プラチナ採掘生産業界の世界市場シェアと市場規模について分析をしています。アングロアメリカンプラチナ、シバニエティルウォーター、ノーザムプラチナ、ノリリスクニッケル、インパラ、アフリカンレインボーミネラルズなどプラチナ生産の世界大手の動向も掲載しています。
【市場シェア】
プラチナ生産会社各社の2021年度の年間採掘量を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2021年のプラチナ業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はインパラプラチナとなります。⇒参照したデータの詳細情報
プラチナ生産会社の採掘量市場シェア(2021年)
順位 | 会社名 | 市場シェア |
---|---|---|
1位 | インパラプラチナ | 25% |
2位 | シバニエスティルウォーター | 21% |
3位 | ノリリスク・ニッケル | 10% |
4位 | アングロアメリカンプラチウム | 9% |
5位 | ノーザムプラチナ | 7% |
【市場規模】
当データベースでは、2021年のプラチナの世界市場規模(採掘量ベース)を6百万オンスとしております。参照にしたデータは以下の通りです。
アングロアメリカンプラチナによると、2021年と2020年のプラチナ採掘量(リサイクルを除く)は6百万オンスと4.9百万オンス、リサイクルを含むプラチナ生産量は7.7百万オンスと6.6百万オンスです。
インパラプラチナホールディングスによると、2019年のプラチナ採掘量(リサイクルを除く)は6百万オンス、リサイクルを含むプラチナ生産量は8百万オンスです。
調査会社のスタティスタによると、2019年と2020年のプラチナの採掘量は263.2トン、170トンです。用途としては、自動車の触媒が34%、宝石が24%となっています。
調査会社のグランドビューリサーチによると、2019年のプラチナ業界の市場規模は65億ドルです。2027年にかけて年平均5%の成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報
年 | 採掘量ベースの市場規模 | 前年成長率 |
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2021年 | 6moz | 22% |
2020年 | 4.9moz | -19% |
2019年 | 6moz | – |
プラチナの用途
白金族のプラチナとパラジウムは、自動車の排ガス向け触媒として、エンジンから発生するHC,CO,NOxという毒性ガスを無毒化するために必要不可欠な工業用触媒です。プラチナはどちらかというとディーゼルエンジン、パラジウムはガソリンエンジンに多く使われます。内燃エンジンがEV(電動化)していった時に、プラチナの触媒としての需要も影響を受ける可能性があります。一方で、水素を使った燃料電池車の触媒としても存在感を示しています。
触媒以外には、カテーテルやペースメーカーといった医療機器、液晶の基板やハードディスクドライブの素材、装飾品としても利用されています。
なお、プラチナはパラジウムより柔らかくアレルギーもないため、装飾品でパラジウムより多く使われます。パラジウムはプラチナや金の割金(Pt950のプラチナは95%プラチナで残り5%はパラジウムの場合が多い)として利用されています。
プラチナ価格推移(米ドル建/オンス)
ディーゼルエンジンの主流であった欧州がEV自動車へのシフトをはかる中で、2013年以降プラチナ価格は軟調に推移しています。
【M&Aの動向】
2016年 シバニースティルウォーターによるアクエリアスプラチナの買収
2019年 インパラによるノースアメリカンパラジウムの買収
2019年 シバニースティルウォーターによるロンミンの買収
さらに業界に詳しくなるためのお薦め書籍と業界団体と関連サイト
Sustainable Urban Mining of Precious Metals
The World Market for Ores and Concentrates of Precious Metals
World Platinum Investment Council:プラチナ価格の統計が充実
金やゴールド採掘業界の企業別世界市場シェアの分析
パラジウム採掘生産会社の世界市場シェアの分析
ロジウム採掘生産会社の世界市場シェアの分析
【会社の概要】
Anglo American Platinum(アングロアメリカンプラチナム)
南アフリカに本拠を置く世界最大のプラチナ生産会社です。ヨハネスブルグ証券取引所に上場しています。資源大手のAnglo American(アングロアメリカン)子会社です。
Impala Platinum Holdings Limited(インパラプラチナムナホールディングス)
南アフリカの本拠を置くパラジウム、プラチナ生産大手です。略称Implats(インパラ)です。2019年にカナダに本拠を置くプラチナ・パラジウム生産大手であるNorth American Palladium(ノースアメリカンパラジウム)を買収しました。
Sibanye Stillwater(シバニエスティルウォーター)
米国に本拠を置くプラチナ・パラジウム生産大手です。ニューヨーク証券取引所に上場しています。プラチナ以外にもロジウムやパラジウムに強みを持ちます。2016年にオーストラリアのプラチナ大手であるAquarius Platinum(アクエリアスプラチナ)、2019年にプラチナ生産大手のロンミンを買収しました。
Lonmin(ロンミン)について
英国に本拠を置くプラチナ生産大手です。主な鉱山は南アにあり、Anglo Platinum(アングロ・プラチナ)、Implats(インパラ)と併せてプラチナ生産会社の御三家と称されていました。
African Rainbow Minerals(アフリカンレインボーミネラルズ、ARM)
1997年に南アフリカで設立された鉱山開発会社です。アングロアメリカン、インパラ、ロシアの資源大手であるNorilsk Nickel(ノリリスク・ニッケル)等とプラチナ生産を共同で行っています。白金族元素、鉄、石炭、銅、金などの鉱山を開発しています。
Northam Platinum(ノーザムプラチナ)
南アフリカに本拠を置くPGM生産会社です。プラチナ以外にもパラジウムやロジウムを生産します。南アフリカのブッシュフェルト、ゾンデラインデ鉱山やブイセンダル鉱山で生産をします。
Norilsk Nickel(ノリリスクニッケル)
Norilsk Nickel(ノリリスクニッケル)は、ロシアに本拠を置くニッケル・銅・パラジウム・プラチナ等の非鉄金属生産会社です。副産物としてコバルトも生産しています。大株主は、ロシアの財閥であるインターロス(Interros)やロシアのオリガルヒであるオレグ・デリパス氏率いるアルミニウム大手のルサール社です。同社が権益を保有するロシア北東のノリリスク-タルナフ地区は、世界最大のニッケル・銅・パララジウム鉱床です。アルミニウム製錬大手で、ルサールが筆頭株主です。ロンドン証券取引所に上場しています。ルサールは米国によるロシアの制裁の対象となっています。ロシアのKola (コラ)Divisionが主要鉱山です。
参照したデータの詳細情報について
参照したデータは以下の通りです。リンク切れなどありましたら、お問い合わせのページからご連絡頂けますと大変有難く存じます。
参照した売上高ランキング
参照した市場規模の情報