三菱商事の市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

三菱商事は、九十九商会に源流を持ち、1918年に三菱合資営業部が分社化され設立された総合商社です。広範囲な商材の輸出輸入を手掛けるトレーディングが祖業ですが、商社冬の時代を経て、プロジェクトや事業投資も行う複合企業体へと進化を遂げました。セクターなどで分類しにくい異形の経営スタイルのため、海外でもsogo shoshaという業態として理解が深まりつつあります。天然ガス、総合素材、石油・化学、金属資源、産業インフラ、自動車・モビリティ、食品産業、コンシューマー産業、電力ソリューション、複合都市開発で事業を展開しています。関連会社には、ローソン、三菱食品、三菱自動車、千代田化工などがあります。

業績推移(年次)


2018年度
売上高は16,103,763百万円で、前年度比113%増となりました。この売上の増加は、IFRS第15号の適用に伴い、財の移転を本人としての履行義務と認識して、対価の総額を収益として認識する取引が増加したことなどが要因です。営業利益は584,489百万円になりました。営業利益率は3.6%になりました。

2019年度
売上高は14,779,734百万円で、前年度比8%減となりました。営業利益は357,899百万円になりました。営業利益率は2.4%になりました。

2020年度
売上高は12,884,521百万円で、前年度比13%減となりました。これは、石油事業における取引減少などによるものです。売上総利益は、豪州原料炭事業における市況下落やCVS事業における加盟店収入の減少などによ り、前連結会計年度を10%下回りました。販管費は、新型コロナウイルスの影響による営業活動の縮小などにより、前年度比で2%減少しました。営業利益は207,399百万円になりました。営業利益率は1.6%になりました。

2021年度
売上高は17,264,828百万円で、前年度比34%増となりました。これは、市況好転による価格上昇及び取引数量の増加などによるものです。売上総利益は、豪州原料炭事業や鮭鱒養殖事業における市況好転、及び自動車関連事業におけ る生産・販売台数増加、鉄鋼製品事業における販売価格の上昇などにより、前年度を34%上回りました。営業利益は718,725百万円になりました。営業利益率は4.2%になりました。

2022年度
売上高は21,571,973百万円で、前年度比25%増となりました。これは、市況上昇及び取引数増加が要因です。営業利益は952,444百万円になりました。粗利は、豪州原料炭における市況上昇及び欧州総合エネルギー事業における市況変化への機動的な対応などにより、前年度を19%上回りました。販管費は、円安に伴う為替換算の影響などにより、前年度比で12%増加しました。営業利益率は4.4%になりました。

三菱商事の年次業績推移

三菱商事の年次業績推移

業績推移(四半期)

2022年度第2四半期(07ー09月)
売上高は5,278,439百万円になりました。営業利益は136,070百万円、営業利益率は2.6%になりました。

2022年度第3四半期(10ー12月)
売上高は5,562,666百万円になりました。営業利益は209,200百万円、営業利益率は3.8%になりました。

2022年度第4四半期(01ー03月)
売上高は5,287,429百万円になりました。営業利益は207,398百万円、営業利益率は3.9%になりました。

2023年度第1四半期(04ー06月)
売上高は4,735,665百万円になりました。営業利益は231,875百万円、営業利益率は4.9%になりました。

2023年度第2四半期(07ー09月)
売上高は4,825,346百万円になりました。営業利益は109,599百万円、営業利益率は2.3%になりました。

三菱商事の四半期業績推移

三菱商事の四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移


希薄化後EPSは前年度比29%増の805.69円になりました。1株当たりの配当は前年度比20%増の180円になりました。配当性向は22%になりました。

三菱商事のEPS・1株配当・配当性向の推移

三菱商事のEPS・1株配当・配当性向の推移

業績予想

2023年11月
2023年度第二四半期の決算短信にて、2023年度通期の利益は950,000百万円を予定していると掲載されています。

売上構成

セグメントは、天然ガス、総合素材、石油・化学ソリューション、金属資源、産業インフラ、自動車・モビリティ、食品産業、コンシューマー産業、電力ソリューション、複合都市開発に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

三菱商事の売上構成

三菱商事の売上構成

天然ガス
北米、東南アジア、豪州などにおいて、天然ガス・原油の開発・生産事業、液化天然ガス(LNG)事業などを行っています。

総合素材
自動車・モビリティや建設・インフラなどの対面業界において、鉄鋼製品、硅砂、セメント・生コン、炭素材、塩ビ・化成品など多岐にわたる素材の販売取引、事業投資、事業開発を行っています。

石油・化学ソリューション
原油、石油製品、LPG、エチレン、メタノール、塩、アンモニア、プラスチック、肥料など幅広い石油・化学関連分野において、販売取引、事業開発、投資などを行っています。

金属資源
銅、原料炭、鉄鉱石、アルミといった金属資源への投資・開発などを通じて事業経営に携わると共に、グローバルネットワークを通じた鉄鋼原料、非鉄原料・製品における質の高いサービスや機能を活かし、供給体制を強化しています。

産業インフラ
エネルギーインフラ、産業プラント、建設機械、工作機械、農業機械、エレベーター、エスカレーター、ファシリティマネジメント、船舶、宇宙航空関連機器など幅広い分野における事業及び関連する取引などを行っています。

自動車・モビリティ
乗用車・商用車の販売や販売金融を中心に、生産、アフターサービスも含め一連のバリューチェーン事業に深く関与しています。また、ヒトやモノの移動に関する課題を解決するモビリティ関連事業に取り組んでいます。

食品産業
食糧、生鮮品、生活消費財、食品素材などの「食」に関わる分野で、原料の生産・調達から製品製造に至るまでの幅広い領域において、販売取引、事業開発などを行っています。

コンシューマー産業
小売・流通、物流、ヘルスケア、衣料、タイヤなどの各領域において、商品・サービスの提供、事業開発などを行っています。

電力ソリューション
国内外の産業の基盤である電力・水関連事業における幅広い分野に取り組んでいます。具体的には、発・送電事業、電力トレーディング、電力小売事業等に加え、水素エネルギー開発などを行っています。

複合都市開発
都市開発・不動産、企業投資、リース、インフラなどの分野において、開発事業、運用・運営を行っています。

M&A情報

事業を展開する領域の成長を志向したM&Aを積極的に手掛けています。

2011年 チリの銅鉱山運営会社アングロ・アメリカン・スールへの出資
2012年 ペルーの銅鉱山運営会社アングロアメリカンケジャベコへの出資
2015年 シンガポールの穀物商社Olamへ出資
2017年 ローソンの子会社化
2018年 三菱自動車を持分法適用化
2019年 千代田化工建設を子会社化
2019年 NTTと共同でデジタル地図会社ヒアテクノロジーへ出資
2020年 オランダの電力会社エネコの買収
2021年 三菱UFJリースと日立キャピタルへ追加出資
2021年 グレンコアより豪州ボーキサイト権益の取得

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