医薬品卸業界の世界市場シェアの分析

医薬品卸業界の世界市場シェアと市場規模について分析をしています。マケソン、カーディナル・ヘルス、アメリソース・バーゲン、シノファームといった世界大手の医薬品卸会社の概要や動向も掲載しています。

【医薬品卸業界について】

業界バリューチェーン

製薬会社が開発・生産した薬を、専用ロジスティクスで運搬し、薬品卸会社が病院、調剤薬局、ドラッグストアに届ける仕組みとなっています。

【市場シェア】

医薬品卸会社各社の2021年度の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2021年の医薬品卸業界の世界市場シェアを簡易に試算しますと、1位はマケソン、2位はアメリソース・バーゲン、3位カーディナルヘルスとなります。

医薬品卸業界の世界市場シェア(2022年度)

順位 企業名(日本語) 市場シェア
1 マケソン 17.44%
2 アメリソース・バーゲン 15.03%
3 カーディナル・ヘルス 10.43%
4 ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス 8.36%
5 シノファーム 3.59%
6 フェニックス 2.65%
7 華潤製薬 1.68%
8 アルフレッサホールディングス 1.09%
9 スズケン 1.07%
10 メディパルホールディングス 1.05%

医薬品卸は業界再編が進んでいる業界であり、M&Aによる買収・売却が活発に行われています。前年度に続き、上位3社のランキングは変動がありませんでした。中国企業である、シノファームは、2021年には欧米の製薬会社以外で始めてコロナウイルスワクチンをWHOに認可されるなど、近年躍進が続いています。日本における医薬品卸業界などは、厳しい法規制の存在から売り上げが伸びづらく、盛んにM&Aが行われています。

【市場規模】

当データベースでは、医薬品卸業界の2020年の世界市場規模を1兆4千億ドルとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。

調査会社のビジネスリサーチカンパニーによると、2020年の医薬品卸業界の市場規模は1兆4500億ドルであると推定されます。2022年から2030年にかけて同市場規模は年平均成長率9.10%での成長を見込みます。2030年には同業界の市場規模は3兆円弱に到達すると考えられます。

【M&Aの動向】

2023年アルフレッサホールディングス、医療関連企業のテラファーマから再生医療等製品の製造事業を取得

2022年McKesson、デジタルヘルスプラットフォームであるOncoHealthを買収

2022年AmerisourceBergen、医療技術業界向け専門サービスであるPharmaLexを買収

2022年Walgreens Boots Alliance、大手在宅ケアプラットフォームであるCareCentrixを買収

2022年メディパルホールディングス、化粧品・日用品、一般用医薬品を扱う住友ファーマフード&ケミカル株式会社を買収

2021年スズケン、メディカルコンタクトセンター事業などを営むEPファーマラインを取得

2019年Cardinal Health、製薬モバイルプラットフォームであるMscriptsを買収

【会社の概要】

McKesson(マケソン)

米国に本拠を置く世界最大級の医薬品卸会社です。ウォルマートやCVSとの取引に強みを持っています。Celesio(セレシオ)を買収して欧州市場へ参入しました。

Celesio(セレシオ)について

ドイツに本拠を置く医薬品卸大手です。米国のマケソンが買収し、現在はマケソンの子会社です。

Cardinal Health(カーディナルヘルス)

Cardinal Health(カーディナルヘルス)は、1979年に設立された米国に本拠を置く世界大手の医薬品卸・医療機器メーカーです。卸分野では放射性医薬品に強みを持ちます。使い捨て型の手術用手袋、不職布等の感染防御製品に強みを持ちます。ニューヨーク証券取引所に上場をしています。

AmerisourceBergen(アメリソース・バーゲン)

米国に本拠を置く医薬品卸大手です。2001年にBergen Brunswig社とAmeriSource社が合併して誕生しました。

Walgreens Boots Alliance(ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス)

Walgreens Boots Alliance(ウォルグリーンブーツアライアンス)は、1901年に設立された米国に本拠を置く薬局・ドラッグストアチェーンです。2014年に米国のウォルグリーンが、英・スイス系のアライアンス・ブーツを買収して誕生しました。米国以外にも英国、タイ、メキシコ、チリ、欧州にも進出しています。処方箋の調合や一般用医薬品、医薬品のメール・オーダー、化粧品などを取り扱っています。

Phoenix Pharmahandel(フェニックス)

ドイツに本拠地を置く医薬品・製薬大手で、非上場企業です。

Sinopharm

(中国医薬集団、シノファーム)中国最大級の医薬品卸会社です。中国政府とフォースン(復星)グループの合弁会社です。中国を代表するコングロマリットである華潤集団傘下の製薬会社です。卸売事業も展開しています。

華潤集団

China Resources(華潤グループ、チャイナリソーシズ)は、中国の国務院直轄の企業集団です。第二次世界大戦以前からの歴史を持ちますが、改革開放後に持株会社へと再編されました。傘下には華潤ビール、華潤電力、華潤セメントなど電力、不動産、消費財、医薬品、金融、セメント、ガスなどの分野でグループ会社を多数抱えています。

メディパルホールディングス

医薬、化粧、日用雑貨品を取り扱う卸売会社です。2005年に医薬品卸に強いメディセオと日用雑貨卸に強いパルタックが経営統合して誕生しました。

アルフレッサホールディングス

1949年に設立された福神薬局を源流にもつ医薬品卸会社です。2003年にアズウェルを含めた複数社の医薬品卸会社が持株会社化して誕生しました。

スズケン

1946年に設立された鈴謙洋行を源流にもつ医薬品卸会社です。

国薬控股股分有限公司

シノファーム・グループ(国薬控股股分有限公司)は、中国に拠点を置く企業で、主に医薬品および医療機器の流通事業を行っております。事業内容は4つのセグメントで事業を展開しております。医薬品流通事業は、病院、その他の流通業者、小売薬局店、診療所などに医薬品を販売しております。医療機器事業は、医療機器の販売および設置・保守サービスを行っております。リテールファーマシー事業は、薬局チェーン店の運営を行っております。その他の事業は、実験用品の販売、化学試薬の製造・販売、医薬品の製造・販売を行っております。

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