塗料・コーティング業界の世界市場シェアの分析
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塗料・コーティング業界の世界市場シェアの分析

塗料・コーティング業界の世界市場シェアランキングと市場規模について分析しています。シャーウィン・ウイリアムズ、PPGインダストリーズ、アクゾノーベル、日本ペイント、アクサルタ、関西ペイントといった世界大手の塗料メーカーの概要や動向も掲載しています。

【塗料・コーティングとは】

塗料は、建築物(Decorative)から自動車(Auto)・船舶(Ship)まで幅広く利用されています。塗料は、顔料、溶剤や添加剤といった要素から作られ、溶剤塗料、油性塗料、水性塗料や粉末塗料等用途ごとに特化した塗料が開発されています。塗料には、装飾以外にも、腐食を防ぐ、傷を防ぐ、耐熱性、耐久性や防水性を高めるといった様々な役割が求められます。

溶剤系塗料製造に使用されるトルエンは、キシレン、酢酸エチルと並びVOC(volatile organic compounds、揮発性有機化合物)規制の対象となっています。浮遊粒子状物質及び光化学オキシダントの原因とされています。

【塗料・コーティング業界の世界市場シェア】

塗料・コーティング業界の2024年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2024年の塗料・コーティング業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はシャーウィン・ウイリアムズ、2位はPPGインダストリーズ、3位は日本ペイントとなります。

塗料・コーティング業界の世界市場シェアとランキング(2023年度)

順位 Company name
(English)
企業名(日本語) 市場シェア
1位 SHERWIN-WILLIAMS シャーウィン・ウイリアムズ 10.63%
2位 PPG Industries PPGインダストリーズ 7.29%
3位 Nippon Paint 日本ペイント 5.73%
4位 Akzo Nobel アクゾノーベル 5.22%
5位 RPM RPM 3.37%
6位 Axalta Coating Systems アクサルタ・コーティング・システムズ 2.43%
7位 BASF BASF 2.09%
8位 Kansai Paint 関西ペイント 2.06%
9位 Jotun ジョータン 1.56%
10位 Asian Paints Limited アジアン・ペインツ・リミテッド 1.41%
11位 Hempel ヘンペル 1.07%
塗料・コーティング業界の世界市場シェアとランキング(2024年度) ©2025 Deallab

塗料・コーティング業界の世界市場シェア(2024年) ©2025 Deallab

1位のシャーウィン・ウイリアムズは同業のバルスパーを2016年に買収し、世界首位を維持しております。

2位は、同じく米国のPPGインダストリーズで、2014年にメキシコの建築用塗料大手であるConsorcio Comexを買収して、規模拡大を図っております。

3位にはオランダのアクゾノーベルがつけます。スペシャルティケミカル事業をカーライルに売却する一方で、スペインや中国の中堅塗料会社を買収しています。2017年にアクゾノーベルとPPGインダストリーズの経営統合が検討されました。

3位は、Wuthelam(ウットラム)と経営統合を行った日本ペイントHDです。2019年の豪州デュラックスグループ買収をはじめ、M&Aを足がかりに海外事業の拡大を図っています。4位にアクゾノーベル。5位はRPM、6位は自動車関連の塗料に特化しているアクサルタ、7位はBASF、8位は関西ペイントです。9位は船舶塗料に強いジョータンとなっています。10位はインドのアジアン・ペインツです。

【塗料・コーティング業界の世界市場規模】

当データベースでは、2024年の塗料・コーティング業界の市場規模を2,174億ドルとしております。参照した各種調査データは次の通りとなります。

調査会社フォーチュンビジネスインサイツによると、2024年の同業界の市場規模は2,174億ドルです。2032年にかけて年平均4.5%で成長し、規模は3,040億ドルへと拡大することを見込んでいます。

           市場規模    成長率見込み
     2024     2,174億ドル       -
     2032     3,040億ドル      4.5%
塗料・コーティング業界の世界市場規模の年平均成長率見込み(2024年) ©2025 Deallab

塗料・コーティング業界の世界市場規模の予想成長推移 ©2025 Deallab

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【M&Aの動向】

塗料は建築向けを中心に品質での差別化が難しくなってきており、各社ともの原材料の調達におけるコスト競争力を強化するために、M&Aでの規模拡大を図っています。直近では対象会社売上高に対して2~3倍の価格(企業価値ベース)でM&Aが行われています。

1994年 オランダのアクゾとスウェーデンのノーベルインダストリーが経営統合し、アクゾノーベルが誕生

2008年 アクゾノーベルがICI(インペリアル・ケミカル・インダストリーズ)を買収

2008年 PPGがオランダの建築用コーティング大手シグマカロン・グループを32億ドル(22億ユーロ)で買収

2011年 関西ペイントが南アフリカのFreeworld Coatingsを買収

2013年 CarlyleがDuPont Performance Coatingsを49億ドルで買収し、アクサルタ コーティング システムと改名

2013年 PPGがアクゾノーベルの北米建築用塗料事業を10.5億ドルで買収

2014年 PPGがメキシコの建築用塗料大手コンソルシオ・コメックスを23億ドルで買収

2014年 シンガポールのウットラムグループが日本ペイントへの出資比率を38.9%に引き上げ

2016年 アクサルタ コーティング システムによるハイパフォーマンス・コーティングの買収

2016年 アクゾノーベルによるコイルや壁紙向け工業用塗料事業のBASFからの買収

2017年 シャーウィン・ウイリアムズによるバルスパーの買収

2017年 アクサルタをめぐりアクゾノーベルと日本ペイントが争奪戦(ともに買収失敗)

2019年 日本ペイントがトルコのベテック・ボイヤを買収

2019年 日本ペイントが豪州のDuluxを27億ドル(38豪億ドル、3000億円)で買収

2019年 PPGがWhitford Worldwide Companyを買収

2020年 シンガポール塗料大手のウットラムが日本ペイントを買収

2021年 日本ペイントがウットラムとのアジア合弁事業を1兆2900億円で買収

2021年 日本ペイントがウットラムのインドネシア事業を買収

2021年 日本ペイントがマレーシアのバイタル・テクニカルを買収

2022年 日本ペイントが仏クロモロジーを1478.86億円で買収

2022年 日本ペイントがスロベニアのJUBを261.77億円で買収

2022年 日本ペイントが中国自動車用連結子会社5社を約67億円で買収

2022年 PPGがArsonsisi’s Powder Coatingsを買収

2022年 関西ペイントが連結子会社を通じ、ドイツCWSグループを買収

2023年 日本ペイントがイタリアのN.P.T. s.r.l.を買収

2023年 日本ペイントがカザフスタンのAlinaを買収

2024年 日本ペイントがインド事業の買戻し計画を発表

2024年 関西ペイントが連結子会社を通じ、ドイツWEILBURGERを買収

2024年 日本ペイントは、米国に本社を置く、グローバル・スペシャリティ・フォーミュレーター、AOC社を買収

2024年 アクサルタ、カバーフレックス・グループの買収を完了

2025年 シャーウィン・ウィリアムズ、BASFのブラジル建築用塗料事業を11億5000万ドルの現金取引で買収

2025年 RPMがThe Pink Stuffの買収を発表

【会社の概要】

Sherwin-Williams(シャーウィンウィリアムズ)は1866年に設立された北米に本拠を置く老舗の大手塗料会社です。一般消費者や業者向けの塗料やコーティング剤の製造販売を行っています。塗料販売用の直営店での販売がメインです。2016年に米同業のバルスパーを買収しました。さらに詳しく

PPG Industries(PPGインダストリーズ)は1883年に設立された米国に本拠を置く塗料メーカーです。ガラス製造会社が発祥です。現在は航空機、船舶や自動車用の塗料事業が主軸となっています。シャーウィン・ウィリアムズと米国首位の座を競っています。さらに詳しく

アクゾノーベル(Akzo Noble)は、オランダに本拠を置く世界最大級の化学・塗料会社です。1994年にオランダのアクゾとスウェーデンのノーベルが合併して誕生しました。ノーベルはノーベル賞の生みの親のアルフレッド・ノーベルが買収して誕生した由緒のある会社です。さらに詳しく

1898年に茂木家によって設立された日本の大手塗料会社です。建設用塗料や自動車向けに強みを持ちます。売上高の約6割はアジアとなっています。シンガポールに本拠を置く塗料大手のWuthelam(ウットラム)と資本提携しました。2019年に豪州のデュラックスグループを買収しています。2020年にウットラムが日本ペイントの買収を発表しました。買収のストラクチャーはやや複雑で、日本ペイントが、ウットラムグループからアジアの合弁会社とウットラムのインドネシア子会社を買収する一方で、買収資金調達のためにウットラムに対して増資を行うことで、ウットラムが日本ペイントの株式の約6割を保有する形となります。さらに詳しく

1947年にFrank C. Sullivan氏によって設立された北米に拠点を置く塗料大手です。Tremco、Carboline、Universal Sealants、Stonhard、Euco、Day-Glo、Dryvi、Zinsser、Rust-Oleum、DAP、Varathane、Testorsといったブランドで事業を展開しています。

旧デュポン パフォーマンス コーティングス。2013年にカーライルグループが買収し、Axaltaへと社名を変更しました。自動車向けの塗料に強く、Cromax(クロマックス)、Standox(スタンドックス)、Duxone等の有力ブランドで世界展開を強化しています。2014年にニューヨーク証券取引所に上場しました。2017年にアクゾノーベルとの経営統合の交渉を発表しましたが、その後日本ペイントとの交渉を発表し、結局決裂しています。

BASFは、1865年に設立された世界最大級の独化学メーカーです。バイエル、ヘキスト(現サノフィ・アヴェンティス)と並ぶドイツ三大化学メーカーの一角となっています。BASFとはバーデン・アニリン・ウント・ソーダ(Badische Anilin- und Soda-Fabrik)の略です。BASFの読み方はバスフでなく、ビーエーエスエフです。アンモニアの量産を可能にしたハーバー・ボッシュ法を発明したことでも有名です。化学業界の売上高ランキングでは、世界1位の座が定番の総合化学の雄と言えます。現在は、石油化学品、高性能製品、機能性材料、農薬事業を展開しています。さらに詳しく

1918年に玉水弘氏によって設立された日本の大手塗料会社です。建築向けに強みがあります。2016年に北米のUSペイント、サウジアラビアのサウジインダストリアルペイントとマレーシアのサンコラペイントインダストリーズ、2017年にオーストリアの鉄道車両向け塗料大手のヘリオスグループを買収する等、海外展開を積極的に推進しています。

JOTUN(ジョータン)

1926年に設立されたノルウェーに本拠を置く塗料メーカーです。食品などを手掛けるコングロマリットであるOrkla Groupの関連会社です。

1942年に設立されたインドの塗料最大手です。

1915年にデンマークで設立された塗料メーカーです。建築、船、コンテナ、産業機器、ヨットなどの最終製品にコーティングソリューションを提供しています。

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