ヘリコプター業界の世界市場シェアの分析

ヘリコプター業界の世界市場シェアと市場規模について分析しています。エアバス・ヘリコプターズ、シコルスキー・エアクラフト、レオナルド・ヘリコプターズといった大手ヘリコプターメーカーの概要や動向も掲載しています。

【ヘリコプター業界とは】

ヘリコプターは大きく商用と軍用の目的別で分類することができます。

商用のヘリコプターは山岳遭難などの時の救護用、患者を運ぶための救急搬送用、上空からの観光用、報道機関用、森林火災の消火用、警察の犯人追跡用などの用途があります。

軍用のヘリコプターには攻撃用、輸送用、救援用、偵察用、対潜水艦用などがあります。

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【ヘリコプター業界の世界市場シェア】

ヘリコプターメーカー各社の2023年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2023年のヘリコプター業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はエアバス・ヘリコプターズ、2位はシコルスキー・エアクラフト、3位はレオナルド・ヘリコプターズとなります。その他大手のヘリコプター会社としては、ロシアン・ヘリコプターズなどがありますがヘリコプター単体での売上高を公表していないため、ランキングからは除外しています。

ヘリコプターメーカーの世界市場シェアと業界ランキング(2023年)

順位 ヘリコプターメーカー 市場シェア
1位 Airbus Helicopters(エアバス・ヘリコプターズ) 24.32%
2位 Sikorsky Aircraft(シコルスキー・エアクラフト) 19.75%
3位 Leonardo Helicopters(レオナルド・ヘリコプターズ) 15.66%
4位 Bell Helicopter(ベル・ヘリコプター) 9.84%
5位 AviChina Industry & Technology Company(アビチャイナ) 9.31%
6位 Boeing Rotorcraft Systems(ボーイング・ロータークラフト・システムズ) 8.63%
ヘリコプターメーカーの世界市場シェアと業界ランキング(2023年)©2024 Deallab

ヘリコプター業界の世界シェア(2023年)©2024 Deallab

市場シェア1位はエアバス・ヘリコプターズです。エアバスはボーイングと航空機市場を2分する世界最大の旅客機メーカーです。エアバス・ヘリコプターズだけで市場シェアの約4分の1を占めています。

2位はロッキード・マーチン社の傘下である米国のシコルスキー・エアクラフトです。

3位のレオナルド・ヘリコプターズはイタリアの防衛大手フェンメカニカ社の傘下のヘリコプター会社です。

4位のベル・ヘリコプターは米国の航空機分野大手のテキストロン(Textron)社傘下のヘリコプター会社です。

5位のアビチャイナは中国航空工業公司(AVIC)の子会社で中国の北京に本社を置く航空機メーカーです。

6位は米国を代表する防衛関連企業のボーイングに属するボーイング・ロータークラフト・システムズです。

ランキングの上位は全て大手航空機メーカーなどに属していることが分かります。また、米国や中国などの国土面積が大きい国がランキングの多くを占めています。

【ヘリコプター業界の世界市場規模】

当サイトでは2023年のヘリコプター業界の市場規模を319.8億ドルとして市場シェアを計算しております。調査会社のThe Business Research Companyによればヘリコプター業界の2023年の市場規模は319.8億ドルで2024年にかけて年平均成長率が24.7%で約398.9億ドルに、2024年から2028年にかけて年平均成長率が4.6%で同年に約476.9億ドルに達すると予想しています。成長する要因として交通渋滞の増加に伴うヘリコプターでの観光や救護用、個人所有目的の需要の増加が挙げられます。また現在の社会情勢から軍事用のヘリコプターの需要が増加することも予測されています。⇒参照したデータの詳細情報

推定市場規模 成長率見込み
2023年 319.8億ドル
2024年 398.9億ドル 24.7%
2028年 476.9億ドル 4.6%
ヘリコプター業界の推定市場シェアの推移 ©2024 Deallab

ヘリコプター業界の推定市場シェアの推移 ©2024 Deallab

【M&Aの動向】

テキストロン、シコルスキー・エアクラフト、エアバス・ヘリコプターズ等のヘリコプター業界大手企業による経営統合や買収等の動向を時系列でまとめると以下の通りとなります。

1960年 テキストロン社によるBell Helicopterの買収
1992年 仏アエロスパシアル社と独MBB社の両ヘリコプター部門が経営統合しユーロコプター社誕生
1992年 テキストロン社によるCessna Aircraftの買収
2000年 伊フィンメカニカ子会社アグスタと英GKNの子会社GKN ウェストランド・ヘリコプターが経営統合し、アグスタウェストランド社が誕生
2007年 ロシアのミル社とカモフ社が合併しロシアン・ヘリコプターズ社が誕生
2014年 テキストロン社によるBeechcraft社の買収
2014年 ユーロコプター社がエアバス・ヘリコプターズ社へと社名変更
2015年 ロッキード・マーティンがシコルスキー・エアクラフトを買収
2017年 レオナルド・ヘリコプターズは子会社のレオナルドDRSを通じてDaylight Solutionsを買収
2019年 レオナルド・ヘリコプターズが Vitrocisetを買収
2020年 レオナルド・ヘリコプターズが Kopter Group AG を買収
2023年 エアバス・ヘリコプターズがZF Luftfahrtechnikを買収
2024年 エアバスがエアロベルとその無人航空機システムであるフレックスローターを買収
これからの傾向としてはAIなどの技術の進歩によって各社の無人ヘリコプターへの移行が進むと考えられます。

【会社の概要】

Airbus Helicopters(エアバス・ヘリコプターズ)

Airbus(エアバス)は、仏アエロスパシアル(Aérospatiale)、独ダイムラー・クライスラー・アエロスペース(DCAS)、西コンストルクシオネス・アエロナウティカス(Construcciones Aeronáuticas SA)が母体となって設立された旧EADS (European Aeronautic Defence and Space)を源流とします。旧EADSが2013年にエアバス・グループへと社名変更して誕生しました。欧州最大級の防衛企業です。
航空機部門では、大型民間旅客機ではボーイングとほぼ市場を二分する大手です。小型航空機機ではボンバルディアと提携し、100~150人乗りのCシリーズを展開しています。リージョナルジェットの分野でもA320で737のボーイングとのし烈な覇権争いをしています。
ヘリコプター事業はAirbus Helicopters(エアバス・ヘリコプターズ)で展開しています。仏アエロスパシアルと独メッサーシュミット(ダイムラークライスラー・エアロスペース)のヘリコプター部門が統合しユーロコプター・グループ(Eurocopter Group)が誕生しました。その後現社名へと名称を変更しております。さらに詳しく

Sikorsky Aircraft (シコルスキー・エアクラフト)

米国に本拠を置く世界的なヘリコプター会社です。米国のコングロマリット企業であるユナイテッド・テクノロジー傘下にありましたが、2015年にロッキードマーチンが買収しました。軍用・民用向けのヘリコプターを製造・販売しています。

ロッキードマーチンについて

ロッキードマーチンは、1995年にロッキードとマーティン・マリエッタが合併し誕生した米国の宇宙防衛会社です。F35やF22といった戦闘機、ヘリコプター、ミサイルといった軍用装備品や宇宙衛星・ロケットも手掛けています。米国政府が最大の顧客となります。さらに詳しく

Leonardo Helicopters (レオナルド・ヘリコプターズ)

元アグスタウェストランド(AgustaWestland)です。イタリアの防衛大手フィンメカニカ(Finmeccanica)傘下の大手ヘリコプター会社です。フィンメカニカとイギリスの防衛・航空メーカーのGKNのヘリコプター部門が経営統合して誕生しました。

Bell Helicopter (ベル・ヘリコプター)

米国の航空機分野大手のテキストロン (Textron)社傘下のヘリコプター会社です。兄弟会社にセスナ機を作るセスナ社があります。

AviChina Industry & Technology Company (アビチャイナ)

アビチャイナは中国航空工業公司(AVIC)の子会社で中国の北京に本社を置く大手の航空機メーカーです。主な製品はヘリコプターの他に、飛行機や練習機などがあります。

Boeing Rotorcraft Systems (ボーイング・ロータークラフト・システムズ)

米国航空最大手のボーイング社が手掛けるヘリコプター部門です。

ボーイングについて

ボーイングは米国を代表する防衛関連企業です。民間旅客機でも有名ですが、軍用戦闘機、ミサイル、宇宙船等の製造も手掛けています。民間航空機部門は737、767、777、787型機を含む商業用ジェット機、軍用機部門は「A160ハミングバード」や「AH-64アパッチ」などがあります。ボーイングの事業は大きく防衛・宇宙業界向けの機器販売、民間向けの航空機販売、リース・金融事業、航空機に関連するサービス事業の4つに分類されます。さらに詳しく

テキストロンとは

Textron Aviation(テキストロン)は、1923年にスペシャル・ヤーン・カンパニーとして設立された米国に本拠を置く航空機メーカーです。ヘリコプター、ビジネスジェット、ゴルフカートや芝刈り機等を手掛けています。ビジネスジェットの分野ではビーチクラフトやセスナを相次ぎ買収し規模を拡大しました。
ヘリコプター事業では、エアバス・ヘリコプターズ、シコルスキー・エアクラフト、アグスタウェストランド等と並ぶ大手ヘリコプターメーカーのベル・ヘリコプター(Bell Helicopter )を展開しており、ヘリコプター業界の世界シェアでは上位に位置します。
ビジネスジェットの分野では、競合のガルフストリーム・エアロスペースやダッソーファルコンと並ぶ大手です。ゴルフカートでは、E-Z-GOブランドを展開し、インガソール・ランドやヤマハ発動機と並ぶゴルフカート御三家の一角です。ヤコブセン(Jacobsen)ブランドで芝刈り機を展開しています。そのほか、在庫金融や自動車部品等も手掛けています。さらに詳しく

Russian Helicopters (ロシアン・ヘリコプターズ)

ロシアを代表するヘリコプター会社です。ロシアのヘリコプター大手のミル社とカモフ社が統合して誕生しました。

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