インフライトエンターテイメント(航空機内エンターテイメント)業界の世界市場シェアと市場規模を分析しています。業界大手企業であるパナソニックアビオニクス、タレス、グローバルイーグルエンターテイメント、ゴーゴー、サフラン、ハネウェルの動向も掲載しております。
【インフライトエンターテイメントシステムとは】
インフライトエンターテイメントは、英語では、In-flight entertainmentとなります。飛行機の機内で、座席前方に設置されたディスプレイを通じて、インターネットへの接続、オンデマンドの動画、音楽、ゲーム、ニュース、フライト情報等を提供する会社の総称です。インフライトエンターテイメント業界に属する会社は、ディスプレイ、電子機器、接続アンテナの製造やシステム構築、衛星通信への接続サポート等を行っています。類義業界にアビオニクスがありますが、アビオニクスは飛行機の電子機器やシステム構築全般となり、インフライトエンターテイメントも含むより広義の業界となります。
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【市場シェア】
インフライトエンターテイメントメーカーの2023年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2023年のインフライトエンターテイメント業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はタレス、2位はサフラン、3位はハネウェルとなります。
インフライトエンターテイメント会社の世界市場シェアと業界ランキング(2023年)
順位 | Company name(English) | 会社名 | 市場シェア |
---|---|---|---|
1位 | Thales | タレス | 47.49% |
2位 | Safran | サフラン | 22.78% |
3位 | Honeywell | ハネウェル | 20.61% |
4位 | Panasonic Avionics Corporation | パナソニックアビオニクス | 7.86% |
5位 | Gogo | ゴーゴー | 1.25% |
1位はフランスのタレスで、航空機内エンターテイメントおよびコネクティビティ(IFEC)市場における主要なプレイヤーとして広く認識されています。主に乗客向けのインフライトエンターテイメントや高帯域幅のインターネット接続を提供し、リアルタイムでのビデオストリーミング、ライブテレビ、インタラクティブなマルチメディア体験などを実現しています。世界中で広く導入されており、300機以上の航空機で利用されています。
2位はフランスのサフランで、航空宇宙分野におけるインフライトエンターテインメント(IFE)とインフライト接続(IFC)の重要プレイヤーです。特に、Safran Passenger Innovations(SPI)は、航空会社のニーズに合わせた最新のRAVEシステムを提供し、エンターテインメントの柔軟性と接続性を強化しています。
3位はアメリカのハネウェルで、航空機内エンターテイメントおよび接続(IFEC)市場において主要な企業の1つとして存在感を示しています。特に、機内Wi-Fiやストリーミング対応のハードウェア、コネクティビティ技術に注力し、北米地域の航空会社や機体製造企業とのパートナーシップを通じて市場における競争力を維持しています。
【市場規模】
当データベースでは、調査会社Fortune Business Insightsの公表データを参考にし、インフライトエンターテイメントの2023年の世界市場規模を74億8千万ドルとして市場シェアを計算しております。
調査会社Fortune Business Insightsによると、2023年の同業界の市場規模は74億8千万ドルです。2030年にかけて年平均15.9%で成長し、同年には210億3千万ドルへと規模が拡大すると予測しています。⇒参照したデータの詳細情報
年 | 市場規模 | 成長率見込み |
---|---|---|
2023年 | 63.7億ドル | – |
2030年 | 210.3億ドル | 15.9%/年 |
成長率は、各都市の市場規模の推定時点の見込み
【M&Aの動向】
2023年 タレスがImpervaの買収を完了、サイバーセキュリティのグローバルリーダーに
2023年 タレスがTesserentを買収、世界的なサイバーセキュリティ事業を強化
2023年 サフランがタレスの航空電気システム事業を買収
2023年 サフランがコリンズ・エアロスペースの飛行制御事業を買収
2023年 ハネウェルがSCADAfenceを買収
2024年 サフランがコンポーネント・リペア・テクノロジーズを買収
2024年 サフランが航空宇宙・防衛向け人工知能のリーダーであるプレリゲンス買収に向けて交渉を開始
2024年 サフランが3DMFを買収
2024年 ハネウェルがCAESの買収を完了
2024年 ハネウェルがエアプロダクツの液化天然ガス処理技術および機器事業を買収
【会社の概要】
タレス
タレス(Thales )は、フランスに本拠を置く防衛・重電メーカーです。前身はThomson-CSF社で、現在は航空関連の電子サービス(Flight avionics)、衛星、鉄道信号、マイクロ波、防衛セキュリティ、本人認証サービス等の分野を手掛けています。航空機部品は、ハネウェルやコリンズエアロスペースが競合会社です。エアバス、ATR、ベル、ボーイング、ボンバルディア、ダッソーアビエーション、エンブラエル、ガルフストリーム、レオナルド等へ販売をしています。機内エンターテイメント事業にも強く、グローバルイーグルエンターテイメント、ゴーゴー、パナソニック アビオニクスやゾディアック インフライト イノベーションズ(サフラングループ)と競合しています。マイクロ波およびイメージングサブシステムでは、Varian Medical Systems、CPIやL3Harrisと競合しています。2021年に日立に鉄道信号事業を売却しました。さらに詳しく
サフラン
Safran S.A (サフラン)はフランスに本拠を置く防衛・通信大手企業です。傘下のSnecma(スネクマ)にて民間及び軍用の航空機エンジンの製造を行っています。ナローボディー機ではGEと手を組んでいます。2018年に機内エンターテイメント、シート、機内食機器に強いゾディアックを買収しました。
ハネウェル
ハネウェル(Honeywell)は1886年に設立された米国に本拠を置く複合企業です。航空機エンジンや電子制御機器、自動化機器、特殊素材分野、自動車部品等幅広く展開しています。ビルディング・オートメーションやターボチャージャーの分野では世界大手の1社です。2017年にターボチャージャー事業と住宅向け空調機器、火災報知器事業を分社化しました。さらに詳しく
パナソニック
Panasonic Avionics Corporation(パナソニックアビオニクス) は、主に航空業界向けの機内エンターテインメントと接続ソリューションの提供に特化した企業です。1981年に設立され、本社はアメリカのカリフォルニア州アーバインにあります。主なサービスとして、機内エンターテインメントシステム、機内インターネット接続、デジタルソリューション、および技術サポートを提供しています。
Gogo(ゴーゴー)
米国に本拠をおく航空機向けにブロードバンド接続によって、機内エンターテイメントやデータ通信を可能とする製品とサービスを提供する会社です。ターボプロップから大型機まで対応できるシステムに強みがあります。
Global Eagle Entertainment (グローバルイーグルエンターテイメント)
米国に本拠をおく飛行機や船等向けに、衛星通信を通じて、インターネット接続、エンターテイメントやデータを等のコンテンツを配信する機器やサービスを提供しています。2020年にチャプター11を申請し、2021年にアポログローバルマネジメント等がスポンサーとなりました。
Lufthansa Systems(ルフトハンザシステムズ)
ルフトハンザは欧州を代表するエアライン会社です。子会社のルフトハンザシステムズが機内エンターテイメントを提供しています。
ルフトハンザ航空
ルフトハンザ航空は、1926年に設立されたドイツ最大の航空会社です。大戦を経て東西ドイツへ分割された時期もありますが、東西ドイツ統一時に東ドイツの事業を引き継ぎました。1994の民営化後は、スイス航空やオーストリア航空を買収して規模を拡大させています。さらに詳しく
参照したデータの詳細情報について
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