レゾナック・ホールディングス(昭和電工)の市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

レゾナック・ホールディングス(昭和電工)は、1939年に設立された日本を代表する化学・素材メーカーです。戦前は森コンツェルンの中核企業でした。また設立の経緯から味の素グループとも関係が深い会社です。2020年に日立化成を買収し、日立化成は昭和電工マテリアルズとなりました。石油化学、産業ガス、高純度ガス、アルミニウム圧延、ハードディスク、黒鉛電極、パワー半導体用SiCエピウェハ、LED、モーター用のレアアース磁石合金、リチウムイオン電池材料、セラミックス製品、工業薬品など幅広い分野を手掛けています。黒鉛電極の分野では、2012年に中国の四川炭素(Sichuan Carbo)、2016年にドイツのSGLカーボンより黒鉛電極事業を買収しました。2020年の黒鉛電極の年間生産量は21万トンです。アルミ缶事業も手掛けています。

業績推移(年次)

2019年度
売上高は906,454百万円で、前年度比9%減となりました。営業利益は120,798百万円になりました。営業利益率は13%になりました。、売上高は、化学品セグメントは小幅増収となりましたが、無機セグメ ントは黒鉛電極の減産による販売数量減、石油化学セグメントは市況低下で減収となるなど、5セグメントで減収となり、総じて減収となりました。 営業利益は、その他セグメントは増益となりましたが、無機セグメントは黒鉛電極事業で減産を実施し、エレクト ロニクスセグメントではハードディスク事業でPC向けに出荷数量が減少するなど5セグメントで減益となり、 総じて減益となりました。

2020年度
売上高は973,700百万円で、前年度比7%増となりました。営業利益は19,449百万円の赤字になりました。売上高は、無機セグメントは鉄鋼業界の世界的な減産を受けた黒鉛電極事業の数量減と市況低下により大幅に減収になるなど5セグメントで減収となりましたが、昭和電工マテリアルズセグメントは第3四半期期首からの新規連結により増収となり、エレクトロニクスセグメントは小幅増収となり、総じて増収となりました。 営業損益は、エレクトロニクスセグメントはハードディスクとリチウムイオン電池材料の数量増により増益と なりましたが、無機セグメントは黒鉛電極事業の数量減に加え、市況に伴う棚卸資産低価法による簿価切り下げの影響により大幅な減益となり、石油化学セグメントも原料ナフサの受払差が悪化したため減益となり、新規連結した昭和電工マテリアルズセグメントはCOVID-19の影響で自動車需要が減退したことに加え、のれん等償却費等約 280億円の計上により減益となりました。化学品、アルミニウム、その他、の3セグメントも出荷量が減少し減益となり、総じて営業損益は大幅な悪化となりました。

2021年度
売上高は1,419,635百万円で、前年度比46%増となりました。営業利益は87,198百万円になりました。営業利益率は6%になりました。売上高は、昭光通商㈱の株式譲渡による非連結化で大幅減収となり、アルミニウムセグメントもアルミ圧延品、アルミ缶の各事業売却により減収となりましたが、石油化学セグメントは市況回復、化学品、エレクトロニクス、無機の各セグメントはCOVID-19の影響を受け落ち込みの大きかった前連結会計年度に比べ数量が回復し、さらに昭和電工マテリアルズセグメントの通期連結化により、総じて大幅な増収となりました。営業利益は、各セグメントで半導体供給不足に伴う自動車等生産減や、原材料価格高騰の影響を受けるなか、昭光通商㈱の非連結化によりその他セグメントは減益となりましたが、石油化学セグメントは主にナフサ要因の大幅な改善、無機セグメントは鉄鋼需要の回復に伴う販売数量の大幅な増加、昭和電工マテリアルズセグメントの通期連結化により増益とりました。化学品、エレクトロニクス、アルミニウムの3セグメントも諸施策の効果顕現等により増益となり、総じて大幅増益となりました。

2022年度
売上高は1,392,621百万円で、前年度比2%減となりました。営業利益は61,726百万円になりました。営業利益率は4%になりました。売上高は、旺盛な半導体需要や自動車生産の回復、販売価格の上昇等の増収要因がありましたが、前連結会計年度に実施した事業売却が減収要因となり、総じて減収となりました。営業利益は、原材料価格高騰の販売価格転嫁のタイムラグ影響や事業売却の影響もあり、総じて減益となりました。

2023年度
売上高は1,288,869百万円で、前年度比7%減となりました。営業利益は3,764百万円の赤字になりました。新型コロナウィルス感染症に関して行動制限が緩和されたことによる正常化が進み、世界経済が持ち直してきた一方で、インフレ進行や長期化するウクライナ情勢によるエネルギーコストおよび原材料コストの高騰、供給面の制約等は続き、地域により弱さが見られ、半導体業界の調整局面は継続しまし た。国内経済においても、個人消費および企業の設備投資は持ち直し、総じて緩やかに持ち直しました。売上高は、半導体、電子材料関連業界の調整の影響により減収となった半導体・電子材料セグメントを含む全てのセグメントで主に販売数量が減少し、総じて減収となりました。営業損益について、モビリティセグメントは自動車部品の数量増、イノベーション材料 セグメントは一部値上げ効果により増益となりました。半導体・電子材料セグメントは大幅な減益となりました。ケミカルセグメントは黒鉛電極の受払差のマイナス影響等により減益となり、総じて減益となりました。

レゾナック・ホールディングスの業績推移

レゾナック・ホールディングスの業績推移

業績推移(四半期)

2023年第1四半期(1ー3月)
売上高は298,919百万円になりました。営業利益は9,208百万円の赤字になりました。売上高は、ケミカルセグメントにおいて石油化学事業は数量増、グラファイト事業も数量増となり、セグメ ント全体として増収となりました。半導体・電子材料セグメントは半導体関連業界の調整により大幅な減収、モビリテ ィ、イノベーション材料の2セグメントも減収となりました。営業損益は、ケミカルセグメントは(数量効果で)増益となりましたが、半導体・電子材料 セグメントは大幅な減益となり、モビリティ、イノベーション材料の2セグメントも主に数量減により減益となりました。

2023年第2四半期(4ー6月)
売上高は317,207百万円になりました。営業利益は3,957百万円の赤字になりました。売上高は、ケミカルセグメントでは増収となりました。石油化学における数量増、黒鉛電極における販売価格等の上昇、 基礎化学品における数量増、がそれぞれ増収の要因となりました。半導体・電子材料セグメントは、半導体関連業界の調整の影響により大幅な減収、モビリティ、イノベーション材料の2セグメントも減収となりました。営業損益について、モビリティセグメントは自動車部品の数量増により増益となりましたが、半導体・電子材料セグメントは大幅な減益となりました。さらに、イノベーション材料は数量の減少、ケミカルは黒鉛電極の受払差のマイナス影響等により減益となりました。

2023年第3四半期(7ー9月)
売上高は326,181百万円になりました。営業利益は8,856百万円、営業利益率は3%になりました。売上高は、ケミカルセグメントでは増収となりました。石油化学における数量増、黒鉛電極、基礎化学品における販売価格の上昇等がそれぞれ増収の要因となりました。半導体・電子材料セグメントは、半導体、電子材料関連業界の調整の影響により減収、モビリティ、イノベーション材料の2セグメントも減収となりました。営業損益について、モビリティセグメントは自動車部品の数量増、イノベーション材料セグメントは主に値 上げ効果により増益となりました。半導体・電子材料セグメントは大幅な減益となりました。ケミカルセグメントは黒鉛電極 の受払差のマイナス影響等により減益となりました。

2023年第4四半期(10ー12月)
売上高は346,562百万円になりました。営業利益は545百万円、営業利益率はほぼ0%になりました。

2024年第1四半期(1ー3月)
売上高は321,374百万円になりました。営業利益は8,944百万円、営業利益率は3%になりました。売上高は、ケミカルセグメントにおいて黒鉛電極の数量減、石油化学も誘導品の定修を受けて減少し、セグメント全体として減収となりました。半導体・電子材料セグメ ントは半導体関連業界の調整が入った前年同四半期連結累計期間に比べ大幅な増収、モビリティ、イノベーション材料の2セグメントも数量増により増収となりました。営業利益 は、ケミカルセグメントは数量減で減益となりましたが、半導体・電子材料セグメントは大幅な増益となり、モビリ ティ、イノベーション材料の2セグメントも主に数量増により増益となりました。

レゾナック・ホールディングスの四半期業績推移

レゾナック・ホールディングスの四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは-104.65円になりました。1株当たりの配当は前年度と同額の65円になりました。

レゾナック・ホールディングスのEPS・1株配当・配当性向の推移

レゾナック・ホールディングスのEPS・1株配当・配当性向の推移

業績予想

2024年5月
2024年度第一四半期の決算短信において、2024年度通期の売上は1,360,000百万円、営業利益は47,000百万円を予定していると掲載されています。

売上構成

セグメントは、半導体・電子材料、モビリティ、イノベーション材料、ケミカルに分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

レゾナック・ホールディングスの売上構成(2023年度)

レゾナック・ホールディングスの売上構成(2023年度)

半導体・電子材料
半導体前工程材料(情報電子化学品(電子材料用高純度ガス・機能薬品)、半導体回路平坦化用研磨材料)、半導体後工程材料(エポキシ封止材、ダイボンディング材料、銅張積層板、感光性フィルム、感光性ソルダーレジスト)、デバイスソリューション(ハードディスク、SiCエピタキシャルウェハー、化合物半導体(LED))の製造を行っています。

モビリティ
自動車部品(樹脂成形品、摩擦材、粉末冶金製品)、リチウムイオン電池材料(アルミラミネートフィルム、正負極用導電助剤、カーボン負極材)の製造を行っています。

イノベーション材料
機能性化学品(合成樹脂エマルジョン、不飽和ポリエステル樹脂)、機能性樹脂、コーティング材料、セラミックス(アルミナ、研削研磨材、ファインセラミックス)、アルミ機能部材の製造を行っています。

ケミカル
石油化学(オレフィン、有機化学品(酢酸ビニルモノマー・酢酸エチル・アリルアルコール))、化学品(産業ガス(液化炭酸ガス・ドライアイス・酸素・窒素・水素)、基礎化学品(液化アンモニア・アクリロニトリル・アミノ酸・苛性ソーダ・塩素・合成ゴム))、黒鉛電極の製造を行っています。

M&A情報

2013年 黒鉛電極を製造する四川炭素を買収
2016年 炭素・黒鉛製品メーカーのSGLから黒鉛電極事業を買収
2019年 ノンスティック・コーティング剤を製造・販売するILAGを買収を決定
2020年 化学製品と電子材料を製造・販売する日立化成を買収
2023年 昭和電工マテリアルズ株式会社を統合し、新会社『レゾナック』となる
2023年 産業向け自動化ソリューション事業を手掛けるAMI Automationの買収を決定

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