ダイキンの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

ダイキンは、1924年に山田晁氏によって設立された日本を代表する空調機メーカーです。旧社名は大阪金属工業所で、飛行機向けのラジエーターチューブが祖業です。現在は、産業用の冷暖房空調機では世界トップ級です。ダクト方式に強い米グッドマンやマレーシアのエアコン大手OYL社を買収し、世界的に事業を展開しています。国内ではパナソニックと家庭用エアコンの分野で競っています。フッ素化合物などの化学品事業も行っています。

業績推移(年次)

2019年度
売上高は2,550,305百万円で、前年度比3%増となりました。営業利益は265,513百万円になりました。営業利益率は10%になりました。第4四半期に入ると、新型コロナウイルス感染拡大から世界経済は急減速しました。米国経済は、個人消費が失速し、2020年1月〜3月がマイナス成長となったほか、欧州経済も自動車産業を中心に深刻な景気の悪化に見舞われましたが、第3四半期まで堅調に推移していたこともあり、売上高は増加となりました。

2020年度
売上高は2,493,386百万円で、前年度比2%減となりました。営業利益は238,623百万円になりました。営業利益率は10%になりました。生産・調達・販売といった事業運営面でのコロナ禍への対応に注力しました。とりわけ、空気・空間の安全・安心に対する意識の高まりを捉え、空気清浄機や換気商材などの新たな空気関連商品の開発・投入に取り組みました。

2021年度
売上高は3,109,106百万円で、前年度比25%増となりました。営業利益は316,350百万円になりました。営業利益率は10%になりました。需要変動に対応した柔軟な生産・供給体制の構築、新たなニーズを捉えた新商品の拡販によるシェア の向上、原材料市況高騰を踏まえた銅からアルミへの材料置換をはじめとしたトータルコストダウンの推進、 市場・顧客にその価値を認めていただける差別化商品の投入による販売価格政策の推進、固定費の削減や物流 の効率化などに取り組み、増収増益となりました。

2022年度
売上高は3,981,578百万円で、前年度比28%増となりました。営業利益は377,032百万円になりました。営業利益率は9%になりました。エネルギーコストの上昇や中国での新型コロナウイルス感染拡大などの影響を受けながらも、計画を上回る過去最高業績を更新しました。国内空調では、業務用市場の需要は、経済活動の回復に伴う設備投資の持ち直しの動きが見られ、前期を上回りました。一方、住宅用市場の需要は、中国でのロックダウンによる供給面での影響や昨年の巣ごもり需要からの反動もあり前期を下回りましたが、高い省エネ性能を生かした商品の売れ行きは良好で、売上高は前期を上回りました。

2023年度
売上高は4,395,317百万円で、前年度比10%増となりました。営業利益は392,137百万円になりました。営業利益率は9%になりました。国内空調では、業務用市場の需要は、ビル用・設備用・工場用などの需要が回復した一方、市場規模の大きい店 舗・オフィス用の需要回復が遅れ、前期を下回りました。また、住宅用市場の需要は、猛暑による需要の拡大が見られたものの、耐久消費財に対する消費マインドの冷え込みや、過去数年間の高需要の反動により、前期を下回りました。このような状況の中、業務用空調機器市場に向けては、高い省エネ性能と施工性を兼ね備えた高付加価値商品を中心にユーザー提案を強化し、売上高は前期を上回りました。

ダイキンの業績推移

ダイキンの業績推移

業績推移(四半期)

2022年第4四半期(1ー3月)
売上高は995,911百万円になりました。営業利益は73,275百万円、営業利益率は7%になりました。

2023年第1四半期(4ー6月)
売上高は1,094,715百万円になりました。営業利益は117,884百万円、営業利益率は11%になりました。収益力の再強化に取り組むとともに、カーボンニュートラルへの世の中の流れをチャンスとした事業の拡大に取り組んでおります。

2023年第2四半期(7ー9月)
売上高は1,130,439百万円になりました。営業利益は117,862百万円、営業利益率は10%になりました。世界経済は、コロナ禍の行動制限解除を受けてサービス消費が回復した一方、欧米の金融引き締めによる景気悪化が各国に波及し、全体として減速しました。

2023年第3四半期(10ー12月)
売上高は1,038,498百万円になりました。営業利益は70,744百万円、営業利益率は7%になりました。世界経済は、インフレと欧米の金融引き締めにより減速しました。それぞれの地域・事業の進捗状況をきめ細かくフォローしながら、臨機応変に課題に対応する ことで、環境変化による事業への影響を極小化する一方、環境変化をチャンスとした事業拡大・シェアアップに取り組むとともに、収益力の再強化にも取り組んでおります。

2023年第4四半期(1ー3月)
売上高は1,131,665百万円になりました。営業利益は85,647百万円、営業利益率は8%になりました。

ダイキンの四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比1%増の888.64円になりました。1株当たりの配当は前年度比4%増の250円になりました。配当性向は28%になりました。

業績予想

2023年度第4四半期の決算短信にて、2024年度通期の売上高は4,540,000百万円、営業利益は425,000百万円を予定していると掲載されています。

売上構成

セグメントは、空調事業、化学事業、その他に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

ダイキンの売上構成(2023年度)

空調・冷凍機事業
ルームエアコン、空気清浄機、ヒートポンプ式給湯機、遠赤外線暖房機、ヒートポンプ式温水床暖房、パッケージエアコン、スポットエアコン、空気清浄機、脱臭機、遠赤外線暖房機、全熱交換器、換気扇、ウォーターチリングユニット、アンモニアブラインチリングユニット、ターボ冷凍機、スクリュー冷凍機、ファンコイルユニット、エアハンドリング、ユニット、ルーフトップ、低温用エアコン、フリーザー、冷凍・冷蔵ショーケース、エアフィルタ、工業用集塵装置、海上コンテナ冷凍装置、舶用エアコン、舶用冷凍機などの製造販売を行っています。

化学品事業
冷媒、四フッ化エチレン樹脂、溶融タイプ樹脂、フッ素ゴム、フッ素、塗料、フッ素コーティング剤、半導体用エッチング剤、撥水撥油剤、離型剤、界面活性剤、フッ化カーボン、フッ素オイル、医農薬中間体、溶剤脱臭装置、ドライエア供給装置などの製造販売を行っています。

直近のM&A(合併買収)

空調や化学品分野での地域や技術補完的なM&Aを行っています。

2007年 マレーシアの大手空調メーカーOYLを買収
2008年 ドイツの暖房機器メーカーであるテックスを買収
2011年 トルコの空調機器メーカーであるエアフェルを買収
2012年 米国の大手空調メーカー グッドマンを買収
2015年 化学メーカーソルベイから欧州の冷媒事業を買収
2016年 米国のエアフィルターメーカーフランダースを買収
2017年 イタリアのフッ素樹脂コンパウンドメーカーヘロフロンを買収
2018年 商業用冷凍器メーカーのAHTを買収
2020年 ダイキンによる空調販売店のアブコ、ロビンソン、スティーブンスの買収
2021年 ダイキンによる空調卸のサーマルサプライや業務用空調販売のエアレップスの買収
2022年 イタリアの総合油圧機器メーカー デュプロマティックMS社
2022年 ダイキンによる米通信機器大手ベンスターの買収
2023年 ダイキンによる米空調・住宅用建築資材販売大手のウィリアムズディストリビューティングの買収
2023年 ダイキンによる米アライアンスエアープロダクツとCM3ビルディングソリューションの買収
2024年 住宅暖房システムの取り付けと保守を行うROBERT HEATH HEATINGを買収

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