DENSO CORPORATION(デンソー)の市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

主に自動車部品やシステムの開発・製造を行っている日本のグローバル企業です。1949年にトヨタ自工から分離独立し、日本電装株式会社を設立したのがデンソーの始まりで、トヨタを支えるTier1企業です。1970年代に北米市場に進出し、グローバル企業として成長を開始。1990年代には5~20年先を見据えた将来技術の研究開発を実施し、事業の多角化を始めました。現在は自動車部品メーカーの中で世界No.2の売上規模をほこり、電気分野、安全、自動運転、農業などに力を入れています。

業績推移(年次)


2019年度
売上高は前年度比4%減の5,153,476百万円になりました。営業利益は前年度比81%減の61,078百万円になりました。営業利益率は1%となりました。売上収益は、物量ベースで第3四半期までは前年度比で横ばいを維持していたものの、為替や第4四半期の新型コロナウイルス感染症拡大による大幅な市場減速の影響により、減収になりました。 営業利益は下半期に発生した品質費用の引当や、売上減少に伴う操業度差損等により、減益となりました。

2020年度
売上高は前年度比4%減の4,936,725百万円になりました。営業利益は前年度比154%増の155,107百万円になりました。営業利益率は3%となりました。売上収益は、新型コロナウイルス感染症の拡大による市場減速の影響により、第1四半期に車両販売が大幅に減少し、その後回復に転じたものの、半導体や素材不足による売上減少など もあり、減収になりました。 営業利益は新型コロナウイルス感染症の影響による操業度差損や品質費用の引当があったものの、緊急施策やソフト開発ツール導入による研究開発の効率化など体質変革の加速により、増益となりました。

2021年度
売上高は前年度比12%増の5,515,512百万円になりました。営業利益は前年度比120%増の341,179百万円になりました。営業利益率は6%となりました。売上収益は、半導体不足等による車両減産があったものの、新型コロナウイルス感染 症による影響からの回復等により、増収になりまし た。営業利益は車両減産影響による操業度差損や電子部品を中心とした部材費、物流費、素材費、エネルギー費の 高騰など外部環境の影響があったものの、固定費の低減や研究開発の効率化等、採算改善努力の効果により増益となりました。

2022年度
売上高は前年度比16%増の6,401,320百万円になりました。営業利益は前年度比25%増の426,099百万円になりました。営業利益率は7%となりました。売上収益は、半導体不足や中国のロックダウン等により車両生産は影響を受けたものの、年間を通じて回復基調となりました。加えて、注力領域である電動化関連製品や先進安全製品を中心 に、順調な拡販を進め、増収になりました。営業利益は、電子部品を中心とした部材費・素材費や、物流費・エネルギー費用の高騰など厳しい外部環境の中、合理化とコスト上昇分の価格反映により増益となりました。

2023年度
売上高は前年度比12%増の7,144,733百万円になりました。営業利益は前年度比11%減の380,599百万円になりました。営業利益率は5%となりました。売上は、日本・北米を中心とした好調な車両販売、為替の円安傾向、 電動化・安心・安全製品等の注力領域を中心とした拡販の実現により増収となりました。営業利益は、操業度差益や為替差益、合理化努力があるものの、品質費用の発生により減益となりました。

デンソーの業績推移

デンソーの業績推移

業績推移(四半期)

2023年第1四半期(1ー3月)
売上高は前年同期比21%増の1,712,860百万円になりました。営業利益は94,378百万円、営業利益率は6%となりました。半導体不足が緩和傾向になる中、車両生産の回復や円安の進行に加え、電動化・ 安心・安全製品等の注力領域を中心とした拡販の実現により、前年同期比で増収になりました。営業利益は、電子部品を中心とした部材費の高騰は継続するものの、操業度差益、円安の進行と合理化努力により、前年同期比で増益となりました。

2023年第2四半期(4ー6月)
売上高は前年同期比12%増の1,800,638百万円になりました。営業利益は117,442百万円、営業利益率は7%となりました。第2四半期連結累計期間は、中国における日系・欧米系車両の販売不振が続くも、日本・北米を中心とした好調な車両販売、円安の進行に加え、電動化・安心・安全製品等の注力領域を中心とした拡販の実現により、累計前年同期比で増収となりました。営業利益は、電子部品を中心 とした部材費高騰の継続や研究開発等の将来に向けた投入を加速したものの、操業度差益や円安の進行、合理化努力により、累計前年同期比で増益となりました

2023年第3四半期(7ー9月)
売上高は前年同期比14%増の1,841,391百万円になりました。営業利益は26,756百万円、営業利益率は1%となりました。第3四半期連結累計期間の業績は、日本・北米を中心とした好調な車両販売、為替の円安傾向、電動化・安心・安全製品等の注力領域を中心とした拡販の実現により、累計前年同期比で増収となりました。営業利益は、操業度差益や円安傾向、合理化努力があるものの、電子部品を中心とした部材費高騰の継続に加え、品質費用の引当により、累計前年同期比で減益となりました。

2023年第4四半期(10ー12月)
売上高は前年同期比1%増の1,789,844百万円になりました。営業利益は142,023百万円、営業利益率は8%となりました。

2024年第1四半期(1ー3月)
売上高は前年同期比2%増の1,753,841百万円になりました。営業利益は120,568百万円、営業利益率は7%となりました。日本顧客の稼働停止影響やアジアでの販売不振に伴う車両減産がありましたが、円安の進行により前年同期比で増収となりました。営業利益は、操業度 差損があるも円安の進行や合理化努力により、前年同期比で増益となりました。

デンソーの四半期業績推移

デンソーの四半期業績推移

EPS・1株配当・配当性向の推移


希薄化後EPSは前年度比1%増の104.97円になりました。1株当たりの配当は前年度比30%減の130円になりました。配当性向は124%になりました。
※2023年10月1日付で普通株式1株につき4株の割合で株式分割を行っています。

デンソーのEPS・1株配当・配当性向の推移

デンソーのEPS・1株配当・配当性向の推移

業績予想

2024年7月
2024年度第一四半期の決算短信にて、2024年度通期の売上は7,330,000百万円、営業利益は692,000百万円を予定していると掲載されています。

売上構成

セグメントは、サーマルシステム、パワートレインシステム、モビリティエレクトロニクス、エレクトリフィケーションシステム、先進デバイス、非車載事業分野に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

デンソーの売上構成(2023年度)

デンソーの売上構成(2023年度)

サーマルシステム
以下がこのセグメントの主要製品です。
[乗用サーマル]
HVAC、コンプレッサ、キャビンエアフィルタ、シート空調、エンジンクーリングモジュール、コ ンデンサ、ラジエータ、ホース配管、熱マネジメント製品(ヒートポンプシステム、チラー、水冷コ ン、CMx、水バルブ、インバータ冷却器)
[商用サーマル]
バス・農建機用エアコン、トラック用冷凍機

パワートレインシステム
以下がこのセグメントの主要製品です。
[噴射機器]
ディーゼル製品(コモンレールシステム、列型・分配型ポンプ、ノズル、フューエルフィルタ、尿素 SCRインジェクタ) ガソリン製品(ポート噴射インジェクタ、直噴インジェクタ、直噴ポンプ、フューエルポンプモジュール
[エンジン機器]
点火製品 (点火コイル、点火プラグ)
排気製品 (排気センサ、排気温センサ、NOxセンサ、排ガス浄化用基材)
可変動弁製品(可変カムタイミング、オイルコントロールバルブ)
吸排気弁製品(EGRバルブ、スロットルボデー)
二輪製品 (二輪車用回転機、二輪車用エンジンECU)
フィルタ (エアクリーナ、オイルフィルタ)
[エレクトリックコンポーネント]
発電始動製品(スタータ、オルタネータ)

モビリティエレクトロニクス
以下がこのセグメントの主要製品です。
[エレクトロニクス]
エンジンECU、ハイブリッドECU、BEV ECU、e-VCT、トランスミッションECU、 SBW ECU、フューエルポンプECU、スマートキーシステム、エアコンECU、ボデーECU、 これら製品に搭載されるソフトウェア
[セーフティシステム]
HMIコントロールユニット、センターインフォメーションディスプレイ、 コンビネーションメータ、ヘッドアップディスプレイ、車載インフォテインメントシステム、 テレマティクスコントロールユニット、ETC車載器、路車間・車車間通信機、 画像センサ、ミリ波レーダ、レーザレーダ、ソナーセンサ&ECU、周辺監視カメラ&ECU、 自動運転ECU、ロケータECU、ヘッドランプECU、エアバック用センサ&ECU、 ドライバーステータスモニタ、これら製品に搭載されるソフトウェア
[音]
車両接近通報装置、ブザー

エレクトリフィケーションシステム
以下がこのセグメントの主要製品です。
[エレクトリフィケーションコンポーネント]
PCU、インバータ、DC-DCコンバータ、電池監視ユニット、電池ECU、充電ECU、 リチウムイオン電池パック、高電圧リレー、ESU
[パワーモビリティエレクトロニクス]
機電一体型2系統駆動電動パワーステアリング、制御ブレーキECU、MG、ISG
[モータ]
ワイパシステム、ウォッシャシステム、パワーウィンドモータ、パワーシートモータ、 エンジン制御用モータ、ブロワモータ、電動ファンモータ

先進デバイス
以下がこのセグメントの主要製品です。
[メカトロニクスシステム]
CASE領域製品(シフトバイワイヤアクチュエータ、マルチコントロールバルブ)
エバポ製品(エバポリークチェックモジュール、パージバルブ)
駆動制御製品(A/Tモジュール、A/Tソレノイドバルブ)
センサ類(エアフロメータ、アクセルペダルモジュール)
[センシングシステム]
各種半導体センサ(圧力センサ、電流・磁気センサ、光センサ、温度センサ)
[セミコンダクタ]
特定用途向けIC、パワー半導体

非車載事業分野
以下がこのセグメントの主要製品です。
[AUTO-ID関連]
バーコードハンディスキャナ&ハンディターミナル、QRコードスキャナ&ハンディターミナル、ICカードリーダ&ライタ、RFIDリーダ&ライタ
[FA関連]
自動化設備、各種ロボット、プログラマブルコントローラ
[冷却・空調関係]
スポットクーラ&ヒータ
[フードバリューチェーン関連]
施設園芸関連製品(大・中規模向け農業ハウスおよび施設園芸関連製品、国内向けハウス環境制御シ
ステム)、小型モバイル冷凍機
[生活関連]
自然冷媒(CO2)ヒートポンプ式給湯機、V2H充放電設備、住宅用空調、地域情報配信システム
[その他]
ナンバー検知おもてなしシステム、高速逆走防止システム

M&A情報


2010年 欧州各国で自動車部品などの開発・製造・販売を行うフィンバー社との間で、同社のグループ会社であり、コンプレッサやカーエアコン用部品、熱交換器などの幅広い製品ラインナップと、充実した販売・サービスのネットワークを持つ販売会社CTR社の全株式を取得
2012年 3次元画像の生成・解析技術を活用したソフトウェアやサービスなどを提供しているアイネットの3D事業部を買収
2014年 北米における故障診断サービス事業を拡充するため、同地域で車載電子制御システムの故障診断サービスを提供するEASE Simulationを買収
2017年 スマートフォンを車両の鍵として用いるスマートキー/スマートエントリーに関する特許技術を保有する米国のベンチャー企業、InfiniteKeyを買収
2023年 農業生産事業のグローバル展開を加速することを目的に、オランダの施設園芸事業者であるセルトングループの全株式を取得

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