メタノール業界の世界市場シェアの分析

メタノール業界の世界市場シェア、業界ランキング、市場規模の情報について分析をしています。メサネックス、CEL、サウジ基礎産業公社、ザグロス・ペトロケミカル、ヤンクアン・グループ、OCI、三菱ガス化学等の主要メタノール生産会社の動向も掲載しています。

【メタノールとは】

メタノールは主に、ホルマリンや樹脂の原料であるホルムアルデヒド (formaldehyde、酸化メチレン)、酢酸(Acetic acid)、メチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)、スプレー噴射剤の原料となるジメチルエーテル (dimethyl ether)、バイオディーゼル等の原料として用いられ、底堅い需要があります。今後は、新たなエネルギー及びメタノールを原料としてプロピレンやエチレンを得るMethanol To Olefins(MTO)とい言われる分野が成長すると見込まれています。

メタノールは天然ガスもしくは石炭から製造します。

メタノールの需要予測 出所:メサネックス社ホームページ

メタノールは、主に天然ガスや石炭から製造されるため、原油等の価格動向に応じて代替需要も生じています。石油資源以外の原料からエチレン、プロピレン等を製造できるMTOは、今後の石油資源の枯渇リスクを考えると、重要でです。下記の通り、エチレンやプロレンは、ポリ袋のポリエチレン、建材パイプによく使用されるPVC(ポリ塩化ビニル)、ペットボトルとして半ば固有名詞化したPET(ポリエチレンテレフタラート)、発泡スチロールのプリスチレン、PPとして表記され食器保蔵容器等によく使用されるポリプロピレン、合成ゴム、スパンデックスとの呼称で洋服等にも使用されるポリウレタン、屋根材料等の建材に使用されるポリカーボネート等、幅広い分野で利用されるフィードストック(原料)です。

MTO法 出所:メサネックス社ホームページ

新しいメタノールの市場として、今後は船舶エンジン向けの燃料が注目されています。国際海事機構(International Maritime Organization)による規制として、船舶エンジンからの排出される硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)削減が求められているなか、従来船舶エンジンの燃料である重油はこうした規制をクリアすることが難しいとされ、かかる粒子状物質(PM)の排出が少ないメタノール由来の燃料へのシフトが予想されます。船舶エンジン燃料の市場規模は、メタノール換算で年間650百万トンと推計されています。

【市場シェア】

メサネックス社によれば、2019年のメタノールの生産量ベースの市場シェアは以下の通りとなります。

メタノールの生産量で世界1位は、カナダのメサネックスです。メタノール運搬船も保有して、2位のスイスのプロマンと、ドイツのヘルム傘下のCEL生産量で大きく引き離しています。3位はをサウジ基礎産業公社、4位は、中国の石炭大手で、石炭由来のメタノールに強みを持つヤンクアン・グルーです。5位は、イランの国営石油会社の傘下である、ザグロス・ペトロケミカルで、中東系の石油化学メーカーが存在感を発揮しています。6位はオランダのアンモニアとメタノールの生産に強みを持つオランダのOCI、7位はマレーシアの石油大手であるペトロナス、8位は日本の三菱ガス化学となっています

【市場規模】

調査会社のフォーチュン・ビジネス・インサイツによれば、2019年のメタノールの市場規模は285億ドルです。2027年までに年平均4.6%で成長すると予測されています。また、三菱商事によればメタノールの2021年1月時点の年間想定需要量は約81百万トンと推計されています。⇒参照したデータの詳細情報

さらに業界に詳しくなるための関連図書

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【会社の概要】

Methanex Corporation(メサネックス)

同社はカナダに本拠を置く世界最大のメタノールメーカーです。カナダ、チリ、エジプト、ニュージーランド、米国、トリニダード・トバゴ にメタノールの生産拠点を有します。子会社に、メタノール運搬に特化した海運会社であるウォーターフロント・シッピング(Waterfront Shipping)を所有しています。北米、南米、アジア太平洋、ヨーロッパの主要マーケットに石油化学製品などの輸送を行っています。世界最大のメタノールタンカー船隊28隻を保有し、世界中の貯蔵ターミナルやプラントをつなぎ、メタノールの安定輸送を行っています。

メタノール船

メタノール船  出所:同社ホームページ

中国では、石炭から生成されたメタノールを生産し販売しています。

生産拠点

同社は、北米のルイジアナ、アジア・オセアニア地域のニュージーランド、中米のトリニダード・トバゴ、中東欧のエジプト、南米のチリの世界5極で生産を行う。

生産拠点と流通網 同社ホームページ

これら5極の生産拠点と世界各地の消費地をWFSが運航するメタノール船が効率的な海上航路でカバーしている。下図の通り、同社のコスト構造は、大きく天然ガス価格とメタノールの運搬コストが太宗を占めており、効率的なロジスティクスの構築がビジネスモデル上重要と言える。

コスト構造 出所:同社ホームページ

Consolidated Energy Limited(CEL、コンソリデイティッド・エナジー・リミテッド)

スイスの傘下のProman(プロマン)グループとドイツのHELM(ヘルム)グループの傘下のメタノール生産会社です。Proman(プロマンは1984年にプロジェクトマネジメント会社として設立され、メタノール及び肥料に強みを持ちます。HELM(ヘルム)は1900年設立の同族企業で、ドイツに本拠を置く、化学品の販売会社です。2018年に、米国のサザン・ケミカル・コーポレーションとともに、メタノールの販売会社であるヘルム・プロマン・メタノール(HELM Proman Methanol)を設立しました。

SABIC(サウジ基礎産業公社)

サウジアラビアの石油化学や製鉄、肥料などを統括する中東最大の素材企業です。世界50ヶ国に約3万5千の拠点を展開しています。売上高は354億ドル、総資産は845億ドルと世界最大級の化学メーカーです。

出所:同社ホームページ

メタノール以外にも、グリコール(Glycols)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリエチレン(Polyethylene )、ポリプロピレン(Polypropylene)、メチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)等では、世界トップクラスの生産量を誇ります。

ZAGROS(ザグロス・ペトロケミカル)

イランの国営石油会社であるNational Iranian Oil Company (NIOC、ナショナル・イラニアン・オイル・カンパニー) 傘下の化学会社です。2000年に設立。イランのアサルーイェ(Asaluyeh)に本拠をおきます。2001年に独ルルギ(Lurgi Oel-Gas-Chemie GmbH)がメタノール設備を建設しました。

Yankuang Group(ヤンクアン・グループ、兖矿集团)

1976年に設立された中国の山東省Yanzhou(兗州区、ヤンジョウ、日本語だとエン州)に本拠を置く中国の大手石炭・炭鉱運営会社です。子会社のヤン州煤業(兗州煤業公司、Yanzhou Coal Mining Company、ヤンコール)は香港及びニューヨーク証券取引所に上場しています。豪州と中国に約21の炭鉱を保有しています。豪州の炭鉱にはAustar(オースター)、Yarrabee(ヤラビー)、Ashton、Moolarben,、Gloucester、Donaldson(ドナルドソン)、Middle Mount(ミドルマウント)、Cameby DownsとPremieが含まれます。広州に石炭由来のメタノールを生産する工場を運営しています。

OCI

天然ガスを原料とする肥料と工業用化学品を製造・販売。窒素肥料 、メタノール、その他天然ガス由来の化学製品を製造しています。窒素とメタノールに強みを持つ。

出所:同社ホームページ

メタノール工場は、オランダと北米(テキサス州)に拠点を有する。

MITSUBISHI GAS CHEMICAL COMPANY, INC.(三菱ガス化学株式会社)

1918年(大正7年)に、三菱製紙に化学薬品を納入する子会社として発足した旧三菱江戸川化学と旧日本瓦斯化学工業が1971年に合併し誕生しました。日本で初めて天然ガス由来のメタノールの生産に成功しています。サウジアラビア、ベネズエラ、ブルネイ等でメタノールの生産を行っています。2020年にトリニダード・トバゴ共和国でメタノールの年間生産量100万トンのプラントを、三菱商事、三菱重工、トリニダード・トバゴ国営ガス等と共同で操業を開始しました。

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