水産業界(漁業、養殖業、水産加工業)の世界市場シェアの分析

水産業界、水産加工業界の世界市場シェア、市場規模について分析をしています。マルハニチロ、タイユニオン、モウイ(旧マリンハーベスト)、日本水産、トライデントフーズ、セルマックといった世界の主要水産会社の概要や動向も掲載しています。

市場シェア

漁業・水産会社の2020年度の売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2020年の水産業界(漁業、養殖業、水産加工業)の市場シェアを簡易に試算しますと、世界1位はモウイ、2位はマルハニチロ、3位は日本水産(ニッスイ)となります。

水産業界の世界シェアと業界ランキング(2020年)

  • 1位 モウイ 3.99%
  • 2位 マルハニチロ 3.37%
  • 3位 ニッスイ 2.31%
  • 4位 タイユニオン 1.54%
  • 5位 アウステヴォル・シーフード 1.12%
  • 6位 トライデント・シーフーズ 1.08%
  • 7位 極洋 0.89%
  • 8位 チャロンポカパン 0.63%
  • 9位 セルマック 0.53%
  • 10位 ペスカノヴァ 0.45%
  • 11位 バッカフロスト 0.31%
  • 12位 グオリエン・アクアティック 0.28%
  • 13位 タッサル 0.18%
  • 14位 上海開創国際海洋資源 0.12%
  • 15位 ゾネコ 0.12%
水産会社の世界市場シェア(2020年)
水産会社の世界市場シェア(2020年)

水産業界の世界1位はノルウェーのモウイです。マリンハーベストから社名を変更しました。シャケ養殖の分野では世界最大級の会社です。2位、3位と日本勢のマルハニチロと日本水産となります。漁業王国日本を代表する2社です。近年は、漁獲から養殖へと主軸が移ってきており、飼料から加工までのバリューチェーンをいかに構築するかで、競争の優劣が問われるようになっております。また水産資源を取り扱っており、ESG的な観点からも投資が必要となってきております。4位はタイの水産加工会社である、タイユニオンがランクインしています。ツナ缶では世界最大手です。5位はサケ養殖に強いノルウェーのアウステヴォル、6位は米国のトライデントフーズです。

市場規模

当サイトでは、水産業界(漁業、養殖業、水産加工業)の2020年の市場規模を2406億ドルとしています。参照した統計データは次の通りです。調査会社のストラテジーアールによると、2020年の養殖業の市場規模は1809億ドルです。2027年にかけて年平均4.4%での成長を見込みます。調査会社のザビジネスリサーチカンパニーによると、2020年の水産食品業界の市場規模は2406億ドルです。2025年にかけて年平均7%での成長を見込みます。調査会社のフィオールマーケッツによれば、2018年の水産業界の市場規模は1468億ドルです。2026年までに年平均9.3%での成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報
養殖と漁業の割合がですが、下記の表の通り、2020年にちょうど均衡点を迎え、以降養殖の割合が増えていくことが見込まれます。

出所:ペスカノヴァ

業界のM&A

業界大手が同業を買収する形での再編が続いています。M&Aのマルチプル(売上高倍率)の推移では概ね1~2倍のレンジとなっています。

2019年 BakkafrostがThe Scottish Salmon Companyを買収
2019年 AgrosuperがEmpresas AquaChileを買収
2018年 Austevoll SeafoodがHardanger Skjellを買収
2018年 MowiがNorthern Harvestを買収
2017年 日本水産がCaistor Seafoodsを買収
2016年 Thai UnionがRugen Fischを買収
2014年 三菱商事がノルウェーのサーモン養殖大手であるセルマックを買収
2014年 伊藤忠商事がチャロンポカパンに出資
2007年 マルハとニチロが経営統合

水産業界のM&Aマルチプル(売上高倍率)の推移
水産業界のM&Aマルチプル(売上高倍率)の推移
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世界の主要な水産・水産加工会社の一覧

マルハニチロ

1880年に遠洋漁業や捕鯨を目的に設立された旧大洋漁業のマルハと1906年に北洋漁業を目的に設立された旧日魯漁業のニチロが合併して誕生した水産会社です。国内外に漁業拠点を擁して、マグロやカンパチの養殖、スケトウダラやカニの漁獲などに強みを持ちます。産加工品は冷凍食品、缶詰などをマルハ、あけぼのブランドで世界展開しています。クロマグロの完全養殖に日本で初めて成功しております。現在では漁業や養殖事業の売上に占める割合は小さくなり、魚の買付けや水産加工の比重が大きくなっています。海外ではTransocean、Premier Pacific Seafoodsといったブランドで展開しております。

タイユニオン(Thai Union)

1977年に設立されたタイを代表する水産会社です。ツナ缶、冷凍エビ等の水産加工品に強みを持ちます。SEALECT、Chicken of the Sea、GENOVAといったブランドで展開するツナ缶では世界最大手です。自社ブランドとともに他社ブランドの製品の製造も手掛けています。また水産加工食品以外にはペットフードも手掛けています。1994年にタイ証券取引所に上場しています。2020年に米国のシーフードレストラン大手であるレッドロブスターを子会社化しています。2021年に独水産加工大手ルーゲン・フィッシュ(Ruegen Fisch)を完全子会社化しました。

Mowi(モウイ)

ノルウェーに本拠をおくサーモン養殖に強みを持つ水産会社です。サーモン養殖の生産量では世界最大規模です。2018年にMarine Harvest(マリンハーベスト)からモウイへと社名変更しております。サーモンの分野では、飼料→養殖→加工と上流から下流へのバリューチェーンを構築しております。大株主はノルウェーのJohn Fredriksen氏です。さらに詳しく

日本水産(ニッスイ)

1911年に田村市郎氏によって設立された日本を代表する総合水産会社です。ニッスイ、Sealoard、Bluewaterといったブランドで世界展開しています。サケマス・スケソウダラ・エビ・マグロ・カニ・ブリ等などを養殖や漁獲し、加工しております。

極洋

1937年に設立された大洋漁業、日本水産と並ぶかつての三大捕鯨会社が源流です。捕鯨禁止の流れを受け、現在は水産会社として業務用食材に強みを持ちます。

Austevoll Seafood(アウステヴォル・シーフード)

1981年に設立されたノルウェーに本拠を置く大手水産メーカーです。子会社にサケ養殖大手のLeroy See Food(レロイ・シーフード)を有します。ノルウェー以外では、チリ、英国、ペルーで養殖から加工までの事業を営んでおります。

Trident Seafoods Corporation (トライデント・シーフーズ)

1973年に設立された米国に本拠をおく非上場の水産加工会社です。米国内に10の養殖場・漁場と4つの加工場を擁しております。

Pescanova(ペスカノヴァ)

1961年にJosé Fernández López氏によって設立されたスペインに本拠を置く水産加工大手です。エビの生産量では世界最大級です。サーモンも手掛けています。エビの養殖は、ガテマラ、エクアドル、ニカラグアなどで行っています。

出所:ペスカノヴァ

チャロンポカパン

1921年に設立されたタイに本拠をコングロマリット企業で、農業、飼料、食肉加工、金融、通信等幅広い分野に強みを持ちます。1969年にCEOとなった創業オーナーの一族である謝国民(タニン・チャラワノン)氏の下で大きく飛躍しました。日本の伊藤忠と2014年に戦略的な資本関係を構築しました。2016年に米国の冷凍食品大手ベリッシオ・ペアレンツを買収しています。中国では正大集団として展開しています。セブンイレブン、明治乳業、ロート製薬など多くの日本企業と合弁事業を展開しています。

セルマック

ノルウェーに本拠を置く水産会社大手です。サケの養殖に強みを持ちます。三菱商事の子会社となっています。

 CNFC Overseas Fisheries(中水集团远洋)

中国に本拠を置く水産会社です。マグロ漁業に強みを持ちます。

Shanghai Kaichuang Marine International(上海開創国際海洋資源)

中国に本拠を置く遠洋漁業会社です。水産加工もおこなっており、スペインの缶詰大手であるHijos De Carlos Alboを買収しています。

Zoneco Group(獐子島集団、ゾネコグループ)

中国に本拠を置く水産会社です。ホタテ、アワビ、ナマコ、ウニなどの養殖に強みを持ちます。

Tassal(タッサル)

オーストラリアに本拠を置く水産会社です。タスマニアでサケの養殖を行っています。

Zhanjiang Guolian Aquatic Products(チャンジァン・グオリエン・アクアティック・プロダクツ、(湛江国聯水産開発)

中国に本拠を置くエビ、ティラピアなどの養殖・加工を行う水産会社です。冷凍エビの輸出でも大手です。