は、世界最大の鉱業会社です。2001年に豪ブロークンヒル・プロプライエタリー・カンパニー(Broken Hill Proprietary Company Limited、BHP) と英ビリトン(Billiton plc) の統合により誕生しました。2018年にBHPビリトン(BHP Billiton)からBHPグループへと改称しています。合併後もロンドンとオーストラリアの2つの株式市場に上場するdual-listed companyとして存在しています。
銅、鉄、石炭、石油、ニッケル、ボーキサイト等の鉱石の生産に携わっています。豪州のOlympic Dam鉱山でウランの生産・開発を行っています。ダイヤモンドも手掛けていましたが、2012年にドミニオンダイヤモンドに事業を売却しました。銅鉱山では世界最大規模の生産量を誇るチリのEscondida(エスコンディーダ)を保有しています。ニッケルは、ウェスト・オーストラリア鉱床が、世界最大級の良質なニッケルブリケットやパウダーを生産しています。ウェスト・オーストラリア鉱床においては、Mount Keith(キース山)が、良質なニッケル鉱山です。

BHPビリトン キース山

BHPビリトン キース山
出所:同社

Vale(ヴァーレ)

Vale(ヴァーレ)は、世界最大手のブラジル資源大手です。資源メジャーの1角です。主力商品は鉄鉱石ですが、ニッケルも大手の一角です。カナダのインコ(Inco)社から2006年に180億ドルで買収をしたオンタリオ州のSudbury(サドバリー) Mine、Voisey's Bay(ボイジーズ・ベイ)をはじめとして、住友金属鉱山も参画しているインドネシアのSorowako(ソロワコ)、ニューカレドニアのVNC-Goro、ブラジルのOnca Puma(オンサ・プーマ)、カナダのThompson(トンプソン)が主要ニッケル鉱山となっています。マンガン、ボーキサイト、アルミニウム、銅、石炭、コバルト、貴金属の鉱山も手掛けています。コバルトは、カナダのSudbury、Voisey‘s Bay、ニューカレドニアで採掘をしています。三井物産との関係が深いことでも有名です。

Glencore(グレンコア)

グレンコア(Glencore)はスイスに本拠を置く資源商社です。1974年にスイスのトレーダーであるマーク・リッチによって設立されました。2012年にカナダの穀物流通大手バイテラを、2013年には資源メジャーであるエクストラータを買収しています。亜鉛、原料炭、一般炭、銅、コバルト、ニッケル等マイニングや、エネルギー及び穀物トレーディングが事業の柱となっています。トレーディング機能と上流権益の開発機能をあわせもつ資源メジャーとも言えます。コバルト事業では、コンゴ民主共和国の世界最大のコバルト鉱山であるMutanda(ムタンダ)を所有しています。2018年に、中国の格林美(GEM)と3年間5万トンのオフテイク契約を締結しました。なお、GEMは、中国のEVバッテリー大手である寧徳時代新能源(CALT)のサプライヤーです。

ムタンダ鉱山

ムタンダ鉱山

ムタンダ鉱山
出所:Bing

穀物トレーディング事業では、麦やとうもろこし等の商品を取り扱います。2017年1月に穀物部門を分社化し、グレンコア・アグリカルチャーを設立しました。カナダの穀物商社であるバイテラを所有しています。

Rio Tinto(リオティント)

Rio Tinto(リオティント)は、世界最大級の鉱業会社です。1995年に英国RTZ と豪CRA が統合して誕生しました。経営統合の経緯から、現在でもロンドンとシドニーの両証券取引所に上場をしています。鉄鉱石やアルミに強みを持ちます。アルミニウムは2007年に買収したリオ・ティント・アルキャンを通じて展開しています。石炭は豪州を中心に注力していましたが、2017年にCoal Allied Industrialをヤンコールlへ、2018年にHail Creek炭田をグレンコア、Kestrel炭田をAdaroエナジーなどへ売却して撤退しました。ダイヤモンドにも強みを持ちます。ジンバブエのムロワダイヤモンド鉱山やカナダの鉱山での生産を行っています。

Anglo American(アングロアメリカン)

アングロ・アメリカン(Anglo American)は英大手資源会社です。ロンドン証券取引所に上場しています。銅鉱山ではLos Bronce(ロスブロンセ)鉱山等を運営しています。ニッケルは、ブラジルのBarro Alto(バーホ・アウト)が主要鉱山です。ダイヤモンドのデビアスを傘下に保有しています。金、プラチナにも強みを持ちます。石炭でも原料炭を中心に優良アセットを保有しております。

Yankuang Group (兖矿)
中国の石炭大手であるYanzhou Coal Mining(イエンチョウ・コール・マイニング、兗州煤業股分有限公司)やその子会社である豪州の炭鉱会社であるYancoal(ヤンコール)の親会社です。採炭以外に石炭輸送鉄道事業も展開しています。ヤンコールはリオティントから炭鉱を買収し、事業を拡大しています。ハンターバレー炭田等で炭鉱をしています。

業界関連図書

資源と経済 持続可能な金属資源の利用を求めて [単行本(ソフトカバー)]
科学技術の視点から原発に依存しないエネルギー政策を創る―石炭火力発電を当面利用すれば、経済的な負担のない原発代替は可能だ (B&Tブックス) [単行本]