食肉・ハム・ソーセージ業界の世界市場シェア、市場規模や再編について分析しています。タイソンフーズ、JBS、万州国際、日本ハム、伊藤ハム米久といった食肉・ハム・ソーセージの世界大手メーカーの概要や動向も掲載しています。食肉・ハム・ソーセージ業界におけるミート部門の数値抽出ができない場合は、ランキングから外しております。
【食肉・ハム・ソーセージ業界とは】
世界全体の食肉需要は増加傾向で推移しており、2024年には家きん肉が1億3300万トンと最も需要が多くなり、次いで豚肉が1億2800万トン、牛肉が7500万トン必要になると見込まれています。ちなみに、2020年の世界の各食肉生産量は、鶏肉が1億3342万トン。豚肉は1億1144万トンとなり、牛肉は7160万トンとなっています。
食肉加工のバリューチェーンは、畜産→屠畜→加工→販売という流れになります。
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【市場シェア】
食肉会社の2023年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、後述する市場規模を分母にして、2023年の食肉業界の世界市場シェアを簡易に算出すると、1位はブラジルのJBS、2位は米国のタイソンフーズ、3位は中国の万洲国際となります。
食肉会社の世界シェア(2023年)
順位 | Company name(English) | 会社名 | 市場シェア |
---|---|---|---|
1位 | JBS | JBS | 4.39% |
2位 | Tyson Foods | タイソンフーズ | 3.18% |
3位 | WH Group | 万洲国際 | 1.58% |
4位 | Charoen Pokphand Foods | チャロンポカパン | 1.05% |
5位 | Marfrig Global Foods | マルフリグ | 0.72% |
6位 | Danish Crown | ダニッシュクラウン | 0.60% |
7位 | Brasil Foods | ブラジル フーズ | 0.60% |
8位 | 日本ハム | 日本ハム | 0.60% |
9位 | 伊藤ハム米久 | 伊藤ハム米久 | 0.44% |
10位 | Hormel Foods | ホーメルフーズ | 0.22% |
11位 | Seaboard Corporation | シーボード | 0.15% |
1位はブラジルのJBSとなりました。ブロイラーのピルグリム・プライドも含め豚・牛・鶏の全範囲をカバーしています。
2位は米国のタイソンフーズです。2020年に工場における新型コロナウイルスが発生し売上が落ち込みましたが、2023年の売上は向上しています。
3位である中国のWHグループは米国のスミスフィールズと双匯国際が経営して誕生したグループですが、米中の貿易摩擦による影響が引続き懸念材料です。
4位は鶏肉に強いタイのチャロンポカパン(CP Foods)です。5位はマルフリグです。6位はデンマークのダニッシュクラウンです。
【市場規模】
当サイトでは、2023年の食肉・ハム・ソーセージ加工業界の規模として1兆6606億ドルを採用しています。参考にした情報は以下の通りです。調査会社のプレスデンスによると、2023年の同業界の市場規模は1兆6606億ドルです。2032年にかけて年平均4.6%での成長が見込まれます。
調査会社のビジネスリサーチカンパニーによると、2023年の同市場規模は9301億ドルです。2028年にかけて年平均5.3%での成長を見込みます。
年 | 市場規模 | 成長率 |
---|---|---|
2023年 | 16606.4億ドル | – |
2024年 | 17305.7億ドル | 4.21% |
2032年 | 24823.5億ドル | 4.08% |
【M&Aの動向】
大手食肉会社が肉の種類(豚、鶏、牛)といった製品カテゴリの拡充を目指した買収が続きます。JBSによるVivera買収にように代替タンパク質分野も注目のエリアとなっています。
食肉業界の主要M&A(2001年から)
- 2001年 タイソンフーズが米国の牛肉加工会社であるBPIを買収
- 2007年 JBSが米国のスウィフト・アンド・カンパニーを買収
- 2008年 JBSがブラジルの食肉メーカーGrupo Bertinを買収
- 2009年 ブラジル鶏肉首位のSadia(サジア)とPerdigao(ペルジゴン)が経営統合し、ブラジルフーズ(BRF)が誕生
- 2009年 JBSがブロイラー世界最大手のPilgrims Pride(ピルグリム・プライド)を買収
- 2013年 WH Group(万洲国際、旧Shuanghui International(双匯国際))が米国大手豚肉加工会社のSmithfield Foods(スミスフィールド・フーズ)を買収
- 2013年 ホーメルフーズがユニリーバのピーナツ事業を買収
- 2013年 JBSがマルフリグからのSeara Alimentosを買収
- 2014年 タイソンフーズがHillshire Brands(ヒルシャー・ブランズ)を買収
- 2014年 日本ハムがトルコ養鶏最大手のエゲータブを買収
- 2014年 ホーメルフーズがサイトスポットとアップルゲートファームズを買収
- 2015年 JBSがカーギルからのカーギル・ポークの買収
- 2015年 ホーメルフーズがアップルゲートを買収
- 2015年 JBSがマルフリグからのMoy Pork Groupを買収
- 2017年 日本ハムがウルグアイの食肉大手ブリダーズ&パッカーズを買収
- 2017年 タイソンフーズが調理済み食品大手のアドバンスピエール・フーズを買収
- 2017年 カーギルがコロンビアのブカネロを買収
- 2017年 丸紅がクリークストーンを買収
- 2017年 ホーメルがコロンバス・クラフト・ミーツを買収
- 2018年 マルフリグがナショナル・ビーフを買収
- 2021年 ホーメルフーズがプランターズを買収
- 2021年 JBSが代替タンパク質メーカーのVivera(ビベラ)を買収
- 2021年 JBSが培養肉のBioTechを買収
- 2021年 JBSがKerry Meats and Mealsを買収
- 2022年 伊藤ハム米久ホールディングス株式会社は、連結グループ会社のANZCO FOODS Ltd.を通じ、Moregate社が保有する動物由来血液製剤製造および販売事業を取得。
- 2022年 JBS、中東と北アフリカでのプラットフォームを拡大するために2つの工場を買収。
- 2022年 JBS、中東と北アフリカでのプラットフォームを拡大するために2つの工場を買収。
- 2023年 タイソン・フーズ、ウィリアムズ・ソーセージ・カンパニーの買収を完了。 2023 デンマークのクラウンの子会社であるDAT-Schaubは、オランダの会社SELO VerpakingとSELO Belgiumの大株主。両社は、ソーセージ製造用人工ケーシングの販売において、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクの市場リーダー。
【会社の概要】
Tyson Foods(タイソンフーズ、米国)
Tyson Foods(タイソン・フーズ)は、1935年に設立された世界最大手の食肉加工会社です。鶏肉、牛肉、豚肉を万遍なく手掛けています。2001年に当時世界最大手の牛肉加工会社の米IBS(アイビーエス)を買収しました。また、2017年にはアドバンスピエール・フーズを買収し、加工食品事業も強化しています。さらに詳しく
JBS(ジェイビーエス、ブラジル)
Tyson Foodsと並ぶ食肉加工会社大手です。2007年にスウィフト・アンド・カンパニー(Swift & Company、米国)、2008年はブラジルのGrupo Bertin、2009年にブロイラー世界最大手のPilgrims Pride(ピルグリム・プライド、米国)を買収し業容を拡大しています。2021年に代替タンパク質のオランダViveraを買収しています。
WHグループ(万州国際、旧Shuanghui International(双匯国際)、中国)
万州国際(WHグループ)は、中国で生鮮豚肉の卸売りのほか、ソーセージなどの加工品を製造・販売する食肉加工会社です。2013年にアーマーやファームランドといったブランドで有名な米国大手豚肉加工会社のSmithfield Foods(スミスフィールド・フーズ) を買収、2019年にはポーランドのピニ・ポロニアに出資、2021年にはスロバキアとハンガリーに加工拠点などを持つメコムグループを買収し、欧米でのグローバル展開を加速しています。2014年に香港証券取引所に上場しました。さらに詳しく
Marfrig Global Foods(マルフリグ、ブラジル)
ブラジル2位の食肉加工会社です。2012年に米食肉加工大手のキーストーン社を買収して足場固めをしています。
Brasil Foods(ブラジルフーズ、ブラジル)
2009年にブラジル鶏肉首位のSadia(サジア)とPerdigao(ペルジゴン)が経営統合して誕生しました。売上に占めるブラジル国内の割合が高いことを特徴としています。
日本ハム(Nippon Meat Packers)
日本国内で最大手の食肉加工会社です。2017年にはウルグアイの食肉大手ブリダーズ&パッカーズを買収しています。
国内の競合では、2015年に三菱商商事系の伊藤ハムと米久が経営統合を発表し、業界首位の日本ハムを追い上げています。丸紅は、2017年に北米の高級牛肉加工会社のCreekstone Farmers(クリークストーン・ファーマーズ)を買収し、豪州のRanger Valley社との二極体制で展開しています。
Danish Crown(ダニッシュクラウン、蘭)
欧州最大級の大手食肉加工会社です。2010年に株式会社化しました。
Hormel Foods(ホーメルフーズ、米)
Hormel Foods(ホーメルフーズ)は、1891年に設立された食肉加工食品メーカーです。ハムやベーコンといった冷蔵食品、SPAMブランドの缶詰、SKIPPYブランドのピーナツバター、七面鳥などの加工販売を行っています。さらに詳しく
Charoen Pokphand Foods(チャロンポカパン、タイ)
1921年に設立されたタイに本拠を置くコングロマリット企業で、農業、飼料、食肉加工、金融、通信等幅広い分野に強みを持ちます。1969年にCEOとなった創業オーナーの一族である謝国民(タニン・チャラワノン)氏の下で大きく飛躍しました。日本の伊藤忠と2014年に戦略的な資本関係を構築しました。2016年に米国の冷凍食品大手ベリッシオ・ペアレンツを買収しています。中国では正大集団として展開しています。セブンイレブン、明治乳業、ロート製薬など多くの日本企業と合弁事業を展開しています。
Seaboard Corporation(シーボード)
米国に本拠を置く、食肉、海運や発電等を手掛けるコングロマリットです。食肉加工では豚肉に強みを持ちます。ニューヨーク証券取引所に上場しています。
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