信越化学工業の市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

信越化学工業(信越化学)は1926年に創業された日本を代表する化学メーカーです。旭化成、積水化学、積水ハウスと同じ源流である日本窒素肥料(現チッソ)の関連会社として誕生しました。同社のアニュアルレポートによれば、塩化ビニル樹脂、シリコンウエハ、先端品フォトマスクブランクス、フェロモン製剤では世界1位です。セルロース、シリコーンでも世界大手となっています。半導体ウエハはSUMCOと二強体制となっています。

業績推移(年次)

2019年度
売上高は1,594,036百万円で、前年度比11%増となりました。営業利益は403,705百万円になりました。営業利益率は25%になりました。

2020年度
売上高は1,543,525百万円で、前年度比3%減となりました。半導体シリコン事業以外全ての事業セグメントは減収でした。営業利益は406,041百万円になりました。営業利益率は26%になりました。

2021年度
売上高は1,496,906百万円で、前年度比3%減となりました。電子・機能材料事業以外全ての事業セグメントは減収でした。これは経済活動制限による市場下落の影響です。営業利益は392,213百万円になりました。営業利益率は26%になりました。

2022年度
売上高は2,074,428百万円で、前年度比39%増となりました。塩ビ樹脂を中心とした需要の強さに加え、原料価格を反映した値上げが浸透したことが、この売上増の主な要因です。営業利益は676,322百万円になりました。営業利益率は33%になりました。全事業セグメントで増益を達成しました。特に、生活環境基盤材料事業は前年度比営業利益が219.1%増加しました。

2023年度
売上高は2,808,824百万円で、前年度比35%増となりました。塩ビ樹脂をはじめとした販売数量の増加や市況変動をきめ細かく反映した価格交渉が成功したことが、この売上増の主な要因です。営業利益は998,202百万円になりました。営業利益率は36%になりました。全ての事業セグメントで二桁の増益を達成しました。特に生活環境基盤材料事業の営業利益率は70%増の伸びで全体をけん引しました。

信越化学工業の業績推移

信越化学工業の業績推移

業績推移(四半期)

2022年第1四半期(04ー06月)
売上高は656,700百万円になりました。営業利益は249,600百万円、営業利益率は38%になりました。

2022年第2四半期(07ー09月)
売上高は752,600百万円になりました。営業利益は286,600百万円、営業利益率は38%になりました。

2022年第3四半期(10ー12月)
売上高は753,900百万円になりました。営業利益は271,900百万円、営業利益率は36%になりました。

2023年第4四半期(01ー03月)
売上高は645,500百万円になりました。営業利益は189,900百万円、営業利益率は29%になりました。

2024年第1四半期(04ー06月)
売上高は599,201百万円になりました。営業利益は190,820百万円、営業利益率は32%になりました。

信越化学工業の四半期業績推移

信越化学工業の四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比45%増の347.61円になりました。1株当たりの配当は前年度比25%増の500円になりました。配当性向は144%になりました。

信越化学のEPS・配当額・配当性向の推移

信越化学工業のEPS・配当額・配当性向の推移

業績予想


2023年07月
今期の売上高は2,300,000百万円、営業利益は700,000百万円、経常利益は760,000百万円、1株あたり当期純利益は257.60円を予定しています。

売上構成

セグメントは、生活環境基盤材料事業、電子材料事業、機能材料事業、加工・商事・技術サービス事業に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

信越化学工業の2023年度売上構成

信越化学工業の2023年度売上構成

生活環境基盤材料事業
環境負荷を抑えてインフラ及び生活を支えることを目的としたセグメントで、塩化ビニル樹脂、苛性ソーダ、メタノール、クロロメタン、ボバールを主に製造・販売しています。

電子材料事業
電子・光・磁気をより良く、至る所で応用するための材料技術を提供することを目的としたセグメントで、半導体シリコン、希土類磁石、半導体用封止材、LED用パッケージ材料、フォトレジスト、マスクブランクス、合成石英製品を主に製造・販売しています。

機能材料事業
求められるより良い機能を多岐に亘り提供することを目的とするセグメントで、シリコン、セルロース誘導体、金属ケイ素、合成フェロモン、塩ビ・酢ビ共重合樹脂、液状フッ素エラストマー、ペリクルを主に製造・販売しています。

加工・商事・技術サービス事業
材料の応用とエンジニアリングの活用で課題解決に応えることを目的とするセグメントで、樹脂加工製品、技術・プラント輸出、商品の輸出入、エンジニアリングを実施しています。

M&A情報


1996年 オーストラリアの「シムコアオペレーションズ社」を買収
1999年 オランダの塩ビ事業を買収し、「シンエツPVC社」設⽴
2003年 ドイツのセルロース事業を買収し、「SE タイローズ社」設立(独)
2006年 シリコンウエハー研磨加工の三益半導体工業の株式公開買付(TOB)完了
2012年 がん領域に特化した創薬ベンチャーのナノキャリアの株式取得
2024年 シリコンウエハー研磨加工の三益半導体工業をTOBで子会社化

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