電話・移動体通信・テレコム業界の世界市場シェアの分析 2021

通信業界(電話会社、携帯電話キャリア、移動体通信、テレコムセクターなど)の世界市場シェアと市場規模について分析をしています。AT&T、ベライゾン、NTT、KDDI、ソフトバンク、チャイナモバイル、ボーダフォン、アメリカモビル、テレフォニカといった主要通信キャリア概略も掲載しています。

【市場シェア】

通信サービス会社の2021年度の売上高を分子に、後述する市場規模を分母にして、2021年の通信業界の世界市場シェアを簡易に算出すると、1位はドイツテレコム、2位はチャイナ・モバイル、3位はAT&Tとなります。⇒参照したデータの詳細情報

通信業界の世界市場シェア(2021年度)

順位 会社名 市場シェア
1位 Deutsche Telekom(ドイツテレコム) 7.11%
2位 China Mobile(チャイナ・モバイル) 6.95%
3位 AT&T Inc.(エーティーアンドティー) 6.93%
4位 Verizon(ベライゾン) 5.51%
5位 China Telecom(チャイナ・テレコム) 4.06%
6位 NTT(日本電信電話株式会社) 4.05%
7位 Telefonica(テレフォニカ) 3.40%
8位 Vodafone Group(ボーダフォン) 2.98%
9位 China United Network Communications Group Co., Ltd. (チャイナ・ユニコム) 2.81%
10位 Orange S.A.(オランジュ) 2.78%
11位 America Movil(アメリカ・モビル) 2.47%
12位 KDDI CORPORATION(KDDI株式会社) 2.31%
13位 BT(旧ブリティッシュテレコム) 1.62%
14位 SoftBank Corp(ソフトバンク株式会社) 1.29%
15位 Telenor ASA(テレノール) 1.23%
16位 Telecom Italia Mobile(イタリアテレコム) 1.00%
17位 Etisalat(エティサラート) 0.83%
18位 Liberty Global Holdings Limited(リバティ) 0.60%
19位 Bharti Airtel(バーティ・エアテル) 0.58%
20位 VEON(旧ヴィンペルコム株式会社) 0.45%
2021年の通信業界の世界シェア ©ディールラボ

通信業界の世界シェア(2021年)
通信業界の世界シェア(2021年)

ドイツテレコムが世界1位となりました。2021年にソフトバンクからスプリントを買収し、米国事業を拡大しています。

2位には、中国最大の携帯電話会社のチャイナモバイルが入っています。チャイナモバイルは加入者数では世界1位です。

AT&Tが3位です。AT&Tは通信事業への回帰を図っています。2014年にディレクTVを買収、2016年にはメディア大手のタイムワーナーの買収を実施し、通信とメディアの融合を目指しましたが、ディレクTVは投資ファンドへの売却、ワーナーメディアはディスカバリーとの経営統合しました。

4位は米国のベライゾンがつけています。ベライゾンの主力は携帯事業のベライゾン・ワイヤレスとなります。AT&Tと同様にヤフーやAOL事業を買収し、通信とメディアの融合を目指しましたが、2021年に売却を発表しました。

5位は日本のNTTグループです。NTTドコモを完全子会社化し通信事業を強化しています。

携帯電話会社の加入者数ベースでは、チャイナ・モバイル、グローバル展開で先行したイギリスのボーダフォン、インドのバーティが上位になっています。加入者ベースでは、人口が多い国の携帯キャリアが世界シェアの上位にくる傾向があります。日本勢は加入者数ではトップ10から脱落しています。また人口数がKPIとなるため、先進国の携帯キャリアも加入者数ベースでは劣勢です。

【市場規模】

当サイトでは、2021年の通信業界の市場規模を1兆7300億ドルとしております。参照した統計や調査データは以下の通りです。

調査会社プレシデンスリサーチによると、2021年の同業界の市場貴は1兆7300億ドルです。2030年にかけて年平均4.85%で成長し、同年には2兆6500億円へと拡大する見込みです。

調査会社のグランドビューリサーチによると、2020年の同業界の市場規模は1兆6577億ドルです。2028年にかけて5.4%での成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報

5Gネットワークの拡充やクラウドベースのデータサービス(ビデオストリーミング、ビデオ通信など)への強い需要を背景に、今後も成長が見込まれる市場です。

市場規模 成長率見込み
2021年 1兆7300億ドル 4.85%
2020年 1兆6577億ドル 5.4%
通信業界の推定市場規模 ©ディールラボ

【M&Aの動向】

通信とメディアの融合、地域を超えての世界展開、5Gへの対応を含めた通信回線の質やスピード向上といった設備投資という3つの要素が絡み合い、業界再編が頻発している業界です。売上高倍率は2~4倍程度が最近の傾向です。

2012年 ソフトバンクがスプリントを買収
2015年 リバティがケーブル&ワイヤレスを買収
2016年 AT&Tがワーナーメディアを買収
2018年 ソフトバンク傘下のスプリントとドイツテレコム傘下のT-Mobileが経営統合
2020年 NTTがNTTドコモを買収
2020年 リバティがサンライズコミュニケーションを買収
2021年 AT&Tがワーナーメディアを売却
2021年 AT&TがディレクTVを売却

通信業界のM&Aマルチプル(売上高倍率)
通信業界のM&Aマルチプル(売上高倍率)

【会社の概要】

AT&T

AT&Tは米国最大級の通信メディア会社です。電話を開発したグラハム・ベルによって設立された世界初の電話会社の流れをくみます。長距離と地域電話会社(ベビーベル)への分割後、ベビーベルの1社のSBCコミュニケーションがAT&Tを買収し、AT&Tへと改めて社名を変更しました。携帯、固定電話、ブロードバンドといった通信事業を展開しています。ルーセントテクノロジーやリバティメディア等はもともとAT&Tより派生した会社群です。2014年に衛星通信テレビDirecTVを、2016年にタイムワーナーを買収しメディア事業を強化していますが、5Gの免許料や設備投資が重く、2020年にDirecTVを売却し、2021年にワーナーメディアをディスカバリーと経営統合するとの発表をしました。さらに詳しく

China Mobile(チャイナ・モバイル、中国移动通信集団、中国)

世界最大の携帯電話キャリアです。6億人超の加入者を擁します。元々はChina Telecom(チャイナ・テレコム)の移動通信部門でした。

Vodafone Group(ボーダフォン、英)

英に本拠を置く世界最大級の固定及び携帯電話キャリアです。欧米を中心に世界展開しています。

NTT(日本電信電話株式会社)

NTTは1952年に日本電信電話公社として設立された国策通信キャリアです。1985年にNTTとして民営化されました。数度の再編を経て、現在は固定通信のNTT東西、モバイル通信のNTTドコモ、データサービスのNTTデータ&NTT Ltd.という体制で世界的に事業を展開しています。
国内では、その出自や規制業種ということもあり、公正な競争を維持しながらの成長、一方海外ではM&Aによる巨額減損を再度発生させないような事業展開が課題となっています。通信における技術力では引続き世界最高水準を維持していると言われ、様々な柵の中で成長戦略を遂行しています。さらに詳しく

America Movil(アメリカ・モビル、メキシコ)

世界有数の富豪であるCarlos Slim(カルロススリム)率いる固定及び携帯電話キャリアです。中南米で圧倒的な地位を占めています。

Telefonica(テレフォニカ、スペイン)

スペインに本拠を置く固定及び通信会社です。南米のスペイン語圏を中心に世界展開しています。

China Unicom(チャイナ・ユニコム、中国联通、中国)

1994年創業の中国第2位の国営固定及び携帯電話キャリアです。

Verizon(ベライゾン)

米国最大級の通信キャリアです。ベル・アトランティックが前身です。VodafoneとのJV解消に伴う取引で親会社のVerizon Wireless(ベライゾン・ワイヤレス)を完全子会社化しました。2021年にYahoo、TechCrunch、EngadgetやAOL等のメディアサイトと広告の運営会社であるVerizonMediaを、アポロに50億ドルで売却しました。

VEON(旧ヴィンペルコム株式会社)

ロシアの通信会社Altimo(アルティモ)とノルウェーの携帯キャリアであるTelenor(テレノール)との合弁会社です。旧ソ連圏に強みを持ちます。

Orange Group(オランジュ、仏)

仏最大手の通信キャリアです。旧国営のフランス・テレコムグループ傘下ですが、フランステレコムはオレンジブランドを統一ブランドとして利用しています。

Bharti Airtel(バーティ・エアテル、印)

インド最大手の通信キャリアです。ボンベイ証券取引所に上場しています。

China Telecom(チャイナ・テレコム、中国电信集団、中国)

中国の固定回線最大手の通信キャリアです。China Mobile(チャイナ・モバイル)を分割後、2009年に携帯キャリア事業に参入しています。移動体通信では中国内3位です。

Deutsche Telekom(ドイツテレコム)

ドイツ最大の通信キャリアです。携帯キャリアはT-Mobile(ティーモバイル)で展開しています。Telekomといえばドイツテレコムを指す。2020年にソフトバンクから米国の通信会社であるスプリントを買収しました。

Mtn Group(mobile telecommunications Netork、南ア)

南アに本拠を置き、アフリカ・中東にて通信事業を展開する大手通信キャリアです。

Telenor ASA(テレノール、ノルウェー)

ノルウェー国営の通信キャリアです。オスロ証券取引所に上場しています。

Telecom Italia Mobile(テレコム・イタリア、伊)

通信大手のTelecom Italia傘下の伊最大の携帯キャリア会社です。TIM(Telecom Italia Mobile、テレコム・イタリア・モービレ)のブランドでイタリア・ブラジル(TIM Brasil)で携帯事業を展開しています。テレビ、音楽、ゲーム等のエンターテイメントコンテンツの配信サービスも手掛けています。国際キャリアはSparkleブランドで展開しています。

Softbank(ソフトバンク株式会社)

日本の大手通信キャリアです。ボーダフォンより日本事業を買収し成長しました。米第3位の携帯キャリア会社であるスプリントを2013年に買収しましたが、2019年にドイツテレコム傘下のTモバイルへと経営統合しています。

Etisalat(エティサラート、エミレーツ・テレコミュニケーションズ・コーポレーション)

アラブ首長国連邦に本拠を置く携帯キャリアです。アラブ圏を中心に事業を展開しています。

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