風車や風力発電機(ウィンドタービン、Wind Turbine)の世界市場シェアを分析しています。ヴェスタス、シーメンスガメサ、ゴールドウィンド、GEリニューアブルエナジーといった風力タービンの世界大手動向も掲載しています。
風力発電業界とは
風力発電は、風の力で風車を回転させ、その時生じたエネルギーを発電機で電気に変える発電方式です。自然エネルギーを利用した発電法で、排気ガスやCO2などを発生しないサステナブルでクリーンな発電方法です。また、石炭や石油のように資源が枯渇する心配もありません。
風力発電は、風車を設置する場所によって「洋上風力発電」と「陸上風力発電」に分けられます。洋上風力発電は、海の上に風車が建設されます。洋上では高い風速で発電効率が高い、安定した風速なので発電量も安定して得られるといったメリットがあります。一方、建設コストが高く、メンテナンスも難しいことがデメリットです。洋上で発電した電力を送るための設備も整える必要があります。陸上風力発電は建設・メンテナンスが比較的容易ですが、風速が安定せず発電量が充分に得られない可能性があるというデメリットもあります。
現在世界で設置されている風力発電機のうち、90%が陸上風力発電です。しかし、今後は安定して電気を供給できる洋上発電の需要がより高まっていくと考えられています。現在、洋上発電の99%は欧州に設置されていますが、世界各国で洋上風力発電の設置が進んでいます。
風力発電の新規導入が多い国トップ5は、中国・米国・ブラジル・ドイツ・スウェーデンです。特に中国では洋上・陸上ともに新規導入が多く、洋上風力は累計・新規どちらも世界シェアの40%以上を占めています。
【風力発電機・風車・ウィンドタービンの市場シェア】
風力発電機・風車・ウィンドタービン業界の2024年度の発電容量⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2024年の風力発電機・風車・ウィンドタービン業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はゴールドウィンド、2位はエンビジョン、3位はミンヤンとなります。
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※当ランキングではGWEC発表値GW(ギガワット)を使用。
| 順位 | Company name (English) |
企業名(日本語) | 市場シェア |
|---|---|---|---|
| 1位 | Goldwind | ゴールドウィンド | 16.18% |
| 2位 | Envision | エンビジョン | 13.48% |
| 3位 | Mingyang | ミンヤン | 9.69% |
| 4位 | Windey | ウィンディ | 9.12% |
| 5位 | Vestas | ヴェスタス | 8.73% |
| 6位 | SANY | 三一重工 | 7.20% |
| 7位 | Dongfang | ドンファン | 6.82% |
| 8位 | Siemens Gamesa | シーメンスガメサ | 5.31% |
| 9位 | Nordex | ノルデックスアシオナ | 5.01% |
| 10位 | GE | GEベルノバ | 4.09% |
※当ランキングではGWEC発表値発表値GW(ギガワット)を使用。
風力発電の市場シェアのうち、約16%を占めるのが中国のゴールドウィンドです。エンビジョンは約13%を占めています。3位はミンヤンです。洋上・陸上問わず中国・ヨーロッパの企業が上位に挙がっており、米国企業でランクインしているのはGEのみです。日本企業は欧州企業と比べてスタートが遅れたためか、風力発電メーカーが育ちにくいという課題があります。実際、三菱重工業、日立製作所などの主要メーカーが洋上風力発電機事業から撤退しており、今後も日本の風力発電機器づくりは苦戦を強いられることが予想されます。一方、総合商社は洋上風力発電事業を拡大しており、三菱商事・住友商事・丸紅などが海外で事業権を獲得しています。
【市場規模】
当データベースでは、2024年の風力発電機・風車・ウィンドタービン業界の風力発電の総容量を127GWとしております。参照した各種調査データは次の通りとなります。世界風力エネルギー協会(GWEC)によると、2024年の風力発電の総容量は127GWです。
| 年 | 市場規模 | 年平均成長率 |
| 2024 | 127GW | – |
M&Aの動向
2002年 GEがエネルギー大手Enronを買収し、風力発電事業に参入
2016年 ノルデックスがアシオナの風力事業を買収し、ノルデックスアシオナが誕生
2017年 GEがデンマークのLM Wind Powerを買収
2022年 SSE Renewablesがシーメンスガメサの陸上風力発電事業を6.1億ドルで買収
2022年 豪エネルギー大手のBPがAREH(ヴェスタスなどが参画するプロジェクト)の40.5%分を出資
2022年 ヴェスタスがコンバータ・制御事業をKK Wind Solutionsに売却
2024年 ゴールドウィンド、ブラジルで初の海外風力タービン製造工場の買収を完了
2025年 GE VernovaがProlec GEの合弁会社を完全買収へ
脱炭素化に向けて再生可能エネルギーの需要が高まるにつれて、大手エネルギー企業などが風力発電事業のM&Aを行っています。
【会社の概要】
ゴールドウィンド(Goldwind)
ゴールドウィンドは、中国に本拠を置く多国籍風力タービンメーカーです。ゴールドウィンド元国有企業であり、米国やオーストラリアにも拠点を持っています。
エンビジョン(Envision)
エンビジョン・エナジー(中国語:远景能源)は、上海に本拠を置く中国の多国籍企業で、風力タービンを提供しています。また各自動車会社とバッテリー製造の長期的な提携を結んでいます。
ミンヤン(Mingyang)
ミンヤン(明陽風力発電集団有限公司)は、中国最大の民間風力タービンメーカーです。中国有数の規模を誇ります。出力18MWの世界最大の風力タービンを開発中で、メガワット級風力タービンの設計、製造、販売を行っています。
ウィンディ(Windey)
ウィンディ(運達能源科技集団股份有限公司)は、中国の国有企業で、風力タービンの製造会社です。グリッド型風力タービンの設計、製造、販売を行っています。また風力発電エンジニアリングに関する技術コンサルティングも行っています。
ヴェスタス(Vestas)
1945年に創業したデンマークに本拠を置く風力発電機器メーカー大手です。洋上風力の分野では、三菱重工業と2016年に提携して、MHIヴェスタスを設立しています。2021年にMHIヴェスタスの株式をヴェスタスが買収し、一方、三菱重工はヴェスタスへ出資をしました。
三菱重工業
1884年に創業された日本を代表する重工業グループです。三菱グループの中核企業の1社と言われています。戦前は軍産複合体として成長し、戦時中は戦艦武蔵やゼロ戦を手掛け、当時から技術力では世界最高水準を維持しています。戦後は民間向けの重工分野を強化し、発電所システム、航空機エンジン、航空機、船舶、ターボチャージャ、フォークリフト、機械システム、エンジニアリング、防衛関連機器の製造販売を行っています。さらに詳しく
シーメンスエナジーについて
シーメンスエナジー(Simens Energy)は、2020年にシーメンスからスピンオフ上場をした、電力機器メーカーです。火力発電等の発電所プラント向けガスタービン、蒸気タービン、Dresser-RandやADGT&Compを含むコンプレッサー、高電圧直流(HVDC)機器等を提供しているパワー&ガス事業と、洋上や陸上の風力発電所に風力タービンを含めた総合的なサービスを提供している風力発電&再生可能エネルギー事業を展開しています。さらに詳しく
GEベルノバ
世界を代表する総合電機メーカーです。風力発電機の分野は2020年にエンロンから同事業を買収して参入しました。フランスのアルストムから送電網と風力発電事業を買収し規模を拡大しております。
GEについて
GE(ジェネラル・エレクトロニック)は、1878年にトーマス・エジソンによって設立されたエジソン電気照明会社を源流に持つ世界を代表する総合電機メーカーの老舗です。世界シェア1位か2位以外の事業からは撤退するというナンバーワン・ナンバーツー戦略を実施し、積極的な事業ポートフォリオの入れ替えを行うことでも有名です。インダストリアル・インターネットを成長戦略にしたジェフ・イメルト氏が退任した後、2017年に生え抜きのジョン・フラナリー氏が社長に就任したものの、2018年には外部のダナハーからラリー・カルプ氏が招聘され、新CEOとなるなど、経営陣の交代が続きます。2024年にGEをGEヘルスケア、GEベルノバ、GEエアロスペースの3社へと分社化しました。さらに詳しく
シーメンスガメサ・リニューアブル・エナジー(Siemens Gamesa Renewable)
ドイツを代表する総合電機メーカーであるシーメンスの風力発電機事業とスペインの風力発電メーカーが2016年に経営統合して誕生しました。洋上風力向けの風車に強みを持っています。2019年にセンビオンから陸上風車事業を買収しています。シーメンスエナジーが親会社です。
シーメンスエナジー
シーメンスエナジー(Simens Energy)は、2020年にシーメンスからスピンオフ上場をした、電力機器メーカーです。火力発電等の発電所プラント向けガスタービン、蒸気タービン、Dresser-RandやADGT&Compを含むコンプレッサー、高電圧直流(HVDC)機器等を提供しているパワー&ガス事業と、洋上や陸上の風力発電所に風力タービンを含めた総合的なサービスを提供している風力発電&再生可能エネルギー事業を展開しています。
ゴールドウインド(Goldwind、新疆金風科技)
1998年に設立された風力発電機メーカーです。中国国内の需要拡大という追い風を受け、世界トップクラスの納入実績を誇ります。売上の9割は国内需要ということもあり、中国国外への風力発電機の展開に力を入れております。株主は政府系の新疆風能です。
GEリニューアブルエナジー
世界を代表する総合電機メーカーです。風力発電機の分野は2002年にエンロンから同事業を買収して参入しました。フランスのアルストムから送電網と風力発電事業を買収し規模を拡大しております。
GE
GE(ジェネラル・エレクトロニック)は、1878年にトーマス・エジソンによって設立されたエジソン電気照明会社を源流に持つ世界を代表する総合電機メーカーの老舗です。世界シェア1位か2位以外の事業からは撤退するというナンバーワン・ナンバーツー戦略を実施し、積極的な事業ポートフォリオの入れ替えを行うことでも有名です。インダストリアル・インターネットを成長戦略にしたジェフ・イメルト氏が退任した後、2017年に生え抜きのジョン・フラナリー氏が社長に就任したものの、2018年には外部のダナハーからラリー・カルプ氏が招聘され、新CEOとなるなど、経営陣の交代が続きます。2021年にGEをヘルスケア部門、電力・エネルギー部門、航空部門の3社へと分社化することを発表しました。さらに詳しく
Nordext Acciona(ノルデックス・アクシオナ)
2016年にドイツの風力発電機メーカーのノルデックスがスペインの風力発電機メーカーのアクシオナを買収して誕生しました。
上海電気(Shanghai Electric)
中国に本拠を置く重電メーカーです。風力タービンや原子力発電設備、火力発電設備などの発電事業や送配電設備の製造に強みを持ちます。エレベーターやモーターの製造・販売も手がけています。中国国内市場を中心に事業を展開しています。
その他の風力発電メーカーとして、ドイツのエネルコン、センビオン、中国のユナイテッドパワー(聯合)、ミンヤン(Mingyang)、エンビジョン、遠達(Widney)、CSIC(中船重工海装風電)などがあります。
参照したデータの詳細情報について
