体外診断(IVD:In Vitro Diagnostic)業界の世界市場シェアと市場規模について分析を行なっています。ロシュ、アボットラボラトリーズ、サーモフィッシャーサイエンティフィック、ダナハー、シーメンスヘルシニアーズ、サーモフィッシャーサイエンティフィック、ベクトン・ディキンソン、カイデルオーソ・コーポレーション、シスメックス、アジレント・テクノロジーといった体外診断関連企業の概要も記載しています。
【体外診断業界とは】
体外診断は、健康状態や治療をモニターするために、人の体から血液や尿などを採取しておこなう検査です。体外診断業界の企業としては、試薬と呼ばれる対外診断用医薬品の提供会社、検体採取用の器具などの提供会社、検体の検査を行う装置の開発製造会社などに分かれます。体外診断は、英語ではIn Vitro Diagnosticと呼ばれ、IVDと略されるケースが多いです。体外診断用医療機器は、英語ではIVD Medical Devicesと称されます。
体外診断の代表例として、ブドウ糖負荷試験、血液検査、感染症検査、妊娠検査などがあります。新型コロナウイルスの抗原検査(RAT)ならびにPCR検査も体外診断の1つです。体外診断の検査方法として、以下が一例として挙げられます。
- ポイントオブケア(POC):医療現場で、患者のそばで医療従事者が行うリアルタイム検査。小型分析器や迅速診断を用いる。体外診断の中で最も広く流通している。
- 免疫学的測定:抗原抗体反応を利用して抗原の濃度を測定する検査。
- 組織や血液に含まれるDNAやタンパクなどの生体分子を測定する検査。遺伝子検査、感染症診査、がん診断など、幅広い用途に使われている。
【体外診断業界の世界市場シェア】
体外診断業界の2024年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2024年の体外診断業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はロシュ、2位はダナハ-、3位はアボットラボラトリーズとなります。
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| 順位 | Company name (English) |
企業名(日本語) | 市場シェア |
|---|---|---|---|
| 1位 | Roche | ロシュ | 14.15% |
| 2位 | Danaher | ダナハ- | 9.04% |
| 3位 | Abott Laboratories | アボットラボラトリーズ | 8.63% |
| 4位 | Thermo Fisher Scientific | サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック | 4.17% |
| 5位 | Sysmex | シスメックス | 3.57% |
| 6位 | Becton Dickinson | ベクトン・ディキンソン | 3.40% |
| 7位 | Siemens AG | シーメンス | 3.10% |
| 8位 | Quidelortho Corporation | カイデルオーソ・コーポレーション | 2.57% |
| 9位 | Agilent Technologies | アジレント・テクノロジー | 1.52% |
1位はドイツのシーメンス、2位はスイスのロシュとなりました。1位のロシュ、6位のシスメックス(日本)、7位のシーメンス以外はすべて米国企業で、米国企業が体外診断業界の主要プレーヤーだということがわかります。実際、同市場の需要は米国が最も高く、今後も主要市場となることが予想されます。その理由として、米国では慢性疾患が増加しており、特にがんに罹患する人が増えていることがあります。医療費が高いことから「予防医療・ヘルスケア産業」の需要が高く、早期診断のために体外診断を利用する人も多いため、引き続き米国の体外診断市場は成長していくと考えられます。
【体外診断業界の市場規模】
当データベースでは、2024年の体外診断業界の市場規模を1,083億ドルとしております。参照した各種調査データは次の通りとなります。
調査会社グランドビューリサーチによると、2024年の同業界の市場規模は1,083億ドルです。2030年にかけて年平均5.62%で成長し、規模は1,501億ドルへと拡大することを見込んでいます。
| 年 | 市場規模 | 年平均成長率 |
| 2024 | 1,083億ドル | – |
| 2030 | 1,501億ドル | 5.62% |

【M&Aの動向】
- 2011年 ダナハーがベックマンコールター(Beckman Coulter)を買収
- 2014年 アジレント・テクノロジーが電子計測事業をKeysight Technologiesとして分社化
- 2016年 アボットがセント・ジュード・メディカル(St. Jude Medical)を250億ドルで買収
- 2016年 ダナハーが分子診断大手のCepheidを買収
- 2019年 サーモフィッシャーサイエンティフィックがMass Spectrometry Softwareを買収
- 2021年 ロシュがTIB Molbiolを買収
- 2021年 サーモフィッシャーサイエンティフィックが分子診断企業Mesa Biotechを買収
- 2022年 カイデルとオーソが経営統合し、カイデルオーソが誕生
- 2024アジレント、北米のCDMOバイオベクター社を買収
- 2025シーメンスがアルティアを買収し、最も包括的なAI搭載産業用ソフトウェアポートフォリオを構築
- 2025ロシュは、89bio社と、中等度から重度のMASHの治療薬として開発中の第3相臨床試験FGF21類似体を買収するための最終合併契約を締結
- 2025サーモフィッシャーサイエンティフィック、クラリオ・ホールディングス社を買収、製薬・バイオテクノロジー企業の顧客が臨床に関するより深い知見を活用してイノベーションを加速
- 2025シスメックス、JEOLの臨床化学検査事業買収によりポートフォリオを拡大し、グローバル展開を加速
体外診断機器・薬品の開発・生産には高額な費用がかかるため、新規参入が難しい業界です。大手企業は新機器や新薬品を開発してポートフォリオを向上するため、買収や経営統合を積極的に行っています。一方、中小企業は「ポイントオブケアに特化」など体外診断の中でも一分野に特化する傾向にあり、差別化を図っています。
【会社の概要】
Roche Holding(ロシュ)
スイスを代表する製薬メーカーです。日本では中外製薬を買収して事業を展開しています。医薬品と診断機器事業に強みを持っています。
アボットラボラトリーズ
アボットラボラトリーズ(Abbotto Laboratories)は、1888年に創業した米国に本拠を置く医療機器・診断薬・栄養補助食品メーカーです。心血管治療関連に強みがあります。ベビーフードや後発医薬品も展開しています。2016年に米医療機器メーカーでペースメーカーやカテーテル器具に強いセント・ジュード・メディカルを買収しました。ベビーフード事業にはGo & Grow、EleCare、PediaSureといったブランドがあります。さらに詳しく
Danaher(ダナハー)
Danaher(ダナハー)は、1969年にステーヴンレイルズ氏とミッチェルレイルズ氏によって設立された米国に本拠を置くコングロマリット企業です。M&Aを通じて企業を成長させる手法に定評があります。計測器、歯科向け機器、水処理、対外診断機器といった分野で事業を展開しています。水処理の分野では2015年に業界大手の米ポール(Paul)を買収して事業を強化しています。環境機器はHach、試験・計測機器はFluke、血液分析機器はRadiometerといったブランドで事業を展開しています。さらに詳しく
シーメンス
シーメンス(Siemens AG)は、ドイツのミュンヘンに本拠を置く大手総合電機メーカーです。1847年に、ヴェルナー・フォン・シーメンス (Werner von Siemens) によって設立されました。世界初の電車を製造したことでも有名です。事業範囲は電力、交通システム、家電、医療等と社会インフラ全般に及びます。事業のポートフォリオを組み替えながら、モノ作りのデジタル化や産業機器のIoT化を含むインダストリー4.0を提唱し、強力に推進しています。鉄道信号にも強みを持ち、上位株主には、象徴としてのシーメンス家が引き続き残っています。さらに詳しく
Thermo Fisher Scientific(サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック)
2006年にThermo ElectronとFisher Scientrificが経営統合して誕生した医療機器・試薬メーカーです。各種分析機器、ライフサイエンス用研究・実験機器などに強みを持ちます。
ベクトン・ディキンソン
ベクトン・ディキンソン(Becton Dickinson)は、ニュージャージーに本社を置く医療メーカーです。医療機器・体外診断医薬品・試薬などを扱っています。
カイデルオーソ・コーポレーション
カイデルオーソ・コーポレーション(QuidelOrtho)はカリフォルニア州サンディエゴに本社を置く医療メーカーです。2021年、カイデルとオーソが経営統合して誕生しました。医療診断機器の開発・製造・販売を行っています。
シスメックス
日本に本拠を置く臨床検査機器、試薬、ソフトウェア会社です。免疫検査、生化学検査、遺伝子検査、尿検査などを手がけています。
Agilent Technologies(アジレント・テクノロジー)
アジレント・テクノロジーは、1999年にヒューレット・パッカード(HP)の計測器部門が分社化して誕生した会社です。2014年に電子計測事業をKeysight Technologiesとして分社化し、現在は生命科学、診断、応用化学の分野で分析機器や試薬を提供しています。
その他の体外診断関連企業として、フランスのbioMérieux s.a. (ビオメリュー)、オランダのQIAGEN(キアゲン)などがあります。
参照したデータの詳細情報について
