ポンプ業界の世界市場シェアの分析

ポンプ業界の世界シェア、業界ランキングと市場規模について分析をしています。グルンドフォス、ITT 、フローサーブ、ウィロ、KSB、スズラー、荏原製作所、ウィアー・グループ、日機装といった世界的ポンプメーカーの概略も掲載しています。

【ポンプとは】

入口から入ってきた液体に対して、速度や圧力を調整して出口へ送る機器の総称です。例えば、火事の際に使われる消火栓にもポンプが使用されていて、水の圧力を調整して消火活動を効果的に行えるようにしています。ポンプの分類は大きく、容積式ポンプと非容積式ポンプに分かれます。また圧力を伝達方法によって油圧ポンプ、空圧ポンプ、電動ポンプに分かれます。

【市場シェア】

ポンプ業界の2024年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2024年のポンプ業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はグルンドフォス、2位は荏原製作所、3位はフローサーブとなります。

ポンプ業界の市場シェア(2024年) ©2025 Deallab

順位 Company name
(English)
会社名(日本語) 市場シェア
1位 Grundfos Holding グルンドフォス 11.42%
2位 EBARA International 荏原製作所 8.34%
3位 Flowserve フローサーブ 6.93%
4位 Xylem ザイレム 5.04%
5位 The Weir Group ウィアー・グループ 4.79%
6位 KSB SE & Co KSB 3.61%
7位 Sulzer スルザー 3.39%
8位 Ingersoll-Rand インガソールランド 3.07%
9位 IWAKI Co. Ltd イワキ 0.76%
ポンプの世界市場シェアと業界ランキング(2024年) ©2025 Deallab

1位はデンマークのグルンドフォスとなりました。2000年代からポンプ周辺の買収を行い業界首位となりました。2位は日本の荏原製作所となっています。3位は北米のフローサーブとなっています。流体コントロールの視点からポンプ事業を拡大しています。4位は水関連技術を事業とするアメリカの大手企業、ザイレムです。5位はイギリスの排気ポンプに強いウィアー・グループです。

【市場規模】

当データベースでは、2024年のポンプ業界の市場規模を456億ドルとしております。参照した各種調査データは次の通りとなります。調査会社グランドビューリサーチによると、2024年の同業界の市場規模は456億ドルです。2030年にかけて年平均4.7%で成長し、規模は600億ドルへと拡大することを見込んでいます。

市場規模 年平均成長率
2024 456億ドル
2030 600億ドル 4.7%
ポンプ業界の世界市場規模の年平均成長率見込み(2024年) ©2025 Deallab

ポンプ業界の市場規模の予想成長推移 ©2025 Deallab

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【M&Aの動向】

2015年 Flowserve、ポンプシステムを製造するSIHI Groupを買収

2020年 荏原製作所、トルコのポンプメーカーのVansan Makinaを買収

2021年 Grundfos、水質管理システムを提供するMechanical Equipmentを買収

2022年 Weir Group、鉱業向けの摩耗製品およびサービスの製造と販売を専門とするCarriere Industrial Supplyを買収

2022年 荏原製作所、産業ポンプ・ミキサーメーカーであるHayward Gordonを買収 2023年 荏原製作所、SKFの浸漬式ポンプ事業を買収

2023年 Grundfos、水道に関するソリューションを提供するMetasphereを買収

2023年 Grundfosの子会社であるMechanical Equipment、浄水ソリューションを提供するWater Worksを買収

2023年 Xylem、水および廃水処理ソリューションを提供するEvoquaを買収

2023年 Weir Group、プロセス産業向けの AI 搭載制御システムの提供を専門とするSentianAIを買収

2024年 グルンドフォス、カリガンの商業・産業事業を買収

2024年 荏原製作所、ウルグアイのポンプ販売会社「Asanvil S.A.」を買収

2024年 フローサーブ、MOGASインダストリーズの買収を完了

2024年 ザイレム、イドリカの過半数株式を取得、インテリジェントソリューションで水道事業を強化 2025年 ウィアーがタウンリーを買収、北米での製造とリン酸塩市場のプレゼンスを強化

【会社の概要】

ITT

1920年にInternational Telephone & Telegraphとして誕生した通信会社が祖業です。途中シェラトンホテルやハートフォード生命などを買収し、その後分社化を行い、現在はブレーキパッド、シム、ショックアブソーバー、ポンプ、コネクタなどの産業機器メーカーとなりました。ポンプはGoulds Pumpsブランドで展開しています。水処理機器のXylemもITTより分社化した会社です。NY証券取引所に上場しています。

Flowserve(フローサーブ)

源流が1790年にまで遡ることができる米国のテキサスに本拠を置く大手流体制御機器メーカーです。同社は1997年に有力な流体機器メーカーであったBW/IP社と Durco International社が合併し設立されました。2000年にポンプ大手のIDP、2014年にイタリアの真空・流体ポンプに強いSIHI Groupを買収し同事業を強化しています。さらに詳しく

Xylem(ザイレム)

ザイレムは、公共事業、工業、商業、農業、住宅など、幅広い分野において水関連技術を提供するアメリカの大手企業です。150カ国以上で事業を展開しています。2011年にITT Corporationの水関連事業のスピンオフとして設立されたXylemは、ワシントンD.C.に本社を置き、水インフラ分野と応用水分野で事業を展開しています。

KSB

1871年に創業のドイツに本拠を置く老舗総合ポンプメーカーです。同族会社のため株式は公開されておりません。

Sulzer(スルザー)

1834年創業のスイスの老舗機械メーカーです。スルザーポンプ (Sulzer Pumps)がポンプ事業を展開しています。ロシアの投資会社であるRenovaグループが筆頭株主です。

Grundfos(グルンドフォス)

デンマークに本拠を置く大手産業用ポンプメーカーです。水処理向けのポンプに強みを持ちます。暖房、空調、給水、産業用、薬注、減菌、雑排といった用途のうず巻ポンプ、片吸込みポンプ、クーラントポンプ、水中ポンプ、定量ポンプ、循環ポンプを提供しています。2000年フィンランドの産業用ポンプメーカーのSarlin Pumps社、2004年にドイツのポンプメーカーHilge GmbH社、2005年にスイスのAlldos International AG社、イタリアのTesla, Srl社、2006年にスルザー社から北米のHVAC向けポンプメーカーのPACO Pumps社、2007年に北米のSterling Fluid Systems社、2012年に北米のEnaqua社を買収する一方で、2015年に飲料食品向けポンプのHilge GmbH社を独GEA社に売却しました。

Gardner Denver(ガードナー・デンバー)/インガソール・ランド

Ingersoll-Rand(インガソール・ランド)は、1871年に創業された米国に本拠を置く産業機器メーカーです。2020年に真空ポンプ、コンプレッサー等の産業機械メーカーであるGardner Denver(ガードナーデンバー)と経営統合を行いました。統合に先立ち、空調事業はトレーン・テクノロジーズとして分社化しています。インガソール・ランドからは、過去、鍵のアレジオン、冷凍ショーケースのハスマン(2015年にパナソニックへ売却)等各分野でトップクラスの企業が巣立っております。コンプレッサー・エアツールや輸送用冷凍装置の分野でも強いです。ゴルフカートでは、クラブカーブランドを展開し、世界最大級の規模ですが、2021年にプラチナムエクイティへ売却をしました。さらに詳しく

Roper Technologies(ローパーテクノロジーズ)

米国の制御機器メーカーです。入退室の管理のアプリ、火災保険向けのSaaSサービス、建設見積りソフト、トラックの空き容量と貨物の積載量の仲介サービス、制御機器、流量管理、ラジオ周波数製品の製造、精密なゴム・ポリマー検査機器とデータ解析ソフトウェア、特殊なポンプなどの製造を行っています。

Gorman-Rupp(ゴーマンラップ)

1934年に設立された北米に本拠を置くポンプメーカーです。上水、下水、建設、脱水、工業、石油、オリジナル機器、農業、防火、暖房、換気、空調、軍事、その他の液体処理用途に使用されるポンプを製造しています。

Ebara(荏原製作所)

1912年に設立された日本を代表する総合ポンプメーカーです。日本の蛇口をひねると3個に1個は同社のポンプが使われていると言われているほど、国内における地位は盤石です。2020年に欧州・中東・アフリカ地域への事業拡大を目指し、トルコの深井戸モータポンプ大手であるバンサン(Vansan)社を買収しました。コンプレッサー事業は子会社のエリオット(Elliott)が世界展開をしています。さらに詳しく

日機装

日本に本拠を置く大手ポンプメーカーです。無漏洩ポンプ、定量注入ポンプ、高速遠心ポンプ、人工透析装置、人工膵臓装などの製造を行います。

Wilo Group(ウィログループ)

祖業は1872年に設立された銅・真鍮製造事業です。現在は水管理、工業分野のポンプおよびポンプシステムを提供しています。ドイツに本拠を置き、Wilo-Foundationが約90%の株式を保有しています。

Weir(ウィアー)

1871年にWeir兄弟によって設立された英国スコットランドに本拠を置く大手老舗ポンプメーカーです。鉱山やオイルサンド市場で使用されるスラリーポンプや排気ポンプ、研磨ロールなどに強みを持ちます。ロンドン証券取引所に上場しています。

Baker Hughes(ベーカー・ヒューズ)

米国に本拠を置く資源開発大手です。子会社のBJ Services Companyにて圧力ポンプを手掛けています。2014年に米同業のHalliburton(ハリバートン)が買収を発表するものの断念しました。

Schlumberger(シュルンベルジェ)

米仏に本拠を置く資源開発大手です。横軸ポンプに強みを持ちます。2016年に掘削器具大手のキャメロン・インターナショナル・コーポレーションと経営統合しました。

参照したデータの詳細情報について


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