ヘリコプター業界の世界市場シェアの分析

ヘリコプター業界の世界市場シェアと市場規模について分析しています。エアバス・ヘリコプターズ、シコルスキー・エアクラフト、レオナルド・ヘリコプターズといった大手ヘリコプターメーカーの概要や動向も掲載しています。

【ヘリコプター業界とは】

ヘリコプターは大きく商用と軍用の目的別で分類することができます。

商用のヘリコプターは山岳遭難などの時の救護用、患者を運ぶための救急搬送用、上空からの観光用、報道機関用、森林火災の消火用、警察の犯人追跡用などの用途があります。

軍用のヘリコプターには攻撃用、輸送用、救援用、偵察用、対潜水艦用などがあります。

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【ヘリコプター業界の世界市場シェア】

ヘリコプター業界の2024年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2024年のヘリコプター業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はエアバス・ヘリコプターズ、2位はシコルスキー・エアクラフト、3位はレオナルド・ヘリコプターズとなります。

ヘリコプター業界の市場シェア(2024年) ©2025 Deallab
*公式発表取得困難のため、推測値を採用

ヘリコプター業界の世界市場シェアと業界ランキング(2024年)

順位 Company name
(English)
企業名(日本語) 市場シェア
1位 Airbus Helicopters エアバス・
ヘリコプターズ
21.97%
2位 Sikorsky Aircraft* シコルスキー・
エアクラフト*
18.54%
3位 Leonardo Helicopters レオナルド・
ヘリコプターズ
14.52%
4位 AviChina Industry & Technology Company アビチャイナ 9.48%
5位 Bell Helicopter ベル・
ヘリコプター
9.34%
6位 Boeing Rotorcraft Systems* ボーイング・ロータークラフト・システムズ* 6.78%
7位 Robinson Helicopter Company ロビンソン・
ヘリコプター
0.77%
8位 MD Helicopters MD ヘリコプターズ 0.39%
ヘリコプターの世界市場シェアと業界ランキング(2024年) ©2025 Deallab
*公式発表取得困難のため、推測値を採用

1位はエアバス・ヘリコプターズです。エアバスはボーイングと航空機市場を2分する世界最大の旅客機メーカーです。エアバス・ヘリコプターズだけで市場シェアの約5分の1を占めています。

2位はロッキード・マーチン社の傘下である米国のシコルスキー・エアクラフトです。

3位のレオナルド・ヘリコプターズはイタリアの防衛大手フェンメカニカ社の傘下のヘリコプター会社です。

4位のアビチャイナは中国航空工業公司(AVIC)の子会社で中国の北京に本社を置く航空機メーカーです。

5位のベル・ヘリコプターは米国の航空機分野大手のテキストロン(Textron)社傘下のヘリコプター会社です。

6位は米国を代表する防衛関連企業のボーイングに属するボーイング・ロータークラフト・システムズです。

ランキングの上位は全て大手航空機メーカーなどに属していることが分かります。また、米国や中国などの国土面積が大きい国がランキングの多くを占めています。

【ヘリコプター業界の世界市場規模】

当データベースでは、2024年のヘリコプター業界の市場規模を383億ドルとしております。参照した各種調査データは次の通りとなります。調査会社ザビジネスリサーチカンパニーによると、2024年の同業界の市場規模は383億ドルです。2029年にかけて年平均3.8%で成長し、規模は460億ドルへと拡大することを見込んでいます。

世界市場規模 年平均成長率
2024 383億ドル
2029 460億ドル 3.8%
ヘリコプター業界の世界市場規模の年平均成長率見込み(2024年) ©2025 Deallab

ヘリコプター業界の市場規模の予想成長推移 ©2024 Deallab

【M&Aの動向】

テキストロン、シコルスキー・エアクラフト、エアバス・ヘリコプターズ等のヘリコプター業界大手企業による経営統合や買収等の動向を時系列でまとめると以下の通りとなります。

1960年 テキストロン社によるBell Helicopterの買収

1992年 仏アエロスパシアル社と独MBB社の両ヘリコプター部門が経営統合しユーロコプター社誕生

1992年 テキストロン社によるCessna Aircraftの買収

2000年 伊フィンメカニカ子会社アグスタと英GKNの子会社GKN ウェストランド・ヘリコプターが経営統合し、アグスタウェストランド社が誕生

2007年 ロシアのミル社とカモフ社が合併しロシアン・ヘリコプターズ社が誕生

2014年 テキストロン社によるBeechcraft社の買収

2014年 ユーロコプター社がエアバス・ヘリコプターズ社へと社名変更

2015年 ロッキード・マーティンがシコルスキー・エアクラフトを買収

2017年 レオナルド・ヘリコプターズは子会社のレオナルドDRSを通じてDaylight Solutionsを買収

2019年 レオナルド・ヘリコプターズが Vitrocisetを買収

2020年 レオナルド・ヘリコプターズが Kopter Group AG を買収

2023年 エアバス・ヘリコプターズがZF Luftfahrtechnikを買収

2024年 エアバスがエアロベルとその無人航空機システムであるフレックスローターを買収

これからの傾向としてはAIなどの技術の進歩によって各社の無人ヘリコプターへの移行が進むと考えられます。

2025年 レオナルド、イヴェコ・ディフェンスを買収

【会社の概要】

Airbus Helicopters(エアバス・ヘリコプターズ)

Airbus(エアバス)は、仏アエロスパシアル(Aérospatiale)、独ダイムラー・クライスラー・アエロスペース(DCAS)、西コンストルクシオネス・アエロナウティカス(Construcciones Aeronáuticas SA)が母体となって設立された旧EADS (European Aeronautic Defence and Space)を源流とします。旧EADSが2013年にエアバス・グループへと社名変更して誕生しました。欧州最大級の防衛企業です。
航空機部門では、大型民間旅客機ではボーイングとほぼ市場を二分する大手です。小型航空機機ではボンバルディアと提携し、100~150人乗りのCシリーズを展開しています。リージョナルジェットの分野でもA320で737のボーイングとのし烈な覇権争いをしています。
ヘリコプター事業はAirbus Helicopters(エアバス・ヘリコプターズ)で展開しています。仏アエロスパシアルと独メッサーシュミット(ダイムラークライスラー・エアロスペース)のヘリコプター部門が統合しユーロコプター・グループ(Eurocopter Group)が誕生しました。その後現社名へと名称を変更しております。さらに詳しく

Sikorsky Aircraft (シコルスキー・エアクラフト)

米国に本拠を置く世界的なヘリコプター会社です。米国のコングロマリット企業であるユナイテッド・テクノロジー傘下にありましたが、2015年にロッキードマーチンが買収しました。軍用・民用向けのヘリコプターを製造・販売しています。

ロッキードマーチンについて

ロッキードマーチンは、1995年にロッキードとマーティン・マリエッタが合併し誕生した米国の宇宙防衛会社です。F35やF22といった戦闘機、ヘリコプター、ミサイルといった軍用装備品や宇宙衛星・ロケットも手掛けています。米国政府が最大の顧客となります。さらに詳しく

Leonardo Helicopters (レオナルド・ヘリコプターズ)

元アグスタウェストランド(AgustaWestland)です。イタリアの防衛大手フィンメカニカ(Finmeccanica)傘下の大手ヘリコプター会社です。フィンメカニカとイギリスの防衛・航空メーカーのGKNのヘリコプター部門が経営統合して誕生しました。

Bell Helicopter (ベル・ヘリコプター)

米国の航空機分野大手のテキストロン (Textron)社傘下のヘリコプター会社です。兄弟会社にセスナ機を作るセスナ社があります。

AviChina Industry & Technology Company (アビチャイナ)

アビチャイナは中国航空工業公司(AVIC)の子会社で中国の北京に本社を置く大手の航空機メーカーです。主な製品はヘリコプターの他に、飛行機や練習機などがあります。

Boeing Rotorcraft Systems (ボーイング・ロータークラフト・システムズ)

米国航空最大手のボーイング社が手掛けるヘリコプター部門です。

ボーイングについて

ボーイングは米国を代表する防衛関連企業です。民間旅客機でも有名ですが、軍用戦闘機、ミサイル、宇宙船等の製造も手掛けています。民間航空機部門は737、767、777、787型機を含む商業用ジェット機、軍用機部門は「A160ハミングバード」や「AH-64アパッチ」などがあります。ボーイングの事業は大きく防衛・宇宙業界向けの機器販売、民間向けの航空機販売、リース・金融事業、航空機に関連するサービス事業の4つに分類されます。さらに詳しく

テキストロンとは

Textron Aviation(テキストロン)は、1923年にスペシャル・ヤーン・カンパニーとして設立された米国に本拠を置く航空機メーカーです。ヘリコプター、ビジネスジェット、ゴルフカートや芝刈り機等を手掛けています。ビジネスジェットの分野ではビーチクラフトやセスナを相次ぎ買収し規模を拡大しました。
ヘリコプター事業では、エアバス・ヘリコプターズ、シコルスキー・エアクラフト、アグスタウェストランド等と並ぶ大手ヘリコプターメーカーのベル・ヘリコプター(Bell Helicopter )を展開しており、ヘリコプター業界の世界シェアでは上位に位置します。
ビジネスジェットの分野では、競合のガルフストリーム・エアロスペースやダッソーファルコンと並ぶ大手です。ゴルフカートでは、E-Z-GOブランドを展開し、インガソール・ランドやヤマハ発動機と並ぶゴルフカート御三家の一角です。ヤコブセン(Jacobsen)ブランドで芝刈り機を展開しています。そのほか、在庫金融や自動車部品等も手掛けています。さらに詳しく

Robinson Helicopter Company (ロシアン・ヘリコプターズ)

ロシアを代表するヘリコプター会社です。ロシアのヘリコプター大手のミル社とカモフ社が統合して誕生しました。

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