電動工具業界の世界市場シェア、市場規模や業界再編の情報を掲載しています。スタンレー・ブラック・アンド・デッカー、ロバートボッシュ、マキタ、テクトロニック・インダストリーズといった世界の主要な電動工具メーカーの概略や動向を掲載しています。
【電動工具業界とは】
電動工具は、主にねじを締める、穴をあける、切断する、削る(研磨する)時に使用します。穴をあける対象の素材によって、スクリュードライバー、電気ドリル、インパクトドライバー、振動ドリル、ルーター等が使われます。また材料を切断する際には電気鋸、ジグソー、スライドソーが使われます。削る際にはグラインダーやサンダー等が用いられます。
【電動工具業界の世界市場シェア】
電動工具業界の2024年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2024年の電動工具業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はテクトロニック・インダストリーズ、2位はスタンレー・ブラック・アンド・デッカー、3位はボッシュとなります。
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| 順位 | Company name (English) |
企業名(日本語) | 市場シェア |
| 1位 | Techtronic Industries Company Limited | テクトロニック・ インダストリーズ |
19.66% |
| 2位 | Stanley Black & Decker | スタンレー・ブラック ・アンド・デッカー |
19.06% |
| 3位 | Robert Bosch | ボッシュ | 11.12% |
| 4位 | Makita | マキタ | 8.20% |
| 5位 | Hilti | ヒルティ | 3.84% |
| 6位 | Kyocera | 京セラ | 3.33% |
| 7位 | Snap-on | スナップオン | 2.85% |
1位は香港のテクトロニック・インダストリーズです。主なブランドには、MILWAUKEE、RYOBI、HOOVER、DIRT DEVILなどが含まれ、これらは高品質、優れた性能、革新性で高く評価されています。2位は米国のスタンレー・ブラック・アンド・デッカーです。2017年にニューウェルツールズを買収してさらなる規模拡大を目指しています。3位はドイツのロバートボッシュです。電動工具以外にも産業用機器や車載用機器の開発に力を入れています。4位には日本のマキタがランクインしました。家庭・園芸用機器にも強みを持ちます。
【電動工具業界の世界市場規模】
当データベースでは、2024年の電動工具業界の市場規模を698億ドルとしております。参照した各種調査データは次の通りとなります。調査会社GMインサイツによると、2024年の同業界の市場規模は698億ドルです。2034年にかけて年平均4.3%で成長し、規模は1,081億ドルへと拡大することを見込んでいます。
| 年 | 市場規模 | 成長率見込み |
| 2024 | 698億ドル | – |
| 2034 | 1,081億ドル | 4.3% |

【M&Aの動向】
2017年 京セラによるくぎ打ち機大手の米SENCOホールディングスの買収
2017年 スタンレー・ブラック・アンド・デッカーによるNewell Toolsの買収(18.6億ドル)
2017年 京セラによるリョービの電動工具事業の買収
2018年 スタンレー・ブラック・アンド・デッカーがNelson Fastener Systemsの一部事業を買収
2019年 マキタがくぎ打ち機の動力源に使う空気圧縮機を手掛ける尼寺空圧工業を完全子会社化
2020年 京セラが光学部品メーカーである昭和オプトロニクスを子会社化
2021年 京セラが米国ソーラー・レーザー・ダイオード社の完全子会社化を完了
2021年 ヒルティがサンフランシスコを拠点とする建設テクノロジー企業のFieldwireを買収
2024年 ロバート・ボッシュがジョンソンコントロールズインターナショナルの暖房・換気・空調部門を買収
2025年 ボッシュは米国企業のロードサイドプロテクト社を買収
【会社の概要】
Stanley Black & Decker(スタンレー・ブラック・アンド・デッカー)
Stanley Black & Decker(スタンレー・ブラック&デッカー)は米国を代表する世界最大級の電動工具メーカーです。2010年にStanley Works(スタンレー・ワークス)とBlack & Decker(ブラック・アンド・デッカー)が経営統合をして誕生しました。赤と黒でコーディネートされた電動ドリルは有名です。NYSEに上場しています。電動工具、インダストリアルファスニングの2つの事業部門から構成されています。なお、スタンレーワークスは、1843年に米国コネチカット州でフレデリック・スタンレーが設立した老舗です。
Techtronic Industries Company Limited(テクトロニック・インダストリーズ)
TTI(Techtronic Industries、テクトロニック・インダストリーズ)は香港に本拠を置く1980年創業の電動工具、園芸用機器や掃除機等のブランド運営会社です。過去日本のリョービより北米の電動工具事業を買収して事業を拡大しています。掃除機はHoover、Oreck、VAX等のブランドを展開しています。香港証券取引所に上場しています。日本のリョービが大株主でもあります。
Robert Bosch GmbH(ロバートボッシュ)
1886年にロバート・ボッシュ氏によってシュトゥットガルトに設立された精密機械と電気技術作業場を起源とするドイツを代表する総合電機メーカーです。産業用機器や車載用機器が主力事業ですが、電動工具事業も伝統的に強みを持ちます。他に住宅向けの家電やエネルギー関連機器等を手掛けています。ボッシュ一族が支配する非上場会社です。独VW社と関係が深いとされます。さらに詳しく
Makita Corporation(株式会社マキタ)
マキタは、1915年に牧田茂三郎氏によって設立された牧田電機製作所を源流とする電動工具メーカーです。穴あけ・締付け・切断・研磨に強く、Makitaブランドで国内シェアは圧倒的です。スタンレー・ブラック・アンド・デッカー、ボッシュと世界シェア首位を競っています。家庭・園芸用機器にも強みを持ちます。1991年に独ドルマ―(Dolmar)の買収を行っています。さらに詳しく
Hilti Corporation(ヒルティ)
Hilti(ヒルティ)は、建設業界向けの高品質な電動工具、アクセサリー、ソフトウェア、サービスを提供する企業で、特に建設現場での効率と安全性向上に貢献しています。1941年にリヒテンシュタインで設立され、現在は世界中に展開しています。特に日本では、1968年に事業を開始し、最新の建設技術を取り入れた製品を展開しており、独自の研究開発に力を入れています。
KYOCERA CORPORATION (京セラ株式会社)
京セラは、稲盛和夫氏によって1959年に設立された日本を代表するセラミックメーカーです。セラミックにおける焼結技術を活用するべく、工具の分野では、2011年にデンマークの超硬工具メーカーのユニメルコ、2016年に米超硬工具メーカーのSGSツールカンパニーを買収しています。電動工具でも2017年に住宅向けくぎ打ち機大手の米SENCOホールディングスを買収して事業を拡大しています。複写機分野も手がけ三田工業を買収しドキュメントソリューションを強化しています。太陽光のモジュールも展開しています。さらに詳しく
Snap-on Incorporated (スナップオン)
米国に本拠を置く大手工具メーカーです。ソケットレンチを開発した会社としても有名です。1920年の創業以来車向けを含めた各種工具を開発・販売しています。
Koki Holdings Co., Ltd. (工機ホールディングス株式会社)
日本を代表する電動工具メーカーです。2015年にフランスの大手電動工具メーカーのMetabo(メタボ)社を買収しています。元々は日立グループに属していましたが、2017年に米国の投資ファンドのKKRが日立工機を買収し、独立を果たしました。
日立について
日立製作所は、久原鉱業所日立鉱山付属の修理工場として、1910年に創業された日本を代表する重電メーカーです。IT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフを主要領域とします。配電事業、自動車部品、エレベーター事業や鉄道事業は強化する一方で、日立化成、日立金属、日立キャピタル、日立建機等は外部へ売却をし、選択と集中を進めています。さらに詳しく
