コネクター業界の世界市場シェアや市場規模について分析しています。TEコネクティビティ、アンフェノール、日本航空電子工業といった世界の主要なコネクターやスイッチメーカーの概要や動向も掲載しています。
【コネクターとは】
コネクターとは
コネクターとは電子回路等において機器を接続するために利用される部品です。機器同士を直接接続してしまうと分離することが難しくなりますが、電子機器⇒コネクター⇒ワイヤー・ケーブル⇒コネクター⇒電子機器という形で接続することでより柔軟な機器の組み合わせによる設計が可能となります。データ転送容量や高圧対応等が技術的な差別化に繋がっています。電子情報技術産業協会によると、コネクターには、光コネクター、角形コネクター、丸形コネクター、同軸コネクター、プリント基板用コネクターといった種類があります。
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【市場シェア】
コネクターメーカー各社の2023年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2023年のコネクター業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はTEコネクティビティ、2位はアンフェノール、3位は日本航空電子工業となります。
コネクターメーカーの世界市場シェア(2020年)
順位 | Company name(English) | コネクター会社 | 市場シェア |
---|---|---|---|
1位 | TE Connectivity | TEコネクティビティ | 19.51% |
2位 | Amphenol Corporation | アンフェノール | 15.27% |
3位 | JAE | 日本航空電子工業 | 1.80% |
4位 | Belden | ベルデン | 1.69% |
5位 | Hirose Electric | ヒロセ電機 | 1.48% |
6位 | ITT Inc | ITT | 0.85% |
7位 | Hubbell | ハベル | 0.79% |
コネクターメーカーの世界市場シェアと業界ランキング(2023年)©2024 Deallab
コネクター業界の世界シェアは、1位がTEコネクティビティ、2位がアンフェノール、3位は日本航空電子工業です。
2020年から首位を維持しているTEコネクティビティはスイスの企業です。コネクターの製造に特化しており、M&Aを繰り返しながら、トップ企業として着実に成長を続けています。
2位のアンフェノールは米国に本社を置いています。4位のベルデン、6位のITT、7位のハベルも米国企業で、コネクター業界は米国が中心だと言えます。
日系企業としては、3位の日本航空電子工業(JAE)、5位のヒロセ電機がランクインしています。
その他のコネクター大手としては、米国のAptiv(アプティブ)やMolex(モレックス)、日本の日本圧着端子製造がありますが、非上場で財務データを公表していない・コネクター単体の売上を公表していないなどの理由から、ランキングから除外しています。
【市場規模】
当データベースでは、調査会社等の公表データを参考にし、コネクター業界の2023年の世界市場規模を822億ドルとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。
調査会社のアライドマーケットリサーチによると、2023年の同市場規模は822億ドルです。2032年にかけて年平均6.3%で成長し、同年には1411億ドルへと拡大することが見込まれます。⇒参照したデータの詳細情報
年 | コネクター市場規模 | 成長率見込み |
---|---|---|
2023年 | 822億ドル | – |
2032年 | 1411億ドル | 6.3% |
【M&Aの動向】
2007年 タイコインターナショナル(Tyco International)からタイコエレクトロニクス(Tyco electronics)が分社化 (2011年にTEコネクティビティに社名変更)
2012年 TEコネクティビティが約20億ドルでフランスのDeutsch Groupを買収
2022年 TEコネクティビティがRFコネクタのLinx Technologiesを買収
2023年 ハベルが電気インフラ大手のSystems Controlを買収
2023年 TEコネクティビティが電磁システムを手掛けるSchaffnerを買収
2024年 ベルデンが光トランシーバーのPrecision Optical Technologiesを買収
2024年 アンフェノールがCarlisle Companies Incorporated のインターコネクトテクノロジー事業を買収
大手企業の中では、TEコネクティビティが積極的にM&Aを行っています。また、アンフェノールによるCarlisle Companies(カーライルカンパニー)のコネクター製造事業(カーライル・インターコネクト・テクノロジーズ(CIT)事業)の買収も注目されています。ランキングに入っていたカーライルの事業を買収したことで、アンフェノールのシェア上昇も期待できます。
【会社の概要】
TE Connectivity(TEコネクティビティー)
スイスに本拠を置くコネクター大手です。元々は警備サービスや防犯機器製造大手のタイコ・インターナショナルのコネクター部門でしたが、Tyco Electronicsとして分社化後、TEコネクティビティーに社名変更をしました。現在はニューヨーク証券取引所に上場しています。
Amphenol(アンフェノール)
米国に本拠を置くコネクター・スイッチ大手です。1932年創業。航空宇宙や産業機器向けのコネクターに強みを持ちます。
日本航空電子工業(JAE)
1953年に設立されたコネクター等のメーカーです。NECグループの上場子会社です。
ヒロセ電機
1937年に設立された独立系のコネクターメーカーです。多極コネクターから同軸コネクターまで幅広い製品をスマートフォン、通信機器、カーエレクトロニクス、計測・制御機器、FA機器及び医療機器
などの産業用機器、無線LANやBluetooth通信のアンテナや自動車でのGPSアンテナ機器向けに提供しています。
ITT
ITTは1920年にアメリカで創業したメーカーです。元々は通信事業を含むコングロマリットでしたが、ほとんどの事業を分社化しました。現在では、航空宇宙、交通、エネルギー産業向けの特殊部品を製造しています。
Hubbel(ハベル)
米国に本拠を置くメーカーです。コネクターは電気ソリューション部門で取り扱っており、コネクター以外にも配線器具などを取り扱っています。また、配電・送電関連製品の設計・製造も行っています。
Belden(ベルデン)
1902年に創業されたケーブルやコネクターのメーカーです。電線や光ファイバー等も展開しています。
日本の有力プレーヤー
日本におけるコネクターの有力企業としては、矢崎総業、日本圧着端子製造、住友電装などがあります。
参照したデータの詳細情報について
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