船外機(小型ボート向けの外付け可能なエンジン)の世界市場シェアと市場規模について分析をしています。ブランズウィック、ヤマハ発動機、スズキ、ホンダ、トーハツといった船外機メーカー大手の概要や動向も記載しております。
【船外機業界とは】
船外機業界は、主にボートや小型船舶の推進力を提供する船外機を製造、販売、修理、メンテナンスする業界を指します。船外機は、エンジン、プロペラ、ステアリング機構を一体化した装置で、船体の外側に取り付けられます。レジャー、漁業、商業、軍事など、さまざまな分野で使用されています。レジャー用途では、ヨットやフィッシングボート、ウォータースポーツ用のボートなどに使用されます。商業や軍事用途では、パトロールボートや救命艇などに使用されます。船外機の性能、燃費、環境対応性などが重要な評価基準となります。特に近年では、環境規制の強化に伴い、よりクリーンで燃費の良い船外機の需要が高まっています。
船外機の仕組み
主にガソリンを燃料とした4ストロークエンジンの動力を用いて、ジェットポンプに水を吸収・噴流させて進みます。なお、船外機の2馬力以下、全長3.3m未満のボート(通称ミニボートと呼ばれています。正確には船の全長に0.9をかけた長さが 3 m未満かつ動力の出力が 1.5kw 未満)は、船舶免許が必要なく、また船舶検査も必要ありません。ミニボートは、ゴム製のもので数万円~10万円程度で、船外機も2馬力以下では12~13万円程度で購入できます。
さらに業界に詳しくなるためのお薦め書籍と関連サイト
船外機 安心・安全マニュアル トラブルシューティング&メインテナンス入門ガイド
船外機こだわりエンジニアリング講座
ヨット・クルーザー・ボート業界の世界シェアと市場規模
【船外機業界の世界市場シェア】
船外機業界の2024年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2024年の船外機業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はヤマハ発動機、2位はブランズウィック、3位はボルボとなります。
船外機業界の世界市場シェアと業界ランキング(2024)
順位 | Company name (English) |
企業名 | 市場シェア |
---|---|---|---|
1位 | Yamaha Motor | ヤマハ発動機 | 18.82% |
2位 | Brunswick | ブランズウィック(マーキュリー) | 15.42% |
3位 | Volvo Penta | ボルボ | 14.67% |
4位 | Suzuki Motor | スズキ | 6.2% |
5位 | Honda Marine | ホンダ | 4.83% |
6位 | Tohatsu Corporation* | トーハツ* | 1.68% |
*2024年度データ未発表のため、2023年度
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*2024年度データ未発表のため、2023年度
1位は日本のヤマハ、2位は米国のブランズウィックです。両社はレジャーボートやクルーザーの分野でも競合しております。3位以降は、ボルボ、スズキ、トーハツと日本企業がランクインしており、日本企業の存在が目立つ業界です。3位のボルボペンタはスウェーデンの船舶および産業用エンジンメーカーで、ボルボ・グループの子会社です。なお、ホンダは船外機部門の数値抽出ができず、ランキングから外しております。
【船外機業界の世界市場規模】
当データベースでは、2024年の船外機業界の市場規模を135億ドルとしております。
参照した各種調査データは次の通りとなります。
調査会社マーケットリサーチフューチャーによると、2024年の同業界の市場規模は135億ドルです。2034年にかけて年平均5.4%で成長し、規模は177億ドルへと拡大することを見込んでいます。
年 | 市場規模 | 平均成長率 |
---|---|---|
2024年 | 135億ドル | – |
2034年 | 177億ドル | 5.4% |

【M&Aの動向】
2017年 ヤマハ発動機株式会社は、ボート用燃料タンクなどのプラスチック製品を製造・販売する米国企業Kracor(クレーコー)社の事業譲渡を受けた
2017年 ヤマハ発動機株式会社は、走行時のボートの姿勢制御を行うトリムタブ等を製造・販売する米国企業Bennett Marine(ベネットマリン)社を買収
2021年 ゼネラルモーターズは、シアトルを拠点とする電動ボート会社ピュア・ウォータークラフト(Pure Watercraft)の株式25%を取得
2021年 ブランズウィック・コーポレーションは船舶用電子機器とセンサーの世界的リーダーであるナビコ( Navico)の買収を10億5000万ドルで完了
2021年 ボルボ・ペンタは、ルウェーの船舶用バッテリーおよび電動ドライブライン・ソリューション・サプライヤーであるZEM ASの過半数株主となると発表
2023年 ブランズウィック・コーポレーション、Fliteboardの買収を発表
2025年 ヤマハ発動機、豪州大手ボート製造会社「Telwater社」を買収し、販売ネットワークを拡大し、マリンビジネスの基盤を強化
【会社の概要】
Volvo Penta(ボルボペンタ)
ボルボペンタはスウェーデンの船舶および産業用エンジンメーカーで、ボルボ・グループの子会社です。船舶および産業用の内燃機関(ICE)等を提供しています。
Brunswick Corporation(ブランズウィック・コーポレーション、マーキュリー)
Brunswick Corporationは、アメリカ合衆国に拠点を置く大手のレジャー用品メーカーです。主要な製品は、船外機、船内エンジン、プロペラ、エンジン制御システム、クルーザー、スターンドライブ、トローリングモーター、電子部品、船舶パーツなどがあります。船外機は「マーキュリー」名前で親しまれています。
Yamaha Motor(ヤマハ発動機株式会社)
ヤマハ発動機株式会社は、日本の企業で主要な事業領域には、オートバイ、船外機、電動アシスト自転車などが含まれています。ヤマハ発動機は船外機の製造でも知られており、小型から中型の船舶に使用される船外機を提供しています
Suzuki Motor(スズキ株式会社)
スズキ株式会社は、日本の企業で主要な事業領域は、自動車、オートバイ、船外機などです。スズキは船外機の製造でも知られており1965年に船外機の生産を開始し、2022年10月には世界累計生産台数が400万台を達成しました。
Honda (ホンダ)
ホンダは、日本の企業で自動車やオートバイなどの製造・販売を行っています。また、船外機の製造にも取り組み、細江船外機工場(静岡県浜松市)で船外機の生産を行っています。
TOHATSU CORPORATION(トーハツ株式会社)
トーハツ株式会社は日本の船外機メーカーでマリン事業と防災事業を中心に展開しています。マリン事業では、船外機の製造が中心となっており、トーハツ船外機は日本初の量産機として1956年に歴史を刻みました。トーハツマリーン株式会社は、トーハツのグループ会社であり、船外機の製造に特化しており、2018年1月に船外機の累計生産台数が400万台を達成しました。